注意 この作品はプチ創想話26の幻想消説~prologue~の続きです。
そちらを読んで、「楽しかった」や「続きが見たい」という人にしかお勧めできません。見事に期待を裏切ったらすみません。あとキャラの性格の中で「こんなの俺の○○じゃねーーーー!!」ってのが出てくるかもしれませんが、作者最近、痴呆が進んでおります故、平にご容赦を・・・
「とにかく、まずはどうすれば良いのか考えなくちゃいけないわね」
霊夢はそう言うと辺りを見回してみた。だがやはり何も変わってなどいなかった。
見上げれば星や月、あくびをしている文屋しか見えなかった。そう、もう既に夜になっていたのだ。
霊夢は紫から言われた言葉が頭に残りずっと考えていたのだ。
(私の所為)
(本当に崩壊なんてしたら魔理沙も紫もレミリアも、私を恨むんだろうな)
(だったら一刻も早く大結界を)
(だけど私に判るの?)
(紫にも判らなかった事が私にわかるわけが)
そのような事を考えていたらもう夜に成ってしまったのだ。
「ふぁ~~、もう遅いから寝よう」
とりあえず明日考えればいっか、そう考えた霊夢は眠る事にした。
「zzz」
「ん・・・うん?」
お昼過ぎに目を覚ました・・・と思っていた。だが辺り一面が真っ暗なのだ。布団も無ければ何も無い。ただ自分の姿だけがはっきりと見えた。とても不思議な気分だ。霊夢はそう思った。
「此処は何処?」
「鳥目・・・って言う訳でも無いみたいね。」
霊夢はしばし考え込んだがやがて誰かを見つけた。
「あ!魔理・・・」
魔理沙がいたのだが、様子がおかしい。普段の彼女からは想像が出来ないほどの悲しい表情だった。
思わず呼ぶのをやめてしまった。だが魔理沙は霊夢に気付いたらしくこちらに悲しげに、それでいてどこか怨めしそうに此方にふらふらと歩み寄ってきた。
「魔理・・・沙?」
魔理沙はぶつぶつと何かを呟きながらこちらに近づいてくる。
「おま・・・・・だ。・・・・から、みん・・・・・が・・・・・・げん・・・・・みん・・・・・・だんだ。」
途切れ途切れだが何かが聞こえてくる。霊夢は思わず後ずさりしてしまった。今にも逃げ出したかった。
「逃げるな!!」
霊夢を睨みつけ、そう言った。
「っ!」
霊夢はもう膝がすくんで歩けなくなり座り込んでしまった。
「お前の所為で、お前の所為で皆死んだんだ!異変を解決できないから死んでいったんだぞ!」
「嫌、私は、私は・・・い、嫌よ。来ないで」
霊夢は今にも泣き出しそうな顔で魔理沙から逃げ出そうとした。
「だ、だいたい・・・あんただって仕方無い事だって言ってたじゃないの!」
霊夢はつい声を荒げてしまう。
「なんだと?私は・・・お前を信じてたんだぞ。だから霊夢、お前に任せた。なのにお前は・・・私達を守ってくれなかった!!」
と、その時方になにかが当たる。
「ソウ、オマエノセイダ・・・」
そこには見慣れた白い帽子と白い髪の骸骨がいた。
「レミ・・・リア?」
「オ前ノ所為デ」
「私達ハ死ンダンダ」
気付けば其処には霊夢と似た巫女服の骸骨、メイドの格好、どれも幻想郷の住民そっくりだった。
「ナゼ解決デキナカッタノ?」
「ゆ、紫!」
「ソレハコイツ二ヤル気ガ無イカラ」
「妖夢!」
「オ前ノ所為デ・・・」
「オ前ノ所為」
「オ前ガ・・・」
気付けば何万もの骨に囲まれていた。
「い・・・嫌、たす・・・けて・・・・誰か」
その声に対し黒いとんがり帽子の骨はこう問う。
「ナゼ助ケを求メル・・・」
「ソウダ・・・コレガオ前ノヤッタ事ダ」
「い、嫌・・・誰か、誰か助けて・・・やめて・・・嫌、嫌・・・・」
「嫌ーーーーーーーーーー!!!」
霊夢はいきなりがばっ!と起き上がった。見てみればいつもと変わらない普通の幻想郷だった。
「はあ、はあ、ゆ・・・夢?」
そう、全部夢だった。霊夢の心臓はまだバクバクとなっている。と、その時突然後ろから肩を叩かれた。
「っ!!!」
霊夢は恐る恐る後ろを振り向くと・・・
「ばぁ!!!」
黒いとんがり帽子を被った骸骨の顔があった。
「きゃーーーーーーーー!!!!!!う・・・・嘘・・・・・」
バタ!!
