なんでこんな事になんったんだろうか。いまさらそんな事を考えても無駄なのに、何度もその考えが頭をよぎる。でも、それも仕方のないことだ。
なぜなら……
「さっきから避けてばかりじゃないか」
私の闘っている相手が、
「やる気があるのかい?」
かつて師と呼んだ相手だからだ。
「魅魔様……」
地下からあふれ出した霊たちを懲らしめるために、私と霊夢は地中へと潜ることにした。最初は空に比べて狭い地中に戸惑ったけど、それでも妖怪たちを倒
していくうちに慣れていった。
何匹か妖怪を倒して奥へと進んでいた時だった。あの人が、魅魔様が私たちの前に立ちふさがった。
私も霊夢も最初は驚いた。こんなところで出会えるとは思っていなかったからだ。でも、すぐに気を引き締めた。なぜなら、目の前にいる魅魔様は、威圧感
たっぷりの雰囲気で私たちを睨んでいたからだ。
私は意を決して霊夢を先に進ませ、一人で魅魔様の相手をすることにした。久々に師である魅魔様と戦いたかったのもあるけど、それ以上に敵意むき出しの
雰囲気が気になったからだ。
説得をするつもりで弾を避けながら何度も話しかけた。けれど、魅魔様は聞く耳を持たず、それどころか怒ってさらに激しい攻撃を仕掛けてきた。
そして、今に至る。
私をかすめていったいくつもの弾によって、私の服はあちこち破れ、ボロボロになっていた。さらに、呼びかけ続けたせいで息も上がっていた。
「はぁはぁはぁ……魅魔様、本当にいったいどうしたんだよ。あなたはもう憎しみも怒りもなくなったって言ってたじゃないか!」
私はムキになって訴えた。何が何でも私が知っている頃の魅魔様に戻ってほしかったからだ。
自分自身でもおかしいと思うくらい魅魔様の目を覚ますことにこだわっていた。
私にとって魅魔様は師以上の存在だった。実の親以上に頼れる親代わりの人、それが魅魔様だった。独り立ちして立派になったと思っていたけど、どうやら
まだまだ私は親離れ……いや師離れ出来ていないみたいだ。
「どうした、もう諦めたのかい? なら、さっさと終わりにしてあげるよ」
そういうと魅魔様は私に向けて手をかざした。魔力が集まりいくつもの弾が出現する。
「冗談! まだまだやれるぜ私は!」
自分自身を奮い立たせるように声を張り上げ、魅魔様を見据えた。けれど魅魔様を見ていると攻撃しようとする意思が薄れていく、そして、それは私の表情
にも出ていたようだ。
「なんだい、その情けない顔は」
魅魔様があきれるように言った。
「…………魔理沙、そんな意志の弱さでこんなところに来るんじゃないよ」
「魅魔様?」
懐かしい口調での呼びかけに私は魅魔様をしっかりと見据えた。
「もしかして、戻った…………っぐ!?」
私は胸に熱い衝撃を感じ、胸元を見た。
・
・
・
ナンダコレハ?
そこには穴が開いていた。
ドウイウコトダ?
魅魔様の弾が、私の胸を貫いていた。
ドウシテ?
魅魔様は元に戻ったんじゃないのか? 違ったのか?
「さようなら、間抜けな魔法使い」
つまらないといった口調の魅魔様の声を耳にしながら、私は落ちて行った。同時に私の意識も消えていった。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
叫び声をあげながら飛び起きた私は、何度も周囲を見渡した。そして、早鐘を打つようにはねる胸に手を当て、落ち着かせるように深呼吸をした。
「夢か……はっ、はははははっ……あははははははははっ、そうだよな、魅魔様があんなところにいるわけないよな。仮に出会ったとしても、私を殺そうとす
るわけがない」
まあ、もし襲いかかってきても逆に倒してやるぜ。
それにしても嫌な夢を見たな。よし、気分転換に霊夢のところに行くか。最近、間欠泉が出たから温泉もあるしな。
善は急げとばかりに、私は着替えると博霊神社へと向かって飛び立った。
神社に降り立った私の目に飛び込んて来たのは困り顔をした霊夢だった。
「よう霊夢、どうしたんだそんな辛気臭い顔をして?」
「ああ魔理沙。いやね、みんながうるさいのよ。巫女なんだから地下から出てくる霊たちを何とかしろってね」
神社へと視線を向けると顔見知りの妖怪たちが何人も集まっていた。
「それで、今から地下に潜るわけよ。まあ、サポートはしてくれるらしいから何とかなると思うけどね。で、どうする?」
「なにがだ?」
「あんたのことだから、一緒に来るんでしょ? それとも待ってる?」
ドキリと心臓がはねるのがわかった。
今朝の嫌な夢を思い出したからだ。
私が魅魔様と戦い殺される夢……あれは正夢だったのだろうか?
「魔理沙? どうかしたの?」
「いや、なんでもないぜ。もちろんついてくに決まってるじゃないか、抜け駆けはさせないぜ」
私は頭の中から嫌な考えを吹き飛ばした。
「そうよね、じゃあ行きましようか。準備は出来てるんでしょ?」
「ああ、もちろんだぜ」
もし今朝の夢が現実になったとしても、私は負けない。逆に魅魔様を倒して、おしりペンペンしてやるぜ!
