※創想話53 四季のベジタブルマスターの番外編です。
2050年――
人口爆発による食糧難。
石油枯渇によるエネルギー問題。
進んでいく環境破壊。
外の世界は、いままさに、死を迎えようとしていた。
外の世界が終わってしまえば、幻想郷もまた存在することが難しくなる。
八雲紫は、そのことを危惧し、とある妖怪をたずねた。
「風見幽香、あなたの力が今こそ必要なの。
お願い、世界を救うために私とともに戦って」
◆
かつて、広大な農地を抱えたアメリカ大陸。
石油が枯渇してからは、バイオエタノールの材料だけが大量に作られ
食料に目を向けられることは少なくなっていた。
それが招いた結果。
金だけを求めた農家たちを民衆の暴動が襲い、その機能は完全に停止していた。
もちろん、アメリカ大陸だけがそのような状態になっていたわけではない。
世界中どこを見渡しても、同じような光景が広がっていた。
それでも人間の数は膨れ上がり
その総数は100億人を数えるまでに至っているというのはなんとも皮肉。
100億人に行き渡る食料生産能力は、当然存在しない。。
結果、今日食べるに困る人間も爆発的に増え続け、各地で食料や水を巡っての紛争が続いていた。
それでも食料は作られない。
燃料がなければ、世界は回らない。
一部の農民は、バイオエタノール用の野菜を作り続け
そしてさらに極一部の人間だけが豊かな生活を享受していた。
まさに今、人類は黄昏を迎えているといっても過言ではなかった。
アメリカ大陸、某所。
耕されることもなくなり、荒れ果てた農地へ降り立つ女性が二人。
二人とも日傘を差し、渋い顔をしていた。
「お願いするわ、風見幽香」
「ええ、任せておいて」
風見幽香は手を天にかざし、何やらを呟いた。
それは神への祈りの言葉か、あるいは自己へ向けた言葉か。
荒れ果てた農地に、光の粉が降り注ぐ。
「起きなさい、私の眷属たち」
始めはゆっくり、そして、ある一瞬から萌え上がってゆく緑たち。
「相変わらず、むちゃくちゃな能力を持ってるのね・・・・・・。花をなんのリスクもなく生み出すだなんて」
「まさか。あなたの能力に比べたらまだまだ可愛いものじゃない」
「そう、ね。時間がないわ。私たちがこれからすべきこと。
アマゾンの熱帯林の再生、すべての砂漠の緑化。
世界の崩壊を救えるのは、私とあなたしかいないわ」
「救世主みたいに言われるとくすぐったいわね、でも悪い気はしないわ」
そういって高笑いする風見幽香。
最初はどうなるかと思ったけれど、案外簡単に幽香は協力をしてくれた。
もう、何十年も前になった幻想郷の危機を思い出す。
あの時も、食料を巡ってたくさんの人々が犠牲になった。
しかし、その犠牲は無駄ではなかったのだ。
風見幽香が風見農香にクラスチェンジしたことが
今、世界を救おうとしているのだから。
「ありがとう、風見農香。きっと世界は救われるわ」
「農香っていうな!!」
◆
そして、月日は流れた。
絶望しきっていた世界に突如緑が溢れ、人類の抱えていた諸問題がすべて解決してからはや四半世紀。
人類は今までないぐらいに、平和というものを謳歌していた。
「なぁ、お前世界で一番発行されてる本って何か知ってる?」
「ん、聖書じゃないのか? ほら、キリスト教の」
「ばっかおめえ、最近その発行部数を抜いた本があるんだっての」
「ああ、それってもしかして」
「そう、世界の抱えた諸問題をすべて解決した伝説のベジタブルマスター・・・・・・。風見農香の伝記さ!!」
人類の黄昏を救った、本当の意味でのメシア。
風見幽香はここにいる。
ありがとう風見農香、君のおかげで世界は救われた。
しかし・・・・・・。その犠牲は、君にとってあまりにも大きいものだった。
君はついに、100億人規模で農香りんと呼ばれることになってしまった。
君の活躍は、きっと、この世界が終わるその日まで語り継がれていくだろう。
『世界の乱れるとき、四季のベジタブルマスターが幻想の中より現れ、世界に恒久の平和をもたらすだろう』
俺のノートには、そう書かれている。
ありがとう農香りん!!
さようなら農香りん!!
