滝のそばで河童と天狗が将棋盤に似たものを挟んで向かい合っている。
将棋にしては駒が多く盤が大きい、一般的な将棋にはない弓や壁と書かれた駒もある。それを二人とも真剣にみつめ、駒を動かしていく。
駒が入り乱れ、戦局はだいぶ進んでいるように見える。
河童が一手指すと、天狗がしまったという表情になった。
「これで王手だよ椛」
「うぅ……ない、わたしの負け」
指された駒を見て考え込んでいた椛は、打つ手がないと判断して負けを認めた。
勝ったにとりは嬉しそうに駒を片付けていく。
「これで87勝127敗っと」
「にとり強くなった。最近、わたし負け続けてる」
負けがこんでいるらしい椛は悔しそうだ。
「百年以上やってたら腕も上がるよ」
「強い相手との将棋は楽しい。わたし強くなる、にとりももっと強くなる。もっともっと楽しくなる」
本当に楽しみなのだろう椛はそのときのことを思い笑顔になる。
「でも最近ずっと将棋ばかりだったから、たまには違うことしない?」
「違うこと? いいよ付き合う」
「なにしようか……またサーフィンでもする?」
「それは30年前にやって里の半獣に怒られた。
畑にまく水がなくなったって」
にとりが川の水を操り、ビックウェイブだとか言ってサーフィンをしたことがあった。
サーフィンをしていた本人たちは楽しかったが、畑仕事をしていた人間は水が減ったことで困り慧音に相談したのだ。
原因を突き止めに来た慧音にサーフィンをしているところをみつかって説教と頭突きをくらった。
そのときの痛みと足の痺れを思い出して二人は顔をしかめる。
「また説教はいやだね」
「うん」
「どこか遊びに行くって言っても碌な目にあわなかったし」
紅魔館近くや無縁塚や太陽の畑などに行って碌な目にあわなかったことから、出かけるのも遠慮したい。
「守矢神社行く?
外から来たから、わたしたちの知らないなにか知ってるかも」
ここから近いとも椛は付け加えた。
「えっと、神社には人間がいるんでしょ?」
「現人神だから、人間とはちょっと違う」
「……それならいいかな」
将棋の盤と駒を滝の裏に置いて二人は山頂へと飛んでいく。
守矢神社では早苗が庭掃除をしている。
地面にできた小さな影二つに気付いた早苗は空を見上げ、にとりと椛がきたのだとわかった。
「いらっしゃいませ。にとりさんと椛さん……でよかったんですよね?」
目の前に下りてきた二人に挨拶をして、名前を聞く。
多少知っている程度なので名前がうろ覚えな早苗は自信なさげだ。
それに椛と椛の後ろに隠れて顔だけ出しているにとりは頷く。
なぜにとりが椛の後ろに隠れているのかというと、現人神だと自分を納得させたものの人間そのものにしか見えない早苗を少し怖がっているからだ。あと人見知りなせいもある。
当然、そんなにとりに早苗は疑問を感じる。
「にとりさんはどうして後ろにいるんですか?」
「にとり、人見知りだから」
椛の簡潔な返答に早苗は納得した。
「神奈子様に御用ですよね? 案内します」
ひとまず掃除を中止して、早苗は客二人を神奈子のところへと案内しようと社へと歩き出す。
今まで来た妖怪は皆神奈子に用事があったから、今回もそうなのだろうと判断した。
それを椛が止める。
「違う。今日は八坂様に用事はない。
聞きたいことがあってきた」
振り返った早苗は少し戸惑っていた。
「聞きたいことですか? それは私が答えることができるんですか?」
「うん」
にとりが隠れ続けているので椛が話し続ける。
「いい暇潰しを知らない?」
「暇つぶしですか?」
「最近大将棋ばかりやってて、たまにはほかのことをしたくなった」
「んーそうですね。それだとやっぱり神奈子様と諏訪子様に聞いたほうがいいと思いますよ?
