ある日妖夢は悩んでいた。白玉楼に向かう途中にある長い階段に腰を掛け、両手を顔に持っていきお悩みポーズ。
まだまだ幼さの残るその顔には、長年会社に勤めていたサラリーマンの如く疲れが見える。
「はあ・・・・」
彼女がため息を吐くき、そのポケットから一把の藁を取り出す。それを見つめてまた一息ため息をつく。
彼女がため息を吐くことは珍しくは無いのだが、今日は頻度が多い。ちなみに普段のため息の元凶は彼女の主、西行寺 幽々子のわがままや食費だったりする。
家計簿を付けていて、主の食費が全体の70%を占めていあた事を知ったときは思わず絶句してしまった。ちなみに秋の時は「いやいや、妖夢。食欲の秋よ?普段の倍を用意してみなさい」とか何とか言って80%を占めていた。
まあこれは過ぎたことだと思い直し、顔をプルプルと振って思考を戻す。
改めて自分の手にある、一把の藁を見つめ今朝の会話を思い出す。
「ようむ~、ようむ~」
「はい、お呼びでしょうか?幽々子様」
「呼んだわ。じゃあそこに座りなさい」
「はあ・・・」
「実はね、今日は久々に倉庫にある書物を読みにいってたのよ」
「はい」
「それでね、面白い話の書いてある書物を見つけたのよ」
「面白い話・・ですか?」
「ええ、読んでみてとてもワクワクしたのよ。それでね妖夢、良い事思いついたのよ」
「・・・・なんでしょうか?」
「そんなあからさまに嫌な顔をしないで妖夢。大丈夫よ、簡単なことだから」
「はあ・・・。それで良い事とは?」
「この物語の主人公と同じ事をして来てほしいのよ」
「・・・・は?」
「だから、書物に出てくる主人公と同じことをしてきて欲しいの。ちなみに作品名は、わらしべ長者っていうのよ。」
「・・・わらしべ長者といいますと、あの物々交換で最終的に家を手にするアレですか?」
「ええ、そうよ。ということで・・・・・はい藁。」
「あ、どうもありがとうございm・・って幽々子様!?」
「あ、ちゃんと良いものと交換してもらうまで帰ってきては駄目よ?」
「え・・・え!?そんなあ・・・」
「いってらっしゃ~い。頑張ってね妖夢♪」
「うう・・・」
思い出しただけで涙が出てきた。今回のはあまりに唐突で、理解する前に追い出されてしまった。
でも主の気まぐれ難題は何時もの事なので、今は少し冷静になってきた。
順に整理してみよう。
1・藁を渡された→無理でした→お仕置き(もちろん性ry・・)→BADEND。これは却下。
2・藁を渡された→誤魔化すために人里で何か買って帰る→恐らくバレる→お仕置き(もちろry・・)→BADEND。これも却下。
3・藁を渡された→素直に任務遂行→何かもらう→帰って何とか納得してもらう→不満だったら、お仕ry・・→BADEND
あれ?成功例なくね?いやいや、落ち着け妖夢。冷静に考えれば3が一番だ。
そうと決まればと、すっと立ち上がる妖夢。とりあえずそれっぽい所に行ってみることにした。
向かった先は博麗神社。実際妖夢はそんなに外の世界を知っている場所は多くなので、おのずと行く場所が決まっている。
鳥居を潜って、霊夢の家の玄関前に立つ。
「こんにちは~。霊夢―、いますかー?」
彼女が声を掛けても中からは何の返事も来ない。
「おかしいな・・・、留守かな?」
ためしに玄関の引き戸を開けてみる。ガラガラっと開いてしまった。
「あれ、開いてる・・・・。失礼します」
玄関が開いてるのなら中で待たせてもらおうと思い、中に入る妖夢。家に入り、居間に向かうとそこには霊夢が倒れていた。
「っ!霊夢!?」
慌てて霊夢の上半身を起こす妖夢。顔をペチペチと叩いて意識を確認する。
「・・・・うぅ」
