Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

香霖堂…頭撫でます 魔理沙の特権

2008/05/27 11:08:49
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 魔法の森にあるお店、香霖堂
 そのお店の店主である森近霖之助
「……困ったな…」
 通称、香霖は目の前の物を見つめて悩んでいた
(ガタン!)
 そんな時、お店のドアを盛大に開けて誰かがやってきた

「おっす!邪魔するぜ香霖」
 香霖が昔世話になったお店の一人娘である
 霧雨魔理沙がその場に立っていた
「やあ、いらっしゃい…魔理沙」
 香霖が、目の前に置いてあった物をこっそりと隠すと
 何も無いように、魔理沙に挨拶をした
 
「それで?今日はなんのようだい?」
 香霖の言葉に魔理沙が何時ものように話しかける
「いや、何か面白い物があるかと思ってやってきたんだ」
 そういうと同時に、香霖の近くまで歩いてくる
「で?さっき、一体何を隠したんだ?」
「いや、見ても面白くない物だから…」
 どうやら、魔理沙に見つかってしまったらしいので正直に答える
 だが、それが逆に魔理沙の興味をひきつけてしまった
「面白くないかどうか、それは私が決める事だぜ」
 香霖が座っているカウンターの椅子の傍までやってくる
「…見ても面白くないよ…」
「関係ないぜ」
 香霖が渋っていると、座っている香霖の膝の上に魔理沙が座り
 先ほど香霖が隠していた物を取り出す
「なになに?…」
 香霖の膝の上に座ったまま、魔理沙がそれを見始める

「…なあ、香霖…この赤い文字ばっかりの魔導書はなんだ?」
 魔理沙が、何がなんだかよくわからないと言った感じで香霖に聞く
「だから面白く無いと言ったのに…」
 香霖はため息をつくと、それの正体を魔理沙に伝えた
「…帳簿…この香霖堂の会計が書いてある物だ」


 香霖の言葉に、魔理沙が唖然とする
 文字どうり、その帳簿は真っ赤だったのだ
 それがどういうか、魔理沙にもよくわかる
「こ、こんなんで、よくお店が続くな…」
 魔理沙が額から汗を流しながら香霖に問いかける
「…まあ、なんとかやりくりはしているけどね…」
 香霖がため息をついてそう呟く

「やっぱり、こんな所にお店を作ったから物が売れないんじゃないのか?」
 魔理沙が問いかけると、香霖は首を横に振る
「いや、注文はそれなりにあるんだ」
 この香霖堂には、幻想郷にある大きい組織から
 珍しい物を探すために人がやってくる事が多々ある
「じゃあ、香霖が無駄な物を買っているって事か?」
 魔理沙がそう伝えると、香霖がため息をつく
「…一日三食と少しのお酒が無駄な物に入るのかい?君は…」
「あ~…すまん…」
 思っている以上に、香霖の生活は質素であった

「でも、だったらなんでこんなに赤字が多いんだ?」
 魔理沙がおかしいと思って、改めてその帳簿を見つめると
 一つだけおかしい出費があった
「…なあ、香霖…このその他の出費ってなんだ?」
 その他と書かれた所の出費が、全体の半分は圧迫していた 
「それが、赤字の最大の原因…」
 魔理沙の言葉に香霖がゆっくりと答えた

「君と霊夢が持っていった商品の値段とお店の破壊の修理費だ」
「…あ~…その…なんだ?…すまん」
 その言葉を聞いて魔理沙が思わず納得した 
 改めて考えて見ると、今までかなりの物を香霖堂から盗んできた
 だが、これほどまでにお店を圧迫しているとは思っていなかったからだ 
「今までは何とかやりくりしてきたが…」
 魔理沙が驚いている間に、香霖がさらに話を続ける
「今回は、ちょっとしゃれにならなくてな…」
 売り上げが落ちている時に、霊夢と魔理沙の襲撃が重なったからだろう 
 その時の襲撃で、少なくともお店が少し壊れたので修理費用も増えた

「…このままだと、お店を畳むことになるかもね」
 香霖が半ば諦め気味にそう呟いた
「み、店を畳むって…」
 その言葉に魔理沙が驚愕する
 香霖が昔、霧雨家に修行していた頃は
 自分のお店を持つのが夢だと良く聞いていたからだ
「もし…お店畳んだら…香霖はどうするんだよ?」
 魔理沙の疑問に、香霖が腕を組んで答える
「さてね…旅でもするかもしれないな」
「……」
 香霖の言葉に魔理沙が体を硬くする
 そして、気がついたら座っている香霖の服を掴んでいた
「魔理沙?」
 香霖がどうしたのかと、魔理沙に問いかけると
「また…」
 そのままの状態で魔理沙が小さく呟いた
「…居なくなるのか?」
    
 その言葉に意味を香霖はよくわかっていた
 香霖が霧雨家で修行をしていた頃
 魔理沙は誰よりも香霖に懐いてくれていた
 だが、半妖である香霖と居れば
 周りから良い目で見られないと魔理沙の父親が考えた
 香霖も魔理沙のためを思い
 魔理沙の前から姿を消したのだ
 そのせいで、魔理沙が家出することになったのだが
 今は関係ない…
    
「まあ、お店を畳むのは言いすぎかもしれないな」
 香霖がそう伝えるが、魔理沙は無言のまま香霖の服を掴んでいた
 その様子を見て、香霖が魔理沙の小さかった頃を思い出す
 なにか怖い事があると、香霖の膝の上に座ってきた事を…
(…まったく…昔と全然変わらないな…)
 香霖が自分の膝に座っている魔理沙を優しく見つめると
 昔と同じ方法で安心させる事にした

「魔理沙…」
 香霖がそう呟くと、魔理沙の頭に載っている黒い帽子を外す
「あっ…」
 魔理沙が何かを言う前に、香霖が魔理沙の頭に手を乗せて
「そう簡単にはお店は潰れないから、安心してくれ」
「…うん…」
 そのまま頭を撫でた…
 しばらくの間、魔理沙が頭を撫でられると
「…そろそろ行くぜ」
「ああ、気をつけてな」
 魔理沙が香霖の膝の上から降りるとお店から出て行った

「…さて、本当にどうしたものかな…」
 魔理沙が出て行ってから、香霖が再び帳簿を見つめて再び計算を始めた 
(…お店を畳むというのは…除外しなきゃな…)








 香霖堂から出てきた魔理沙は少し嬉しそうに
 箒に乗って空を飛んでいた
「……へへっ…」
 小さな頃から、魔理沙は香霖に頭を撫でてもらうのが好きだった 
 香霖の膝の上に座って、頭を撫でてもらうのは
 小さな頃からの魔理沙の特権みたいな物であった
 両親が商売で忙しく、魔理沙には構ってくれる事は少なかった
 そんな時、決まって香霖が話し相手になってくれて
 その膝の上に座ると、頭を撫でてくれたのだ
 そのため、香霖がお店から居なくなった時には
 もう二度と、頭を撫でて貰う事ができないと一日中泣いていた

 やがて、大きくなって頭を撫でて貰う事を忘れていたが
(……やっぱり…嬉しいぜ…)
 小さい頃と変わらない、大きな手で頭を撫でてもらうのは
 思っている以上にうれしかった
「…よし!」
 にやけた顔を引き締めると、魔理沙はとある所に向かってスピードを上げた
(香霖堂に潰れられたら…困るからな) 
 久しぶりに感じた、香霖に頭を撫でてもらう感覚を思い出しながら