お二方とも長い時間を生きてますから、そういったことは詳しいんじゃないでしょうか」
「そう。それじゃ案内頼める?」
「はい」
早苗の案内で二人は神奈子のところへ通される。
神奈子がいたのは社ではなく居住区の居間。諏訪子も一緒にいて、スーパーファミコンでぷよぷよをやっていた。
ずっと椛の後ろにいたにとりは見慣れない機械を見て目を輝かせている。
「神奈子様、諏訪子様、お客様をお連れしました」
「もうちょっと待ってて、今いいところだから」
神奈子がテレビ画面から目を離さずに言う。諏訪子にいたっては集中していて言葉を発することすらしない。
「……座っててください。お茶入れてきます」
ゲームに夢中になる神様二人の様子に、少しだけ恥ずかしそうに顔を赤く染めた早苗が、にとりと椛に座るように言って台所へと向かった。
二人は言われたとおり座って待つ。椛は神二人がなにをしているのかわからない、にとりは機械に興味津々といった様子だ。
やがて決着がついたのか、二人は電源を消してにとりたちのほうへと向き直る。
早苗もちょうどお茶と菓子を持ってきて、テーブルの真ん中に菓子を置いて、お茶をそれぞれの前においていく。
「私は掃除に戻りますね。
ごゆっくりしていってください」
そう言って早苗は庭へと戻っていった。
諏訪子が一口サイズの薄皮饅頭をひょいっと口に放り込む。漉し餡がさらりと口の中で崩れ、口ざわりのよさに笑みを浮かべた。甘さの余韻が残っているあいだに、お茶を飲む。お茶の渋味と饅頭の甘さがちょうどよく、ついもう一口と饅頭に手が伸びる。
それを見つつお茶を一口飲んで神奈子は口を開いた。
「それでなんのようだい?」
「その前にあの機械ばらしてもいい?」
うずうずとした様子でにとりが聞く。
「駄目だよ。大事な暇つぶしの道具なんだから」
「残念だ。それの構造がわかれば量産して、私たちの暇も潰せるのに」
「あんた機械に詳しいのかい?」
「うん」
「そうか。でもこれだけ量産しても意味はないよ。
この機械はテレビゲームっていう遊びを動かすための道具で、テレビゲームの入れられたカセットがなくちゃただの箱だ。
あんたが機械に詳しくても、ゲームプログラムは作れないだろうしね」
「ゲームプログラム?」
聞きなれない単語ににとりは首を傾げる。
「式神の簡易版だって思ってくれればいい」
「式神かー。たしかに私には無理だ」
「それで話を戻すけど用事は?」
「いい暇つぶしを知らないかなって」
にとりの隣で椛もこくりと頷く。
椛が静かなのは信仰する神を前にして緊張しているからだ。
信仰するという点ではにとりも同じだが、椛とは違い緊張はせずわりとフランクに話している。
椛は生真面目な性格ゆえに緊張していた。
「暇つぶしね」
「私たちも苦労したよ。今は早苗がいるし、外から持ってきたものでどうにかなっている。
私たちが困るからこれを貸すわけにはいかない。時々遊びにくるくらいなら相手になるけど。
今日はトランプでもする?」
諏訪子がのりきで言う。持ってきたものでたしかに暇は潰せるが、ずっと神奈子が相手でたまには違う相手と遊びたいのだろう。
それは神奈子も同じなようで、いいねとのりきでタンスからトランプを取り出す。
にとりと椛は返答する間もなく、神二人を相手することになった。
「一番勝ちの多い人が何か一つ命令できる罰ゲームはどうだい?」
「いいね」
「いやえっと?」
「わうぅ。困った」
口を挟む前にとんとんと決まっていき、罰ゲームありで遊ぶことになった。
ばばぬきから始まり七並べ、ポーカー、ブラックジャック、ハーツと遊んでいく。
結果、一位は言いだしっぺの神奈子だった。