何度か叩くと霊夢は意識を取り戻した。
「霊夢!大丈夫!?」
「うう・・・、よ・・妖夢?」
「何があったの!?まさか妖怪に・・・!」
霊夢が弱弱しく首を横に振る。
「じゃ、じゃあ何が!?」
そのとき盛大に霊夢の腹がなった。
「・・・・まさか・・・空腹?」
コクリ。霊夢は頷き、指で4の数字を表す。
「・・・・!。まさか四日も絶食を!?」
妖夢は慌てて周りを見渡し、食料の有無を確認しようとする。
「無駄よ・・・、この辺の食料食いつくしたわ。庭にある草もね・・・」
どうりで、博麗神社の庭が異様にキレイだったわけだ。思わず舌打ちをする妖夢。
なにか、何か方法は無いのか。自分の持ち物確認する。
楼観剣・白楼剣・いつもの服・頭に載せたリボン。食料品は一切持ってはいなかった。
誰だ今キクラゲ持ってるじゃんって言ったのは。
他に何か無いかとポケットも探す妖夢。そこには一把の藁があるのみだった。
しかし、霊夢の目つきが変わった。藁を食い入るように見つめている。
なんとなく妖夢は、藁を霊夢に近づける。
パク。
なんと霊夢は藁を食べた。そのままモニュモニュと噛み締めていき、飲み込む。
唖然とした表情の妖夢をよそに、霊夢は上半身を起こし妖夢の方を向く。
「助かったわ、妖夢。ありがとう」
「あ・・いえ、そんなことは」
「しかし、藁って食べられたのねえ・・・・盲点だったわ」
「これなら、紙類や畳もいけるのかしら・・・・」
なにやら恐ろしい事を口にしながら考え込む霊夢。人間は窮地に立たされると、何でもするらしい。
「あの・・・・霊夢?」
「それなら柱やテーブルもいけるんじゃ・・・・、ん?なに妖夢?」
「いや、少し落ち着いたほうが・・・」
「私は至って冷静よ、それより妖夢。あなたには感謝してるわ。新しい発見もできたし」
「え?いや・・」
「たいしたお礼は出来ないけど、これあげるわ」
シュルシュルと自分の胸に巻いていたサラシを解き、妖夢に手渡す。
「え?」
「それじゃあ妖夢、私は用事が出来たの。またね」
そう言って霊夢は妖夢を追い出した。
サラシを握り締めたまま妖夢は呆然と庭で立ちつくす。
「え・・、これ・・どうしろと?」
サラシをみつめて呟く妖夢。確かに藁より良い物だが、使用済みとはこれいかに。
しかし、いつまでも立ち尽くすわけにもいかない。幽々子様の用件をさっさと片付けるために、博麗神社をあとにする。
妖夢の去った神社では、ゴリゴリっと木を噛んだような音だけが木霊していた
次に向かうは紅魔館。少し前にあそこに住むメイド長に負けて以来、同じ立場に立たされている親近感からか、よく宴会で会話するほどの仲になった。
それに、あの人はいつも凛としていてとても頼りになりそうな人だ。今回のを相談してみる事にしよう。
毎度毎度昼寝をしていて、門番かどうかも怪しい美鈴の居る門の前に行く。案の定昼寝をしていた。
そのよこを華麗にスルーして紅魔館にはいる。
哀れ美鈴、この後彼女を待つ運命はレミリアでもとめられないだろう。
「すいませ~ん、妖夢と申します。咲夜さんいらっしゃいませんか~?」
紅魔館の扉を叩き咲夜を呼ぶ妖夢
すると中から一人の妖精メイドが出てきて、妖夢を確認すると頭を下げて挨拶をする。
「こんにちは、妖夢様。少々お待ちくださいませ」
何度か咲夜に会いに来たことある妖夢は紅魔館に来る数少ない無害な来客として歓迎されている。
よってメイドは顔を確認するだけで、すぐに咲夜を呼びに行った。
待つこと数分、咲夜がやってきた。
「あら、こんにちは妖夢。何か用かしら?」
「こんにちは、咲夜さん。実は相談したいことが・・・」
「あら、半霊のお客とはめずらしい」