「ふむ…」
 香霖がお店の中でそろばんを弾いていた
「…これと、これが削れるか…むぅ…」
 目の前の数字と格闘して随分経つ
 疲れた目を癒すためにメガネを外すと
 外の世界からきた目薬とやらを使用する
「くぅ~…効くな…」
 しばらくの間、目を閉じて考え込む
(…やっぱり…厳しいな…)
 普段からあんまり贅沢な事をしない上に
 余計な物はほとんど買わないものだから
 出費から削れる所はほとんど無かった
(となると…考えられるのは…)
 目を閉じながら考え込んでいると

(トントン…)
 お店のドアが叩れる
(…こんな夜に、一体誰が?)
 不思議に思ったが、待たせてはいけないと思った香霖がドアを開ける
「こんな夜遅くに、一体誰だい?」
 そう言って、ドアを開けるとそこには…

「夜分遅くすまないな…」
 人里を守っている守護神、上白沢慧音が立っていた
「…珍しいな」
 思わず、香霖が呟く
「それは、私がここにやってくる事か?それとも夜に来ることがか?」
 少し笑いながら、慧音が話しかけると香霖は苦笑いを浮かべて
「いや、お店にお客が来る事がね…」
 そう言って、慧音をお店の中に招き入れた
  





 慧音をお店の椅子に座らせると、香霖がお茶を持ってくる
「粗茶ですまない」
「いや、十分だ」
 慧音にお茶を渡すと、香霖が問いかける
「それで?一体何のようなんだい?こんな時間に君がやって来るなんて」
 慧音が香霖堂にやってくる事は、珍しい事ではない
 同じ半人半妖であるが故に、実はよく話をしている
 だが、このような時間に来ることは珍しかった
「ああ、本当なら家で子供達のプリントに丸付けをしているはずだったが」
 お茶を飲みながら、慧音がそこまで話すと
 笑みを浮かべて香霖に伝えた
「御節介な人間から、このお店がやばいと言う事を教えられてな」
 その話を聞いて香霖が頭を押さえる
「…魔理沙…人のお店の情報を…」 
 香霖がなんともいえない顔になる
「…慕われているようだな」
「……そうかい?」
 そんな香霖を見て、慧音が満足そうに頷く
 そして、真剣な顔で話を始めた    
「…それで、一体どんな状態なんだ?」
 慧音の言葉に、香霖が少しだけ考えるが
(…まあ、彼女なら経営状況を見せてもかまわないか…)
 そう思って、帳簿を慧音に手渡した



 そして、帳簿を見た慧音が一言
「なんでこんな状況になるまで放っておいたんだ!」
 香霖をおもいっきり怒った 

「大体なんだ?このその他の出費は!」
「…魔理沙と霊夢がな…」
 
(店主説明中…)

「…ほとんど人災じゃないか」
 慧音があきれ返る
「まあ、仕方が無いんだが」
 香霖も仕方が無いと諦める
「…削れる所は無いのか?」
 慧音の言葉に、自分の生活を教える
「…これ以上削れる所はないわけか…」
 
 慧音が腕を組んで考えこむ
「むう…」
 香霖も腕を組んで考える
「ふむ…」
  
 しばらくして慧音が口を開いた
「考えた結果、できることは一つだな」
「なにかいい方法があるのかい?」
 香霖が慧音の方を向く
「…いい方法ではないが…」
 慧音が少し困りながら話しを続けた
「削る所は、はっきり言ってない」
 それは、香霖自身が一番よくわかっていた
「だから、別の方法で何とかするしかない」
「…その方法は?」
 慧音がその方法を香霖に伝えた

「削れないのなら、売り上げを上げるしかないな」
 その言葉に、香霖がため息をついて答える
「そっちの方が難しいと思うよ…」
 大体、売り上げが多ければそこまで苦労する事も無いのだ 
「それに、新規のお客が来ることがほとんど無いからね」
 香霖堂と言うお店には、珍しい物を求めて人がやってくる
 逆に言えば、珍しくない物を手に入れるには
 香霖堂よりも里のお店の行ったほうが
 安全に買い物ができるからだ 

「つまり、新規のお客は無理と言うわけか…」
 慧音がその言葉からさらに考え込み
「二つほど…売り上げを上げるための方法を考えてみた」
「…是非、聞かせてもらおう」
 再び出た結論を香霖に話し始める
 
「まず一つ目だが、もっと立地条件がよい所に移すという方法だ」
 慧音の言葉を聞いて、香霖が静かに頷く
「…はっきり言ってこのお店の立地条件は最悪だ…
 こんな人の来ない所にお店を建ててよく潰れないものだ」
 香霖堂のある場所は魔法の森…
 変な植物や妖怪達が闊歩する怖い所である
 だから、普通の人はほとんどこない
「だが、逆に言えば人の居る所にお店を出せれば
 売り上げは一気に上がるはずだ」
 慧音の言う事はもっともだった
 香霖堂は、変なお店だが品揃えは悪くない
 お金さえあれば珍しい物も手に入れる事もできる
「…それに、このお店が持っている独特の仕入れルート」
 人間以外の者との付き合いがある香霖堂の最大の武器
 …それが特別な仕入先だ
 永遠亭からの薬、紅魔館経由の品物
 その他にも色々な組織から仕入れをする事ができる

「なあ…霖之助…」
 そこまで慧音が話をしてから、香霖に静かに話しかける
「…里の方にお店を出さないか?」
 半ば本気で慧音が、香霖に話をし始める
「もし、お前が里の方に来るとしたら…私は力に…」
 慧音がそこまで言った所で、香霖が首を横に振る

「破格の条件だが、里の方に行く事はできない」
「なぜだ!?」 
 慧音が驚きながら香霖に叫んだ
 里の守護者である慧音が力を貸してくれる…
 それは、商売をする事に置いて凄い武器になる
「…そんな事になれば他のお店の迷惑になる」
 里の中でお店を開いている方にとって、新規のお店は脅威になる
 しかも、それが人格者である慧音のお墨着きとなればなおさらの事である 
「それと…里にお店を出したら、お店の来れなくなる者もいる…」
「…むぅ…」
 香霖堂はいろんな者が来るお店である
 妖怪がやってくる事があれば、魔法使いがやってきたり
 人がやって来る事もあれば、半分人間な人もやってくる
「…いろんな人が来れるお店だからこそ
 此処にお店を建てた意味があるんだ」
 そこまで話されては、慧音も納得するしかなかった

「仕方が無いな…近くに話し相手に
 なりそうな奴ができるとだと思っていたんだが」
「話し相手ぐらいにはなるよ?…できれば客として来て貰いたいけどね」 
 慧音と香霖がお互いに愚痴を零すと
「…やれやれ…だったら次の方法だな」
 慧音が笑いながら、仕方が無いと次の方法を話し始めた
 
