「咲夜、あなたには紅が足りないわ」
いきなり、そんなことを言い出したお嬢様に、従者の咲夜さんは困ってしまいました。
だって、いきなり紅が足りない。なんて言われても、何のことだかさっぱりですものね。
でも、もちろんお嬢様を無視するなんてことは出来ません。
思いつきと気まぐれで生きてはいても、ご主人様ですから。
無視するなんて、出来ません。
出来ませんってば。
「あの、それは一体どういうことでしょう?」
わからなかったら人に聞く。
基本ですよね?
お嬢様は自分で言っておいて説明もしないような人とは違いますもの。
説明が必要なところは割と説明してくれる人ですもの。
「じゃあ聞くけど、ここは何処かしら?」
「レミリアお嬢様のお部屋ですが……」
「そういう事を聞いているんじゃないの。
もっと大まかにあるでしょう?」
「幻想郷ですか?」
「大まかすぎるわ。もう少し細かく」
「霧の湖周辺ですね」
「咲夜……あなたもしかしてわざと外しているのかしら。」
「真逆。そんなことをするはずが無いじゃないですか。」
うふふ、と笑いながら咲夜さん。
作り笑いが、限りなく嘘くささを演出していたりします。
「まあ、良いわ。
ここは紅魔館……それぐらいは分かっているでしょう?
通称の通り、紅い魔……そう、このレミリア=スカーレットが住む屋敷なのよ?」
そんなことは分かっていますが、もちろん反論なんて出来ません。
出来ませんってば。
だって、お嬢様のご機嫌を損ねますもの。
反論なんて出来ませんってば。
「私を見なさい。
まずは名前が緋色……深紅だわ」
だから紅魔館なんだろと思っても、口に出してはいけません。
以下省略。
以下省略ですったら。
「それに、殆ど紅なんて身につけていないのに、私のイメージは紅でしょう?
違うかしら?
門番長の髪の毛の色は? 猩々緋でしょう?
正に、紅魔館の門番の髪。
なのに、あなたはどうなのかしら。
体どころか、身につけているモノにも紅が無いじゃない」
そんなことを言うお嬢様。
もっとも、衣服を変えるだけですもの。
無理難題ではありません。
名前が深紅のお方ですもの、紅には思い入れがあるんでしょう。
稲妻の人くらいには。
「それでは、着替えて来ますわ」
そう言いはしましたが、お嬢様に止められました。
「いいえ、そんなことでは済まないの。
大体、名前が気に入らないわ。
十六夜って何よ十六夜って。
これから満月ならばいざ知らず、私が一番憂鬱になる既望って。
咲夜も知っているでしょう? 私は満月を過ぎてこれから新月に向かう一方の、既望が一番嫌いなの」
貴方のつけた名前でしょうに。
吸血鬼の従者には、満月に劣る既望が良いと言ったのは貴方でしょうに。
もちろんそんなことは以下省略。
「お嬢様、私の名前は十六夜薔薇を意味しているのですわ。」
――だから、紅いでしょうと言いたかったのですが、お嬢様には通じません。
「あれは、ピンクね」
で、おしまいです。
「ふ、フランお嬢様は……」
「あれでもスカーレットの名を冠する者よ。
尤も、髪を紅く染めるのを嫌がったから幽閉しているけど」
「そんな理由だったんですか……
じゃあ、パチュリー様は……」
「あら、パチェは私の従者じゃないわ。
それでも、半分は紅いのよ?」
なるほど、混ぜたら紫ですね。
てか、某紅白にこだわる理由もそれですか?
「兎に角、咲夜には紅が絶対的に足りてない」
そう言われては、仕方がありません。
お嬢様の気が済むまでは、紅が必要でしょう。
お嬢様の気が済むまでは。
仕方がないので、考えながらお仕事をします。
休む暇は無いのです。 メイド長ですから。
門の前に来ると、紅い髪を風になびかせながら、門番が……
――それ以来、彼女に紅が足りないと言う者は居なかったとか。
いきなり、そんなことを言い出したお嬢様に、従者の咲夜さんは困ってしまいました。
だって、いきなり紅が足りない。なんて言われても、何のことだかさっぱりですものね。
でも、もちろんお嬢様を無視するなんてことは出来ません。
思いつきと気まぐれで生きてはいても、ご主人様ですから。
無視するなんて、出来ません。
出来ませんってば。
「あの、それは一体どういうことでしょう?」
わからなかったら人に聞く。
基本ですよね?
