これは同プチ作品集幻想消説1話の続きです。
まずそっちを読んで不快感が表れなかったら過度な期待をせずにご覧下さい。あと僅かに二次設定注意。それと作者は永夜沙をやった事がありません。注意して下さい。
「・・・また」
霊夢はあれから崩壊の発見から三間同じ夢ばかり見ている。白玉楼にも入った。永遠亭にもいったし魔法の森も周ったし、ブン屋にもであった。もう諦めるしかないのだろうか。
「・・・また」
魔理沙はあれから二日間おでんばかり食べていた。霊夢に出されたからだ。自宅の冷蔵庫もおでんがみっちり詰まっていた。霊夢が頼んで紫におでんとその他食物の境界を弄ったそうだ。
「なあ霊夢いい加減にしてくれ。私はおでんにトラウマがあるんだ」
「私の家にはおでんしかないわよ」
魔理沙は苦悶した表情でおでんを食べ続けるのだった。
此処は永遠亭。竹林の中にある兎と不死人達の住処となっている。
「あら、ここは普段と変わらず元気いっぱいね」
紫がやってきていた。遠くの方から声が聞こえてくる。
「あははははは!!妹紅!私達は幻想郷が無くなっても殺し合うのよ!!!」
「あたりまえだ!!燃え尽きろ輝夜ーー!!」
妹紅と呼ばれた少女は蓬莱の薬を飲み不死人となった蓬莱人だ。輝夜と呼ばれたのは同じく蓬莱の薬を飲み月から追放された元姫だ。
「ええ、まぁそれが私達だもの」
彼女は蓬莱の薬を作りだした張本人、八意永琳。月の頭脳と呼ばれていてとても頭がいい。
「ところで」
「何?」
永琳は紫に返事をした。今二人は茶を啜っている。
「あの娘達あんな事言ってるけど」
「ええまあ、いつもの事ね」
「真実を伝えなくていいの?」
その事に永琳と輝夜、妹紅は固まった。
「「真実?」」
さっきまで殺し合いをしていたがぴたりと止めた。
「ふふ、まだ知らないみたいね。霊夢からは聞いてないの?」
「な、何の事よ」
妹紅は口を開いた。
「ち、ちょっと紫!!」
永琳は紫を止めようとしていた。
「永琳は気付いているんでしょ?まあ言いにくいだろうし私から言ってあげるわ」
「・・・・・・」
永琳は唇を噛み締めている。
「な、何なのよ。早く言いなさいよ」
輝夜はせかすように言う。
「いい?これから私の言う事を心して聞いて頂戴」
「「・・・」」
沈黙が走る。
「あなた達幻想郷が無くなっても殺し合うなんていってるけど・・・・・・・死ぬわよ、三人とも」
「え?」
「いま・・・なんて?」
「・・・・・・・」
二人は耳を疑った。無理もないだろう。自分達とは無縁だと思っていた事がおきようとしていたのだから。
「ちょ、ちょっと・・・変な冗談はよしてよ」
「そ、そうよ・・・・私達は不死よ?」
二人はいまだ信じられないらしい。
「永琳!どうして黙っていたの!こんな大事なことをどうして!!」
輝夜は永琳に掴みかかった。その目には涙が浮んでいる。
「そう彼女を責めないであげて。恐らく彼女は二人の悲しむ顔が見たくなかったのよ」
紫は永琳を庇う。
「ねえ永琳、どう言う事?私達が死ぬって」
「・・・・・・」
永琳は俯いて喋ろうとしない。こんなに傷心した表情を見たのは長年一緒に居た輝夜も一回しか見たことが無い。
「あの娘じゃ言いにくいだろうから私が説明してあげるわ」
「死ぬと言うより消えると言った方が正しいわね。幻想郷が無くなる、それは世界が消えると言う事。そこは判るわね?」
「まあ、ね」
妹紅がうなずいた。
「じゃあ聞くけど此処に箱があると想像してみて?その『想像の中の箱』から『現実のお菓子』を取り出してみて、と言われたらどうやってお菓子を取り出す?」
「無理に決まってる。此処に無いものを現実にしようなんて」
「そう、それと同じよ。入れ物に一切手を加えず入れ物を捨てれば中の物も一緒に捨てられてしまう。つまり助かるには・・・」
「幻想郷からの脱け出す・・・・だけ」
「まあもちろん無理な話よね。自由に出入りが出来るのは私と結界を守っている霊夢くらい」
「ねえ、慧音も気付いていたのかなぁ」
妹紅は紫に聞いてみた。
「たぶんね」
「そっか、私達なんにも気付かずにこの5日間無意味に殺し合ってきたのか。なんか笑えてくるなぁ」
