Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ろーれらい

2008/04/04 11:20:55
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ミスティアと森近霖之助の話……そういう組み合わせのナニな展開がお嫌いな御仁は、そっと戻ってくださいませ。


















夜道に耳を澄ました時そこに雀の声があるならば、凶兆である。
やかましいだけの音にしか聞こえないならば、屋台がある。

そんな話を教えてくれたのは猟師だったかと、声を聞きながら霖之助は周囲を見回した。
周囲は日が沈みかけているが、まだ明かりが必要なほどではない。
その上に、雀の鳴き声にしてはきちんと韻が踏まれているからだ。

そのまま何分も歩かないうちに、次はとても香ばしい何かの焼ける匂いが漂ってくる。
さらに曲がり道にさしかかると屋台が出ていた。屋台で妖怪が、歌いながら何かを焼いているのだ。
霖之助の好奇心が、この屋台は何なのかを知りたがっていた。

「もし、つかぬことを伺うが……」
「~~~♪ あ、いらっしゃい。でもまだ焼きあがってないよ~」
「いや、別に僕は客で来たわけじゃ……」
「冷やかし~♪冷やかし~♪冷えて髪まで真っ白い~♪はいお酒。ぬるい燗だよ」
「ああどうも……じゃなくて、この屋台は?」
「いけない、のぼり立ててなかった。ミスティア・ローレライの焼き鰻屋だよ~」
「ふむ、そうなのか(蒲焼と何が違うんだ?)」

屋台とは珍しい、と思った霖之助は、結局そこで飲み食いして帰ることにした。
祭りでもなければあえて屋台が出るのも珍しい。

人間相手にも商売をする妖怪とは奇特な妖怪だ。
霖之助の第一印象は、その程度の認識だった。



「おや、君は」
「あっ」
「いらっしゃいませ」

次に2人が会ったのは、それから半月後だった。
妖怪の中には物覚えの悪い者もいるが、どうやらミスティアは覚えているようだった。
だが元気が無い。
年中歌い続けているような妖怪だと霖之助は知っているから、余計気になった。

「で、本日は何のご用件で?」
「あー、えっと、屋台の修理をしたいから、その材料をね~」
「壊れたのかい?」
「……ま、そーだね~。必要なのは~♪何でしょう~♪」

その歌声にどこか悲しいものが混ざっている。
「こっちだ」
霖之助の案内で、探す材料を見るためにミスティアも裏手へ向かった。
だが、どんな部品が必要なのかよくわからないのか、ガラクタを前に首を傾げている。

「提案がある。壊れた屋台を見せてもらってもいいかい?」
「いいよ~」
「うまくいけば、そのまま直すことも出来るかもね」

泣いたスズメがもう笑った。ミスティアの口ずさむ歌の調子も上がっている。
霖之助は店を空けて、ミスティアに案内されるままに進んでいった。

「これはひどい」
「ばーらばらー♪」

案内されたのは森の中でも少し開けた場所だ。
残骸一歩手前、という表現が適当であろう残骸を見て、霖之助は脱力した。
綺麗に枠組みだったものが残っていたりするが、致命的な足回りが全滅している。

「一から組上げるよりは、というところだね。一体どうしてこんな状態に?」
「最初は輪っかが外れた~。だけど自分で直そうとしたらね~……」
「次からは誰かに頼るといい……ここまでくると、直すのは1日じゃ無理だね」
「屋台を出したいのにな~」
「どこか決まった場所に店を出すとか」
「そんなお金も場所も無い~。ナイナイ~♪」

もっと軽微な壊れ方を想定していた霖之助は、具体的な修繕計画を練り直した。
ミスティアは聞き分けよくそれに納得して、きちんと対価も支払うらしい。

「しばらく預かっての修理になるね。里の人間に頼めばもう少し早いだろうけど」
「ここまできたなら~、お願い~♪お願い~♪」
「もちろんだ」

霖之助は屋台を預かり、修理と改修にとりかかることになった。

それから、香霖堂は少しだけ変わった。
毎日のように朝から陽気な歌が聞こえてくる。
屋根の上に少女が座って歌を歌っている。
店主が眼鏡の度を調整したり、歌う少女を黙らせるべくお使いを頼んだりする。
少女の歌が客などを呼ぶのか、普段よりも香霖堂はずっと賑わっていた。

そんな日が数日の間、続いた。

「……明日には直るだろう」
「ありがと~♪」
「こんな大仕事は久しぶりだったよ。木工職人でも目指した方がいいかな」

だが、そんな時に問題が起きた。
雨が降った折、雨漏りと、骨格となる木材のひび割れが見つかったのだ。

「……ちょっと直るのが伸びそうだ。すまない」
「え~………あれ?あれれ??」
「どうしたんだい?」
「……ん、んー、なんでもない~。気にしない~♪」
「そうかい?材料を探すから、君は適当にくつろいでいてくれ」
「ん~♪」




ミスティアは歌う。
霖之助が聞こえない程度の声で、不思議そうに歌う。

「あんまり残念な気がしない~♪ なんでかな?何でだろっ♪」

夜雀をうっかり捕まえると、夜盲症になってしまうという。
恋に捕まりつつある夜雀は、はたして盲目になりえるのだろうか?

もっとも、香霖堂の屋根の上で歌うミスティアには、どうでもいいことなのだが。
そういえば互いに商人同士だったな、と……。
ぽんこつたぬき
コメント



1.脇役削除
うわ、可愛いみすちーw
店主!屋根の上にいる夜雀の値段はいくらか!?
2.名無し妖怪削除
みすちー、かわいっ! なにこの愛玩動物……愛玩妖怪?
3.欠片の屑削除
みすちーの可愛さ、香霖のいろんな意味での鈍さ。
そして最後の三行で見事に貫かれてしまいました…最高でした!
4.名無し妖怪削除
最後の盲目の下りに感動した!!