「里に引っ越すのが駄目なら、今度は今来てくれているお客に
 買って貰える物を増やすしかないな」
「…今までの中で二番目の難しいと思うぞ?」
「ちなみに、一番はなんだ?」
 ふと疑問思った慧音が香霖に問いかけると
 香霖が真剣な顔で呟いた
「…霊夢と魔理沙からツケを払ってもらう事だ」
「…すまない…それは無理だ」
 里の守護神でもできない事は多々あります
「それは、置いておいて…何か良い案があるのかい?」
 香霖が慧音に話の続きを催促すると
「ふむ…サービスを徹底してみたらどうだ?」
「サービス?」
 香霖が困った顔になる
「たとえば、笑って挨拶をしてみたりとかだな…」
 慧音の言葉に、香霖がしばらく固まって

「…いらっしゃいませ♪」
 ぎこちない笑顔を慧音に向けてみたところ…
「ごめんなさい!私が悪かった!謝るから許して!」
 里の守護者が半ベソかいて香霖に謝る事になった
「……まあ…分かっていたことだけどね」
 香霖は少し傷ついたが、わかっている事だったのですぐに元の顔に戻った
「…怖かった…」
 まだ少し泣きそうな顔になっている慧音に対して
「安心してくれ…もう二度としないから」
 そう伝えて、思わず慧音の頭に手を置いて
 ポンポンと頭を撫でた時だった
「!?」
 慧音が不思議な感覚に驚く、声も出せずしばらくの間
 体が硬直していたが…
(…あっ…これは…)
 頭を撫でられる事に慣れて来ると
(……むふ~♪)
 目を細めて、頭を撫でられることを受け入れた


「…もう大丈夫みたいだね…」
「!?…あ、ああ、すまない!」
 突然、声をかけられて慧音の意識が戻る
「むっ?…そうか…これなら」
 そして、慧音の中に一つの案が導き出された
「いいか?霖之助…明日から…」
 慧音の作戦を聞いた、香霖が不思議そうに答える
「…そんなんで、売り上げが上がるのかい?」
「ああ、間違いなく売り上げが上がるはずだ!」
 慧音が自信ありげに頷く
「…まあ、そのぐらいで売り上げが上がるのなら…」
 香霖が不思議に思いながらも、その作戦を実行する事にした… 
 














 次の日の朝早く、香霖堂に魔理沙がやってきた
 お店のドアを開けると同時に 
「よう、どうだ?何とかなりそうか?」
 香霖の前にそう告げてきた
 香霖は、その言葉に対して少し考えてから
「…まあ、とりあえずお店を止める事は無いかな?」
「そうか…」
 魔理沙に向かってそう答える
 その言葉を聞いて魔理沙が少しだけ安心すると
「…そうだな、私にできる事があれば言ってくれ、手伝うぜ」
 魔理沙がそう告げてきたので
「そうかい?だったら君が持っていった商品のツケを払ってくれ」 
 間髪いれず、香霖がそう伝えてきたので
「げっ?…あ~…その…ぜ、善処するって事で…」
 魔理沙が目をそらしてそう答える
 香霖の方も、それはまず無理だと思っていたので苦笑しながら告げた
「仕方がないな…次からはもう少し遠慮してくれよ?」
「うっ…わ、わかったぜ…」
 魔理沙も少し責任を感じているのか、正直に頷く
 香霖がそれを見届けてから、思い出したかのように呟く
「そうだ、魔理沙…」
「ん?なんだ?…」
 香霖に呼ばれて、魔理沙が振り返ると
「…ありがとうな…心配してくれて…」
(ポンポン…)
「あっ…」
 香霖の大きな手で頭を撫でられた
 不意打ち気味に頭を撫でられたので
 魔理沙は何も言えずに、顔が赤くなる 
「…もう少し頑張ってみるから、安心してくれ」
 香霖のその言葉に、魔理沙は少し頷くと
「そ、そうか…それじゃあ…もう行くぜ」
 もう少し、頭を撫でてもらいたかったが
 その誘惑を耐えて、魔理沙は香霖堂から出て行った








 香霖堂から飛び出した魔理沙が
 何時も以上のスピードを出して空を駆けていた
(…あれは…反則だぜ…)
 まだ顔の赤みは取れていなかった
 本来なら、あの後しばらく暇つぶしをしようとしていたのだが
(…へへっ…)
 頭を撫でてもらったせいで
 否応がなしに口元が緩んでいた
「…今日は…家に篭るぜ…」
 今日一日は、このにやけた顔は治らないだろう
 魔理沙は自分の家に戻るためにスピードをさらに上げた 






 
「…ふむ…」
 魔理沙が出て行った事で、香霖堂は再び静かになった
 これが、何時もの光景なのだが…
「…お客が来ないと、どうしようもないな…」
 昨日、慧音が言っていた作戦の事を頭に思い浮かべていた
(…本当に…あんな事をしてお客が商品を買って行くのだろうか?)
 香霖がお茶を飲みながら静かに本を読んでいると

「こんにちは…お暇そうね?」
 突然背後から女性の声が聞こえてきた
 いきなり背後から声が聞こえたら、誰だって驚くが
 香霖は一切背後を向かないで、そのまま本を読み続け
「今日は一体何の用でしょうか?」
 そして、背後にいると思われる女性に
 あからさまに事務的に返事を返した
「あらあら…随分事務的な挨拶ねぇ…」
「商売だからね」
 そこまで話すと香霖が本を閉じて後ろを振り向むく
 後ろにいたのは一人の女性
 その女性を見て、香霖がため息をついて答えた
「…いらっしゃい、八雲紫さん」

 少し疲れかけている香霖とは対照的に
 八雲紫は実に面白そうな顔をしていた
「…それで…今日は一体どんな用事かな」
「せっかく美人が目の前にいるのに、いきなり商売のお話?」
 香霖が何時ものように相手をすると
 紫は何時ものように香霖をからかう
「口説けばいいのかい?」
「お相手してくれるのかしら?」
 紫が口元を扇子で隠しながら嬉しそうに答える
 香霖がその様子を見て、両手を上に上げて降参をする
「…僕のような半人半妖如きでは、大妖怪の君の相手は務まらないよ」
「あら?そんな事ないと思うのだけど?」
 
 そこまで話すと、紫が隙間の中から何かを取り出す
「これ…もらえるかしら?」
「…お店の中にある物を隙間で取り出さないでくれないか?」
 香霖がそういう風に言うが
 このやりとりは、紫がやってきた時には
 何時もやっているやりとりである
 紫が取り出した物を見て値段を告げる
「…ふむ、その湯飲みならこれぐらいかな」
「そう、それじゃあ後から藍に届けさせるわ」
 香霖がそろばんで提示した金額を見て紫も納得する

 何時もなら、此処で終わりなのだが…
「…そうそう、忘れていた…」
「あら?何かしら…」
 香霖に呼び止められて、紫が香霖の方を向く
 そして、振り向いた紫の頭に…
(ポン…)
 香霖が手を乗せる
「…ふぇ?」
 いきなりの事に、流石の大妖怪も思考が一瞬止まる
(撫で撫で…)
「…えっ?…えっ!?」
 いきなり頭を撫でられて、パニックになる紫
 だが、しばらくの間頭を撫でられていると
(…はふ~♪…)
 思わず目を細める、それほどまで何故か安心できたのだ

「…はい、これでおしまいだ…」
「あっ……」
 唐突に終わりを告げられて、思わず不満げになる紫
 そして、はっと気がつき頭を横に振って
「…こ、これはどういうことかしら?」
 とりあえず、少しだけ冷静になって香霖に説明をさせる
「ああ、今度から買い物をしてくれた方に
 頭を撫でるサービスを行う事にしたんだ…」
 
 これが、慧音が考え出した売り上げを上げる方法だった
 香霖自身はこんなので売り上げが上がるとは思っていていないが

(な、何ですって?)