ハハハ、と笑って見せた妹紅を永琳は見ていられなかった。
「じゃあね、この後どうすればいいのかは三人で考えて御覧なさい。やり残した事でも良いし、まあ2日で出来る事程度ならどうするかは自由ね。場合によっては私が手助けしてあげる。4日前も妖精ちゃんの願いを叶えた所よ」
こうして紫は永遠亭を出て行った。
「あら?たしか此処は・・・」
此処は人里にある寺子屋だ。
「この話にある『貫けないものは無い』にある通り否定の言葉を二つ並べるとより強く肯定している事に・・・て、おいそこ!寝るんじゃ無い!!」
ここで授業を教えているのは上白沢慧音だ。半人半獣で満月の日はハクタクになる
「んむあ!ご、ごめんなさ~い」
「まったく!次寝たらあさって満月の日に歴史を変えてお父さんはゲイ、お母さんは一日中寝てばかりという歴史に変えてやるからな」
「え~!勘弁してください~~」
どわっ!と教室中が笑いに包まれた。
(ふふ、ちょっと悪戯しちゃおうかしら)
「さあ、静かにしろー授業再開するぞー!・・・だが例外があり貫けない事も無い・・・・これだと肯定をしているがその強さが極端によわ・・・く・・・・?」
がたたん!!
慧音は突然倒れてしまった。
「せ、先生!」
「先生!?」
生徒の皆が心配そうに言う。
「せんせ・・・ってあれ?」
「すぅすぅ」
慧音は寝ていた。
「先生寝てらぁ」
「そんな事より授業が再開しないとアレでき無いじゃん」
「ああ、大変だ」
生徒達は何かをひそひそと話していた。
(何を始めるのかしら)
一人の生徒が軽く咳払いをして言ってみた。
「慧音なんか大っ嫌いだ!!!もう帰る!!!!!!!」
妹紅の声真似をして見せた。すると・・・
「な、何!!?おい妹紅!!!なぜだ!?行かないでくれ~~~・・・ってあれ?」
慧音が目を覚ました。ぽかんとしている慧音は訳がわからない。
「あははははは!!行かないでくれ~~~~だって!!」
「な!お、お前らーー!!」
慧音は顔を真っ赤に染めて怒っていた。
「先生も可愛い所があるんですね~~」
「お前ら!!人の恋心をもて遊ぶな!!」
慧音は怒鳴って見せたのだが
「へ~~先生やっぱり妹紅ちゃんに恋してたんだー」
裏目に出た。すると慧音は反論したのだが
「なに!?そ、そんな事は無いぞ・・・」
目を合わそうとしていない。
「先生!私こんな事もできるよーー!!『ごめん慧音、私やっぱり輝夜についていくから・・・』」
「だーかーらー!いい加減にしろ!」
生徒達はいったいどこでそんな情報を手に入れたのだろうか。
「と、とにかく授業再開するぞ」
「先生!先生の両親はゲイでぐーたらですか?」
「うるさい!!」
一時間後
「よし!今日の授業はこれで終わりだな!」
「「「「「ありがとうございました!!」」」」」」
「まあ、今日が最後の授業になる訳だが、私の授業に参加してくれた皆!私は皆と授業が出来てとても楽しかったぞ!!」
「授業はつまんなかったけどねー」
「おい」
「「「「あはははははは」」」」
「それじゃぁ、皆最後の日まで元気でな!!!」
「先生!!」
慧音はくるりと後ろを向いて帰ろうとしていたのだが生徒の一人が呼び止めた。
「なんだ?・・・!!」
慧音が振り向きかえるとそこには『僕達のけいね先生!!!感射してます!!!』という幕がかかっていた。
(あらあら♡)
「お、お前ら・・・・」
慧音は驚いていた。
「先生!ありがとう!!」
「妹紅さんと幸せにねーー!!」
「私は授業楽しかったよー!!」
生徒達の感謝の言葉が贈られていた。
「お・・・お前達・・・感謝の字が・・・違うじゃないか。まったく・・・・」
「あ、いっけねーー!!」
「なにやってんだよーーー」
「まったく、お前ら私の授業を・・・聞いて・・・ぐす・・・無かったのか?・・・」
「あははは、先生泣いてるーーー」
「う、うるさい!!」
寺子屋にはいつもよりも大きな笑い声が響き渡っていた。
紫が寺子屋に到着するちょっと前の事。永遠亭の一室での出来事。
「てゐ~師匠がお使いを・・・」