妖夢が用件を告げようとした時に、レミリアガやってきた。何度か紅魔館に来たことはあったけど、主には会ったことがなかった。
でも、前に紅魔館に行ったときに咲夜から聞いた話だが、そうとう素晴らしい主らしい。あの咲夜さんがベタ褒めするのだから相当な人なのだろうと妖夢は思っていたので、いきなり現れたことに妖夢はあせった。
わたわたと焦った拍子に、ポケットにしまって置いたサラシが地面に落ちる。
それを見たレミリアは血相を変えながら凄い速さでサラシを拾い上げる。
「こ・・・・これは」
サラシを裏表にしたり、触り心地を確かめたり、匂いを確かめたりしてからレミリアは妖夢に聞く。
「貴方は、これをどこで手に入れたのかしら?」
後ずさりをする程の威圧をしながら静かに問うレミリア。その空気に押されながらも妖夢は答える。
「そ、それは霊夢から貰った物です」
「へえ・・・、貰った・・・ね。この入手不可能レベルMAXで私でさえ・・・そう、私でさえ何度もオネダリをしても、寝込みを襲っても手に入らなかったサラシを貴方がね・・」
フット、笑みを浮かべて妖夢を見据えるレミリア。目が笑ってなくて怖い。
「さて、参考がてらどうやって手に入れたか、私は知りたいんだけど?」
その笑みに完璧に気おされた妖夢は、すべてを話す。
「そうか・・、餌付けか・・・。盲点だったわ・・」
すべてを話し終わった妖夢は目もくれず、ブツブツと考え込むレミリア。
「あの・・・?」
思わず話しかける妖夢。
「そうよ・・・、きっと肉でも用意すれば霊夢は何でも私に差し出すはずよ・・・・・・ん?ああ、わすれてたわ。咲夜」
「はい、お嬢様」
「この子に褒美を取らせなさい」
「かしこまりました」
そう言うと、そのままスっと姿を消す咲夜。だがものの数分で戻ってきた。その手には、大きい宝石がひとつ握られていた。おそらくそれで家が何件も建つであろう代物である。
「え?こ、こんなに?」
予想以上のお返しにたじろぐ妖夢。
「気にすることは無いわ。この情報提供には、それくらいの価値があるわ。それに宝石なんて幾らでも取れるものね、咲夜?」
「はい、妹様様様ですね」
何故か、なにかをもぎ取るような仕草をしてみせる咲夜。
「はあ・・、ありがとうございます・・」
案外フランの狂気の元凶はレミリアのせいかもしれない。
「やった、これだけのものがあれば幽々子様も認めてくれるはずだ」
妖夢は意気揚々と白玉楼に戻る。
白玉楼に着いた妖夢は、早速自分の主を探す。
「幽々子様―!ただいま戻りましたー!」
幽々子は縁側でのほほんと、お茶を飲んでいた。
「あらあら、お帰り妖夢。その様子じゃ、何か良い物に化けたのかしら?」
「はい!これです!」
すっと幽々子の前に、キレイに輝く宝石を出す。
「まあまあ」
思っていた以上の物に驚く幽々子。まさか本当にこんな物に化けるとは思っていなかった。
妖夢はそんな幽々子を見て、えっへんと胸を張る。
そして幽々子はうふふっと微笑み、妖夢に言った。
「えらいわ、妖夢。まさかここまでとはおもってなかったわ」
「あ、ありがとうございます!」
主が褒めてくれたことで満面の笑みを浮かべる妖夢。
「あとは、これを下に行って食品に変えてくれば完璧ね、妖夢」
「え?」
新たな要求にぽかんとする妖夢。
「ま、まさか宝石で換金した食料を持って来いと・・・?」
「そうよ♪」
「そんな・・・、これだけの宝石じゃあ、かなりの量に・・・・」
「うふふ、修行よ妖夢」
「そ、そんな~~~~~~~~!!!」
妖夢の悲鳴が白玉楼に響き渡る。
今日も幻想郷は平和だ。、妖夢は
まだまだ幼さの残るその顔には、長年会社に勤めていたサラリーマンの如く疲れが見える。
