Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

黒い幸と呼ばれた黒猫…

2008/04/12 22:50:33
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「にゃ~」

 人が行きかう大通りを私は歩いていた

 自慢の尻尾を水平にして威風堂々と…

「見ろよ、黒猫だぜ?」
「うわ~…縁起わる~」

(何とでも言えばいいさ…)

 人間が何を言っても、自分には関係ない
 
「あっちにいけ!悪魔!」
 
 人間が投げてくる石をスッと避ける

 私の姿を見ると、周りの人間は石を投げたり罵声を浴びせた

(…馬鹿ばっかりだよね…人間って…)

 生まれた時から私は、縁起が悪い象徴として忌み嫌われてきた

 私の姿が見えれば、その度に嫌がられた

 初めは泣いていたが、そのうち慣れた

(…一人のほうがいいね…)
 
 それの方が気が楽で…他のことなんて考え無くて…

  


「今だ!食らえ!」

(しまっ!?)

 少しだけボーっとしていた時に
 
 人間の子供が面白半分に石を投げてきた

 思わず回避が遅れてしまい、少しだけ身体に石が当たる

 そのまま、逃げ切ったがすっかりあたりも暗くなり
 
 身体に怪我をしてしまった

(…いたた…ドジ踏んだ…)

 どこかの建物の敷地に逃げ込んで姿を隠していた時

「…うわ、めずらしい…黒猫だ」

(!?)

 後ろから人間に声をかけられて驚くと

「こんばんわ…黒猫さん」
 
「にゃ!?」

 後ろから抱き上げられた

(た、大変だ…)
 
 前に下手に人間に捕まって、死にかけた思いがある

 必死に逃げようとする私に目の前の人間が呟いた

「…あれ?怪我してるの?…少し待ってて…傷薬あったと思うから」

(!?)
 
「いたっ!?」

 その言葉を聞いて私はその人間の手を引っかいて逃げ出した

(ありえない…ありえない!)

 今まで優しくされた事が無かった私は
 
 その優しさと温もりが信じられなかった

(嘘だ!嘘だ!!人間が…私を…)

 信じれなかった私は走った

 ひたすら走った……

(ここまでくれば…)

 怪我を押して走ったために、傷口はさらに開いた
 
(……痛い…)

 痛みを思い出した私はその場で丸まった

 外はすでに日が落ちかけている、そして冷える

(…これでいい…)

 私がそのまま横になろうとしたとき

「よし、発見!」

(…えっ?)

 先ほどの人間が私を抱き寄せる

「怪我してるのに無茶して……まるで居なくなった私の親友みたいね」

 人間はそう呟くと、私を抱きしめてその
  
 人間の住む所に連れて行ってくれた




 嬉しかった…初めて優しくされたことが

「う~ん…貴方の名前は……よし!夕暮れだから橙に決定」

 私の事をその人間はと橙呼んだ

 そして、私はその人間と一緒に住む事になった

 その人間は何かの活動を一人でしていた

「……昔はね…もう一人居たんだ……」

 私はその人間から、たまにそのような事を聞いた

 聞いた話をまとめると



 昔はその活動を、もう一人の親友と一緒にしていたらしい

 だが、何かの事故でその親友と別れる事になってしまい

 また、その親友に会うためにこのような活動をしているそうだ

「…未練だけどね…もう一度会いたいんだ…」

 そう言って、その人間は手紙を書いている事も教えてもらった





 そしてその人間に甘えていく度かの時間が経った

 あるとき、その人間が倒れた……

 周りの人から聞くと、心身が衰弱していて

 もう余命が少ないそうだ  

 私はそれを、こっそりと聞くと

 今までの恩返しを考えた

(…何が出来る……私には…)
 
 そして、思い出した私を可愛がってくれた人間が

 親友に会いたいと言っていた事を
 
 そして、大量の届かない手紙を書いていたことを

(……手紙を届けよう!)