この兎の耳にブレザーの少女は鈴仙・優曇華院・イナバ、月から逃げてきた兎だ。色々な呼び方をされているため、名前がとても長い。スペルカードの読み方がとても特殊なのはその腹いせだとか。
「う・・・くす」
そして、てゐと呼ばれた兎耳の少女は因幡てゐ。長生きしていたら妖怪になった地上の兎だ。
「ちょ、どうしたの?てゐ」
鈴仙はてゐに近づき聞いて見た。
「鈴仙、私死ぬの怖いよ。」
てゐは泣いていた。こんな表情を見るのは初めてだ。
「てゐ・・・」
てゐに近づいて抱きついた。
「・・・鈴仙?」
「大丈夫よ、私達が幻想郷が無くなったからって死ぬ訳無いでしょ?あんただってしぶとく妖怪にまでなって何十、何百年も生きて来たじゃない」
「鈴仙・・・ありがと」
てゐは鈴仙の手をぎゅっと握った。
「さ、私も一緒にお使い行ってあげるから」
鈴仙は歩き出そうとした。その時てゐが笑顔になった。
「ふふ・・・・」
訂正、笑った。
「・・・?」
ボスーーーー!!!!
「え!?何!?キャーーーーーー!!!」
鈴仙は突然消えた、いや落ちていった。5秒程落下していたがその隣を何かがしゅるしゅると昇っていった。
ドスン!ガチン!!
「痛い!痛ーーーーー!!」
見ると鈴泉の足には狩りに使う獣用捕獲トラップが仕掛けられていた。これでは空を飛べない。
「ふふふふふ・・・」
てゐの手には目薬とロープが付いたビデオカメラがあった。香霖堂で奪い・・・頂いたとか。
「ちょっとてゐ!」
「あははははは!!馬鹿だねぇ相変わらず」
「ちょっと待ってなさい。今すぐ、そっち、に!」
必死に罠を開けようとしている。
「このビデオの中身、なんだか判る~?」
「ッ!!ま、まさか!!」
鈴仙は顔を赤くしている。
「どれどれ・・・これはこれは、鈴仙もやるね~。まさかこれほどとは」
ビデオテープには鈴泉の落下中の映像が下から撮影されている。内容はというと、しいて言うなら犯罪スレスレ(アウト)な鈴仙が写されている。
「て、てゐ、お願いだからそれを・・・」
「これ、ブン屋にでもあげちゃおっかな~」
「それだけはさせるか~!ぎぎぎぎぎぎ」
徐々に罠がはずされていく。
「な、何!?こうなりゃ逃げるが勝ちだ~!!」
「待ちなさーーーーーーい!!!!!」
「やだよ~~!ここまでおいで!!○○パンツの鈴仙ちゃ~~~ん♡」
「大声で叫ぶなーー!!!」
こうしていつもの鬼ごっこが始まった。
「ほんとにあの娘達は元気ですね」
「ええ、イナバ達らしいわ」
輝夜は立ち直っていた。
「ねえ永琳・・・」
「なんですか?」
永琳は返事をした。
「私、その・・・妹紅と仲直りしようかなと思うんだけど」
「・・・」
永琳は驚いていた。もちろん表情には出さないが。
「いいんじゃないですか」
永琳はそれだけ言った。
此処は魔法の森、魔理沙の家と、あと一件魔法使いの家がある。
「で、今日は何の用なの?お母さん」
人形の手入れをしながらお母さんらしき人物に質問をしているのはアリス・マーガトロイド。人形を操る。出身地は魔界。
「ええ、あなたももう知ってるでしょ?幻想郷の事」
そして赤い服に身をまとうこの女性は神綺と言う。魔界の神で魔界の住民のみんなの母。
「ええ、霊夢が教えてくれたのよ」
紫は伝え忘れてたそうだ。
「そう・・・で、アリスちゃん」
神綺は真剣な眼差しでアリスを見つめる。
「魔界に帰るつもりならないよ」
神綺は信じられない、そんな顔をしていた。
「・・・なんで?お母さんアリスちゃんがいなくなったら嫌なのよ。お母さんの気持ち判って頂戴」
今は魔界の皆の母と言うよりたった一人の子供アリスの母親と言うような表情だ。神綺がどれだけ魔界の皆、一人一人を愛しているのかがよく判る。
「そうは言っても私にはパチュリー、霊夢を置いて魔界に帰る事はできない。皆を裏切るようで気がひけるの。それに私は・・・今まで言ってなかったけど魔理沙が好きなの。魔理沙と別の世界に行く事はできないわ」
そう言うとアリスは紅茶を一口飲む。そして「それに」と付け足すように言う。
「お母さんには夢子さんだっているし私一人居なくなった所で皆や魔界の生活に大きな変化なんて無いでしょ。だれも私の事は気になんてしないだろうしそれに・・・」
パン!!!