 紫には効果はあったようだった
 香霖自身の頭を撫でる力は、思っている以上に凄いものだったらしい
 
「ひ、一つ…いいかしら?」
「ん?」
 紫が少しためらいながら、香霖にたずねてきた
「…しょ、商品を買えば…頭を撫でてもらえるのかしら?…」
 口元は扇子で隠しているが、その顔は赤くなっていた
 もし、八雲紫という者を知っている人がそれを見たら驚くことだろう
「ああ、そうだけど…買ってくれる量とか値段によっては
 頭を撫でる時間が増え「これと!これと!これも貰うわ!」
 …ま、まいどあり…「さあ、頭を撫でて貰うわよ♪」…はい」
 
 それからしばらくして…
「また来るわね~♪」
「……またのご来店をお待ちしております」
 少しだけ顔を赤くしながら、満足げに隙間に入っていく紫と
 手を押さえて疲れている香霖の姿が見られた
 紫が居なくなってから
「…なんでだ?…」
 何時もよりも数倍の売り上げがあった事に驚きながら
 香霖はお店の看板を家の中に入れた

 一方マヨヒガでは…
(…あれは危険だわ…)
 紫が寝床に入って枕を抱きしめながら
 頭を撫でられた感触を思い出してゴロゴロしていた
 後になってから、お金を使いすぎた事で
 藍に叱られるのだがそれはまた別のお話 





 紫が大量の買い物をしていった次の日…


「…ふぅ…やっと落ち着いたぜ」
 昨日一日、部屋のベッドの上でゴロゴロしていたが
 それもようやく落ち着き
 今、魔理沙はあるところに向かって空を飛んでいた
「…よし、見えてきたぜ…」
 目的の場所の目の前に箒で着陸すると
「おーい!アリスいるか?」
 目的の場所である、アリスの家のドアを叩いた
 叫んでしばらくして
「シャンハーイ!」
「お邪魔するぜ」
 家の中から上海人形が現れて魔理沙を家の中に案内する 

「シャンハーイ」
「案内ご苦労さん」
 上海人形につれてこられて客間に案内される魔理沙
 そのまま、しばらく待つと
「いらっしゃい魔理沙」
「おう、いらっしゃったぜ」 
 アリスが紅茶を持って魔理沙の前に現れた 
「はい、紅茶…まだ熱いから気をつけてね」
「分かったぜ」
 アリスが魔理沙に紅茶を手渡してから

「で?今日は一体何の用かしら」
 アリスの方から魔理沙に問いかけた
 魔理沙がアリスの家に来る時は、絶対なにか面倒な事があるのだ
 ある時は完成した新薬の実験台にされたし
 また、ある時は蒐集物を勝手に持ってかれた
 そのような過去の経験から
 アリスは魔理沙を警戒していたのだ

「…あ~…実は…その…」
「…何よ、今度はパチュリーの本を盗むのを手伝えっていうの?」
 アリスが先の言葉を予測するが
 魔理沙が首を横に振る
「いや…そうじゃなくて…ちょっとお願いしたい事があるんだ」
「…お願いしたい事?」
 アリスがさらに警戒をするが
 魔理沙の口から出てきた言葉は意外なものであった 

 魔理沙の言葉に驚きながらも
 アリスは魔理沙のお願いを聞いてあげる事にした






 その頃、香霖堂では…

「珍しいね…君自身がお店に来るなんて…」 
「たまには実物を見て判断する事にしてるのよ」
 驚いている香霖の目の前に現れたのは
「…それに、たまにはウドンゲにも休みをあげなきゃ」
「なるほど…」
 永遠亭の薬師である八意永琳であった
 何時もなら、薬を調合するための生薬や鉱物等を弟子である
 月ウサギの鈴仙がやってきて買い込んでいくのだが
 今日に限っては、買いに行かせる本人である
 八意永琳が自らやってきたのだ
「でも、ウドンゲだから買いに来させてるんだけどね」
 香霖に手渡された生薬を見定めながら
 永琳がそう呟いた
「どういうことだい?」
 香霖がその呟きの意味を問うと

「まずは、ウドンゲに薬の原料になりそうな物を
 その目で見てもらいたいのよ」
 薬を作るには、それを作るための原料がいる
 その原料を直に目で見る事、そして触れる事で
 永琳は効能や効果などを教えたかったのだ

「それと…」
 そして、もう一つの理由
「あの子を信じているから、この役目を任せてるの」 
 永琳が生薬を買いにいかせるのは
 それほど、鈴仙の事を信じているからである
 

「…そういう事なのよ」
「なるほど…」
 香霖が頷く頃には、永琳は頼まれていた
 生薬や鉱物を全て品定めし終えていた
「…かなり質が良い代物ね」
「満足していただけたかな?」
 香霖の言葉に頷く永琳

「いくらになるのかしら?」
「…そうだね…このぐらいかな?」
 香霖がそろばんを弾いて値段を提示する
「…もう少し安くしてくれないかしら?」
 流石に目の前の相手は歴戦の兵
 香霖が苦笑しながらも、もう少しだけ値段を下げる
「…これ以上はカンベンしてもらいたいんだが…」
「ええ、これなら…」
 これも、一種の挨拶代わりみたいなものだ
 少し値段を下げても、これだけ大量に注文してくれれば
 あんまりたいした赤字ではない
「また、お願いするわね」
 それよりも、再び注文がもらえる事の方が重要なのだ


「今度はまた、弟子に来させる事にするわ」
 永琳がそう言ってお店から出ようとしていた時
「むっ…いけない…忘れていた」
「…あら?なにかしら」
 永琳が振り向くと同時に
(ぽん)
「!?」
「今度から、買い物をしていった方に
 頭を撫でるサービスをする事にしたんです」
 驚いている永琳の頭を撫でながら、香霖がそう話す

 頭を撫でられている永琳の方は
(…ああ、頭を撫でられるなんて…どれだけぶりかしら…)
 頭を撫でる事は、時たまにはあるけれど
 頭を撫でてもらうなんて、もうほとんど覚えていない
 はるか昔の記憶を思い出していた


 しばらくの間、香霖に無言のまま頭を撫でられていたが
「…これで終わりです」
「…あっ…」
 唐突に終わりを告げられて
 永琳の意識は再び現代に戻ってきた
「どうしましたか?」
 何か残念そうな永琳を見て、香霖が問いかける
「な、なんでもないわ…それよりも…」
 少し慌てる永琳だったが、すぐに冷静になる
「…商品を買えば…頭を撫でてもらえるのかしら?」
「はい…まあ、こんなのがサービスと言えるのか分かりませんが…」
 香霖の言葉に、永琳が少しだけ考えると