「はあ・・・・」
彼女がため息を吐くき、そのポケットから一把の藁を取り出す。それを見つめてまた一息ため息をつく。
彼女がため息を吐くことは珍しくは無いのだが、今日は頻度が多い。ちなみに普段のため息の元凶は彼女の主、西行寺 幽々子のわがままや食費だったりする。
家計簿を付けていて、主の食費が全体の70%を占めていあた事を知ったときは思わず絶句してしまった。ちなみに秋の時は「いやいや、妖夢。食欲の秋よ?普段の倍を用意してみなさい」とか何とか言って80%を占めていた。
まあこれは過ぎたことだと思い直し、顔をプルプルと振って思考を戻す。
改めて自分の手にある、一把の藁を見つめ今朝の会話を思い出す。
「ようむ~、ようむ~」
「はい、お呼びでしょうか?幽々子様」
「呼んだわ。じゃあそこに座りなさい」
「はあ・・・」
「実はね、今日は久々に倉庫にある書物を読みにいってたのよ」
「はい」
「それでね、面白い話の書いてある書物を見つけたのよ」
「面白い話・・ですか?」
「ええ、読んでみてとてもワクワクしたのよ。それでね妖夢、良い事思いついたのよ」
「・・・・なんでしょうか?」
「そんなあからさまに嫌な顔をしないで妖夢。大丈夫よ、簡単なことだから」
「はあ・・・。それで良い事とは?」
「この物語の主人公と同じ事をして来てほしいのよ」
「・・・・は?」
「だから、書物に出てくる主人公と同じことをしてきて欲しいの。ちなみに作品名は、わらしべ長者っていうのよ。」
「・・・わらしべ長者といいますと、あの物々交換で最終的に家を手にするアレですか?」
「ええ、そうよ。ということで・・・・・はい藁。」
「あ、どうもありがとうございm・・って幽々子様!?」
「あ、ちゃんと良いものと交換してもらうまで帰ってきては駄目よ?」
「え・・・え!?そんなあ・・・」
「いってらっしゃ~い。頑張ってね妖夢♪」
「うう・・・」
思い出しただけで涙が出てきた。今回のはあまりに唐突で、理解する前に追い出されてしまった。
でも主の気まぐれ難題は何時もの事なので、今は少し冷静になってきた。
順に整理してみよう。
1・藁を渡された→無理でした→お仕置き(もちろん性ry・・)→BADEND。これは却下。
2・藁を渡された→誤魔化すために人里で何か買って帰る→恐らくバレる→お仕置き(もちろry・・)→BADEND。これも却下。
3・藁を渡された→素直に任務遂行→何かもらう→帰って何とか納得してもらう→不満だったら、お仕ry・・→BADEND
あれ?成功例なくね?いやいや、落ち着け妖夢。冷静に考えれば3が一番だ。
そうと決まればと、すっと立ち上がる妖夢。とりあえずそれっぽい所に行ってみることにした。
向かった先は博麗神社。実際妖夢はそんなに外の世界を知っている場所は多くなので、おのずと行く場所が決まっている。
鳥居を潜って、霊夢の家の玄関前に立つ。
「こんにちは~。霊夢―、いますかー?」
彼女が声を掛けても中からは何の返事も来ない。
「おかしいな・・・、留守かな?」
ためしに玄関の引き戸を開けてみる。ガラガラっと開いてしまった。
「あれ、開いてる・・・・。失礼します」
玄関が開いてるのなら中で待たせてもらおうと思い、中に入る妖夢。家に入り、居間に向かうとそこには霊夢が倒れていた。
「っ!霊夢!?」
慌てて霊夢の上半身を起こす妖夢。顔をペチペチと叩いて意識を確認する。
「・・・・うぅ」
何度か叩くと霊夢は意識を取り戻した。
「霊夢!大丈夫!?」
「うう・・・、よ・・妖夢?」
「何があったの!?まさか妖怪に・・・!」
霊夢が弱弱しく首を横に振る。
「じゃ、じゃあ何が!?」