乾いた音が響いたと思ったら神綺が立ち上がりアリスを睨みつけていた。みるとアリスの頬は赤く腫れていた。
「・・・?」
アリスは頬を押さえ訳が判らず呆然としていた。すると神綺が肩を掴みアリスに言った。
「アリスちゃん!!!今の発言は許さないわよ!!!!!」
その目は怒りに満ちていた。
「おかあ・・・さん?」
「だれも気にしない!!?本気で言ってるの!!?」
神綺は今だすごい剣幕で言っている。
「笑わせないでよ!!!あなた自分をなんだと思ってるの!!?魔界で誰とも関わらず生きてきた訳じゃないでしょ!夢子ちゃんだって今も時々寂しそうな表情を見せているわ!!」
怒りの表情にうっすらと涙がうかぶ。アリスはただただ黙るしかなかった。
「魔界だって変わったわ!!アリスちゃんが幻想郷に行ってから夢子ちゃんだけじゃ無い!皆、皆寂しそうにしてたわよ!!私だって寂しかった!幻想郷で暮らすことには私は反対しなかったわ!!でも・・・」
急に神綺の声が小さくなる。
「『居なくなる』のと『死んでしまう』のは違うのよ。居なくなるならまた会えるかも知れない。だけど死んでしまったら・・・もうそれでさよならなの。二度と会えないの」
先ほどとはうって変わって今度は悲しげに言う。
「判って頂戴・・・私のためにも・・・いいえ!皆のためにも・・・魔界に戻ってきて」
神綺は言った。
「ごめん、それでも私は魔界には帰れないわ。親不孝者かも知れないけどそれでも私は此処に居たい」
アリスがそう言うと神綺は立ち上がった。
「そう、やっぱり戻ってくる気が無いのね。じゃあさよならアリスちゃん。最後にこれだけ言っておくけど・・・」
少しの間沈黙が走る。
「私は皆の母なんて思った事は一度も無い・・・私はいつもアリスちゃんのお母さんとして生きてきたつもりよ」
「え?」
そう言うと扉を閉めた。
「叩いたりして御免なさい」
神綺は扉の向こうでそう呟いた。
此処は魔界。神綺が作り出した世界だ。
「神綺様・・・」
心配そうに我が主を見つめているのは神綺に作り出されてメイド、夢子。
「夢子ちゃん、私は駄目な母親なのかな・・・」
神綺は悲しそうに呟く。
「何を言ってるんですか。少なくとも私の理想のお母さんは優しくて、きちんと怒ってくれる神綺様です」
「ありがとう・・・」
そう言うと夢子に涙を流しながら抱きついた。
此処は博麗神社神社。魔理沙と霊夢が縁側で茶を飲んでる。
「魔理沙、お茶を飲んだんだから掃除しときなさいよ」
「嫌だぜ」
そんな会話を続けていると黒い翼を持った少女が飛んできた。
「こんにちはー!お知らせがあります!!」
この少女は射命丸文、鴉天狗で妖怪の山に住んでいて文々。新聞を作っている。売れ行きは悪かったりする。
「なんだ?」
「ええ、実は紅魔館でパーティーがあるんですよ~。ネタ無いなら宣伝してきなさいと言われたんです。」
「ネタ、無いんだ・・・」
霊夢は哀れみを持つように言う。
「はぅっ!・・・と、兎に角明後日に紅魔館であるので、それでは!」
そう言うと射命丸は飛んでいった。
「パーティーか、霊夢はどうする?どうせ解決策なんて思いついて無いんだろ?」
「私は行こうかな。魔理沙も行くんでしょ?」
「ああ、宴はこの魔理沙様が来ないと始まらないぜ!」
こうして、紅魔館でパーティーが開催される事になった。
続く
まずそっちを読んで不快感が表れなかったら過度な期待をせずにご覧下さい。あと僅かに二次設定注意。それと作者は永夜沙をやった事がありません。注意して下さい。
「・・・また」
霊夢はあれから崩壊の発見から三間同じ夢ばかり見ている。白玉楼にも入った。永遠亭にもいったし魔法の森も周ったし、ブン屋にもであった。もう諦めるしかないのだろうか。
「・・・また」
魔理沙はあれから二日間おでんばかり食べていた。霊夢に出されたからだ。自宅の冷蔵庫もおでんがみっちり詰まっていた。霊夢が頼んで紫におでんとその他食物の境界を弄ったそうだ。
「なあ霊夢いい加減にしてくれ。私はおでんにトラウマがあるんだ」
「私の家にはおでんしかないわよ」
魔理沙は苦悶した表情でおでんを食べ続けるのだった。