「どわぁ!霊夢!?」
「おい!起きろ霊夢!!」
そう言うと魔理沙は霊夢の頬をペチペチと叩いてやる。
「う・・・ん」
「はあ、やっと目を覚ましたか。いきなり気を失うもんだから驚いたぜ。」
其処には普通の、霊夢がよく見るいつもの魔理沙の顔だった。見るとその手にはお面が握られている。
「いやー、通りかかったら何か霊夢が魘されてたから起きた時に脅かしてやろうと思ったけど、まさか気絶するなんてなぁ!」
ナーイスリアクション!!と親指を立ててハハハと笑う魔理沙に霊夢は顔を真っ赤に染めて・・・
「こんの、馬鹿ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
ボキン!!!と魔理沙の脛を折ってやった。
「うっぎゃあああああああああああああ!!!」
魔理沙は相当痛いのか足を押さえ転げまわっている。
「お、お前!脅かした程度で、其処までやるのか!謝れあほ!」
魔理沙は涙目で謝罪を求めていた。が霊夢はしれっとした顔でこう言ってやった。
「知るか、この阿呆。ったく此処に私達しか居なかったから良かったものを・・・」
すると霊夢はすっくと立ち上がり縁側に向かっていった。
「んお、どうした霊夢?」
「るっさい!私の勝手でしょ!」
「まあまあ、そう怒るな。お賽銭入れといてやったから」
「え!?」
霊夢は表情が一気に明るくなる。
「ははは、ほれ、早く賽銭箱を開けてみろ」
がたがた!と勢い良く飛び出し賽銭箱へ向かった。そして賽銭箱を開けた霊夢の第一声がこんな言葉だった。
「何これ?」
中には封筒が入っていた。
「その中に入ってるぜ」
恐る恐る開けてみるとメッセージが記されていた一枚の紙があった。
『なんちゃって(笑)』
「何じゃこりゃーーーーーーーーーーーーーー(怒)!!!!」
「お~、○陽に吠えrぐわぁ(痛)!!」
びりーーーと紙を引き裂き魔理沙にアイアンクローをおみまいして睨み付ける魔理沙。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!」
「あんたねえ、いい加減しなさいよ?仏の顔も三度まで、覚えておきなさい」
「こ、此処は神社だ。仏は居ない。それにまだ2回いたたたたたたた!」
ぱっと手を離した霊夢を睨みながら頭を抑えている。そんな魔理沙を気にも留めず霊夢はすっくと立ち上がった
「ど、どうした?」
「ちょっと出掛けて来る。もしかしたら解決方法を知ってる人が居るかも知れないし」
「おお、私もいくぜ」
魔理沙もすっくと立ち上がった。
「いや、魔理沙は洗濯物と御飯、掃除、賽銭etcをお願い。」
「む・・・なんでだ。私も行きたいぜ」
「賽銭にあんな事したんだもの。罰が当たらない訳が無いわ。だから此処は私に大人しくパシしられなさい。それがあなたに積める善行よ」
魔理沙は嫌そうな顔をしたので、霊夢は溜息を吐きこう付け足した。
「お茶とか自由に飲んでいいから」
「わかったぜ。まかせとけ(またアイアンクローされたら堪んないもんな)」
あっさり承諾した。
「よろしい(まあ断ったりしたら博麗アミュレット地獄の冥界巡りツアー3セットの刑だったけど)」
予想を遥かに上回っていた。
此処は紅魔湖。紅魔館の目の前にある妖精達の住処である。
「まずはレミリアね。元気かしら。って問題ないか」
(ソウ、オ前ノ所為ダ・・・)
ぞくっ
頭の中に夢の内容がフラッシュバックされる。霊夢はそれを振り払おうと頭を振る。
「なんて事考えてんのよ私、あれは夢なの」
そう自分に言い聞かせている。
「ほらほらー!早く行こうよ大妖精ーーー!!」
「ちょ、ちょっと待ってよ・・・チルノちゃん・・・ぜえぜえ」
不意に下から声がしたので思わず声のした方向に顔を向ける霊夢。
「あれは・・・チルノと大ちゃん」
チルノと呼ばれる少女は冷気を操る程度の能力を持つ氷精である。
妖精の中ではトップクラスの強さをもつ。そのため自分を「さいきょー」と称しているが妖怪からすればただの雑魚なのだ。しかし、過去にあの閻魔様を弾幕ごっこで倒した事もある。そして、馬鹿なのだ。
そして、大ちゃんこと大妖精は妖精の中でも特に力を持つ。皆(特にチルノ)のお姉さん的存在だがいつもチルノに振り回されている。
「まったく、本当に妖精は呑気ね。何処に行くのかしら」
まあ消えたくないなんて泣いている所目撃したくも無いのだが・・・・
そうこうしている内に辿り付いてしまった。
「あ、見えてきた」
霊夢が目指していた所は紅魔館だった。かつて紅い霧の異変の時にも行った事がある。その外見は真っ赤に染められていて極端に窓が少ない。普通の人間、妖怪なら忍び込む気にもなれないと言う。
「あ、霊夢さん」
「あら美鈴、こんにちは。今日は居眠りをしてないわね」
彼女の名は紅美鈴。此処の番人をやっている。いつも居眠りをしてしまうのだがそのためにナイフまみれになってしまう。咲夜曰く「嫉ましいわよね。あの部分が」
「今日はって何ですか。霊夢さんが来るなんて珍しいですね。お嬢様なら珍しく起きてますよ。今門を開けますね」
「ええ、ありがとう」
そして門に入り30分ほど空を飛んだあと大きな扉を開け中に入る。
「広すぎる・・・」
愚痴を言いつつも奥へ進んでいくと其処には銀髪のメイド長がいた。