◆
「くちゅんっ」
「あら農香りん、花粉症?」
「だから農香じゃないってば!! 軽口叩いてると殺すわよ!!」
「やーん、紫怖~い。農香りんがいじめるー」
「だから!! 私は農香りんなんて名前じゃない!!」
<おしまい。>
2050年――
人口爆発による食糧難。
石油枯渇によるエネルギー問題。
進んでいく環境破壊。
外の世界は、いままさに、死を迎えようとしていた。
外の世界が終わってしまえば、幻想郷もまた存在することが難しくなる。
八雲紫は、そのことを危惧し、とある妖怪をたずねた。
「風見幽香、あなたの力が今こそ必要なの。
お願い、世界を救うために私とともに戦って」
◆
かつて、広大な農地を抱えたアメリカ大陸。
石油が枯渇してからは、バイオエタノールの材料だけが大量に作られ
食料に目を向けられることは少なくなっていた。
それが招いた結果。
金だけを求めた農家たちを民衆の暴動が襲い、その機能は完全に停止していた。
もちろん、アメリカ大陸だけがそのような状態になっていたわけではない。
世界中どこを見渡しても、同じような光景が広がっていた。
それでも人間の数は膨れ上がり
その総数は100億人を数えるまでに至っているというのはなんとも皮肉。
100億人に行き渡る食料生産能力は、当然存在しない。。
結果、今日食べるに困る人間も爆発的に増え続け、各地で食料や水を巡っての紛争が続いていた。
それでも食料は作られない。
燃料がなければ、世界は回らない。
一部の農民は、バイオエタノール用の野菜を作り続け
そしてさらに極一部の人間だけが豊かな生活を享受していた。
まさに今、人類は黄昏を迎えているといっても過言ではなかった。
アメリカ大陸、某所。
耕されることもなくなり、荒れ果てた農地へ降り立つ女性が二人。
二人とも日傘を差し、渋い顔をしていた。
「お願いするわ、風見幽香」
「ええ、任せておいて」
風見幽香は手を天にかざし、何やらを呟いた。
それは神への祈りの言葉か、あるいは自己へ向けた言葉か。
荒れ果てた農地に、光の粉が降り注ぐ。
「起きなさい、私の眷属たち」
始めはゆっくり、そして、ある一瞬から萌え上がってゆく緑たち。
「相変わらず、むちゃくちゃな能力を持ってるのね・・・・・・。花をなんのリスクもなく生み出すだなんて」
「まさか。あなたの能力に比べたらまだまだ可愛いものじゃない」
「そう、ね。時間がないわ。私たちがこれからすべきこと。
アマゾンの熱帯林の再生、すべての砂漠の緑化。
世界の崩壊を救えるのは、私とあなたしかいないわ」
「救世主みたいに言われるとくすぐったいわね、でも悪い気はしないわ」
そういって高笑いする風見幽香。
最初はどうなるかと思ったけれど、案外簡単に幽香は協力をしてくれた。
もう、何十年も前になった幻想郷の危機を思い出す。
あの時も、食料を巡ってたくさんの人々が犠牲になった。
しかし、その犠牲は無駄ではなかったのだ。
風見幽香が風見農香にクラスチェンジしたことが
今、世界を救おうとしているのだから。
「ありがとう、風見農香。きっと世界は救われるわ」
「農香っていうな!!」
◆
そして、月日は流れた。
絶望しきっていた世界に突如緑が溢れ、人類の抱えていた諸問題がすべて解決してからはや四半世紀。
人類は今までないぐらいに、平和というものを謳歌していた。
「なぁ、お前世界で一番発行されてる本って何か知ってる?」
「ん、聖書じゃないのか? ほら、キリスト教の」
「ばっかおめえ、最近その発行部数を抜いた本があるんだっての」
「ああ、それってもしかして」
「そう、世界の抱えた諸問題をすべて解決した伝説のベジタブルマスター・・・・・・。風見農香の伝記さ!!」
人類の黄昏を救った、本当の意味でのメシア。
風見幽香はここにいる。
ありがとう風見農香、君のおかげで世界は救われた。
しかし・・・・・・。その犠牲は、君にとってあまりにも大きいものだった。
君はついに、100億人規模で農香りんと呼ばれることになってしまった。
君の活躍は、きっと、この世界が終わるその日まで語り継がれていくだろう。
『世界の乱れるとき、四季のベジタブルマスターが幻想の中より現れ、世界に恒久の平和をもたらすだろう』
俺のノートには、そう書かれている。
ありがとう農香りん!!
さようなら農香りん!!
◆
「くちゅんっ」
「あら農香りん、花粉症?」
「だから農香じゃないってば!! 軽口叩いてると殺すわよ!!」
「やーん、紫怖~い。農香りんがいじめるー」
「だから!! 私は農香りんなんて名前じゃない!!」
<おしまい。>
楽しかったです。
ってゆうか神様だな、誰が伝えたんだ?
しかし、この状況で抜くのに四半世紀もかかるかな?
もういっそ東方Wikiに農香りんを追加しましょう
農家りんすげええ
伝記ほしくなってきた!
ねっ、農香。
パス忘れて編集できねえw
わかります。
道理でポリ幾三なんてのが最近流行るわけですw
買わないはずがないじゃなーいwwww
その内農香教なんてのが出来るのか……
http://player.pc-saiban.jp/view/play?sid=5750
よかったらこっちもどうぞ
ttp://ayayayayayayayaya.blog43.fc2.com/blog-entry-30.html
ブログにベジタブルマスター関連の小ネタ載せてますんで。
よかったら来て下さいな。しかしパスがわからないorz
後の農協である。
だから言わせろ。右の頬を殴られたら、左の方へパイルドライバー!!!!