此処は永遠亭。竹林の中にある兎と不死人達の住処となっている。
「あら、ここは普段と変わらず元気いっぱいね」
紫がやってきていた。遠くの方から声が聞こえてくる。
「あははははは!!妹紅!私達は幻想郷が無くなっても殺し合うのよ!!!」
「あたりまえだ!!燃え尽きろ輝夜ーー!!」
妹紅と呼ばれた少女は蓬莱の薬を飲み不死人となった蓬莱人だ。輝夜と呼ばれたのは同じく蓬莱の薬を飲み月から追放された元姫だ。
「ええ、まぁそれが私達だもの」
彼女は蓬莱の薬を作りだした張本人、八意永琳。月の頭脳と呼ばれていてとても頭がいい。
「ところで」
「何?」
永琳は紫に返事をした。今二人は茶を啜っている。
「あの娘達あんな事言ってるけど」
「ええまあ、いつもの事ね」
「真実を伝えなくていいの?」
その事に永琳と輝夜、妹紅は固まった。
「「真実?」」
さっきまで殺し合いをしていたがぴたりと止めた。
「ふふ、まだ知らないみたいね。霊夢からは聞いてないの?」
「な、何の事よ」
妹紅は口を開いた。
「ち、ちょっと紫!!」
永琳は紫を止めようとしていた。
「永琳は気付いているんでしょ?まあ言いにくいだろうし私から言ってあげるわ」
「・・・・・・」
永琳は唇を噛み締めている。
「な、何なのよ。早く言いなさいよ」
輝夜はせかすように言う。
「いい?これから私の言う事を心して聞いて頂戴」
「「・・・」」
沈黙が走る。
「あなた達幻想郷が無くなっても殺し合うなんていってるけど・・・・・・・死ぬわよ、三人とも」
「え?」
「いま・・・なんて?」
「・・・・・・・」
二人は耳を疑った。無理もないだろう。自分達とは無縁だと思っていた事がおきようとしていたのだから。
「ちょ、ちょっと・・・変な冗談はよしてよ」
「そ、そうよ・・・・私達は不死よ?」
二人はいまだ信じられないらしい。
「永琳!どうして黙っていたの!こんな大事なことをどうして!!」
輝夜は永琳に掴みかかった。その目には涙が浮んでいる。
「そう彼女を責めないであげて。恐らく彼女は二人の悲しむ顔が見たくなかったのよ」
紫は永琳を庇う。
「ねえ永琳、どう言う事?私達が死ぬって」
「・・・・・・」
永琳は俯いて喋ろうとしない。こんなに傷心した表情を見たのは長年一緒に居た輝夜も一回しか見たことが無い。
「あの娘じゃ言いにくいだろうから私が説明してあげるわ」
「死ぬと言うより消えると言った方が正しいわね。幻想郷が無くなる、それは世界が消えると言う事。そこは判るわね?」
「まあ、ね」
妹紅がうなずいた。
「じゃあ聞くけど此処に箱があると想像してみて?その『想像の中の箱』から『現実のお菓子』を取り出してみて、と言われたらどうやってお菓子を取り出す?」
「無理に決まってる。此処に無いものを現実にしようなんて」
「そう、それと同じよ。入れ物に一切手を加えず入れ物を捨てれば中の物も一緒に捨てられてしまう。つまり助かるには・・・」
「幻想郷からの脱け出す・・・・だけ」
「まあもちろん無理な話よね。自由に出入りが出来るのは私と結界を守っている霊夢くらい」
「ねえ、慧音も気付いていたのかなぁ」
妹紅は紫に聞いてみた。
「たぶんね」
「そっか、私達なんにも気付かずにこの5日間無意味に殺し合ってきたのか。なんか笑えてくるなぁ」
ハハハ、と笑って見せた妹紅を永琳は見ていられなかった。
「じゃあね、この後どうすればいいのかは三人で考えて御覧なさい。やり残した事でも良いし、まあ2日で出来る事程度ならどうするかは自由ね。場合によっては私が手助けしてあげる。4日前も妖精ちゃんの願いを叶えた所よ」
こうして紫は永遠亭を出て行った。
「あら?たしか此処は・・・」
此処は人里にある寺子屋だ。
「この話にある『貫けないものは無い』にある通り否定の言葉を二つ並べるとより強く肯定している事に・・・て、おいそこ!寝るんじゃ無い!!」
ここで授業を教えているのは上白沢慧音だ。半人半獣で満月の日はハクタクになる
「んむあ!ご、ごめんなさ~い」
「まったく!次寝たらあさって満月の日に歴史を変えてお父さんはゲイ、お母さんは一日中寝てばかりという歴史に変えてやるからな」
「え~!勘弁してください~~」