「あなたは・・・あなたから来るなんて珍しいじゃない。」
「咲夜・・・さっき門番にも言われたわよ」
彼女は十六夜咲夜。此処のメイド長をやっている。ちなみに美鈴をナイフまみれにしたのも彼女だ。
「お嬢様ならあっちの部屋よ」
「ありがとう・・・」
咲夜に一言お礼を言い霊夢は言われた方向へと歩いて行った。
「いつもより元気が無かったけど・・・やっぱり責任を感じてるのかしら」
咲夜は心配していた。どんなに隠していてもやはりばれてしまうものなのである。
「ここね」
(ソウ、オ前ノ・・・)
「いやいや・・・」
少しだけ扉を開けるのをためらった。
コンコン
「あ、咲夜―?悪いけどちょっと良い?パジャマに着替えたいの。手伝ってー」
どうやら咲夜だと勘違いしているようだ。霊夢は気を紛らわす程度に悪戯にする事にした。
「お嬢様、私お暇を頂戴させてもらいますがよろしいでしょうか」
「え?」
「今日限りで紅魔館のメイド長をやめさせて貰いたく思いますと言っているのです」
もちろん霊夢の声真似だ。
バターンと扉を蹴破って咲夜だと思っている思っている人物に泣きつく。
「そんな、いっちゃ嫌よ!ねえ!不満があるなら言って!直すから!だからやめない・・・・・・・で?」
扉を蹴破って霊夢に抱きついたのはレミリア・スカーレット。赤い霧の異変の張本人である。普段は高貴に振舞っているが500年生きようと子供は子供である。ちなみに今はパジャマのズボンしか付けてない。
「とりあえず部屋に入ろう。その格好は色々と危ない」
「え、ええ」
遠くで「きゃーーー咲夜さんが!!!」と言う声が聞こえた。
「(遅かったか)」
霊夢が苦虫を噛み潰した様な顔をする。
「で、何の用?」
レミリアはパジャマに着替え終わっていた。このように振舞っていても時既に遅し。
「ふふ、夜の王と恐れらている吸血鬼がパジャマも一人で着替えられないとはね」
霊夢は実は安心していた。いつものレミリアだったからだ。
「い、いつもは一人で着れるわよ!今日はたまたま」
「はいはい」
ふふっ、と笑ってみせる。
「で、本題に入るけど」
「幻想郷が消える、でしょ?」
「あら、知ってたの?」
意外そうな顔をしている。
「ええ、今日の昼何時ぞやのスキマ妖怪に起こされたのよ。睡眠と起床の境界を弄くられた」
「なるほど・・・」
「恐らく他のとこにも行ってるでしょう」
「ちなみに、なにか解決方法とか判らない?あんたの能力で」
「だめね、見える運命は全部見てきたけどどれも崩壊する運命だけ」
「・・・やっぱり無理なのかな」
霊夢は俯いてそう呟く。それに対しレミリアはこう語り掛ける。
「でも、あなたなら運命を跳ね飛ばす事ぐらいできるでしょ?そうじゃなければ幻想郷は今も霧まみれだった。違うかしら?」
レミリアはそう言うと笑った。それはレミリアのカリスマを主張かのような笑みだった。
「ありがとうレミリア」
「礼には及ばないわ。まあどうしてもと言うなら・・・」
「?」
なんだろう、そんな顔でレミリアの顔を見つめる。
「私の嫁になり共に暮らしそして同族となり永遠に私と一緒に居るの。結婚式は盛大に行い、そして誓いのキスでふふ・・・ふふふふふ!」
「レミリア?」
なにやらぶつぶつと呟いているが良く聞こえなかった。
「そのあと霊夢に紅茶を入れてもらい24時間一緒に過ごす。あ、でも生活リズムは違うから、仕方ないあのスキマにでも土下座するか・・・当然美鈴が。そして新婚初夜で、ふふふふふふふふふふふふふふ」
「お~い」
レミリアはカッと目を見開き親指を立てて
「それでいいかしら!!!?」
こう叫んだ。もはやカリスマなど微塵も無い。霊夢は訳が判らずついつい承諾してしまった。
「へ?え、ええ」
その言葉にレミリアが反応して霊夢に飛びかかった。
「じゃあ早速新婚初夜を!!!」
「やめい」
ズボ!!!
「アッーーー!!」
紅魔館に絶叫が木霊した。霊夢はレミリアの口にお払い棒を突き刺した。
「うう、流石霊夢・・・それでも私は着いていく!」
「はいはい、じゃ~ねレミリア。」
「あ、待(バタン)」
止めようと思ったがレミリアが言いきる前に扉を閉じた。
「ありがと、レミリア」
紅魔館をでるとそこにはチルノと大妖精、そして何とレティがいた。
「あ、れーむー!」
「霊夢さん」
「あ、霊夢」
レティと言う少女は寒気を操る。冬しか居られないためこの暖かい春に居るのは変だが。チルノ、大妖精のお母さん兼お姉さん的役割をしている。
「あれ?なんであんたがいるのよ」
さっきのチルノのはしゃぎ様はそれか、と思った霊夢だった。
「ふふん、実はね」
チルノが鼻を鳴らして言う。
~霊夢がチルノ達を見つける30分前~
「ぐす、ひっく・・・」
「大丈夫?チルノちゃん」
チルノが泣いていた。その隣で大妖精が慰めている。
「大妖精、私達・・・もう会え無くなっちゃうのかなぁ」
「だ、大丈夫だよ!きっとまた霊夢さんが何とかしてくれるよ・・・」
そういう大妖精の声も震えていた。幻想郷の消滅の事は他の妖精に聞いたらしい。
「うぅ、またレティに会いたかった。まだ『いつもありがとう』も言ってないのに・・・」
「チルノちゃん・・・」
(あら、その程度の願いなら叶えてあげるわよ?)
