※都合の良い解釈の設定が多いのでご注意をば
「先生さようならー!」
「ああ、さようなら」
今日の授業も、取り立て大きな問題もなく終わり
やれやれと教科書を片付けながらため息をつく
ここ数日、どうにも肩が重い気がする
少し徹夜で作業を続けていたせいだろうか
若干胸もむかむかするし・・・
やはり徹夜なぞするものではないな
「せんせー!」
「ん、どうした?」
「もこたんが男の人と手ぇつないで歩いてたー」
なんたるちーや
「何処だ何処だ私というものがありながら男と気軽に手などつないで
あまつさえあんなことそんなことこんなことどんなことああああ妹紅妹紅妹紅!!」
「せんせー、大丈夫?」
「なんら心配はない。それより妹紅は?」
「えっとね・・・その、嘘だったんだけど・・・」
「よし、頭突きのフルコースを食らいたいようだな」
申し訳なさそうに俯きながら話す左官屋の息子に、気を溜め込みながら構える
「ま、まって先生!!」
「乙女の純情を弄ぶのがどれだけ重い罪か、その歳から身をもって知るといい」
「いや、だから!!」
きっと今なら眼力で閻魔すら怯ませる事ができるだろう
あ、閻魔がこっちみて泣いてる
というか人里に何しにきてたんだあんた
「今日はエイプリルフールなんだって!」
「えいぷりるふーる?」
「そうだよ!」
あ、部下の死神が必死にあやしながら持って帰った
なんだ、最近は閻魔にもサボり癖がうつったのか?
「なんだそれは」
「先生知らないの?」
「ああ」
「えっとね、4月1日は嘘ついてもいい日ってことなんだよ」
「・・・先生をからかうとろくな事がないぞ」
今ならきっと角を生やせる気がする
ほら、もうちょっと、もうちょっと・・・っ!
「ホントなんだって!こないだ狐の妖怪に聞いたんだもん!」
「・・・・藍か?」
「そうだよ!」
涙目で必死に訴える少年はおいといて、とりあえず覇気を引っ込める
主の紫ならともかく、藍がそうふざけたことを言う事もあるまい
しかし、人を騙してよい日などあってもいいのだろうか?
藍ももしかして乗せられているだけでは・・・
主人が主人だけに、どうにもひとつ信用できない
誰か他に、信頼できそうな人物は・・・
「な、なんなんですかあなたは!」
半泣きになりながら悔悟の棒を振り回す閻魔
いや、そんなにびびられても困るんだが
「少し聞きたいことがあるんだが」
「知りません!聞こえません!帰ってください!」
なんだかもう全泣きになってる気がするが
「ちょっとあんた。映姫様にあんまり狼藉をはたらかないでもらえるかい」
部下の死神が、左手で鎌を構えてこちらを睨んでいる
ただし、右手の親指を立てて鼻血を出していてはなにを伝えたいんだかわからない
「一つ聞きたいんだが」
「なんだい」
「エイプリルフールというのは、嘘をついてもいい日なのか?」
「あ? ・・・ああ、確かに幻想郷じゃ馴染みもないのかねぇ」
死神は少し思案顔になると
「・・・確かにそういう風習はあるよ。まぁ子どもらが騒ぐぐらいだけどね」
「そうか。本当だったんだな」
「嘘さ」
「なんだと」
「嘘さ」
「どっちなんだ」
「小町!もういいから帰りますよ!せっかくの休暇なんですから・・・」
閻魔が死神の服の裾を引っ張りながら立ち上がる
「ああ、はい。わかりました」
「結局どっちなんだ」
「さあね。歴史を漁ってばっかじゃなくて、たまには自分で考えてはどうだい?」
からから笑いながら閻魔を連れて帰っていく
言ってることはそれなりに格好いいのだが
泣いてる童女に饅頭をわけている様子ではどうにもおかしい
というかどこかで似たような台詞を聞いた覚えが・・・
「しかしまぁ・・・」
元々幻想郷に住んでいない者が言うには、きっと外の世界ではあったのだろう
おそらく藍が幻想郷に入ってきた文化から見つけ、話の種にでもしたに違いない
と、いうことはだ
堅実な私でも、今日に限り他人を騙しても文句は言われる事はないのだ
それなら折角のよい機会だし、妹紅に一つ食わせてやるとするか
「もこうのもんぺたべたい」
いや、いかんいかん
妄想を思わず口走ってしまい慌てて周囲を見回す
たまたま春を告げに来た妖精が聞いていて、口をあんぐりあけていたが
小腹も空いていたので少し歴史をつまみぐいしたので問題はない。便利ー
とりあえず涎をふいて、妹紅に話す嘘を頭の中で復唱する
・・・よし、問題ない
これだけ練習すれば、きっと妹紅もひっかかってくれるだろう