「…お茶請けが切れていたのを思い出したから…これも追加で…」
「まいどありがとうございます」
 永琳が帰るのが、もう少しだけ遅くなった




 永遠亭に永琳が帰ると
「あ、師匠?…随分遅かったですね」
 永琳の帰りを待っていた鈴仙が出迎えてくれた
「ただいま、鈴仙…これ、お茶請けね」
「わっ…お団子ですか?…珍しいですね」
 永琳は鈴仙にお茶請けを渡すと
「…それ持ってすぐに研究室に来なさい」
「えっ?…は、はい」
 
 鈴仙をつれて、永琳が研究室まで向かう
「…あの…師匠?お団子、皆に持っていかなくてもいいんですか?」
 ウドンゲの言葉に、永琳が答える
「たまには、二人でこっそりと食べることにしましょう」
 永琳がそういうと、鈴仙の頭を撫でた
「あ、あの…」
 突然の事に鈴仙がおろおろするが
「…しばらく頭を撫でさせて」
 永琳が優しくそう言ったので
「…はい!」
 鈴仙は嬉しそうにそう返事を返した






 永琳がお店から出て行ってから
 数人のお客がやってきた

 自分の従事者を家に置いて
 珍しい食べ物を買いに来た冥界の姫
 西行寺幽々子 
 
 最近、幻想郷に神社ごと越してきて  
 神社の巫女のために、こっそりと電池を探しに来た山の神
 八坂神奈子

 ある意味、新規のお客の二人だったが、サービスの事を伝えると
「お店のお菓子を全て貰うわ!後で妖夢にお金持ってこさせるわね」
「で、電池…あるだけ全て!…報酬は物々交換でもいいかい?」
 さらに、追加購入をしていった

 何故か、紅魔館のメイド長である
 十六夜咲夜には効き目が無かったが
 香霖が思っている以上に、サービスは効き目があった



 

 そして、その日の夜
「…ふむ…」
 香霖は、目の前の帳簿を見つめて驚いていた
「…まさか、これほど効果があろうとは…」
 目の前の帳簿は二日前とは激変していた
 今までは、これ以上ないぐらい真っ赤だった物が
 たかが二日間で黒くなりかけていた
「しかし…なんでだ?」
 香霖が原因を考えるが答えは出てこなかった
「…まあ…いいか」
 答えが出ないものは仕方がないので

「……明日も早い…寝る事にするか」
 明かりを消すと、寝るためにベッドにむかった











 その頃、魔理沙はアリスの家で作業をしていた
「後は、これを焼けばできあがりよ」
「そうか、よし覚えたぜ」
 魔理沙がアリスに教えてもらっているのは
「…でも、以外ねぇ…クッキーの作り方を教えてくれなんて」
「う、うるさいな…」
 
 魔理沙がアリスにお願いした事は
 お菓子の作り方だった
 アリスに向かって
「頼む!何か良いお菓子の作り方を教えてくれ」
 と言ってきた時には、アリスも驚いたが
 理由を聞く事を条件にOKを出した

「世話になっている人にお返し…なんてね」
「あ~!もう何度も言うなよ!」
 魔理沙が耳をふさぎながらアリスに抗議する
「はいはい、わかったから…それで?これをそのまま持っていくの?」
 アリスは、微笑ましそうに魔理沙を見つめて
 出来上がったクッキーを袋に詰めようとする
「いや、持ってかないぜ」
 だが、魔理沙はそれを止めた
「じゃあ、どうするの?」
「ああ、今食べるぜ」
 魔理沙はそういうと、早速焼きあがったクッキーを口に入れた
「…これはアリスが手伝ってくれた奴だろ?…
 渡す奴は、私が自分だけで作らないとな」
 魔理沙の言葉を聞いて、アリスは笑いながら
 焼きあがったクッキーをテーブルの上に並べると
 少し遅い魔女のお茶会となった



 魔理沙がアリスの家でクッキーの作り方を教えてもらった
 次の日、魔理沙は自分一人の力でクッキーを作っていた
「…駄目だ、焦げちまったぜ…」
 だが、やはりアリスのように、美味しくて形の良い物はできない
「…もう一度…」
 魔理沙は、もう一度初めから作り直す事にした
(…香霖に持っていく物は、キッチリ作りたいからな…)
 魔理沙がクッキーを作ろうとしたのは
 世話になっている人…
 すなわち、香霖にお礼の意味を込めて
 お菓子を贈ろうとしたのだ
 一度目の失敗の中で、比較的安全そうな物を
 袋に詰めると
「…これはアリスに持っていくか…迷惑かけたし」
 焦げてない物を入れるのは、せめてものお礼なのだろう
「焦げた奴は霊夢にでもプレゼントするか」
 失敗したのも無駄にはしない
 博麗の巫女なら、きっと食べてくれるはずだ
「…よし、二回目だぜ…」
 魔理沙が再び、クッキーを作るために準備を始めた  













 魔理沙がクッキーを焼いている頃
「…ふむ…久しぶりに本を、静かに読めるな」
 香霖は静かに本を読もうとしていた
 この二日間は、なんだかんだでお客が来てくれて
 その対応と、サービスに追われていたので
 本を読む暇があんまり無かったのだ
(…まあ、おかげでお店の危機は去ったみたいなのだが)
 この二日間の売り上げのおかげで、赤字は消えていた
 はっきり言えば、かなりの黒字に転向したのだ
「ふむ…しかし、何でだろうな?」
 なんで、売り上げが上がったのか
 未だに香霖にはわからなかった
(ふむ…もしかしたら、魔理沙のおかげかな?) 
 香霖がお店の中で静かに本を読もうとした時
 
(ガチャ!)
 誰かが、お店のドアを開けて入ってきた
「霖之助さん居る?」
 中に入ってきたのは、香霖堂が潰れそうになった原因の一つであった
「…やあ、霊夢」
 博麗神社の巫女、博麗霊夢その人であった
「こんにちは…あっ、お茶私の分もお願いね?」
 悪びれた様子もなく、そう伝えると
 香霖の座っていた所に移動して
 香霖がお茶請けとして用意していた煎餅をかじった
「あら?これ美味しい」
「…君には遠慮って言葉がないのかい?」
 香霖がため息混じりに伝えるが
「ないわよ?」
 霊夢には一切通用しなかった
 
「…はい、お茶だ」
「ありがと」
 我関せずといった態度で、霊夢が香霖からお茶を受け取る
 因みに、拒否した事もあったが、その時は魔理沙を連れて来て
 丸一日お店の中に居座られた

 お茶を飲む霊夢を見て香霖が問いかけた
「…で?今日は一体何のようなんだい?」
 その言葉を聞いて、霊夢がお茶を一旦机に置くと答える
「そうそう、お茶の葉が切れたから貰っていくわね」
 霊夢の答えに香霖が頭を押さえる
「…霊夢…買う…じゃないのかい?」
 本来ならお店にある物は『買う』であるが
「貰っていくわね」
 霊夢にとっては『貰っていく』が正しいのである 
 もっとも、香霖堂以外のお店ではどうか分からないのだが

「なあ、霊夢…僕のお店も苦しいんだが」
 香霖がそう告げると
「分かっているけど、霖之助さん以上に神社も苦しいのよ」
 霊夢も少しバツが悪そうに答えた
 博麗神社にある、素敵なお賽銭箱の中身はいつも一定で空っぽだ
「…それに、霖之助さんだからこうやってお願いしてるんじゃない」
 確かに、他のところなら問答無用で持っていっているのだが
「…というわけで、お茶の葉を貰っていくわ」
 結局、選択権は無いのだ
 