「だ、だれ!?」
大妖精は突然の事で驚いていた。
「は~い♪私は八雲紫、宜しくね♡」
空間に裂け目ができ其処に姿を現したのは紫だった。
「ね、ねえ!叶えてあげるってどう言う事なの?おばs」
チルノは突然の浮遊感を感じたかと思うとスキマの中に落ちていった。
「おばさんじゃなくてお姉さんよ。言葉には気をつけなさい」
すぐ隣にいた大妖精が怯えている。
「は、はぇあ」
もはやなんて言ってるのか判らなかった。とその時上から何かがドスン!!と落ちてきた。そこに面白いほど生気が無いチルノがいた。
「八雲紫様すみませんでした。紫様は若々しいです。この駄ブタめを踏んで下さい。はは、ははは・・・」
「ひえ!」
壊れていた・・・何があったのだろう。
「ほら、目を覚ましなさい」
紫はチルノの頬をペチペチ叩く。
「はうあ!」
チルノは目が覚めたかの様にパッと目を見開いた。そして大妖精が口を開く
「で、どうやってレティを連れてくるのですか?」
「簡単よ、あの娘は冬以外は涼しい所で寝てるんでしょ?それなら彼女の季節の境界を弄ってしまえばいいのよ」
そういうと紫は扇子を右から左へ動かしこう言った。
「はいお終い。あっちの方であなたの友達が待ってるわ」
「ありがとう!じゃあ早速行こう大妖精!」
「うん!えっと・・・ありがとうございました!」
そういうとチルノ達は去っていった。
~現在~
「と言う訳よ」
見ると彼女の足元だけ草が枯れている。
「・・・紫」
「それじゃあ、私達はもう行くけど霊夢さんは如何するんですか?」
そう聞かれた霊夢は少し考え込んだと思うと
「私も神社にもどるわ」
そういって空にほんの少し浮いてみせた。
「そうですか」
「じゃあね」
霊夢は大妖精達に手を振った。
「さようなら」
「じゃーねー!」
「さよなら」
「ねえ、私色んな所を見て回りたいわ!春なんて季節初めてだもの」
「うん!じゃーレッツゴー!」
「わわ!待ってチルノちゃーーーん」
こうして妖精と冬の忘れ物は去っていきました。その一部始終を見ていた人が二人いた。
「ああ、微笑ましいわねぇ。やって良かったわ~。ああ藍、ちょっとお酒持ってきて今私の気分は最高よ」
「はいはい少々お待ちを、良かったんですか?あんな事して、また崩壊が早まってはいけないでしょうに」
今酒を運んでいるのは紫の式の八雲藍。彼女もまた自分の式を持つ。マヨヒガの苦労人だ。
「ぷは!・・・いいのよあの程度なら問題ないわ。それに霊夢がさっきのチルノちゃんと大妖精の顔を見てみなさい、彼女、へこむわよ?」
スキマの中で二人は妖精達のさっきの笑顔を思い出しながら微笑んでいた。
妖怪と式が酒を飲んでいる時霊夢は神社に帰っていた。
「お~、見事に全部終わってる」
魔理沙はと言うと深い眠りに落ちていた。
「と言う事はお賽銭も・・・」
霊夢は賽銭箱を開けてみた。其処に入っていたのは
「・・・・・・百円」
光輝く銀の硬貨だった。その賽銭箱の中身に霊夢は
「百円!!」
その百円を握り締め小躍りしていた。その様子に普段の賽銭箱の悲しい現状を物語っていた。その時の魔理沙はと言うと
「お、おい!香霖!?やめろ!!落ち着け!!」
寝言を言っていた。
「あら、そっちは大変ねえ、何されてるのかしら。」
「あ、ああ・・・・やめろ、そんな大きいのなんて入らない!」
「!?何の夢よ!」
霊夢は気になって仕方が無いがとりあえずお茶を飲む事にした。
「?」
霊夢は異変に気付いた。
「う、嘘」
そう、あるものが無い。
「アッーーーーーーーーーーーーー!!!」
隣の部屋で魔理沙が叫んでたが気にしない。
「お茶が全部飲まれてる・・・」
霊夢は思い出した。魔理沙につい行ってしまったあの言葉を。
(お茶とか自由に飲んでいいから)
魔理沙を責める事はできない。だがここまで遠慮なしに飲む事も無いだろう。その時霊夢はゴミ箱の中を見てしまった。
「一回使ったのをすぐに捨ててる・・・」
霊夢は普段出涸らしを使おってお茶を飲んでいる。もう凡人には「え?お湯?」ってくらいにしか感じられないほどに。一回使ってすぐ捨てる。これは霊夢にとって我ら凡人が一万円札をトイレットペーパーに使うほど贅沢な事なのである。その時の魔理沙の寝言は
「うう、そんな大きいがんもどき入るわけが・・・も、もうやめてくれ・・・」
おでんの夢を見ていた。霖之助に大きなおでんを口に押し込められている夢だった。
「明日の魔理沙の朝御飯は・・・おでんだ。あいつの家の冷蔵庫の中も・・・」
霊夢は怪しく笑っていた。魔理沙はしくしく泣いていた。
続く
そちらを読んで、「楽しかった」や「続きが見たい」という人にしかお勧めできません。見事に期待を裏切ったらすみません。あとキャラの性格の中で「こんなの俺の○○じゃねーーーー!!」ってのが出てくるかもしれませんが、作者最近、痴呆が進んでおります故、平にご容赦を・・・
「とにかく、まずはどうすれば良いのか考えなくちゃいけないわね」
霊夢はそう言うと辺りを見回してみた。だがやはり何も変わってなどいなかった。
見上げれば星や月、あくびをしている文屋しか見えなかった。そう、もう既に夜になっていたのだ。
霊夢は紫から言われた言葉が頭に残りずっと考えていたのだ。
(私の所為)
(本当に崩壊なんてしたら魔理沙も紫もレミリアも、私を恨むんだろうな)
(だったら一刻も早く大結界を)
(だけど私に判るの?)