「さあてなにを言おうか」
くくっと妖しく笑う様子からなにを言い出すかわかったものではない。
にとりと椛は若干怯え、諏訪子はのんびりとお茶をすすっている。
「ふむ、決めた」
にとりと椛と早苗が空を飛んでいる。
神奈子からの命令を実行するため守矢神社を出たのだ。
命令は早苗をつれて幻想郷を案内することだった。
「案内なんて迷惑じゃなかったですか?」
「気にしないでいい。罰ゲームだし、暇潰しにもなる」
話すのは早苗と椛のみ。にとりはまだ尻込みしている。
ただ飛ぶだけというのも暇なもので、趣味などの自分のことを話していくようになる。
椛がにとりに代わって、にとりのことを話していく。
「機械に詳しいんですか~。
修理とかってできます?」
壊れている掃除機のことを思い出して駄目もとで聞いてみた。
「見てみないとわからない」
「それじゃ今度みてもらえませんか? 壊れてるから、修理できなくてもかまいませんから」
「どんなもの?」
「掃除をするための機械ですよ。ゴミを吸い込むんです」
「へーそんなものがあるんだ」
話題が機械のことになると尻込みしていたことが嘘みたいに喋りだす。
これがきっかけとなって、にとりは他の話題のことでも少しずつ話し出した。
三人は幻想郷のあちこちを巡る。あちこちといっても危険そうな場所は避けたり、遠くから見るだけにとどめた。
「あ、ちょっと里に行っていいですか? 夕飯の材料を買いたいんです」
巡り終わってその帰り、早苗が言う。
にとりは里には近づけないので、椛と二人で里近くで早苗を待つことにした。
先に帰っていいですよ、とは早苗の言葉。だが二人は早苗を待つことにする。
「お待たせしました」
「そんなに待ってない」
「うん」
「でも待たせたのは本当ですから」
再び空を飛び守矢神社へと帰る。
その途中で早苗が二人を夕食に誘う。
「今日、夕食食べていってくださいね」
「え? そこまで世話になれない」
「悪いしね」
「案内してもらったお礼がしたいんです。
それにお二人分の材料も買ってきて、私と神奈子様だちだけでは量が多すぎなんです」
余った材料は冷蔵庫に入れておけばいいのだがそれをあえて黙っておく。
冷蔵庫のことを知らない二人はそれならと頷いた。
その返答に早苗は笑みを浮かべる。
神社に帰った早苗はさっそく台所へと向かい、気合を入れて調理を始める。
にとりと椛は神二人のいる居間へと連れて行かれ、料理ができるまで待つことになった。
神二人はまたスーパーファミコンを動かし、マリオカートをやっていた。
二人が居間に入ってきて、ゲームが一段落つくと電源を切って向き直る。
「おつかれさん」
「案内だけだから疲れてはないよ」
椛もこくりと頷く。
諏訪子が身を乗り出して聞く。
「それで早苗と少しは仲良くしてくれた?」
「仲良く? そりゃ喧嘩とかはしなかったけど……まあ仲良くはしたのかな?」
「そーかそーか」
神二人は嬉しそうに頷く。
「これからも仲良くしてやってくれ。
まだこっち来たばかりで知り合いは多くなくてさ、神社に篭りがちだったんだあの子」
「もしかして案内を頼んだのって友達にならせるため?」
「まあ、友達になってくれれば嬉しいけど、その辺はあんたたちの自由だしね。
時々会いに来てくれるようになればいいなって考えてたくらいだね」
そのためにいかさましたんだから、とは諏訪子の言葉。
そのことに神二人にわるびれた様子はない。早苗のために行動したといって、むしろ誇らしげにも見える。
親馬鹿がいる、とにとりと椛に同じ考えが浮かぶ。
しかし二人とも友が増えることには反対する気はなかった。
この日からときどき、早苗とにとりと椛が一緒にいる場面が見られるようになる。