 香霖がやれやれと思いながら、霊夢にお茶の葉を手渡す
「ほら、お茶の葉だ…それと、いい加減ツケを何とかしてくれないか?」
 香霖からお茶の葉を貰った霊夢は
「ツケじゃなくて、貰っているのよ?…それじゃあね、霖之助さん」
 嬉しそうに、お店から出て行こうして…

(撫で撫で…)
「えっ?」
 香霖に後ろから頭を撫でられて少し驚いたが
(あ、これ…気持ち良い…)
 普段頭を撫でられたりすることが無い
 霊夢にとって、それは新鮮だった
 そして、目を細めようとした瞬間

「…いけない…霊夢にはしなくてもよかったな」
「ええっ!?」
 突然頭を撫でられるのを止められた
 霊夢の頭から手を退けて
 お店の奥に戻ろうとする香霖
「ちょ、ちょっとまって!?」
 それを霊夢が止める
「ん?なんだい霊夢」
 香霖が不思議そうな顔で霊夢を見つめる 
「な、なんで…私にはしなくてもいいって…」
 霊夢の言葉に、香霖が説明をする
「ああ、今度から商品を買ってくれたお客に対して
 頭を撫でるって言うサービスをする事にしたのだが…」
 香霖がお店の奥の方を向いて告げた

「霊夢は『買う』ではなく『貰って』だから別にいらないだろう?」
 香霖はごくごく普通に答えたのだが
「そ、そんな……」
 霊夢にとっては、物凄いダメージだった
 今までに無いぐらい心地よい感覚だった物が
 自分では受けられないと言われた事が…

「まあ、頭を撫でられないからって…」
 香霖が苦笑しながら、霊夢の方を向くと
「むぅぅ……」
 霊夢が本気で悩んでいた
「霊夢?…どうした」
 香霖が心配そうに霊夢の方を見る
 そして、霊夢が覚悟を決めたように香霖の方を向くと

「…こ、これ…買うわ…」
 霊夢は、お茶の葉を取り出してそう宣言した
 その言葉に、香霖も驚く
 今まで『貰っていく』と言っていた霊夢が『買う』と宣言したのだ
 香霖が、驚いていると霊夢が懐から何かを取り出した
「…今はこれしかないけど…お金はきちんと持ってくるから…」
 霊夢が香霖に手渡したのは…
「…お賽銭だから、ボロボロだけど…」

 幻想郷に起こった一つの奇跡
 蒐集家でも、一生に一度出会えるかどうかの
 博麗神社のお賽銭であった

「…いいのかい?」
 驚きを隠せない香霖の言葉に、霊夢が首を縦に振る
「…だから…私も…そのサービス…」
 霊夢がそこまで告げる前に
 香霖は霊夢の頭を撫でた
(…この賽銭は、霊夢がお茶のお金持って来たときに返すことにしよう)
 そんな事を考えながら…


 








 





 その日のお昼を少し過ぎた頃
 魔理沙は博麗神社を目指して空を飛んでいた
「…まあ、食べれないってわけじゃないからな」
 魔理沙が持っているのは、少し失敗して
 形が変になっていたり少し焦げた
 大量のクッキーであった
「お茶請けにはなるよな…」
 魔理沙がそう呟くと 
 目的の神社の目の前で華麗に着地を決めた
「よし!10点満点だぜ…お~い!霊夢居るか?」

 神社の境内に下りて、魔理沙が霊夢を探すと
 縁側で何かをしている霊夢の姿を見つけた
「霊夢お茶菓子持って来たからお茶入れてくれ」
 見つけた霊夢に、魔理沙が大量のクッキーを渡す
「ん、ありがとう…でもごめん、今手が放せないのよ…ちょっとまってね」
 いつもなら、お茶を飲んでのんびりしているはずの霊夢が
 なにやら作業をしていた
「霊夢…なにやってるんだ?」
 魔理沙が何時もの調子で霊夢に聞いたら
「内職よ…」
 ごくごく普通に返されたが…
「な、なんだって!?」
 魔理沙が全力で驚いた
(ば、馬鹿な…異変が起きても自分から動こうとしない霊夢が…
 自分から仕事をしている!?)

 物凄い、異変であった
 もし、その場に射命丸文が居たら
 三時間後には号外が出来上がっていただろう

「れ、霊夢!どうしたんだ!?何か異変でもあったのか!?」
「…そんなに珍しい?私が働くの…」
 魔理沙が本気で心配するが
 霊夢は、魔理沙に文句をいいながらもその手を休めない
「いったい、何があったんだ!?」
 魔理沙が本気で心配すると、霊夢がため息をついて答えた
「たいした事じゃないのよ…霖之助さんのお店で
 お茶を買ったから、せめてその分のお金を返そうとしてるだけだから」
 
 霊夢の言葉に…
「れ、霊夢が……霊夢が!?お金でお茶を買った!?」
 魔理沙が信じられない者を見た感じで恐れおののいた
「わ、わかった!?お前は霊夢じゃないな!?
 残念だったな!本物の霊夢はお金で物を買わない
 貰っていくだけだ!さあ、本物の霊夢は一体d(夢想封印)げふぁ!?」

 恐怖のあまり霊夢を偽者と判断した魔理沙に
 霊夢が、問答無用の夢想封印を決めた
「落ち着いた?」
「…本物だ…」
 魔理沙が落ち着きを取り戻すと
「…でも、なんで今更お茶を買ったりなんかしたんだ?」
 魔理沙が疑問に思った事を霊夢に話すと
 霊夢は、少し言い辛そうにしながら告げた
「…頭を撫でてもらいたかったからよ…」
 その言葉を聞いた魔理沙が真剣な顔になる
「…どういうことだよ…」
 魔理沙が聞いてきたので霊夢は答えた
「今、香霖堂でサービスで、商品を買ったお客に
 頭を撫でるって、サービスをしてるんですって」  
 その言葉を聞いた魔理沙は、無言で霊夢に
 クッキーを手渡すと
「…ごめん、霊夢…急に行く所ができたぜ」
 小さくそう呟いてから、箒に乗って飛んでいった
 
 一人残された霊夢は…
「…あら、結構おいしそうね」
 魔理沙から貰ったクッキーを頬張る事にした












「…そろそろお店を閉めるかな」
 霊夢が帰ってから、結構たったが
 今日は、お店に誰も来なかったので
 香霖は何時もより少し早いがお店を閉めようと
 看板をお店の中に入れた時だった

(ガタン!)
 唐突に誰かがお店のドアを開けた
 香霖が驚きながらも、お店に入ってきた人物を見ると
「………」
 そこにいたのは、無言で香霖を見つめる魔理沙の姿があった

「どうしたんだい?」
 尋常でない雰囲気に香霖が魔理沙に問いかけると
 魔理沙は、そのまま香霖を見つめて小さい声で答えた
「…なあ、香霖…買い物をした奴らの頭を撫でたって…本当か?」
 小さいが迫力がある声に香霖も気圧される
「あ、ああ……売り上げを上げるための…サービスでなのだが…」
 香霖がそう説明すると
 魔理沙の肩が震え始める
「ま、魔理沙!?」
 なにやら、やばい雰囲気を感じ取った香霖が
 急いで魔理沙を落ち着かせようとするが