そのとき盛大に霊夢の腹がなった。
「・・・・まさか・・・空腹?」
コクリ。霊夢は頷き、指で4の数字を表す。
「・・・・!。まさか四日も絶食を!?」
妖夢は慌てて周りを見渡し、食料の有無を確認しようとする。
「無駄よ・・・、この辺の食料食いつくしたわ。庭にある草もね・・・」
どうりで、博麗神社の庭が異様にキレイだったわけだ。思わず舌打ちをする妖夢。
なにか、何か方法は無いのか。自分の持ち物確認する。
楼観剣・白楼剣・いつもの服・頭に載せたリボン。食料品は一切持ってはいなかった。
誰だ今キクラゲ持ってるじゃんって言ったのは。
他に何か無いかとポケットも探す妖夢。そこには一把の藁があるのみだった。
しかし、霊夢の目つきが変わった。藁を食い入るように見つめている。
なんとなく妖夢は、藁を霊夢に近づける。
パク。
なんと霊夢は藁を食べた。そのままモニュモニュと噛み締めていき、飲み込む。
唖然とした表情の妖夢をよそに、霊夢は上半身を起こし妖夢の方を向く。
「助かったわ、妖夢。ありがとう」
「あ・・いえ、そんなことは」
「しかし、藁って食べられたのねえ・・・・盲点だったわ」
「これなら、紙類や畳もいけるのかしら・・・・」
なにやら恐ろしい事を口にしながら考え込む霊夢。人間は窮地に立たされると、何でもするらしい。
「あの・・・・霊夢?」
「それなら柱やテーブルもいけるんじゃ・・・・、ん?なに妖夢?」
「いや、少し落ち着いたほうが・・・」
「私は至って冷静よ、それより妖夢。あなたには感謝してるわ。新しい発見もできたし」
「え?いや・・」
「たいしたお礼は出来ないけど、これあげるわ」
シュルシュルと自分の胸に巻いていたサラシを解き、妖夢に手渡す。
「え?」
「それじゃあ妖夢、私は用事が出来たの。またね」
そう言って霊夢は妖夢を追い出した。
サラシを握り締めたまま妖夢は呆然と庭で立ちつくす。
「え・・、これ・・どうしろと?」
サラシをみつめて呟く妖夢。確かに藁より良い物だが、使用済みとはこれいかに。
しかし、いつまでも立ち尽くすわけにもいかない。幽々子様の用件をさっさと片付けるために、博麗神社をあとにする。
妖夢の去った神社では、ゴリゴリっと木を噛んだような音だけが木霊していた
次に向かうは紅魔館。少し前にあそこに住むメイド長に負けて以来、同じ立場に立たされている親近感からか、よく宴会で会話するほどの仲になった。
それに、あの人はいつも凛としていてとても頼りになりそうな人だ。今回のを相談してみる事にしよう。
毎度毎度昼寝をしていて、門番かどうかも怪しい美鈴の居る門の前に行く。案の定昼寝をしていた。
そのよこを華麗にスルーして紅魔館にはいる。
哀れ美鈴、この後彼女を待つ運命はレミリアでもとめられないだろう。
「すいませ~ん、妖夢と申します。咲夜さんいらっしゃいませんか~?」
紅魔館の扉を叩き咲夜を呼ぶ妖夢
すると中から一人の妖精メイドが出てきて、妖夢を確認すると頭を下げて挨拶をする。
「こんにちは、妖夢様。少々お待ちくださいませ」
何度か咲夜に会いに来たことある妖夢は紅魔館に来る数少ない無害な来客として歓迎されている。
よってメイドは顔を確認するだけで、すぐに咲夜を呼びに行った。
待つこと数分、咲夜がやってきた。
「あら、こんにちは妖夢。何か用かしら?」
「こんにちは、咲夜さん。実は相談したいことが・・・」
「あら、半霊のお客とはめずらしい」
妖夢が用件を告げようとした時に、レミリアガやってきた。何度か紅魔館に来たことはあったけど、主には会ったことがなかった。