どわっ!と教室中が笑いに包まれた。
(ふふ、ちょっと悪戯しちゃおうかしら)
「さあ、静かにしろー授業再開するぞー!・・・だが例外があり貫けない事も無い・・・・これだと肯定をしているがその強さが極端によわ・・・く・・・・?」
がたたん!!
慧音は突然倒れてしまった。
「せ、先生!」
「先生!?」
生徒の皆が心配そうに言う。
「せんせ・・・ってあれ?」
「すぅすぅ」
慧音は寝ていた。
「先生寝てらぁ」
「そんな事より授業が再開しないとアレでき無いじゃん」
「ああ、大変だ」
生徒達は何かをひそひそと話していた。
(何を始めるのかしら)
一人の生徒が軽く咳払いをして言ってみた。
「慧音なんか大っ嫌いだ!!!もう帰る!!!!!!!」
妹紅の声真似をして見せた。すると・・・
「な、何!!?おい妹紅!!!なぜだ!?行かないでくれ~~~・・・ってあれ?」
慧音が目を覚ました。ぽかんとしている慧音は訳がわからない。
「あははははは!!行かないでくれ~~~~だって!!」
「な!お、お前らーー!!」
慧音は顔を真っ赤に染めて怒っていた。
「先生も可愛い所があるんですね~~」
「お前ら!!人の恋心をもて遊ぶな!!」
慧音は怒鳴って見せたのだが
「へ~~先生やっぱり妹紅ちゃんに恋してたんだー」
裏目に出た。すると慧音は反論したのだが
「なに!?そ、そんな事は無いぞ・・・」
目を合わそうとしていない。
「先生!私こんな事もできるよーー!!『ごめん慧音、私やっぱり輝夜についていくから・・・』」
「だーかーらー!いい加減にしろ!」
生徒達はいったいどこでそんな情報を手に入れたのだろうか。
「と、とにかく授業再開するぞ」
「先生!先生の両親はゲイでぐーたらですか?」
「うるさい!!」
一時間後
「よし!今日の授業はこれで終わりだな!」
「「「「「ありがとうございました!!」」」」」」
「まあ、今日が最後の授業になる訳だが、私の授業に参加してくれた皆!私は皆と授業が出来てとても楽しかったぞ!!」
「授業はつまんなかったけどねー」
「おい」
「「「「あはははははは」」」」
「それじゃぁ、皆最後の日まで元気でな!!!」
「先生!!」
慧音はくるりと後ろを向いて帰ろうとしていたのだが生徒の一人が呼び止めた。
「なんだ?・・・!!」
慧音が振り向きかえるとそこには『僕達のけいね先生!!!感射してます!!!』という幕がかかっていた。
(あらあら♡)
「お、お前ら・・・・」
慧音は驚いていた。
「先生!ありがとう!!」
「妹紅さんと幸せにねーー!!」
「私は授業楽しかったよー!!」
生徒達の感謝の言葉が贈られていた。
「お・・・お前達・・・感謝の字が・・・違うじゃないか。まったく・・・・」
「あ、いっけねーー!!」
「なにやってんだよーーー」
「まったく、お前ら私の授業を・・・聞いて・・・ぐす・・・無かったのか?・・・」
「あははは、先生泣いてるーーー」
「う、うるさい!!」
寺子屋にはいつもよりも大きな笑い声が響き渡っていた。
紫が寺子屋に到着するちょっと前の事。永遠亭の一室での出来事。
「てゐ~師匠がお使いを・・・」
この兎の耳にブレザーの少女は鈴仙・優曇華院・イナバ、月から逃げてきた兎だ。色々な呼び方をされているため、名前がとても長い。スペルカードの読み方がとても特殊なのはその腹いせだとか。
「う・・・くす」
そして、てゐと呼ばれた兎耳の少女は因幡てゐ。長生きしていたら妖怪になった地上の兎だ。
「ちょ、どうしたの?てゐ」
鈴仙はてゐに近づき聞いて見た。
「鈴仙、私死ぬの怖いよ。」
てゐは泣いていた。こんな表情を見るのは初めてだ。
「てゐ・・・」
てゐに近づいて抱きついた。
「・・・鈴仙?」
「大丈夫よ、私達が幻想郷が無くなったからって死ぬ訳無いでしょ?あんただってしぶとく妖怪にまでなって何十、何百年も生きて来たじゃない」
「鈴仙・・・ありがと」
てゐは鈴仙の手をぎゅっと握った。
「さ、私も一緒にお使い行ってあげるから」
鈴仙は歩き出そうとした。その時てゐが笑顔になった。
「ふふ・・・・」
訂正、笑った。
「・・・?」
ボスーーーー!!!!
