「パチュリー様休憩しませんか?」
本の手入れが一段落ついた小悪魔がパチュリーを休憩に誘っている。
パチュリーは本から目を離さず、頷いた。
「それではお茶の準備してきます」
「ええ」
薄手の手袋を外し図書館に備え付けてあるキッチンへと小悪魔は向かう。
お茶菓子も用意して、素早くされど手を抜くことなどなくお茶を入れていく。
お茶と菓子をテーブルに運び終えてからパチュリーに声をかける。
「準備終りました」
パチュリーはしおりを挟んで本を閉じ、お茶の置かれたテーブルに座る。
和やかに談笑などしながら小さな茶会は進む。
そんななか小悪魔がふと思い出したかのようにパチュリーに頼みごとをする。
「パチュリー様、薬を作ってもらえませんか?」
「薬? どんなものが必要なの?
効果とほしい理由によっては作らないでもないわ」
「一時的に若返るものと一時的に小さくなる薬を作ってもらいたいのです」
「それ同じものじゃないの」
ちょこんと首を傾げ聞く。
それに小悪魔は首を横に振る。
「小さくなるのは今の体格のままサイズを縮めるというものですから、若返りとは違います」
「なるほどね。それじゃ理由は?」
「少し前に私が咲夜さんと里に買出し行ったじゃないですか?
そのときに咲夜さん子供を見て、少し微笑みを浮かべてたんですよ。
咲夜さん子供好きなのかなって思ったわけですが、もしかしてお嬢様に仕えている理由も子供好きなからなのかと思いまして。
それならちょいと実験でもして確かめたいなと思って。始めはお嬢様を一時的に成長させて咲夜さんの反応を見ようと考えたわけですが、お嬢様に
薬を飲ませるわけにはいきませんから、かわりに美鈴さんを巻き込んでみようと思いついたわけです」
「つまり?」
「美鈴さんに厳しいのは美鈴さんがいろいろと大きいせいで、もしも小さくなれば仕事をさぼっても怒りはしないのかなと。
ついでに幼女が好きなのか、ミニサイズが好きなのかも調べてみようと思ったわけです」
「何を話しているのですか?」
「っ!」
時を止め現れた咲夜に小悪魔だけが驚く。パチュリーは魔力の変動などを察知していて、来るだろうなと思っていた。
「パチュリー様の健康のためには、オオサンショウウオの丸焼きがいいのではと話していたところです」
焦りを一瞬で立て直し、さらりと嘘をついた。
「そうですか……今晩のメニューにパチュリー様だけ追加しますね」
「はい、そうしてあげてください」
「待ちなさい」
「それで咲夜さんは何をしに?」
パチュリーの静止を聞こえなかったかのように振る舞い小悪魔は聞いた。
「そろそろお茶の時間かと思いまして、でも必要なかったようですね」
「私が準備してしまいましたから」
「それでは私はほかの仕事に戻ります」
そう言って咲夜は時を止め図書館を出て行った。
「どうしてくれるの? オオサンショウウオの丸焼きなんか食べたくないわ」
「ええー美味しいじゃないですか」
「……食べたことあるの?」
「実家の母の得意料理です」
「……お茶もお菓子も美味しかったし、作ってもいいわ」
パチュリーは会話の流れをすっぱりときって、薬の話へと繋ぐ。
このまま話し続けても意味はないと気づいたからだ。それと出てきた丸焼きは小悪魔に食べさせればいいとも。
「ありがとうございます。完成はいつになりますか?」
「五日後くらいよ」
宣言どおり五日後にパチュリーは二つの薬を作り上げた。
液薬入りの小瓶二つを受けとった小悪魔はいつ飲まそうか考える。やがて納得いく案が浮かんだのか頷き楽しそうに笑みを浮かべた。
小悪魔はパチュリー、咲夜、美鈴を呼んで休憩がてら門近くの庭で三時の茶会を開く。