(紫にも判らなかった事が私にわかるわけが)
そのような事を考えていたらもう夜に成ってしまったのだ。
「ふぁ~~、もう遅いから寝よう」
とりあえず明日考えればいっか、そう考えた霊夢は眠る事にした。
「zzz」
「ん・・・うん?」
お昼過ぎに目を覚ました・・・と思っていた。だが辺り一面が真っ暗なのだ。布団も無ければ何も無い。ただ自分の姿だけがはっきりと見えた。とても不思議な気分だ。霊夢はそう思った。
「此処は何処?」
「鳥目・・・って言う訳でも無いみたいね。」
霊夢はしばし考え込んだがやがて誰かを見つけた。
「あ!魔理・・・」
魔理沙がいたのだが、様子がおかしい。普段の彼女からは想像が出来ないほどの悲しい表情だった。
思わず呼ぶのをやめてしまった。だが魔理沙は霊夢に気付いたらしくこちらに悲しげに、それでいてどこか怨めしそうに此方にふらふらと歩み寄ってきた。
「魔理・・・沙?」
魔理沙はぶつぶつと何かを呟きながらこちらに近づいてくる。
「おま・・・・・だ。・・・・から、みん・・・・・が・・・・・・げん・・・・・みん・・・・・・だんだ。」
途切れ途切れだが何かが聞こえてくる。霊夢は思わず後ずさりしてしまった。今にも逃げ出したかった。
「逃げるな!!」
霊夢を睨みつけ、そう言った。
「っ!」
霊夢はもう膝がすくんで歩けなくなり座り込んでしまった。
「お前の所為で、お前の所為で皆死んだんだ!異変を解決できないから死んでいったんだぞ!」
「嫌、私は、私は・・・い、嫌よ。来ないで」
霊夢は今にも泣き出しそうな顔で魔理沙から逃げ出そうとした。
「だ、だいたい・・・あんただって仕方無い事だって言ってたじゃないの!」
霊夢はつい声を荒げてしまう。
「なんだと?私は・・・お前を信じてたんだぞ。だから霊夢、お前に任せた。なのにお前は・・・私達を守ってくれなかった!!」
と、その時方になにかが当たる。
「ソウ、オマエノセイダ・・・」
そこには見慣れた白い帽子と白い髪の骸骨がいた。
「レミ・・・リア?」
「オ前ノ所為デ」
「私達ハ死ンダンダ」
気付けば其処には霊夢と似た巫女服の骸骨、メイドの格好、どれも幻想郷の住民そっくりだった。
「ナゼ解決デキナカッタノ?」
「ゆ、紫!」
「ソレハコイツ二ヤル気ガ無イカラ」
「妖夢!」
「オ前ノ所為デ・・・」
「オ前ノ所為」
「オ前ガ・・・」
気付けば何万もの骨に囲まれていた。
「い・・・嫌、たす・・・けて・・・・誰か」
その声に対し黒いとんがり帽子の骨はこう問う。
「ナゼ助ケを求メル・・・」
「ソウダ・・・コレガオ前ノヤッタ事ダ」
「い、嫌・・・誰か、誰か助けて・・・やめて・・・嫌、嫌・・・・」
「嫌ーーーーーーーーーー!!!」
霊夢はいきなりがばっ!と起き上がった。見てみればいつもと変わらない普通の幻想郷だった。
「はあ、はあ、ゆ・・・夢?」
そう、全部夢だった。霊夢の心臓はまだバクバクとなっている。と、その時突然後ろから肩を叩かれた。
「っ!!!」
霊夢は恐る恐る後ろを振り向くと・・・
「ばぁ!!!」
黒いとんがり帽子を被った骸骨の顔があった。
「きゃーーーーーーーー!!!!!!う・・・・嘘・・・・・」
バタ!!
