霊夢が漁師になった。
ことの発端はレミリアにある。
屋敷の外を見るとあまりに陽気がよく、ゆるやかに風も吹いて過ごしやすそうなので散歩に出かけようかしら、と咲夜連れて屋敷を出て湖のそばを飛んでいたときにふと考えた。無生物の運命も見えるのかしらと。
好奇心を抑えきれず、眼下にある湖の運命を見てみたら、いくつもの運命が見えその中の一つに湖が海になるというものがあるではないか。
じっと湖を見るレミリアに咲夜が話しかけようとしたとき、風に潮の香りが混じった。
面白そうだからという理由で、ちょいっと運命をいじって海になった湖からさっそく潮の香りが漂ってきたのだ。
霊夢は巫女だ。異変を解決する博麗神社の巫女。
湖が海になるというやや規模は小さいが立派な異変を解決するため霊夢は動く。
湖近くにある紅魔館に何か知らないかと尋ねた霊夢はすぐに真相を知る。
「元に戻しなさい」
「無理よ。変えた運命を戻す事なんてできないわ」
「どうして海に変えたりしたのよ」
「好奇心に負けてつい」
てへりと舌を出し首を僅かに傾ける仕草に、咲夜が鼻血の花を咲かせた。
次の瞬間には血の跡はなく、何事もなかったかのように咲夜はレミリアのそばに立つ。
「失礼」
表情一つ変えず咲夜はただ一言断って再び静かに佇む。
霊夢とレミリアはいつものこととスルーして話を続ける。
「もう一回運命をいじって湖に戻すってことはできないの?」
「まだ海に飽きてないからやる気はないわ」
「そう、わかった」
霊夢はレミリアに背を向ける。
「あら、もう帰るの?」
「ここにいても意味はなさそうだし」
「もっとゆっくりしていけばいいのに」
弾幕ごっこで負かしてもどうにもできそうにないと判断し、ほかの方法を探すことにしたのだ。
紅魔館の主従に見送られ霊夢は窓から出て行った。
家に帰って自分で考えてみたもののどうにかできる案が浮かばなかった霊夢は、いろいろな人たちに解決方法を聞いてみることにした。
賢者と呼ばれる紫に始まり、神のいる守矢神社、里に住む半獣、永遠亭などを訪ねて事情を話し意見を聞いた。
返答はどれも似たようなもので、海に変わっただけなら問題ないのでは? というものだった。
むしろ貴重な海の幸がとれて変えないほうがいいのでは? という意見もあった。
霊夢はその意見に頷きながらも、やはり巫女としての仕事は放棄できないと異変解決に意欲を燃やす。
数日のんびりと海の幸を味わいながら考えた霊夢だが、いい案は思いつかなかった。
魚料理のレパートリーが増えたくらいだ。
「どうしたらいいのかしらね」
うーんうーんと悩んでみても浮かぶのは、今日はシンプルに塩焼きで、といった献立のみ。
このまま海のままでもいいかなぁなんて、考えが傾いていく。
海のままだと幻想郷の各方面にどんな影響がでるかわからないので、その考えは駄目だと自分を叱咤する。
「考え方を変えてみましょう。
湖に戻すんじゃなく、海じゃなくする。
……そもそも海ってなんだろう?」
海の定義が即座には思いつかないので、埃を被っていた事典を引っ張り出し、海の項目を見てみた。
そこには、塩水をたたえた水産動物のいる場所と書かれている。
「……塩分をどうにかして、魚介類がいなくなれば海ではなくなるわね」
少し考えた霊夢の頭の上に豆電球が現れ光った、ような気がした。
「萃香に湖の塩分を集めさせよう」
思いついたら即実行と萃香を呼ぶ。しかしいくら呼んでも萃香は現れない。
「どうしたのかしらね?
……あ、地獄の鬼に会いに行くって言ってたっけ」
一昨日、海の幸を手土産に地獄に行くと言っていたこと思い出す。
まだまだ宴会の真っ最中なのだろうと考え、萃香はあてになりそうにないと判断。
「萃香がいないんじゃこの手は使えないわね。
となると魚を…………とりつくしていなくさせればいい?」
漁師霊夢誕生の瞬間である。
その日から一ヵ月後には、漁船博麗丸(にとり作)を操り湖上を走り回る霊夢がいた。
今日に至るまでいろいろなことがあった。
発破漁法ならぬマスパ漁法で漁場を荒らす魔理沙と対立したり、己の経験技量の足りなさに涙したり、獲った魚の後処理に悩んだりだ。
だが漁船に立ち、日に焼けからっとした笑顔を見せる霊夢はそういったことを感じさせない。
いまや立派な海の女だ。
獲物は大物狙いだぜ、が口癖になってきた魔理沙を相棒として今日も霊夢は海に出る。
そして大漁旗を海風にはためかせて港に帰ってくるのだろう。
湖の魚をとりつくすまで霊夢の漁業は終らない!