でも、前に紅魔館に行ったときに咲夜から聞いた話だが、そうとう素晴らしい主らしい。あの咲夜さんがベタ褒めするのだから相当な人なのだろうと妖夢は思っていたので、いきなり現れたことに妖夢はあせった。
わたわたと焦った拍子に、ポケットにしまって置いたサラシが地面に落ちる。
それを見たレミリアは血相を変えながら凄い速さでサラシを拾い上げる。
「こ・・・・これは」
サラシを裏表にしたり、触り心地を確かめたり、匂いを確かめたりしてからレミリアは妖夢に聞く。
「貴方は、これをどこで手に入れたのかしら?」
後ずさりをする程の威圧をしながら静かに問うレミリア。その空気に押されながらも妖夢は答える。
「そ、それは霊夢から貰った物です」
「へえ・・・、貰った・・・ね。この入手不可能レベルMAXで私でさえ・・・そう、私でさえ何度もオネダリをしても、寝込みを襲っても手に入らなかったサラシを貴方がね・・」
フット、笑みを浮かべて妖夢を見据えるレミリア。目が笑ってなくて怖い。
「さて、参考がてらどうやって手に入れたか、私は知りたいんだけど?」
その笑みに完璧に気おされた妖夢は、すべてを話す。
「そうか・・、餌付けか・・・。盲点だったわ・・」
すべてを話し終わった妖夢は目もくれず、ブツブツと考え込むレミリア。
「あの・・・?」
思わず話しかける妖夢。
「そうよ・・・、きっと肉でも用意すれば霊夢は何でも私に差し出すはずよ・・・・・・ん?ああ、わすれてたわ。咲夜」
「はい、お嬢様」
「この子に褒美を取らせなさい」
「かしこまりました」
そう言うと、そのままスっと姿を消す咲夜。だがものの数分で戻ってきた。その手には、大きい宝石がひとつ握られていた。おそらくそれで家が何件も建つであろう代物である。
「え?こ、こんなに?」
予想以上のお返しにたじろぐ妖夢。
「気にすることは無いわ。この情報提供には、それくらいの価値があるわ。それに宝石なんて幾らでも取れるものね、咲夜?」
「はい、妹様様様ですね」
何故か、なにかをもぎ取るような仕草をしてみせる咲夜。
「はあ・・、ありがとうございます・・」
案外フランの狂気の元凶はレミリアのせいかもしれない。
「やった、これだけのものがあれば幽々子様も認めてくれるはずだ」
妖夢は意気揚々と白玉楼に戻る。
白玉楼に着いた妖夢は、早速自分の主を探す。
「幽々子様―!ただいま戻りましたー!」
幽々子は縁側でのほほんと、お茶を飲んでいた。
「あらあら、お帰り妖夢。その様子じゃ、何か良い物に化けたのかしら?」
「はい!これです!」
すっと幽々子の前に、キレイに輝く宝石を出す。
「まあまあ」
思っていた以上の物に驚く幽々子。まさか本当にこんな物に化けるとは思っていなかった。
妖夢はそんな幽々子を見て、えっへんと胸を張る。
そして幽々子はうふふっと微笑み、妖夢に言った。
「えらいわ、妖夢。まさかここまでとはおもってなかったわ」
「あ、ありがとうございます!」
主が褒めてくれたことで満面の笑みを浮かべる妖夢。
「あとは、これを下に行って食品に変えてくれば完璧ね、妖夢」
「え?」
新たな要求にぽかんとする妖夢。
「ま、まさか宝石で換金した食料を持って来いと・・・?」
「そうよ♪」
「そんな・・・、これだけの宝石じゃあ、かなりの量に・・・・」
「うふふ、修行よ妖夢」
「そ、そんな~~~~~~~~!!!」
妖夢の悲鳴が白玉楼に響き渡る。
今日も幻想郷は平和だ。、妖夢は
あと自分の直巻きサラシの価値を理解してる霊夢……
紅魔館のは妹様によって支えられてたんだなぁ
霊夢に藁を近づけてみる妖夢を想像すると、おもしろいw
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