永遠亭某日
医師 八意永琳
患者 ミスティア・ローレライ
みすちーが
れいむにちょっかいかけて
やられた
「あ痛たたた…は、針が抜けないよぅ…」
パタパタパタっ
「こういう時は…びょーいんだっ」
パタパタパタ…
しゅたっ
「うぅ、すいませーん…」
しーん…
「すいませーん…誰か居ませんかぁ~…?」
しーん…
返事が無い…
「しょーがない…」
…すぅ~
「だ~れ~か~♪出~てきてよ~♪雀の~♪お願い~♪」(←夜中、しかも一応重傷の夜雀)
「……ふぁ~い」
気の抜けた返事が返ってきた。
がらがらっ
「あ、ごめん夜遅くに…」
出てきたのはパジャマ姿の永琳。
「ん~?新聞は間に合ってるから…」
がらがらっ…
「きゅ、急患だよ!」
「休刊だったら尚更じゃない…何しに来たのよ」
「急患!新聞休みだからってわざわざ医者にかかりに来るヤツがなんて居ないよ!」
「あーもうめんどくさい…とりあえず入んなさい…」
「あ、うん…イタタ…」
中に通されるみすちー。
永琳はパジャマの上に白衣を羽織った。
「…この時間帯は急患しか受け付けて無いのよ…」
「百%急患だよ!見てよコレ!」
脇腹辺りに刺さった針を見せる。
「あら、ボディピアス?」
「斬新過ぎ!!刺されたんだよ!」
「ああ、蜂」
「蜂じゃないよ!針を刺されたの!!」
「蜂の針を」
「だから蜂じゃない!巫女に!!」
「じゃあいつ蜂が出て来るのよ!?」
「逆ギレ!?大体、何で鳥が虫に刺されなきゃならないのよ!」
「…まぁとりあえずそこに寝て」
「イタタタ…」
示されたベットに向かうみすちー。
「朝一に診るから」
「ちょっ…今診てよ!」
「分かった分かった…じゃあそこに寝て」
「…何でなげやりなのよ」
「うつ伏せに」
……
「いやそれ刺さっていく!刺さっていくから!」
「あ、ごめんじゃあ仰向けで…」
「仰向けとかいいから!先にコレを何とかしてよ!」
「じゃあ一回抜いときましょうか…」
「お願いぃ… は、早くしてっ」
「はいはい…せーのっ」
ぐっ!ずぼっ!
「うぅっ!」
「あ、しまった」
ぐさっ!ぐりっ…
「おぉう!?な、何で!?」
「いや、問診するの忘れてたな~って」
「忘れたな~って…いや、それより何でもう一回刺したの!?しかも『ぐりっ』って捻ったよね!?」
「やっぱり手順は踏まないと…」
話を聞かずカルテを取り出す永琳。
とても眠そうだ。
「な、何なのよ…一体!?大丈夫なのホントに!?」
「えーっと…今日はどうされました?」
「今までのやり取りは!? 刺されたのよ、巫女に!あとセンセに!!」
「巫女に恨まれてるとかは?」
「向こうのは仕事だから…居たとしたら多分センセだよ」
「じゃあ最初に確認しときたいんだけど、過去に大きな病気とか怪我とかした事は?」
「今だよ!正に今だよ!!」
「じゃあ家族で針に刺された方は」
「一杯居るよ!妖怪だから!でも居たとしたら関係あるの!?」
「遺伝の可能性有り…と」
「無いよ!どんな遺伝だよ!針で刺される遺伝って!!」
「じゃあ伝統って書き直しておきますね」
「要らないよ!!くそぅ…なによぅ…何かさっきからムカつくなぁ…」
「ふむ…胃がムカつくと」
「違うよ!センセの言葉だよ!!ホントにセンセお医者さんなの!?」
「ちょっと待ちなさい…それは聞き捨てなりませんね」
「何?」
「私は医者…医者はケガや病気を絶対に許さない…」
「うん…」
「アナタの体にケガや病気を見つけたら!睨みつけてやるわ!」
びしぃっ!!
「治してよ!!見つめてないで!!」
「まぁツライのは分かるけど気持ちで負けちゃ…駄目よ?」
「気持ちでは勝ってるよ…むしろ大差で勝ってるよ!」
「昔から言うじゃない、『ヤバイッ!腋から!!』」
「おかしいでしょ!?ソレを言うなら『やばいは…』」
「やばいは?」
「えっ~と…何だっけ……やばいは~…と、とにかく違うよ!!大体昔は腋から何が出たのよ!」
「鬼とか巫女とかはよく知ってるハズよ…」
「出してる人限定!?」
「他に痛い所とかはありますか?」
「何も無いよ、刺された痛みだけだよ!!」
「じゃあ刺された時はどう思いましたか?次のうちから選んでね」
「何?そのアンケートみたいなのは!?」
「一:痛い 二:痛くない 三:巫女嫌い」
「三番おかしいでしょう!?それに二番選ぶヤツは死んでるじゃない!!」
「じゃあ消去法でいくと…一番って事で」
「じゃあって何よ!」
「次の質問、それはボディピアス?」
「針!!」
「蜂の?」
「巫女の!!もういいよ!もう余所行くよ!!」
「ちょっと待ちなさい!」
パタパタパタパタッ!!
「バーーーカ!!!!うわぁ~ん!!」
「何よ…元気じゃない」
この後、何だやかましいなぁと思って起きてきた姫様が、泣きながら飛んでいくみすちーをたまたま見かけ、
何事かと追いかけて事情を聞き、治療して上げたのでした。
(終)
・・・運命?
姫様優しいなあ