私は自分が魅魔様のお尻を叩く姿を想像し、笑い出しそうになりながら霊夢の後を追いかけていった。
《地霊殿へとつづく?》
なぜなら……
「さっきから避けてばかりじゃないか」
私の闘っている相手が、
「やる気があるのかい?」
かつて師と呼んだ相手だからだ。
「魅魔様……」
地下からあふれ出した霊たちを懲らしめるために、私と霊夢は地中へと潜ることにした。最初は空に比べて狭い地中に戸惑ったけど、それでも妖怪たちを倒
していくうちに慣れていった。
何匹か妖怪を倒して奥へと進んでいた時だった。あの人が、魅魔様が私たちの前に立ちふさがった。
私も霊夢も最初は驚いた。こんなところで出会えるとは思っていなかったからだ。でも、すぐに気を引き締めた。なぜなら、目の前にいる魅魔様は、威圧感
たっぷりの雰囲気で私たちを睨んでいたからだ。
私は意を決して霊夢を先に進ませ、一人で魅魔様の相手をすることにした。久々に師である魅魔様と戦いたかったのもあるけど、それ以上に敵意むき出しの
雰囲気が気になったからだ。
説得をするつもりで弾を避けながら何度も話しかけた。けれど、魅魔様は聞く耳を持たず、それどころか怒ってさらに激しい攻撃を仕掛けてきた。
そして、今に至る。
私をかすめていったいくつもの弾によって、私の服はあちこち破れ、ボロボロになっていた。さらに、呼びかけ続けたせいで息も上がっていた。
「はぁはぁはぁ……魅魔様、本当にいったいどうしたんだよ。あなたはもう憎しみも怒りもなくなったって言ってたじゃないか!」
私はムキになって訴えた。何が何でも私が知っている頃の魅魔様に戻ってほしかったからだ。
自分自身でもおかしいと思うくらい魅魔様の目を覚ますことにこだわっていた。
私にとって魅魔様は師以上の存在だった。実の親以上に頼れる親代わりの人、それが魅魔様だった。独り立ちして立派になったと思っていたけど、どうやら
まだまだ私は親離れ……いや師離れ出来ていないみたいだ。
「どうした、もう諦めたのかい? なら、さっさと終わりにしてあげるよ」
そういうと魅魔様は私に向けて手をかざした。魔力が集まりいくつもの弾が出現する。
「冗談! まだまだやれるぜ私は!」
自分自身を奮い立たせるように声を張り上げ、魅魔様を見据えた。けれど魅魔様を見ていると攻撃しようとする意思が薄れていく、そして、それは私の表情
にも出ていたようだ。
「なんだい、その情けない顔は」
魅魔様があきれるように言った。
「…………魔理沙、そんな意志の弱さでこんなところに来るんじゃないよ」
「魅魔様?」
懐かしい口調での呼びかけに私は魅魔様をしっかりと見据えた。
「もしかして、戻った…………っぐ!?」
私は胸に熱い衝撃を感じ、胸元を見た。
・
・
・
ナンダコレハ?
そこには穴が開いていた。
ドウイウコトダ?
魅魔様の弾が、私の胸を貫いていた。
ドウシテ?
魅魔様は元に戻ったんじゃないのか? 違ったのか?
「さようなら、間抜けな魔法使い」
つまらないといった口調の魅魔様の声を耳にしながら、私は落ちて行った。同時に私の意識も消えていった。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
叫び声をあげながら飛び起きた私は、何度も周囲を見渡した。そして、早鐘を打つようにはねる胸に手を当て、落ち着かせるように深呼吸をした。
「夢か……はっ、はははははっ……あははははははははっ、そうだよな、魅魔様があんなところにいるわけないよな。仮に出会ったとしても、私を殺そうとす
るわけがない」
まあ、もし襲いかかってきても逆に倒してやるぜ。
それにしても嫌な夢を見たな。よし、気分転換に霊夢のところに行くか。最近、間欠泉が出たから温泉もあるしな。
善は急げとばかりに、私は着替えると博霊神社へと向かって飛び立った。
神社に降り立った私の目に飛び込んて来たのは困り顔をした霊夢だった。
「よう霊夢、どうしたんだそんな辛気臭い顔をして?」
「ああ魔理沙。いやね、みんながうるさいのよ。巫女なんだから地下から出てくる霊たちを何とかしろってね」
神社へと視線を向けると顔見知りの妖怪たちが何人も集まっていた。
「それで、今から地下に潜るわけよ。まあ、サポートはしてくれるらしいから何とかなると思うけどね。で、どうする?」
「なにがだ?」
「あんたのことだから、一緒に来るんでしょ? それとも待ってる?」
ドキリと心臓がはねるのがわかった。
今朝の嫌な夢を思い出したからだ。
私が魅魔様と戦い殺される夢……あれは正夢だったのだろうか?
「魔理沙? どうかしたの?」
「いや、なんでもないぜ。もちろんついてくに決まってるじゃないか、抜け駆けはさせないぜ」
私は頭の中から嫌な考えを吹き飛ばした。
「そうよね、じゃあ行きましようか。準備は出来てるんでしょ?」
「ああ、もちろんだぜ」
もし今朝の夢が現実になったとしても、私は負けない。逆に魅魔様を倒して、おしりペンペンしてやるぜ!
私は自分が魅魔様のお尻を叩く姿を想像し、笑い出しそうになりながら霊夢の後を追いかけていった。
《地霊殿へとつづく?》