将棋にしては駒が多く盤が大きい、一般的な将棋にはない弓や壁と書かれた駒もある。それを二人とも真剣にみつめ、駒を動かしていく。
駒が入り乱れ、戦局はだいぶ進んでいるように見える。
河童が一手指すと、天狗がしまったという表情になった。
「これで王手だよ椛」
「うぅ……ない、わたしの負け」
指された駒を見て考え込んでいた椛は、打つ手がないと判断して負けを認めた。
勝ったにとりは嬉しそうに駒を片付けていく。
「これで87勝127敗っと」
「にとり強くなった。最近、わたし負け続けてる」
負けがこんでいるらしい椛は悔しそうだ。
「百年以上やってたら腕も上がるよ」
「強い相手との将棋は楽しい。わたし強くなる、にとりももっと強くなる。もっともっと楽しくなる」
本当に楽しみなのだろう椛はそのときのことを思い笑顔になる。
「でも最近ずっと将棋ばかりだったから、たまには違うことしない?」
「違うこと? いいよ付き合う」
「なにしようか……またサーフィンでもする?」
「それは30年前にやって里の半獣に怒られた。
畑にまく水がなくなったって」
にとりが川の水を操り、ビックウェイブだとか言ってサーフィンをしたことがあった。
サーフィンをしていた本人たちは楽しかったが、畑仕事をしていた人間は水が減ったことで困り慧音に相談したのだ。
原因を突き止めに来た慧音にサーフィンをしているところをみつかって説教と頭突きをくらった。
そのときの痛みと足の痺れを思い出して二人は顔をしかめる。
「また説教はいやだね」
「うん」
「どこか遊びに行くって言っても碌な目にあわなかったし」
紅魔館近くや無縁塚や太陽の畑などに行って碌な目にあわなかったことから、出かけるのも遠慮したい。
「守矢神社行く?
外から来たから、わたしたちの知らないなにか知ってるかも」
ここから近いとも椛は付け加えた。
「えっと、神社には人間がいるんでしょ?」
「現人神だから、人間とはちょっと違う」
「……それならいいかな」
将棋の盤と駒を滝の裏に置いて二人は山頂へと飛んでいく。
守矢神社では早苗が庭掃除をしている。
地面にできた小さな影二つに気付いた早苗は空を見上げ、にとりと椛がきたのだとわかった。
「いらっしゃいませ。にとりさんと椛さん……でよかったんですよね?」
目の前に下りてきた二人に挨拶をして、名前を聞く。
多少知っている程度なので名前がうろ覚えな早苗は自信なさげだ。
それに椛と椛の後ろに隠れて顔だけ出しているにとりは頷く。
なぜにとりが椛の後ろに隠れているのかというと、現人神だと自分を納得させたものの人間そのものにしか見えない早苗を少し怖がっているからだ。あと人見知りなせいもある。
当然、そんなにとりに早苗は疑問を感じる。
「にとりさんはどうして後ろにいるんですか?」
「にとり、人見知りだから」
椛の簡潔な返答に早苗は納得した。
「神奈子様に御用ですよね? 案内します」
ひとまず掃除を中止して、早苗は客二人を神奈子のところへと案内しようと社へと歩き出す。
今まで来た妖怪は皆神奈子に用事があったから、今回もそうなのだろうと判断した。
それを椛が止める。
「違う。今日は八坂様に用事はない。
聞きたいことがあってきた」
振り返った早苗は少し戸惑っていた。
「聞きたいことですか? それは私が答えることができるんですか?」
「うん」
にとりが隠れ続けているので椛が話し続ける。
「いい暇潰しを知らない?」
「暇つぶしですか?」
「最近大将棋ばかりやってて、たまにはほかのことをしたくなった」
「んーそうですね。それだとやっぱり神奈子様と諏訪子様に聞いたほうがいいと思いますよ?