「こ…香霖の……」
 もう遅かった
「馬鹿野郎ーーーーーっ!!!」  
(スカーン!)
「おぶっ!?」
 手に持っていた箒で思いっきり香霖の頭を叩く
「あたっ!?」
 香霖が突然の衝撃に驚くが
「香霖の馬鹿!褌!変態!朴念仁!」
 魔理沙は涙目になりながら、香霖を箒で叩く 
「ちょ、魔理沙!?痛い、痛いから!」
「うぅぅぅーーっ!」
 しばらく魔理沙が箒でバシンバシンと頭を叩いたが
 香霖が箒を避けると
 頭を叩いてくる魔理沙を止めるために
 後ろから羽交い絞めにする

「す、ストップだ魔理沙!」
「うるさい!離せー!」
 香霖に羽交い絞めにされてもまだ
 じたばたと暴れる魔理沙
「な、なんでそんなに怒ってるんだ?…いたっ?」
 何とか魔理沙の動きを固めているが
 今度は魔理沙が足を狙って蹴ってきた
「当たり前だ!私以外の奴の頭を撫でるなんて…」
 そこまで言ってから、魔理沙からの反撃が止まり
 魔理沙の顔が赤くなる

「…それで怒っていたのか」
「……」
 香霖の腕の中でしゅんとなる魔理沙 
 そして、ポツリポツリと話し始めた

「…香霖に頭を撫でて貰えるのは…私の特権だって昔言ってくれたんだぜ…」
「覚えていたのか…」




 その言葉を聞いて香霖は思い出した
 それは、小さい頃の事
 魔理沙が他の子供達と一緒になって遊んでいた時
 夕暮れにになると、他の子供達は皆
 家からお迎えがやってきていたが
 魔理沙だけは、いつも最後まで遊んでいた

 両親は共に忙しい
 魔理沙にはそれがわかっていたが、やはり寂しかった…
 最後まで一緒に遊んでいた子供に
 親が迎えに来て帰って行く時に、ポンと頭を撫でたのが
 魔理沙にはとても羨ましかったのだ

 そして、一人になって家に帰ろうとした時
「…やあ、魔理沙…そろそろ帰らないと親父さんに怒られるぞ?」
 お店のお使いの帰りだったであろう、香霖が 
 魔理沙の頭を後ろから、ポンと叩いたのだ
「さあ、暗くなる前に一緒に帰ろうか」
 香霖がそう言って、魔理沙の頭から手を退けようとしたら
「……」
「…魔理沙?」
 魔理沙がその手を両手で掴んで、もう一度頭を撫でさせようとした 
 香霖も、何か感じ取ったのだろう
 しばらく、魔理沙の頭を撫でていたら
 魔理沙が先ほどまであった事を話し始めた
「…なるほど…親父さんも忙しいからな…」
 香霖がその話を聞いて、少し考えると
 魔理沙に対してこう伝えたのだ
「そうだ、僕でよかった頭を撫でてあげよう」
 その言葉に魔理沙は喜んだそして…
「だったら香霖に頭を撫でてもらえるのは、私の特権だぜ」
「…ああ、そうだな…魔理沙の特権だな」

 そう言って魔理沙と一緒に家に帰った事を…


「なのに…なのに……」
 魔理沙だけの特権だったはずなのに
 香霖が他の人の頭を撫でたのが
 魔理沙には許せなかったのだ
「…魔理沙」
 香霖は魔理沙を羽交い絞めから離すと
「ごめんな…」
 その頭を優しく撫でた
 頭を撫でられた魔理沙が真正面から香霖に抱きつくと
「…ふん…今回だけだぜ…許すのは…」
 顔を赤くしてそう告げた  
 

 しばらく、魔理沙が香霖に抱きついて頭を撫でてもらっていると
「……ああ、そうだ…忘れてたぜ」
 魔理沙が香霖に何かを見せた
「なんだい?それは…」
「ああ…その…しばらくの間の…ツケの代わりだぜ」
 魔理沙が取り出したのは綺麗に焼けたクッキーだった
「そうか…仕方が無い、ツケの分としてありがたく貰うとしよう」
 香霖がそう言って、そのクッキーを食べようと手を伸ばしたら
 魔理沙がその手を両手で捕まえる
「駄目だぜ?頭を撫でてくれないと」
 魔理沙が良い事を考えたという顔になる
「…それじゃあ、食べるのは後でかな?」
 香霖がそう言うと、魔理沙がそのクッキーを手に持って
「一枚貰うぜ」
 クッキーを食べる
「…うん、うまくできてるぜ」
「酷いなあ…残しておいてくれよ?」
 香霖がそう言いながらも魔理沙の頭を撫でると
 魔理沙が、もう一つクッキーを口にくわえて
(ちゅっ…) 
 そのまま、香霖の口にクッキーを入れた

「…甘いな」
「…甘いぜ?」
  




 こうして、香霖堂の新サービスは終わりを迎える事になった
 中には残念がっている人達が居たが
 香霖に頭を下げて謝られると
 誰も、何もいえなかった


 それと…

「よう、香霖!来たぜ」
「霖之助さん!来たわよ?」
「ああ、二人とも今日はお願いする」

 霊夢と魔理沙はツケの分を働いて返すことになった
 幸い、二人がお店に来た日にはお客が増えて
 黒字となるので、意外と給料も良い
 霊夢も魔理沙もそれなりに、満足しているようだ

 
 仕事が終わると…
「はい、霊夢には日当とお茶の葉…後茶菓子もつけておいた」
「えっ!?本当…ああ、働くってすばらしいわね」
 霊夢は喜ぶと、小走りして帰っていった

「さて…魔理沙は?今日はどうすんだい?」
 香霖が魔理沙にお金を渡しながらそう伝えると
「決まってるぜ」
 魔理沙が当然と言う様に、香霖の膝の上に座った
「…やれやれ…しょうがないな」
 香霖が、そういいながら魔理沙の頭を撫でる
 魔理沙は頭を撫でられながら、胸を張って答えた

「当然だぜ…私の特権だからな」



 






 お終い
 昔書こうとして諦めた物を改めて書かせてもらいました…
 なぜって?