お嬢様は自分で言っておいて説明もしないような人とは違いますもの。
説明が必要なところは割と説明してくれる人ですもの。
「じゃあ聞くけど、ここは何処かしら?」
「レミリアお嬢様のお部屋ですが……」
「そういう事を聞いているんじゃないの。
もっと大まかにあるでしょう?」
「幻想郷ですか?」
「大まかすぎるわ。もう少し細かく」
「霧の湖周辺ですね」
「咲夜……あなたもしかしてわざと外しているのかしら。」
「真逆。そんなことをするはずが無いじゃないですか。」
うふふ、と笑いながら咲夜さん。
作り笑いが、限りなく嘘くささを演出していたりします。
「まあ、良いわ。
ここは紅魔館……それぐらいは分かっているでしょう?
通称の通り、紅い魔……そう、このレミリア=スカーレットが住む屋敷なのよ?」
そんなことは分かっていますが、もちろん反論なんて出来ません。
出来ませんってば。
だって、お嬢様のご機嫌を損ねますもの。
反論なんて出来ませんってば。
「私を見なさい。
まずは名前が緋色……深紅だわ」
だから紅魔館なんだろと思っても、口に出してはいけません。
以下省略。
以下省略ですったら。
「それに、殆ど紅なんて身につけていないのに、私のイメージは紅でしょう?
違うかしら?
門番長の髪の毛の色は? 猩々緋でしょう?
正に、紅魔館の門番の髪。
なのに、あなたはどうなのかしら。
体どころか、身につけているモノにも紅が無いじゃない」
そんなことを言うお嬢様。
もっとも、衣服を変えるだけですもの。
無理難題ではありません。
名前が深紅のお方ですもの、紅には思い入れがあるんでしょう。
稲妻の人くらいには。
「それでは、着替えて来ますわ」
そう言いはしましたが、お嬢様に止められました。
「いいえ、そんなことでは済まないの。
大体、名前が気に入らないわ。
十六夜って何よ十六夜って。
これから満月ならばいざ知らず、私が一番憂鬱になる既望って。
咲夜も知っているでしょう? 私は満月を過ぎてこれから新月に向かう一方の、既望が一番嫌いなの」
貴方のつけた名前でしょうに。
吸血鬼の従者には、満月に劣る既望が良いと言ったのは貴方でしょうに。
もちろんそんなことは以下省略。
「お嬢様、私の名前は十六夜薔薇を意味しているのですわ。」
――だから、紅いでしょうと言いたかったのですが、お嬢様には通じません。
「あれは、ピンクね」
で、おしまいです。
「ふ、フランお嬢様は……」
「あれでもスカーレットの名を冠する者よ。
尤も、髪を紅く染めるのを嫌がったから幽閉しているけど」
「そんな理由だったんですか……
じゃあ、パチュリー様は……」
「あら、パチェは私の従者じゃないわ。
それでも、半分は紅いのよ?」
なるほど、混ぜたら紫ですね。
てか、某紅白にこだわる理由もそれですか?
「兎に角、咲夜には紅が絶対的に足りてない」
そう言われては、仕方がありません。
お嬢様の気が済むまでは、紅が必要でしょう。
お嬢様の気が済むまでは。
仕方がないので、考えながらお仕事をします。
休む暇は無いのです。 メイド長ですから。
門の前に来ると、紅い髪を風になびかせながら、門番が……
――それ以来、彼女に紅が足りないと言う者は居なかったとか。
選ぶとしたら二番目かな
俺的には中国が丸坊主になるっぽい三番で
俺は①を選びますね。
ところで、稲妻って人類最強の請負人のことかい?
それしか思い浮かばないのだが