お二方とも長い時間を生きてますから、そういったことは詳しいんじゃないでしょうか」
「そう。それじゃ案内頼める?」
「はい」
早苗の案内で二人は神奈子のところへ通される。
神奈子がいたのは社ではなく居住区の居間。諏訪子も一緒にいて、スーパーファミコンでぷよぷよをやっていた。
ずっと椛の後ろにいたにとりは見慣れない機械を見て目を輝かせている。
「神奈子様、諏訪子様、お客様をお連れしました」
「もうちょっと待ってて、今いいところだから」
神奈子がテレビ画面から目を離さずに言う。諏訪子にいたっては集中していて言葉を発することすらしない。
「……座っててください。お茶入れてきます」
ゲームに夢中になる神様二人の様子に、少しだけ恥ずかしそうに顔を赤く染めた早苗が、にとりと椛に座るように言って台所へと向かった。
二人は言われたとおり座って待つ。椛は神二人がなにをしているのかわからない、にとりは機械に興味津々といった様子だ。
やがて決着がついたのか、二人は電源を消してにとりたちのほうへと向き直る。
早苗もちょうどお茶と菓子を持ってきて、テーブルの真ん中に菓子を置いて、お茶をそれぞれの前においていく。
「私は掃除に戻りますね。
ごゆっくりしていってください」
そう言って早苗は庭へと戻っていった。
諏訪子が一口サイズの薄皮饅頭をひょいっと口に放り込む。漉し餡がさらりと口の中で崩れ、口ざわりのよさに笑みを浮かべた。甘さの余韻が残っているあいだに、お茶を飲む。お茶の渋味と饅頭の甘さがちょうどよく、ついもう一口と饅頭に手が伸びる。
それを見つつお茶を一口飲んで神奈子は口を開いた。
「それでなんのようだい?」
「その前にあの機械ばらしてもいい?」
うずうずとした様子でにとりが聞く。
「駄目だよ。大事な暇つぶしの道具なんだから」
「残念だ。それの構造がわかれば量産して、私たちの暇も潰せるのに」
「あんた機械に詳しいのかい?」
「うん」
「そうか。でもこれだけ量産しても意味はないよ。
この機械はテレビゲームっていう遊びを動かすための道具で、テレビゲームの入れられたカセットがなくちゃただの箱だ。
あんたが機械に詳しくても、ゲームプログラムは作れないだろうしね」
「ゲームプログラム?」
聞きなれない単語ににとりは首を傾げる。
「式神の簡易版だって思ってくれればいい」
「式神かー。たしかに私には無理だ」
「それで話を戻すけど用事は?」
「いい暇つぶしを知らないかなって」
にとりの隣で椛もこくりと頷く。
椛が静かなのは信仰する神を前にして緊張しているからだ。
信仰するという点ではにとりも同じだが、椛とは違い緊張はせずわりとフランクに話している。
椛は生真面目な性格ゆえに緊張していた。
「暇つぶしね」
「私たちも苦労したよ。今は早苗がいるし、外から持ってきたものでどうにかなっている。
私たちが困るからこれを貸すわけにはいかない。時々遊びにくるくらいなら相手になるけど。
今日はトランプでもする?」
諏訪子がのりきで言う。持ってきたものでたしかに暇は潰せるが、ずっと神奈子が相手でたまには違う相手と遊びたいのだろう。
それは神奈子も同じなようで、いいねとのりきでタンスからトランプを取り出す。
にとりと椛は返答する間もなく、神二人を相手することになった。
「一番勝ちの多い人が何か一つ命令できる罰ゲームはどうだい?」
「いいね」
「いやえっと?」
「わうぅ。困った」
口を挟む前にとんとんと決まっていき、罰ゲームありで遊ぶことになった。
ばばぬきから始まり七並べ、ポーカー、ブラックジャック、ハーツと遊んでいく。
結果、一位は言いだしっぺの神奈子だった。
「さあてなにを言おうか」
くくっと妖しく笑う様子からなにを言い出すかわかったものではない。
にとりと椛は若干怯え、諏訪子はのんびりとお茶をすすっている。
「ふむ、決めた」
にとりと椛と早苗が空を飛んでいる。