「え!?何!?キャーーーーーー!!!」
鈴仙は突然消えた、いや落ちていった。5秒程落下していたがその隣を何かがしゅるしゅると昇っていった。
ドスン!ガチン!!
「痛い!痛ーーーーー!!」
見ると鈴泉の足には狩りに使う獣用捕獲トラップが仕掛けられていた。これでは空を飛べない。
「ふふふふふ・・・」
てゐの手には目薬とロープが付いたビデオカメラがあった。香霖堂で奪い・・・頂いたとか。
「ちょっとてゐ!」
「あははははは!!馬鹿だねぇ相変わらず」
「ちょっと待ってなさい。今すぐ、そっち、に!」
必死に罠を開けようとしている。
「このビデオの中身、なんだか判る~?」
「ッ!!ま、まさか!!」
鈴仙は顔を赤くしている。
「どれどれ・・・これはこれは、鈴仙もやるね~。まさかこれほどとは」
ビデオテープには鈴泉の落下中の映像が下から撮影されている。内容はというと、しいて言うなら犯罪スレスレ(アウト)な鈴仙が写されている。
「て、てゐ、お願いだからそれを・・・」
「これ、ブン屋にでもあげちゃおっかな~」
「それだけはさせるか~!ぎぎぎぎぎぎ」
徐々に罠がはずされていく。
「な、何!?こうなりゃ逃げるが勝ちだ~!!」
「待ちなさーーーーーーい!!!!!」
「やだよ~~!ここまでおいで!!○○パンツの鈴仙ちゃ~~~ん♡」
「大声で叫ぶなーー!!!」
こうしていつもの鬼ごっこが始まった。
「ほんとにあの娘達は元気ですね」
「ええ、イナバ達らしいわ」
輝夜は立ち直っていた。
「ねえ永琳・・・」
「なんですか?」
永琳は返事をした。
「私、その・・・妹紅と仲直りしようかなと思うんだけど」
「・・・」
永琳は驚いていた。もちろん表情には出さないが。
「いいんじゃないですか」
永琳はそれだけ言った。
此処は魔法の森、魔理沙の家と、あと一件魔法使いの家がある。
「で、今日は何の用なの?お母さん」
人形の手入れをしながらお母さんらしき人物に質問をしているのはアリス・マーガトロイド。人形を操る。出身地は魔界。
「ええ、あなたももう知ってるでしょ?幻想郷の事」
そして赤い服に身をまとうこの女性は神綺と言う。魔界の神で魔界の住民のみんなの母。
「ええ、霊夢が教えてくれたのよ」
紫は伝え忘れてたそうだ。
「そう・・・で、アリスちゃん」
神綺は真剣な眼差しでアリスを見つめる。
「魔界に帰るつもりならないよ」
神綺は信じられない、そんな顔をしていた。
「・・・なんで?お母さんアリスちゃんがいなくなったら嫌なのよ。お母さんの気持ち判って頂戴」
今は魔界の皆の母と言うよりたった一人の子供アリスの母親と言うような表情だ。神綺がどれだけ魔界の皆、一人一人を愛しているのかがよく判る。
「そうは言っても私にはパチュリー、霊夢を置いて魔界に帰る事はできない。皆を裏切るようで気がひけるの。それに私は・・・今まで言ってなかったけど魔理沙が好きなの。魔理沙と別の世界に行く事はできないわ」
そう言うとアリスは紅茶を一口飲む。そして「それに」と付け足すように言う。
「お母さんには夢子さんだっているし私一人居なくなった所で皆や魔界の生活に大きな変化なんて無いでしょ。だれも私の事は気になんてしないだろうしそれに・・・」
パン!!!