 何処その人物がいるかは分からない

 だが、倒れたあの人間が呟いた一言

(…幻想郷……)

 一人で生活をしてきた時、周りの奴らから聞いた事があった

 この世界とは別の世界…人間と妖怪が共存しているという

 そんな変な世界……私ですら眉唾な話だが

 それに賭けるしかない!

 私は手紙を銜えると周りの猫から情報を得るために走った

 

 走った…走った…情報があると聞いたら

 どんな所も走った、森の中、山の中、海の近く

 人に見つかるたびに

「見ろよ、悪魔の使者だ!」

 そう言われて石を投げられる

(何とでも言え!私にはあの人間が呼んでくれた名前がある!)

 手紙を守るために、石を身体に受けながら

 私は走った……全力で…

 そして、一つの噂を聞いた

 とある山の中から、幻想郷に繋がる道があると

 それを聞いて私はさらに走った

 雪の降る山道を…ボロボロの身体で走った

 動かない足を無理やりに動かし

(忌み嫌われてきた私に意味があるなら)

 寒さで冷える身体を気合で動かし

(きっとこのためにこの世に生まれてきたのだから!)

 何処までも走り抜ける……

 そして、気がつけば空気の質が変わっている事に気がついた

(……ここが…幻想郷…)

 たどり着いた事を確信した私は、歩き出そうとして

 転んだ…すでに満身創痍であった

(…負けるか……)

 足を引きずりながらも、さらに走った

 ボロボロの身体を押して、さらに歩いた

 だが、身体がすでに動かなくなっていた

(…ぐっ…もう駄目…)

 思わず倒れそうになる…そんな時

 目の前に誰かが立ちふさがった

「…おや?…迷い猫か……ん?手紙を銜えているのか……この名前…どこかで?」

 もう疲れ果てて目は見えないが、目の前に現れた人が

 あの人間の親友を知っているようであった 

(よかった……これで…)

 私はそのまま安心して目を閉じた…

(……人間…いや…蓮子さん…)

 もう、倒れてもいいよね?






「……紫様から少しだけ聞いた事あるような…?
 まあいい、それよりもこの弱っている黒猫も連れて行くか」


 目の前で倒れた黒猫を抱き寄せると、私はマヨヒガまで飛んだ
「紫様、ただいま戻りました」
 家に帰ると、私は主である紫様に挨拶をした 
「遅かったじゃない、藍…あら?その黒猫は?」
 隙間から顔を覗かせる紫様…
 せめて布団から出てきてほしいのだが
「はい、行き倒れに近い状態ですが、何か縁があると思い連れてきました」
 私がそう答えると、紫様は笑いながら私を見てきた
「あ、そうでした、紫様、マエリベリー・ハーンと言う名前ご存知…」
 私がそう呟くと、紫様の身体から凄まじい妖気が発せられた
 殺気では無く何か信じられないものを聞いたとしての驚きの
 妖気であった
「…藍…もう一度言って」
「は、はあ…この黒猫が銜えていた手紙に…その名前が」
 私がそう伝えると、隙間も使わないで紫様が
 その手紙をひったくるようにして奪う、そして
 震える手でその手紙を見ると
「…藍!少し行く所が出来たわ!今日は帰らないかもしれない
 晩御飯は用意するだけしておいて」
 そう告げてから急いで隙間の中に入っていった

「…まあ、とりあえずはこの黒猫を何とかしてやるとするか」
 紫様が居なくなったので、私はこの黒猫の様子を見る事にした
 
 結果だけを言うと、私はこの子を自らの式にする事にした
 式にすると、前の記憶はほとんど消えるがそうしないと
 すでにこの身体は朽ち果てる寸前だったからだ……
「ゆるせよ……」

 身体と魂を見る過程で、この黒猫の人生を垣間見る事が出来た
 この子も私と同じく忌み嫌われてきた……
(…紫様も私を式にしてくださった時はこのような気持ちだったのだろうか)
 そう思うと、この子にもきちんと教えてあげたかった
 式になる前の人生の間際に知った
 優しさと温もりを…
「…お前の名前は……」
 
(ちぇん…だな…)