神奈子からの命令を実行するため守矢神社を出たのだ。
命令は早苗をつれて幻想郷を案内することだった。
「案内なんて迷惑じゃなかったですか?」
「気にしないでいい。罰ゲームだし、暇潰しにもなる」
話すのは早苗と椛のみ。にとりはまだ尻込みしている。
ただ飛ぶだけというのも暇なもので、趣味などの自分のことを話していくようになる。
椛がにとりに代わって、にとりのことを話していく。
「機械に詳しいんですか~。
修理とかってできます?」
壊れている掃除機のことを思い出して駄目もとで聞いてみた。
「見てみないとわからない」
「それじゃ今度みてもらえませんか? 壊れてるから、修理できなくてもかまいませんから」
「どんなもの?」
「掃除をするための機械ですよ。ゴミを吸い込むんです」
「へーそんなものがあるんだ」
話題が機械のことになると尻込みしていたことが嘘みたいに喋りだす。
これがきっかけとなって、にとりは他の話題のことでも少しずつ話し出した。
三人は幻想郷のあちこちを巡る。あちこちといっても危険そうな場所は避けたり、遠くから見るだけにとどめた。
「あ、ちょっと里に行っていいですか? 夕飯の材料を買いたいんです」
巡り終わってその帰り、早苗が言う。
にとりは里には近づけないので、椛と二人で里近くで早苗を待つことにした。
先に帰っていいですよ、とは早苗の言葉。だが二人は早苗を待つことにする。
「お待たせしました」
「そんなに待ってない」
「うん」
「でも待たせたのは本当ですから」
再び空を飛び守矢神社へと帰る。
その途中で早苗が二人を夕食に誘う。
「今日、夕食食べていってくださいね」
「え? そこまで世話になれない」
「悪いしね」
「案内してもらったお礼がしたいんです。
それにお二人分の材料も買ってきて、私と神奈子様だちだけでは量が多すぎなんです」
余った材料は冷蔵庫に入れておけばいいのだがそれをあえて黙っておく。
冷蔵庫のことを知らない二人はそれならと頷いた。
その返答に早苗は笑みを浮かべる。
神社に帰った早苗はさっそく台所へと向かい、気合を入れて調理を始める。
にとりと椛は神二人のいる居間へと連れて行かれ、料理ができるまで待つことになった。
神二人はまたスーパーファミコンを動かし、マリオカートをやっていた。
二人が居間に入ってきて、ゲームが一段落つくと電源を切って向き直る。
「おつかれさん」
「案内だけだから疲れてはないよ」
椛もこくりと頷く。
諏訪子が身を乗り出して聞く。
「それで早苗と少しは仲良くしてくれた?」
「仲良く? そりゃ喧嘩とかはしなかったけど……まあ仲良くはしたのかな?」
「そーかそーか」
神二人は嬉しそうに頷く。
「これからも仲良くしてやってくれ。
まだこっち来たばかりで知り合いは多くなくてさ、神社に篭りがちだったんだあの子」
「もしかして案内を頼んだのって友達にならせるため?」
「まあ、友達になってくれれば嬉しいけど、その辺はあんたたちの自由だしね。
時々会いに来てくれるようになればいいなって考えてたくらいだね」
そのためにいかさましたんだから、とは諏訪子の言葉。
そのことに神二人にわるびれた様子はない。早苗のために行動したといって、むしろ誇らしげにも見える。
親馬鹿がいる、とにとりと椛に同じ考えが浮かぶ。
しかし二人とも友が増えることには反対する気はなかった。
この日からときどき、早苗とにとりと椛が一緒にいる場面が見られるようになる。
PCとかみたいなソフトウェアを必要とするのはまた別だろうけど
ただ二柱から神徳が毛ほども感じられないwww
ほのぼのした感じがとてもよかったです♪
懐かしいな、星のカービィスーパーデラックスをやり込んだのは未だに覚えている
流石に幻想入りしてしまったか・・・
香霖堂にいけばPCエンジンとかメガドラとかドリキャスとかワンダースワンとか置いてありそうだな
兎にも角にも幻想郷ではどれだけ技術に関する理論があるのだろうか…