「うう~ん」
竹林の奥にある永遠亭の一室。
ここで一人の女性が、大小様々なビーカーに入った液体を前に思案を重ねていた。
「これ以上は無理ね…」
八意永琳である。彼女は今、(自分の趣味的な)新薬の研究を行っていたのだが…。
「足りないわ…、材料も、機材も」
研究に不可欠な材料や機材を十分にそろえることができない、有り体に言えば予算が足りなかったのである。
「仕方がないわね」
いかに天才といえども、0から何かを作り出すことはできない。それなりの対価が必要である。
というわけで予算を調達するために、席を立った。
さて、永琳が向かった先は、永遠亭の一室、鈴仙・優曇華院・イナバの部屋である。
「ウドンゲ、ちょっといいかしら?」
「あ、師匠。ちょっと待っていてください。もう少しで終わりますので」
「…わかったわ」
部屋には、眼鏡を掛けて書類を見ている鈴仙と、正座しながら待っているてゐの姿があった。
「てゐ、この帳簿だけど…」
あらかたチェックし終えたのか鈴仙がてゐに質問する。
「え、なにかおかしかった?」
「誤魔化してない?」
いきなりの核心を突く質問に、てゐは動揺してしまった。
「そ、そんなことないウサよ?」
「…作り直してらっしゃい」
「そんな、鈴仙様~、ご慈悲を、ご慈悲を~」
「はいはい、行った行った」
鈴仙は冷たくあしらい、てゐに帳簿を押しつける。
てゐは諦めたのか、覚えてろよ~、と捨て台詞を残し、自分の部屋へ。
机を片付けつつ、鈴仙は横で待っていた永琳に話しかけた。
「お待たせしました、師匠。ご用は何ですか?」
「ウドンゲ、お願いがあるのよ」
「何ですか?」
「新薬開発の予算を追加して欲しいのよ」
「だめです」
却下された。それはもう綺麗に、とりつく島もなく、スパッと、サクッと。
「ど、どうしてよ!」
「すでに今月分の予算は渡しているはずですが?もし、足りないなら来月まで待ってください」
「け、けど、画期的な新薬で…」
「特に急がないといけない訳じゃないんでしょう?
永遠亭の経理を任されている以上、勝手な支出は認められません」
そう、永遠亭の財政、経理一般を管理しているのは、鈴仙なのである。
永夜の異変前は、永遠亭は、幻想郷のなかでひっそりと隠れていたため、経理の関係については小規模であったが、
異変後、隠れる必要が無くなり、他との交流が始まると、経理の規模も大きくなった。
各人のどんぶり勘定では永遠亭は立ちゆかなくなるため、経理を一本化、鈴仙に任せたのである。
なぜ、鈴仙なのか。それは、一般の妖怪ウサギたちでは、複雑な計算ができない。
てゐは確実に、色々とちょろまかすであろうから、任せることはできない。
では、永琳はどうなのか。確かに永琳はできる。しかし、永琳は既にある数字との格闘よりも、
新しい薬や、事象を発見していく実験が好きなのである。
それやこれやの事情で、軍隊にいたため、補給にも詳しい鈴仙に白羽の矢が立ったのである。
…姫様?姫様がそんなことできるわk…ゲフンゲフン。
するわけ…でもない、させるわけ、いかないでしょう。
予算のため、永琳はなおも食い下がる。
「こ、この新薬は今までの薬と比べて材料費が1.3倍で効果が2倍になるのよ!