 黒い猫に幸あれ……
 カラオケに行って参りました……
 今回の話には元ネタがありますカラオケで『K』と言う曲を聞いてください
 かっこいいお話です、それを無理やり東方でやらせていただきました
 秘封倶楽部の設定は脇役仕様でございます、ごめんなさい
 
 今、美鈴の投げ技修行のお話を書かせてもらっております
 早ければ明日までには何とか書き上げたいと思っております
 それでは、皆様また次に…ノシ











 おっと?紫様はどちらに向かったのでしょうか?…続き続き…


 気がついたら、私はベッドの上に居た
 聞いた所によると、もう余命が少ないらしい
「…そんなの、メリーが居なくなった時になくなってるけどね」
 この世に未練などほとんど無かった
 あるとしたら、それは自分の親友……何年も前に
 自分の目の前から居なくなった大切な人
「…もう一度……もう一度だけ…」
 思わず目を瞑る、そしてあの時のように……


「…蓮子…秘封倶楽部は今日はお休みかしら?」
「!?」
 思わず目を開く、そこには姿は少し変わっているけど
 私の目の前で消えて行った親友の姿が
「…め、メリー…?」
 声が震えた…目の前が潤んだ
「……今日は…私が遅刻ね…蓮子…」
 ベッドから起き上がると、私は親友に泣きながら抱きついた 
 メリーこと八雲紫は、背丈や姿は随分変わってしまった親友を抱きしめる
 長い間、離れていた親友を抱きしめて
 二人は互いに涙を流した…

 
 その日の夜遅く……

 宇佐見蓮子は本当に幸せそうな顔で

 この世を去った


  

 お終い


「でも蓮子…本当に遺書『我が生涯に一片の悔い無し!』でいいの?」

「だって、あれ名台詞だよ?…それに居なくなった
 メリーに会えたんだからもう本当に悔いなんて無いしね!」

 マヨヒガでの会話を抜粋
 
脇役
コメント



1.名無し妖怪削除
蓮子、天にかえったか・・・

といいつつ
最後にマヨヒガでの会話があるということは、実は死んでない?
2.名無し妖怪削除
なんといういい話・・・。この作者、間違いなく天才。
3.名無し妖怪削除
タイトルの段階で、「K」を連想しました。名曲ですよね。私は歌えませんがw
4.名無し妖怪削除
ええ話や

ただ
蓮子と藍が付けた名前が同じなのは偶然か
ということと、
>姿は少し変わっているけど
>背丈や姿は随分変わってしまった
どっち?
5.名無し妖怪削除
「K」を題材にするとは・・・
あの歌は途中から涙腺が脆くなる・・・

いい話でした・・・GJ



6.欠片の屑削除
昔歌って「死に掛けのおっさんかお前は!」と突っ込まれました…

ゆかりんの、その動きがカッコいい。
7.時空や空間を翔る程度の能力削除
そ~繋げるとは・・・
橙、がんばった!!立派ですよ。
8.イスピン削除
なんと良い「K」 自分も初めてこの歌を聞いたときはマジで感動で泣けましたよ、ホント良い歌です。

それを幻想郷で再現してくれるとは、あなたが神か(神と聞いてあr「すんません、今回はマジで勘弁してください」)
あのときの感動を思い出せました。ありがとう。プチでは点をつけられないけど個人的には100点を送りたいですね。

追記・我が生涯に一片の悔い無しは名言ですね。
9.名無し妖怪削除
ゆかりん、生と死の境界でも弄ったのか・・・

橙かわいいよ橙
10.名無し妖怪削除
蓮子も橙もよくぞ信念貫き通した!
それが報われてよかったよかった
メリー(紫)が間にあって本当によかった
11.名無し妖怪削除
俺の大好きな「K」が更にすごいことに・・・
こいつは本当にすげえや・・・
GJ
12.名無し妖怪削除
なるほど……今住んでいる『この世』を去った訳ですね
13.名前が無い程度の能力削除
Kを題材とした作品があると聞いて読みに来ました