あとは家に帰って、妹紅がくるのを待つのみだ
今日は遅くなると言っていたし、ゆっくり下準備をして・・・
「あ、おかえりー」
なんでお前はもういるかな
「妹紅、今日は遅くなるんじゃなかったのか?」
「ん?あー、何人か永遠亭まで案内するはずだったんだけどねー
急に取りやめになったから帰ってきた」
がーんだな・・・出鼻をくじかれた
いきなりシミュレーションと食い違ってしまったじゃないか
「ちょっと妹紅外にでなさい」
「何故?!」
「いいから」
なんとか訝しがる妹紅を外に押しだすと
私は部屋の配置を始めた
まずは夕飯のために米を炊き
昨日買っておいた干物を焼き
その後玉子焼きをまいて
そして座布団を二つ敷き、書物に目を落としてから
「妹紅、もういいぞ」
「ああそう・・・」
不思議な顔をしながら入ってくる妹紅
「そして日も暮れ始めた頃、のんびりと戸を開け帰ってきた妹紅
ふと書物から目を上げ、『ああ、おかえり。今日も遅かったな』と」
「なにいってんの?」
「いや、気にしないでくれ」
よし、これで状況は台本どおりだ
「あー、もう・・・いいから、とりあえず晩飯にしよう」
「わかった」
どかっとあぐらをかいて座る妹紅に、茶碗とおかずののった皿を差し出してやる
「いただきまーす」
「いただきます」
食事前の挨拶はかかさない
一つ手を合わせてから箸をもつ
「んー・・・やっぱ慧音のご飯はいいな」
「そうか?」
相変わらず美味しそうに食べてくれるさまは見てて嬉しい
っと、そろそろ切り出し頃かもしれない
「・・・妹紅」
「ん?なに?」
「一つ、いっておく事があるんだ・・・」
「どうしたの? 砂糖と塩でも間違えた?」
「そんなことはしない」
私は茶碗と箸を置いて、厳かに姿勢を正すと
「・・・大事なことなんだ。真面目に聞いてもらいたい」
「・・・・?」
ただならぬ雰囲気が伝わってくれたのか、一応正座する妹紅
「実は・・・・」
「・・・?」
「その・・・できて、しまったんだ・・・」
「・・・・は?」
・・・なにがなんだかわからない・・・といった様子で目を丸くする妹紅
よし、ここまでは予定通り
「だから・・・その、な・・」
「い、いや、ちょっと待ってよ!」
「いや、これは誤魔化してもしかたのない事だからな。きっちりしておかないと・・・」
さもそれらしく押し黙る私に、息を呑む妹紅
よしよし、そろそろここらで妹紅から突込みが・・・
箸が、落ちる音がした
「妹紅?」
なんだか変だと思い顔を上げたとたん
思い切り妹紅に抱きしめられた
「も、妹紅!?」
「そうだったのか・・・ごめんね、気づいてなくて・・・」
愛しそうに私の背を撫でる妹紅
いや、嬉しいんだが少し待ってくれ
どうにも話が違うぞ?
「も、もこ」
「ちゃんと医者には診てもらったのか?」
「い、いや、その・・・」
「それは駄目だ!大事な体なんだから、ちゃんと診てもらわなきゃ駄目だろう!」
怒ったように立ち上がると、妹紅は私の手を引いて外へ出た
「ど、どこにいくんだ?!」
「あの医者に診てもらうんだよ! いいからいくぞ!」
「い、いや、だからその」
私の言い分になど全く聞く耳を持たず
妹紅に手を引かれ、永遠亭へと向かうことになってしまった・・・
永遠亭の待合室で、私は悩んでいた
どうにも筋書き通りにいかない
あそこで私は妹紅に
『女同士で子どもなんてできるわけないだろ!』
と突っ込みを入れられ、そこで笑い話で終わるはずだったのだが
なんでここまで本気で連れてこられるんだろう
「あの、妹紅」
「なんだ?」
「なんでこんなとこに来てるんだ?」
「そりゃあ、ちゃんと診てもらわなきゃ心配だろう」
「なにがだ?」
「だから・・・」
いいかけると、妹紅は頬を染めて
「その・・・私と慧音の・・さ・・」
「・・・い、いやだから!!」
「どうした?・・・っ、まさか・・」
妹紅はなにを思ったのか、私の肩をつかみ
「お前、私以外のだれかと関係をもったのか?!」
「持たない持たない! 妹紅以外としたことない!!」
「・・・ならいいんだ・・・」
ほーっと息をついて、椅子に座る妹紅
「・・・いやだから! そうじゃなくて!!」
「なんなんだ?」
・・・ここまで来てしまってはいいにくいが
ここで言わなかったらもっと大変な事になりそうだ
私は意を決すると
「その・・・冗談なんだ・・できたとか、そういう云々の話は・・・」
「・・・・・は?」
ぽかんと口を開けて聞く妹紅
「・・・今日は、エイプリルフールというんだろう?