乾いた音が響いたと思ったら神綺が立ち上がりアリスを睨みつけていた。みるとアリスの頬は赤く腫れていた。
「・・・?」
アリスは頬を押さえ訳が判らず呆然としていた。すると神綺が肩を掴みアリスに言った。
「アリスちゃん!!!今の発言は許さないわよ!!!!!」
その目は怒りに満ちていた。
「おかあ・・・さん?」
「だれも気にしない!!?本気で言ってるの!!?」
神綺は今だすごい剣幕で言っている。
「笑わせないでよ!!!あなた自分をなんだと思ってるの!!?魔界で誰とも関わらず生きてきた訳じゃないでしょ!夢子ちゃんだって今も時々寂しそうな表情を見せているわ!!」
怒りの表情にうっすらと涙がうかぶ。アリスはただただ黙るしかなかった。
「魔界だって変わったわ!!アリスちゃんが幻想郷に行ってから夢子ちゃんだけじゃ無い!皆、皆寂しそうにしてたわよ!!私だって寂しかった!幻想郷で暮らすことには私は反対しなかったわ!!でも・・・」
急に神綺の声が小さくなる。
「『居なくなる』のと『死んでしまう』のは違うのよ。居なくなるならまた会えるかも知れない。だけど死んでしまったら・・・もうそれでさよならなの。二度と会えないの」
先ほどとはうって変わって今度は悲しげに言う。
「判って頂戴・・・私のためにも・・・いいえ!皆のためにも・・・魔界に戻ってきて」
神綺は言った。
「ごめん、それでも私は魔界には帰れないわ。親不孝者かも知れないけどそれでも私は此処に居たい」
アリスがそう言うと神綺は立ち上がった。
「そう、やっぱり戻ってくる気が無いのね。じゃあさよならアリスちゃん。最後にこれだけ言っておくけど・・・」
少しの間沈黙が走る。
「私は皆の母なんて思った事は一度も無い・・・私はいつもアリスちゃんのお母さんとして生きてきたつもりよ」
「え?」
そう言うと扉を閉めた。
「叩いたりして御免なさい」
神綺は扉の向こうでそう呟いた。
此処は魔界。神綺が作り出した世界だ。
「神綺様・・・」
心配そうに我が主を見つめているのは神綺に作り出されてメイド、夢子。
「夢子ちゃん、私は駄目な母親なのかな・・・」
神綺は悲しそうに呟く。
「何を言ってるんですか。少なくとも私の理想のお母さんは優しくて、きちんと怒ってくれる神綺様です」
「ありがとう・・・」
そう言うと夢子に涙を流しながら抱きついた。
此処は博麗神社神社。魔理沙と霊夢が縁側で茶を飲んでる。
「魔理沙、お茶を飲んだんだから掃除しときなさいよ」
「嫌だぜ」
そんな会話を続けていると黒い翼を持った少女が飛んできた。
「こんにちはー!お知らせがあります!!」
この少女は射命丸文、鴉天狗で妖怪の山に住んでいて文々。新聞を作っている。売れ行きは悪かったりする。
「なんだ?」
「ええ、実は紅魔館でパーティーがあるんですよ~。ネタ無いなら宣伝してきなさいと言われたんです。」
「ネタ、無いんだ・・・」
霊夢は哀れみを持つように言う。
「はぅっ!・・・と、兎に角明後日に紅魔館であるので、それでは!」
そう言うと射命丸は飛んでいった。
「パーティーか、霊夢はどうする?どうせ解決策なんて思いついて無いんだろ?」
「私は行こうかな。魔理沙も行くんでしょ?」
「ああ、宴はこの魔理沙様が来ないと始まらないぜ!」
こうして、紅魔館でパーティーが開催される事になった。
続く
次のお話お待ちしてますよ~
わざとですか?でしたら申し訳ないです。
名前が無い程度の能力さん、すみません、鈴仙の字、間違えてしまいました。御免なさい。