「どわぁ!霊夢!?」
「おい!起きろ霊夢!!」
そう言うと魔理沙は霊夢の頬をペチペチと叩いてやる。
「う・・・ん」
「はあ、やっと目を覚ましたか。いきなり気を失うもんだから驚いたぜ。」
其処には普通の、霊夢がよく見るいつもの魔理沙の顔だった。見るとその手にはお面が握られている。
「いやー、通りかかったら何か霊夢が魘されてたから起きた時に脅かしてやろうと思ったけど、まさか気絶するなんてなぁ!」
ナーイスリアクション!!と親指を立ててハハハと笑う魔理沙に霊夢は顔を真っ赤に染めて・・・
「こんの、馬鹿ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
ボキン!!!と魔理沙の脛を折ってやった。
「うっぎゃあああああああああああああ!!!」
魔理沙は相当痛いのか足を押さえ転げまわっている。
「お、お前!脅かした程度で、其処までやるのか!謝れあほ!」
魔理沙は涙目で謝罪を求めていた。が霊夢はしれっとした顔でこう言ってやった。
「知るか、この阿呆。ったく此処に私達しか居なかったから良かったものを・・・」
すると霊夢はすっくと立ち上がり縁側に向かっていった。
「んお、どうした霊夢?」
「るっさい!私の勝手でしょ!」
「まあまあ、そう怒るな。お賽銭入れといてやったから」
「え!?」
霊夢は表情が一気に明るくなる。
「ははは、ほれ、早く賽銭箱を開けてみろ」
がたがた!と勢い良く飛び出し賽銭箱へ向かった。そして賽銭箱を開けた霊夢の第一声がこんな言葉だった。
「何これ?」
中には封筒が入っていた。
「その中に入ってるぜ」
恐る恐る開けてみるとメッセージが記されていた一枚の紙があった。
『なんちゃって(笑)』
「何じゃこりゃーーーーーーーーーーーーーー(怒)!!!!」
「お~、○陽に吠えrぐわぁ(痛)!!」
びりーーーと紙を引き裂き魔理沙にアイアンクローをおみまいして睨み付ける魔理沙。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!」
「あんたねえ、いい加減しなさいよ?仏の顔も三度まで、覚えておきなさい」
「こ、此処は神社だ。仏は居ない。それにまだ2回いたたたたたたた!」
ぱっと手を離した霊夢を睨みながら頭を抑えている。そんな魔理沙を気にも留めず霊夢はすっくと立ち上がった
「ど、どうした?」
「ちょっと出掛けて来る。もしかしたら解決方法を知ってる人が居るかも知れないし」
「おお、私もいくぜ」
魔理沙もすっくと立ち上がった。
「いや、魔理沙は洗濯物と御飯、掃除、賽銭etcをお願い。」
「む・・・なんでだ。私も行きたいぜ」
「賽銭にあんな事したんだもの。罰が当たらない訳が無いわ。だから此処は私に大人しくパシしられなさい。それがあなたに積める善行よ」
魔理沙は嫌そうな顔をしたので、霊夢は溜息を吐きこう付け足した。
「お茶とか自由に飲んでいいから」
「わかったぜ。まかせとけ(またアイアンクローされたら堪んないもんな)」
あっさり承諾した。
「よろしい(まあ断ったりしたら博麗アミュレット地獄の冥界巡りツアー3セットの刑だったけど)」
予想を遥かに上回っていた。
此処は紅魔湖。紅魔館の目の前にある妖精達の住処である。
「まずはレミリアね。元気かしら。って問題ないか」
(ソウ、オ前ノ所為ダ・・・)
ぞくっ
頭の中に夢の内容がフラッシュバックされる。霊夢はそれを振り払おうと頭を振る。
「なんて事考えてんのよ私、あれは夢なの」
そう自分に言い聞かせている。
「ほらほらー!早く行こうよ大妖精ーーー!!」
「ちょ、ちょっと待ってよ・・・チルノちゃん・・・ぜえぜえ」
不意に下から声がしたので思わず声のした方向に顔を向ける霊夢。
「あれは・・・チルノと大ちゃん」
チルノと呼ばれる少女は冷気を操る程度の能力を持つ氷精である。
妖精の中ではトップクラスの強さをもつ。そのため自分を「さいきょー」と称しているが妖怪からすればただの雑魚なのだ。しかし、過去にあの閻魔様を弾幕ごっこで倒した事もある。そして、馬鹿なのだ。
そして、大ちゃんこと大妖精は妖精の中でも特に力を持つ。皆(特にチルノ)のお姉さん的存在だがいつもチルノに振り回されている。
「まったく、本当に妖精は呑気ね。何処に行くのかしら」
まあ消えたくないなんて泣いている所目撃したくも無いのだが・・・・
そうこうしている内に辿り付いてしまった。
「あ、見えてきた」
霊夢が目指していた所は紅魔館だった。かつて紅い霧の異変の時にも行った事がある。その外見は真っ赤に染められていて極端に窓が少ない。普通の人間、妖怪なら忍び込む気にもなれないと言う。
「あ、霊夢さん」
「あら美鈴、こんにちは。今日は居眠りをしてないわね」
彼女の名は紅美鈴。此処の番人をやっている。いつも居眠りをしてしまうのだがそのためにナイフまみれになってしまう。咲夜曰く「嫉ましいわよね。あの部分が」
「今日はって何ですか。霊夢さんが来るなんて珍しいですね。お嬢様なら珍しく起きてますよ。今門を開けますね」
「ええ、ありがとう」
そして門に入り30分ほど空を飛んだあと大きな扉を開け中に入る。
「広すぎる・・・」
愚痴を言いつつも奥へ進んでいくと其処には銀髪のメイド長がいた。