かのように思われたが、潮の香りが嫌になったレミリアが再び湖の運命を操り、淡水湖としたことで今回の異変はあっけなく幕を閉じた。
紫が動かなかったのは、こうなることが予測できていたからだったりする。
ことの発端はレミリアにある。
屋敷の外を見るとあまりに陽気がよく、ゆるやかに風も吹いて過ごしやすそうなので散歩に出かけようかしら、と咲夜連れて屋敷を出て湖のそばを飛んでいたときにふと考えた。無生物の運命も見えるのかしらと。
好奇心を抑えきれず、眼下にある湖の運命を見てみたら、いくつもの運命が見えその中の一つに湖が海になるというものがあるではないか。
じっと湖を見るレミリアに咲夜が話しかけようとしたとき、風に潮の香りが混じった。
面白そうだからという理由で、ちょいっと運命をいじって海になった湖からさっそく潮の香りが漂ってきたのだ。
霊夢は巫女だ。異変を解決する博麗神社の巫女。
湖が海になるというやや規模は小さいが立派な異変を解決するため霊夢は動く。
湖近くにある紅魔館に何か知らないかと尋ねた霊夢はすぐに真相を知る。
「元に戻しなさい」
「無理よ。変えた運命を戻す事なんてできないわ」
「どうして海に変えたりしたのよ」
「好奇心に負けてつい」
てへりと舌を出し首を僅かに傾ける仕草に、咲夜が鼻血の花を咲かせた。
次の瞬間には血の跡はなく、何事もなかったかのように咲夜はレミリアのそばに立つ。
「失礼」
表情一つ変えず咲夜はただ一言断って再び静かに佇む。
霊夢とレミリアはいつものこととスルーして話を続ける。
「もう一回運命をいじって湖に戻すってことはできないの?」
「まだ海に飽きてないからやる気はないわ」
「そう、わかった」
霊夢はレミリアに背を向ける。
「あら、もう帰るの?」
「ここにいても意味はなさそうだし」
「もっとゆっくりしていけばいいのに」
弾幕ごっこで負かしてもどうにもできそうにないと判断し、ほかの方法を探すことにしたのだ。
紅魔館の主従に見送られ霊夢は窓から出て行った。
家に帰って自分で考えてみたもののどうにかできる案が浮かばなかった霊夢は、いろいろな人たちに解決方法を聞いてみることにした。
賢者と呼ばれる紫に始まり、神のいる守矢神社、里に住む半獣、永遠亭などを訪ねて事情を話し意見を聞いた。
返答はどれも似たようなもので、海に変わっただけなら問題ないのでは? というものだった。
むしろ貴重な海の幸がとれて変えないほうがいいのでは? という意見もあった。
霊夢はその意見に頷きながらも、やはり巫女としての仕事は放棄できないと異変解決に意欲を燃やす。
数日のんびりと海の幸を味わいながら考えた霊夢だが、いい案は思いつかなかった。
魚料理のレパートリーが増えたくらいだ。
「どうしたらいいのかしらね」
うーんうーんと悩んでみても浮かぶのは、今日はシンプルに塩焼きで、といった献立のみ。
このまま海のままでもいいかなぁなんて、考えが傾いていく。
海のままだと幻想郷の各方面にどんな影響がでるかわからないので、その考えは駄目だと自分を叱咤する。
「考え方を変えてみましょう。
湖に戻すんじゃなく、海じゃなくする。
……そもそも海ってなんだろう?」
海の定義が即座には思いつかないので、埃を被っていた事典を引っ張り出し、海の項目を見てみた。
そこには、塩水をたたえた水産動物のいる場所と書かれている。
「……塩分をどうにかして、魚介類がいなくなれば海ではなくなるわね」
少し考えた霊夢の頭の上に豆電球が現れ光った、ような気がした。
「萃香に湖の塩分を集めさせよう」
思いついたら即実行と萃香を呼ぶ。しかしいくら呼んでも萃香は現れない。
「どうしたのかしらね?
……あ、地獄の鬼に会いに行くって言ってたっけ」
一昨日、海の幸を手土産に地獄に行くと言っていたこと思い出す。
まだまだ宴会の真っ最中なのだろうと考え、萃香はあてになりそうにないと判断。
「萃香がいないんじゃこの手は使えないわね。
となると魚を…………とりつくしていなくさせればいい?」
漁師霊夢誕生の瞬間である。
その日から一ヵ月後には、漁船博麗丸(にとり作)を操り湖上を走り回る霊夢がいた。
今日に至るまでいろいろなことがあった。
発破漁法ならぬマスパ漁法で漁場を荒らす魔理沙と対立したり、己の経験技量の足りなさに涙したり、獲った魚の後処理に悩んだりだ。
だが漁船に立ち、日に焼けからっとした笑顔を見せる霊夢はそういったことを感じさせない。
いまや立派な海の女だ。
獲物は大物狙いだぜ、が口癖になってきた魔理沙を相棒として今日も霊夢は海に出る。
そして大漁旗を海風にはためかせて港に帰ってくるのだろう。
湖の魚をとりつくすまで霊夢の漁業は終らない!
かのように思われたが、潮の香りが嫌になったレミリアが再び湖の運命を操り、淡水湖としたことで今回の異変はあっけなく幕を閉じた。
紫が動かなかったのは、こうなることが予測できていたからだったりする。
誤字脱字らしきモノ
「風に潮に香りが~」→「潮の香り」
「海ままだと~」→「海のまま」
ああ、でも霊夢の異変解決の仕方ってすべてこんな感じでしたねwww
>メバルの煮付けが上手くできなかったので書いてみた
ええ!?