嘘を言っても許される日だと聞いて、少し驚かそうと思って・・」
というか、ここまで信じるとは思わなかったぞ
「その、すまない・・・」
「・・・・・・・」
私の話を聞いていたのかどうか、黙って口を結んでいる妹紅
と、一つ口を開くと
「・・・がんばったな。慧音」
「そう、がんばった・・・・え?」
なにか良く分からない事を言いながら、そっと私を抱きしめて
「確かに今日はエイプリルフールだが、別に嘘を無理につく必要はないんだぞ?」
「は?」
「生真面目な慧音だから仕方ないか・・・でも、そんな無理してもお腹の子には良くないぞ?」
「え・・・・」
ええええええええええええ?!
「い、いやいや!なにを言ってるんだ妹紅!」
「いやいや、無理するな。しかし慧音、子どもを嘘に使うのは感心しないな」
「いやいやいやいや! 大体女性同士で子どもができるはずもないだろう!?」
「ばっきゃろう!ここは幻想郷だぞ? 女同士でも子どもくらいできる!!」
わー、けーねいいきられちゃった
・・・・ま、まぁいい
ここまで盛り上がっているのには気が引けるが
永琳からちゃんと診断を聞けば、納得してくれるだろう・・・
「おめでたですね」
お前さっきの会話きいてたなあぁああぁ!!?
「よかった・・・よかったなぁ慧音」
妹紅もそんなに泣かないでくれ!
「女の子ですね」
そんなとこまでわかるかああぁあ!!
「名前はどうする? 名前は一文字ずつとって妹音(モネ)とか?」
妹紅、頼むから少し黙ってくれ
「いや、ちょっとまってくれ・・・」
もはや息も絶え絶えな私は、なんとか気を持ち直し
「・・・永琳。私たちを診るのはそういい気はしないだろうが、ちゃんと真面目に診てくれないか?」
「え?」
「だから・・・エイプリルフールだろうが、さすがにここまではやりすぎだと思うんだ」
「・・・・・」
なんとか事情を話して頼み込む私をみていた永琳だったが
話を聞くうちに奇妙そうな顔をし始めた
「どうした?」
「どうしたもなにも・・・」
永琳は首を振ると
「いくら私でも、診察に関しては誤診でもない限り、間違った事は言わないわよ」
「・・・・・・・・は?」
「確かに『女の子です』っていうのは言い過ぎたけどね」
永琳は少し肩をすくめると
「ちゃんとそこにいるわよ。あなたのお腹に」
慧音先生が全壊した!
女同士でどっちが妊娠するかはどうやって決定するんだろう・・・。流石幻想郷。
永琳のりいいなwって思ってたけどマジで?
さすが幻想郷奥が深い
出産祝いでも準備するか
その発想はなかったぜ…
さあ早く続きを書く作業に戻るんだ
久々に声を出して笑いましたw
慧音先生ご妊娠おめでとうございます。
便利ー
?
小悪魔とパチュリーで同じようなオチの話があったような(いや、オチ以外全然違うんだけど
先生ご懐妊おめでとうございます!妹紅も頑張った甲斐があったろうw
全力で続きを所望しますぞ!
もんぺって言葉の響きからして食べられそうですよね
もこたんの物であればなおさら
もこもん食べたい
もこたん食べたい
凄まじいまでの説得力
まっ、上のほうに症状でてたしねwww
けーね先生wwwwwwwww
慧音先生おめでたうございます♪
胸がむかむかしてたのは
伏線か!!