パチュリーには今日実験を開始すると言っておいた。実験結果を知るためパチュリーも茶会に参加する。
紅茶の準備をかってでて、手伝おうとした咲夜にはお茶菓子用意を頼む。
「最近手に入れた茶葉でどんな味なのかわかりませんが」
そう言って紅茶を並べていく。
こう言ったのにはわけがある。液薬によって紅茶の味が変わるだろうと予想したからだ。こう言っておけば多少味がおかしくても言い訳はできると
考えた。
ちなみに使った薬は若返るほうだ。縮むほうはおかわりを頼まれたときに入れるつもり。
「いやーこうやってパチュリー様や小悪魔さんと一緒に休憩するのは初めてですねー。
咲夜さんとは何度かあるんですけど」
楽しそうに美鈴が言う。
「パチュリー様が外に出てくるのは珍しいですね。何かあるのですか?」
聞くのは咲夜。なかなか鋭い。
「たまにはいいかなと思っただけよ。何かあるというわけではないわ」
「外にでるのはいいことですよ。これを機会にもっとアクティブになりましょう!」
「体力不足でとてもアクティブにはなれないわね」
小悪魔の誘いをすっぱりと断る。
「そうですか残念です。
ところで皆さん冷めないうちにお茶を飲んで、感想を聞かせてもらえませんか?」
三人にお茶を飲むように促す。
勧められ三人はお茶を飲む。三人がお茶を飲み下すと、ポンっという音とともに煙が二つ現れ、二人の姿を隠す。
驚いているのは咲夜、これから見るものが楽しみで仕方ないというのは小悪魔。パチュリー、美鈴の表情は煙に隠れて見えない。
「え? え? 何が起こったんです?」
晴れた煙の中から現れた赤い髪の幼女が驚いた声を出す。
「小悪魔、どういうことかしら?」
紫の髪の幼女は薬を盛った従者を可愛らしく睨む。
「はぁ~パチュリー様やっぱり可愛いです。
おもいっきり抱きしめてむきゅ~と言わせたいです~」
主にも薬を盛った小悪魔は頬を赤く染め、パチュリーに見惚れている。
静かな咲夜は幼女美鈴を凝視していた。
「小悪魔さん?」
美鈴を凝視したまま咲夜は小悪魔に声をかける。
「はい?」
「持って帰っていいのよね? いえ持ち帰るわ! 持ち帰るべきなのよ! そういうことだから!」
「ど、どうしたんですか咲夜さん!?」
問いかけたにもかかわらず自己完結した咲夜は、戸惑う美鈴を抱え屋敷内へと去っていった。
咲夜が幼女好きと確定した瞬間だった。
「これの説明をしなさい」
「もうちょっと満喫させてください」
パチュリーを膝に乗せ抱きしめて小悪魔は幸せそうに言う。
「二時間近くこのままなのだから満足してるでしょ」
「仕方ありませんねぇ」
そう言ってパチュリーを抱きかかえたまま話し始める。
「咲夜さんの性癖を知りたいと思ったのは本当です。
その方法を考えて薬を作ってもらおうと考えたとき、ふと思いついたんです。
上手くいけばパチュリー様の小さい頃の姿を見ることができるかもしれない! と。
そしてそれは上手くいきました」
「してやられたわけね。
まあいいわ。普段の働きの報酬としてこの状況を受け入れてあげる。
好きなだけ楽しみなさい」
パチュリーが言った瞬間、小悪魔の目がキランと光った。
「それではお言葉に甘えて。
お着替えしましょうね~」
パチュリーを下ろした小悪魔はいい笑みを浮かべ、どこからともなく幼児用の服を何着も取り出した。
満足するまで抱いたままだと思っていたパチュリーは少し後ずさる。とても前言撤回したかった。
数時間に及ぶ観客一人だけのファッションショーの開幕だ。
一方、咲夜と美鈴はベッドの中で楽しんでいた。しかも美鈴優勢。
その日レミリアは従者と親友に相手にされず、フランドールに泣きつくことになる。
性的な意味で