 この作品でプチ投稿100作品目だからさ!
 面白半分でどれだけ作品書かせてもらったのかと数えたら
 ぴったり99作品目…
 百作品目を飾るのに、何がいいかと考えて
 出た結論が…

「初心に帰って、香霖×魔理沙を書こう!」
 と思い立って、どんな作品を書こうかと考え
 この、昔書こうとして諦めた作品を書いた所存でございます
 私如きの腕ではこれが今は、精一杯…
 これからも頑張って書いていこうと思っています
 それでは、ご意見、感想…お待ちしております

 

 オマケ

脇役「百回記念…かんぱーい」
 
刹那「乾杯」
香綺「乾杯」
紅龍「乾杯」
ゴーレム「カンパイ」

脇役「いやいや、アリガトウね…」

刹那「…あの、なんでうち等が此処にいるんでしょうか?」

脇役「決まってるでしょ?此処に居るの皆、オリキャラなんだから」

刹那「…こんな所でカンパイしている暇があったら、俺の作品書いてください!」

脇役「ご、ごめん…まってて(やべ~…忘れてた)」

香綺「あの、僕の話…」

脇役「ちょ、ちょっとまっててな?(うわ~別の案出していたから考えてない)」

ゴーレム・紅龍「「……」」

脇役「あ、ご、ごめん…多分、出番ないかと…」

(ガタン)
フラン「ねえねえ…私が美鈴に会いに行くミス×メーのお話の続きは?」
レミリア「ミス×メーのお話で無くなった私のカリスマどうするつもりなの?」

脇役「ちょ、ちょっとお待ちを(げ~!紅魔館!?)」

(ガサッ)
神綺「私と香霖さんの旅行のお話は?」

脇役「歩いてお帰りください」

(ごそごそ)
神奈子・諏訪子「「私達のお話まだ?」」

脇役「うわっ?うわ~!?」

美鈴「投げ技のお話まだですか?」
小悪魔「メタルマックス・ザ・こあーの続き早く書いてください」
咲夜「私の寿命のお話はまだかしら?」
椛「わう~」

脇役「ま、待って…ま、まだ百作品の余韻に浸らせて…」

皆『だが、断る!』

脇役「う、うわっ?あ、足が…足が勝手に…」
脇役「こ、この先には…ぱ、パソコンが!?」
脇役「い、嫌だ…少し疲れた!た、助けてくれ!」
(ぴー…)
脇役 「うわらば~!?」

 脇役です、まだまだ頑張らないといけないみたいですね…
 さて、新入りの方や古参の方に負けないように頑張りますか!
 この場を借りて、東方を作ってくださったZUN…神主様と
 この東方創想話を作ってくださった管理者様
 作品を作り、そして読んでくれる皆様に感謝!

 誤字、少しだけ修正
脇役
コメント



1.ツイン削除
プチ投稿100作品目おめでとうございます脇役さん



「紅魔館の門番長の歌」から読んでいますが雰囲気がいいですね、香霖×魔理沙のほのぼの感が好きですw



それにしても香霖の頭をなでる効果が妖怪&人間&神とは香霖の手は神をも超えているのかw



これからも脇役さんの作品を楽しみにしていますので頑張ってください
2.名前が無い程度の能力削除
HARASYOOOOOOO!

俺の寿命が縮まりました、どうしてくれるw
3.魚学削除
面白かったw

過剰反応した紫・永琳・紫・神奈子と、最強クラスを

あっさり陥落させる香霖の撫で効果に脅威を覚えましたさ……恐ろしい子っ!

次回作を楽しみにしております。
4.げんせい削除
咲夜さんにはきかないのは美鈴がいるからですね,分かります.

変な気負いも衒いもなく脇役さんの良さがにじみ出る作品でした.

5.名前が無い程度の能力削除
100作目おめでとうございます。

ゴッドハンド森近霖之助の温かいお話にほっこりしました。
6.名前が無い程度の能力削除
おおーっ百作品目ってすごいです。おめでとうございます。

永琳の箇所が一番好きです。

いつも撫でる側っぽい人たちに効果があったのは、たぶん懐かしい気持ちに浸れたっていうのもあるんでしょうね。
7.極夜削除
中々,面白かったです。

赤字の大元のである霊夢や魔理沙達を此処まで動かすとは凄い!

…何より凄いのはサービスを始めて数日足らずで黒字に変えたこーりんのゴットハンド効果に驚きました!
8.名前が無い程度の能力削除
>「…このままだと、お店を畳まなくなるかもね」

ここの誤字のせいで台無しさ!

起承転結の起の部分が……



×畳まなくなる

○畳むことになる
9.名前が無い程度の能力削除
100作品目おめでとうございます。大変楽しく読ませていただきました。
10.月樹削除
100作品目おめでとうございます。

始終にやにやさせていただきました。

香霖×魔理沙はいいですねぇ~

なごみますねぇ~

では、次回作期待してます。
11.名前が無い程度の能力削除
100作品おめでとうございます。今後も面白い作品を期待しています。



相変わらず甘いお話本当にありがとうございました_(._.)_砂糖吐きそうだぜ

ちくしょーこーりんそのゴッドハンド俺にくれー
12.幻想入りまで一万歩削除
100作品目おめでとうございます。脇役さんの作品いつも楽しみにしてますぜ。

体壊さんようにゆっくり書いて下さいな^^



オリキャラを見てある方を思い出しました、今何をなさってるんでしょうね?(独り言)
13.思想の狼削除
あるドラムの本にこんな事が書いてありました



『スランプに陥ったら、初心に返ろう』



実は今までの脇役さんの作品のコメントでスランプに陥った事が書かれていて、それが結構気になっていました。

それを貴方は初心に帰って、過去に諦めていた作品を再びチャレンジし、それを今回の作品として出して、見事スランプを克服した。

私にはそうとしか考えられません。(余計なお世話かもしれませんが)

100作目としてふさわしい作品だと思います。読んで感動しました



壁にぶつかったら、いったん全てをバラして原点に返る



今回の脇役さんの作品を見て、勉強になりました

自分も初心に帰り、がんばってみます

有難う御座いました
14.時空や空間を翔る程度の能力削除
100作目お疲れ様です。

100作目にて一度初心に帰る心意気、

見えなかった所が改めて見えるかも知れませんね。
15.ミヤギ削除
100作品目、おめでとうございます。
貴方の作品は一番最初から見ていて、どれも凄く面白かったです。
続きも頑張って下さい。
16.狂信者ギリメカラ削除
100作品おめでとうございます~

香霖のゴッドハンドに驚愕しつつほのぼのとさせていただきましたw
17.名前が無い程度の能力削除
香霖の能力が判明したようですね。ともあれ、100作品目、おめでとうございます。

なんか100作品も投稿していたら脇役ってレベルじゃねーぞ!!って感じですね。
18.ななななし削除
面白かった!こんなこーりんがいたらみんな惚れちまうよ!

ところで、あと8作品書いた暁の台詞は「わしの小説は108式まであるぞ」で決まりだね。
19.蒲公英削除
100作品目おめでとうございます!

脇役様の作品はよく見させてもらってます

読み終わった後はいつも笑顔になってる自分がいます

これからもまたお世話になります!



流石こ-りん!!

あとこの霊夢に惚れた
20.脇役削除
作品を見ていただいて本当にありがとうございます!

もう嬉しくて、泣いちゃいます



 ツイン様、魚学様、げんせい様、極夜様、月樹様、幻想入りまで一万歩様

 思想の狼様、時空や空間を翔る程度の能力様、ミヤギ様、狂信者ギリメカラ様 ななななし様、蒲公英様、そしてその他の見てくださる方々



 これからも、脇役作品をよろしくお願いします

 
21.幻想狂削除
なでられいむ。
22.名前が無い程度の能力削除
あまーーーーーいッ!!
23.名前が無い程度の能力削除
素晴らしい!
この甘さは素晴らしいとしか言えない!
24.名前が無い程度の能力削除
なんという魔理沙の可愛さ。
そして少なくとも魔理沙、霊夢、紫、幽々子、永琳、神奈子にフラグを立てるこーりん、恐ろしい子。