「あなたは・・・あなたから来るなんて珍しいじゃない。」
「咲夜・・・さっき門番にも言われたわよ」
彼女は十六夜咲夜。此処のメイド長をやっている。ちなみに美鈴をナイフまみれにしたのも彼女だ。
「お嬢様ならあっちの部屋よ」
「ありがとう・・・」
咲夜に一言お礼を言い霊夢は言われた方向へと歩いて行った。
「いつもより元気が無かったけど・・・やっぱり責任を感じてるのかしら」
咲夜は心配していた。どんなに隠していてもやはりばれてしまうものなのである。
「ここね」
(ソウ、オ前ノ・・・)
「いやいや・・・」
少しだけ扉を開けるのをためらった。
コンコン
「あ、咲夜―?悪いけどちょっと良い?パジャマに着替えたいの。手伝ってー」
どうやら咲夜だと勘違いしているようだ。霊夢は気を紛らわす程度に悪戯にする事にした。
「お嬢様、私お暇を頂戴させてもらいますがよろしいでしょうか」
「え?」
「今日限りで紅魔館のメイド長をやめさせて貰いたく思いますと言っているのです」
もちろん霊夢の声真似だ。
バターンと扉を蹴破って咲夜だと思っている思っている人物に泣きつく。
「そんな、いっちゃ嫌よ!ねえ!不満があるなら言って!直すから!だからやめない・・・・・・・で?」
扉を蹴破って霊夢に抱きついたのはレミリア・スカーレット。赤い霧の異変の張本人である。普段は高貴に振舞っているが500年生きようと子供は子供である。ちなみに今はパジャマのズボンしか付けてない。
「とりあえず部屋に入ろう。その格好は色々と危ない」
「え、ええ」
遠くで「きゃーーー咲夜さんが!!!」と言う声が聞こえた。
「(遅かったか)」
霊夢が苦虫を噛み潰した様な顔をする。
「で、何の用?」
レミリアはパジャマに着替え終わっていた。このように振舞っていても時既に遅し。
「ふふ、夜の王と恐れらている吸血鬼がパジャマも一人で着替えられないとはね」
霊夢は実は安心していた。いつものレミリアだったからだ。
「い、いつもは一人で着れるわよ!今日はたまたま」
「はいはい」
ふふっ、と笑ってみせる。
「で、本題に入るけど」
「幻想郷が消える、でしょ?」
「あら、知ってたの?」
意外そうな顔をしている。
「ええ、今日の昼何時ぞやのスキマ妖怪に起こされたのよ。睡眠と起床の境界を弄くられた」
「なるほど・・・」
「恐らく他のとこにも行ってるでしょう」
「ちなみに、なにか解決方法とか判らない?あんたの能力で」
「だめね、見える運命は全部見てきたけどどれも崩壊する運命だけ」
「・・・やっぱり無理なのかな」
霊夢は俯いてそう呟く。それに対しレミリアはこう語り掛ける。
「でも、あなたなら運命を跳ね飛ばす事ぐらいできるでしょ?そうじゃなければ幻想郷は今も霧まみれだった。違うかしら?」
レミリアはそう言うと笑った。それはレミリアのカリスマを主張かのような笑みだった。
「ありがとうレミリア」
「礼には及ばないわ。まあどうしてもと言うなら・・・」
「?」
なんだろう、そんな顔でレミリアの顔を見つめる。
「私の嫁になり共に暮らしそして同族となり永遠に私と一緒に居るの。結婚式は盛大に行い、そして誓いのキスでふふ・・・ふふふふふ!」
「レミリア?」
なにやらぶつぶつと呟いているが良く聞こえなかった。
「そのあと霊夢に紅茶を入れてもらい24時間一緒に過ごす。あ、でも生活リズムは違うから、仕方ないあのスキマにでも土下座するか・・・当然美鈴が。そして新婚初夜で、ふふふふふふふふふふふふふふ」
「お~い」
レミリアはカッと目を見開き親指を立てて
「それでいいかしら!!!?」
こう叫んだ。もはやカリスマなど微塵も無い。霊夢は訳が判らずついつい承諾してしまった。
「へ?え、ええ」
その言葉にレミリアが反応して霊夢に飛びかかった。
「じゃあ早速新婚初夜を!!!」
「やめい」
ズボ!!!
「アッーーー!!」
紅魔館に絶叫が木霊した。霊夢はレミリアの口にお払い棒を突き刺した。
「うう、流石霊夢・・・それでも私は着いていく!」
「はいはい、じゃ~ねレミリア。」
「あ、待(バタン)」
止めようと思ったがレミリアが言いきる前に扉を閉じた。
「ありがと、レミリア」
紅魔館をでるとそこにはチルノと大妖精、そして何とレティがいた。
「あ、れーむー!」
「霊夢さん」
「あ、霊夢」
レティと言う少女は寒気を操る。冬しか居られないためこの暖かい春に居るのは変だが。チルノ、大妖精のお母さん兼お姉さん的役割をしている。
「あれ?なんであんたがいるのよ」
さっきのチルノのはしゃぎ様はそれか、と思った霊夢だった。
「ふふん、実はね」
チルノが鼻を鳴らして言う。
~霊夢がチルノ達を見つける30分前~
「ぐす、ひっく・・・」
「大丈夫?チルノちゃん」
チルノが泣いていた。その隣で大妖精が慰めている。
「大妖精、私達・・・もう会え無くなっちゃうのかなぁ」
「だ、大丈夫だよ!きっとまた霊夢さんが何とかしてくれるよ・・・」
そういう大妖精の声も震えていた。幻想郷の消滅の事は他の妖精に聞いたらしい。
「うぅ、またレティに会いたかった。まだ『いつもありがとう』も言ってないのに・・・」
「チルノちゃん・・・」
(あら、その程度の願いなら叶えてあげるわよ?)