利益が上がるわ!」
「もう、その新薬はできあがっていて、追加した予算で趣味的な薬を作ろうってことですか?」
「そ、そんなことはないウサよ?」
的確な指摘をうけて、動揺する永琳。
「予算は却下。あ、その新薬は提出してくださいよ」
淡々と判断を下し、鈴仙は今日の分の帳簿を整理し始める。
議論は終わった。永琳の一方的な敗北だった。
「…わかったわ。来月までね…」
こうして、うなだれたまま、永琳は部屋に戻っていった。もちろん新薬は提出させられた。
「ふう、これで後はてゐの修正した帳簿だけね」
「ご苦労様ね、イナバ」
「あ、姫様。そんな、お茶を用意していただくなんて、一言いってくだされば…」
「いいのよ、たまにはね」
「はい、ありがとうございます」
「どういたしまして。ところで、イナバ」
「お小遣いは来月まで待ってください」
「なんで私が言おうと思っていることを!?さてはエスパー!?」
「何いってるんですか。毎回、この時期に姫様が私の部屋を訪れるの目的は、それでしょう」
「う!だって、妹紅とのデート(殺し合い)に必要なんですもの!!」
「控えてください」
「そんな!ねえイナb「だめです」そんなこといわずn「だめです」どうしてもだめ?」
「だめと言ったら、だめです」
「うわ~ん、イナバの鬼!悪魔~!!」
「どこの子供ですか、あ、部屋に引きこもっちゃった」
「鈴仙~、帳簿直してきたよ~」
「あ、てゐご苦労様。見せてちょうだい」
「はい、あ~疲れたよ~(私の儲けが7割減だよ)」
「最初から真面目に作りなさいよ」
「ごめんなさ~い、で、今回はどう(今回は自信作、ばれないよね)?」
「うん、これでオッケーね」
「やった~、修正があったらどうしようかと思った(しめしめ、ばれなかった)」
「結構いい時間ね。てゐ、夜雀の屋台いかない?」
「お、いいね~」
「てゐのおごりでね」
「え?どういう事!?」
「それぐらいしても、儲けは残るんでしょ?」
「う、ばれてる!
かなわないな~。わかった、私の負け。りょ~かいで~す」
「よろしい」
こうして二人は屋台に向かっていった。
竹林の奥にある永遠亭の一室。
ここで一人の女性が、大小様々なビーカーに入った液体を前に思案を重ねていた。
「これ以上は無理ね…」
八意永琳である。彼女は今、(自分の趣味的な)新薬の研究を行っていたのだが…。
「足りないわ…、材料も、機材も」
研究に不可欠な材料や機材を十分にそろえることができない、有り体に言えば予算が足りなかったのである。
「仕方がないわね」
いかに天才といえども、0から何かを作り出すことはできない。それなりの対価が必要である。
というわけで予算を調達するために、席を立った。
さて、永琳が向かった先は、永遠亭の一室、鈴仙・優曇華院・イナバの部屋である。
「ウドンゲ、ちょっといいかしら?」
「あ、師匠。ちょっと待っていてください。もう少しで終わりますので」
「…わかったわ」
部屋には、眼鏡を掛けて書類を見ている鈴仙と、正座しながら待っているてゐの姿があった。
「てゐ、この帳簿だけど…」
あらかたチェックし終えたのか鈴仙がてゐに質問する。
「え、なにかおかしかった?」
「誤魔化してない?」
いきなりの核心を突く質問に、てゐは動揺してしまった。
「そ、そんなことないウサよ?」
「…作り直してらっしゃい」
「そんな、鈴仙様~、ご慈悲を、ご慈悲を~」
「はいはい、行った行った」
鈴仙は冷たくあしらい、てゐに帳簿を押しつける。
てゐは諦めたのか、覚えてろよ~、と捨て台詞を残し、自分の部屋へ。
机を片付けつつ、鈴仙は横で待っていた永琳に話しかけた。
「お待たせしました、師匠。ご用は何ですか?」
「ウドンゲ、お願いがあるのよ」
「何ですか?」
「新薬開発の予算を追加して欲しいのよ」
「だめです」
却下された。それはもう綺麗に、とりつく島もなく、スパッと、サクッと。
「ど、どうしてよ!」
「すでに今月分の予算は渡しているはずですが?もし、足りないなら来月まで待ってください」
「け、けど、画期的な新薬で…」
「特に急がないといけない訳じゃないんでしょう?