「だ、だれ!?」
大妖精は突然の事で驚いていた。
「は~い♪私は八雲紫、宜しくね♡」
空間に裂け目ができ其処に姿を現したのは紫だった。
「ね、ねえ!叶えてあげるってどう言う事なの?おばs」
チルノは突然の浮遊感を感じたかと思うとスキマの中に落ちていった。
「おばさんじゃなくてお姉さんよ。言葉には気をつけなさい」
すぐ隣にいた大妖精が怯えている。
「は、はぇあ」
もはやなんて言ってるのか判らなかった。とその時上から何かがドスン!!と落ちてきた。そこに面白いほど生気が無いチルノがいた。
「八雲紫様すみませんでした。紫様は若々しいです。この駄ブタめを踏んで下さい。はは、ははは・・・」
「ひえ!」
壊れていた・・・何があったのだろう。
「ほら、目を覚ましなさい」
紫はチルノの頬をペチペチ叩く。
「はうあ!」
チルノは目が覚めたかの様にパッと目を見開いた。そして大妖精が口を開く
「で、どうやってレティを連れてくるのですか?」
「簡単よ、あの娘は冬以外は涼しい所で寝てるんでしょ?それなら彼女の季節の境界を弄ってしまえばいいのよ」
そういうと紫は扇子を右から左へ動かしこう言った。
「はいお終い。あっちの方であなたの友達が待ってるわ」
「ありがとう!じゃあ早速行こう大妖精!」
「うん!えっと・・・ありがとうございました!」
そういうとチルノ達は去っていった。
~現在~
「と言う訳よ」
見ると彼女の足元だけ草が枯れている。
「・・・紫」
「それじゃあ、私達はもう行くけど霊夢さんは如何するんですか?」
そう聞かれた霊夢は少し考え込んだと思うと
「私も神社にもどるわ」
そういって空にほんの少し浮いてみせた。
「そうですか」
「じゃあね」
霊夢は大妖精達に手を振った。
「さようなら」
「じゃーねー!」
「さよなら」
「ねえ、私色んな所を見て回りたいわ!春なんて季節初めてだもの」
「うん!じゃーレッツゴー!」
「わわ!待ってチルノちゃーーーん」
こうして妖精と冬の忘れ物は去っていきました。その一部始終を見ていた人が二人いた。
「ああ、微笑ましいわねぇ。やって良かったわ~。ああ藍、ちょっとお酒持ってきて今私の気分は最高よ」
「はいはい少々お待ちを、良かったんですか?あんな事して、また崩壊が早まってはいけないでしょうに」
今酒を運んでいるのは紫の式の八雲藍。彼女もまた自分の式を持つ。マヨヒガの苦労人だ。
「ぷは!・・・いいのよあの程度なら問題ないわ。それに霊夢がさっきのチルノちゃんと大妖精の顔を見てみなさい、彼女、へこむわよ?」
スキマの中で二人は妖精達のさっきの笑顔を思い出しながら微笑んでいた。
妖怪と式が酒を飲んでいる時霊夢は神社に帰っていた。
「お~、見事に全部終わってる」
魔理沙はと言うと深い眠りに落ちていた。
「と言う事はお賽銭も・・・」
霊夢は賽銭箱を開けてみた。其処に入っていたのは
「・・・・・・百円」
光輝く銀の硬貨だった。その賽銭箱の中身に霊夢は
「百円!!」
その百円を握り締め小躍りしていた。その様子に普段の賽銭箱の悲しい現状を物語っていた。その時の魔理沙はと言うと
「お、おい!香霖!?やめろ!!落ち着け!!」
寝言を言っていた。
「あら、そっちは大変ねえ、何されてるのかしら。」
「あ、ああ・・・・やめろ、そんな大きいのなんて入らない!」
「!?何の夢よ!」
霊夢は気になって仕方が無いがとりあえずお茶を飲む事にした。
「?」
霊夢は異変に気付いた。
「う、嘘」
そう、あるものが無い。
「アッーーーーーーーーーーーーー!!!」
隣の部屋で魔理沙が叫んでたが気にしない。
「お茶が全部飲まれてる・・・」
霊夢は思い出した。魔理沙につい行ってしまったあの言葉を。
(お茶とか自由に飲んでいいから)
魔理沙を責める事はできない。だがここまで遠慮なしに飲む事も無いだろう。その時霊夢はゴミ箱の中を見てしまった。
「一回使ったのをすぐに捨ててる・・・」
霊夢は普段出涸らしを使おってお茶を飲んでいる。もう凡人には「え?お湯?」ってくらいにしか感じられないほどに。一回使ってすぐ捨てる。これは霊夢にとって我ら凡人が一万円札をトイレットペーパーに使うほど贅沢な事なのである。その時の魔理沙の寝言は
「うう、そんな大きいがんもどき入るわけが・・・も、もうやめてくれ・・・」
おでんの夢を見ていた。霖之助に大きなおでんを口に押し込められている夢だった。
「明日の魔理沙の朝御飯は・・・おでんだ。あいつの家の冷蔵庫の中も・・・」
霊夢は怪しく笑っていた。魔理沙はしくしく泣いていた。
続く