永遠亭の経理を任されている以上、勝手な支出は認められません」
そう、永遠亭の財政、経理一般を管理しているのは、鈴仙なのである。
永夜の異変前は、永遠亭は、幻想郷のなかでひっそりと隠れていたため、経理の関係については小規模であったが、
異変後、隠れる必要が無くなり、他との交流が始まると、経理の規模も大きくなった。
各人のどんぶり勘定では永遠亭は立ちゆかなくなるため、経理を一本化、鈴仙に任せたのである。
なぜ、鈴仙なのか。それは、一般の妖怪ウサギたちでは、複雑な計算ができない。
てゐは確実に、色々とちょろまかすであろうから、任せることはできない。
では、永琳はどうなのか。確かに永琳はできる。しかし、永琳は既にある数字との格闘よりも、
新しい薬や、事象を発見していく実験が好きなのである。
それやこれやの事情で、軍隊にいたため、補給にも詳しい鈴仙に白羽の矢が立ったのである。
…姫様?姫様がそんなことできるわk…ゲフンゲフン。
するわけ…でもない、させるわけ、いかないでしょう。
予算のため、永琳はなおも食い下がる。
「こ、この新薬は今までの薬と比べて材料費が1.3倍で効果が2倍になるのよ!
利益が上がるわ!」
「もう、その新薬はできあがっていて、追加した予算で趣味的な薬を作ろうってことですか?」
「そ、そんなことはないウサよ?」
的確な指摘をうけて、動揺する永琳。
「予算は却下。あ、その新薬は提出してくださいよ」
淡々と判断を下し、鈴仙は今日の分の帳簿を整理し始める。
議論は終わった。永琳の一方的な敗北だった。
「…わかったわ。来月までね…」
こうして、うなだれたまま、永琳は部屋に戻っていった。もちろん新薬は提出させられた。
「ふう、これで後はてゐの修正した帳簿だけね」
「ご苦労様ね、イナバ」
「あ、姫様。そんな、お茶を用意していただくなんて、一言いってくだされば…」
「いいのよ、たまにはね」
「はい、ありがとうございます」
「どういたしまして。ところで、イナバ」
「お小遣いは来月まで待ってください」
「なんで私が言おうと思っていることを!?さてはエスパー!?」
「何いってるんですか。毎回、この時期に姫様が私の部屋を訪れるの目的は、それでしょう」
「う!だって、妹紅とのデート(殺し合い)に必要なんですもの!!」
「控えてください」
「そんな!ねえイナb「だめです」そんなこといわずn「だめです」どうしてもだめ?」
「だめと言ったら、だめです」
「うわ~ん、イナバの鬼!悪魔~!!」
「どこの子供ですか、あ、部屋に引きこもっちゃった」
「鈴仙~、帳簿直してきたよ~」
「あ、てゐご苦労様。見せてちょうだい」
「はい、あ~疲れたよ~(私の儲けが7割減だよ)」
「最初から真面目に作りなさいよ」
「ごめんなさ~い、で、今回はどう(今回は自信作、ばれないよね)?」
「うん、これでオッケーね」
「やった~、修正があったらどうしようかと思った(しめしめ、ばれなかった)」
「結構いい時間ね。てゐ、夜雀の屋台いかない?」
「お、いいね~」
「てゐのおごりでね」
「え?どういう事!?」
「それぐらいしても、儲けは残るんでしょ?」
「う、ばれてる!
かなわないな~。わかった、私の負け。りょ~かいで~す」
「よろしい」
こうして二人は屋台に向かっていった。
と、そんな戯言は置いといて。さすがうどんげ、師匠をも打ち負かすか
なんと珍しい。だが、アリだ
うどんげみたいなポジションってレベル低いと弄ばれるだけだけど、レベルあがると一気に主すら従える最高権力になる可能性があるんですね
前者が妖夢、後者が藍って感じで
いいですね・・・。いいですよ・・・。
経理的に。