Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

祭日の永琳

2008/04/01 15:22:10
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永遠亭某日

医師 八意永琳
患者 リグル・ナイトバグ


ちょっと調子が悪い、そう思った私は医者にかかる事にした。


―はい、次の方どうぞー


ガラガラッ


―はい!今日はどうされました?


……


「な、なんて格好してるんですか!!」
診察室で素っ頓狂な声を上げる私。
無理も無い、そこにはキャラに合わない位ゴスゴスした格好をして、その上に白衣を羽織った医者が居たのだから。
「えっ?ああこれ?」
そんな私とは対照的に嬉しそうに答える永琳。
「今日はね、プリズムリバーのコンサートなのよ♪」
「はぁ…」
「ちょっと張り切ったんだけど…似合ってる?」
「えぇ…うん、似合ってるよ」
「そぉ?ありがと♪それじゃ行ってくるわ!」
彼女は張り切って部屋から出て行こうとした。
「ちょちょちょ…!わ、私は?私はどうなるの!?」
「そんなもん、自分で券を買って入ればいいじゃない!」
「いや、そういう意味じゃなくてね?」
訳分かんないし、ってか何で私がコンサートなんかに行かなきゃなんないのよ。
私は花映塚には出てないって。
「ああもう!どうしたのよ!今日は!?」
「ああもうって…えっとねお腹が…」
「大丈夫大丈夫!気のせいよ!はい終わり!!お大事に!」
「適当にも程があるよ!?もっとちゃんと見て下さい!」
「天才だから!」
「意味分かんないし!?」
「天才アイ発動!」
「何それー!?」
「…ふむ、アナタの症状は頭痛ね!ウドンゲー!頭痛薬お願い!!」
「間違ってるよ!」
「ああもう!仕方ないから問診していくわ!ちゃっちゃといくわよ!!」
「いや、ちゃっちゃって…仕方ないって……」
「えっと、じゃあ熱とかは無い?」
「……まだ計ってない」
「じゃあ痛いところはある?」
「お腹がちょっと…」
「ウドンゲ~!正露丸持ってきて~!!」
「いや、そういうのじゃないから!」
「ウドンゲ~!!変更!アサガオの種持ってきて~!!」
「出てない訳でもないから!!」
「ああもう!!やっぱり虫下し持ってきて!!」
「殺す気か!!!」
「もう我侭ね!!何が原因よ!?」
「それが分かんないから聞きに来てるんでしょうが!!」
「あぁ~もう現場入りする~!」
「入り待ちする気だったの!?」


「ちょ、マジで今日時間無いのよ…」
「そうかも知れないけどさ、ちゃんと診てよ…」
「いやね?姫の遺言で『コンサートのある日は診察しちゃ駄目』って言われてるのよ」
「輝夜生きてるでしょ!?表でちっちゃい兎のお守りしてたよ!」
「ちっ…」
「なんで舌打ち!?」
今日一日この人は何をしてたんだろう?
本当に頭が痛くなってきた、薬を貰ってさっさと引き上げよう、被害が拡大する前に。
「もういいよ…胃薬頂戴」
「は?」
「もうマトモに見る気ないんでしょ?薬貰って日を改めるよ…」
「…分かってないわね、そういう素人判断が、一番危険なのよ!!」
「コンサートでテンション上がってる医者が言えるセリフか!!」
「ちゃんと診てるわよ?ちょっと浮き足立ってるだけで…」
「それが駄目だって言ってるんだよ!!」
「ちょ…もうリハ始まるぅ~!!」
「どんだけ前から入る気なんだよ!!」
「じゃあ!じゃあ…そうだ!注射打っときましょうか!」
「思いつきみたいに言わないでよ!」
「大丈夫大丈夫、病は気から、病は気から…」
「……」
もう突っ込む気にもなれなかった。
そして思った。
今度必ずこの屋敷に、千匹位のシロアリをばらまいてやる。
「♪~」
永琳はそんな私の心など知るはずも無く、鼻歌を歌いながら準備をしている。
曲名は幽霊楽団、どんだけ楽しみなんだ。
「いや、エアヴァイオリンをやってないで早くしてよ!」
「駄目!ここからソロ!!いっちゃん大事な場面よ!そうルナサが…」
「知らないよ!!」
しかし腐っても医者と言うべきか、途中しょうもない事をしつつもテキパキと作業を進めている。
「ててててー♪てー♪てってててててー♪」
「歌うなー!!」
「はい腕出して~腕拭くわよ~」
きゅっきゅっきゅっ
「はい!準備完了っと!!」
手に持っていた綿を捨て、薬剤と針に持ち直し、そして針を腕に刺そうとする永琳。
ん?でもこれ注射じゃないよ?
「はい、じゃあちくっとしますよ~」
「えっ?点滴?」
急いでいる急いでいるって言ってた割に点滴?
何だかんだ言いながら、診る所はちゃんと…
「そうよ!こんだけあったら多分効くわ!」
「量の問題!?って言うか、多分って!」
するわけねぇよな、この女!何を信用しようとしてんだ!私!
シロアリ千匹追加決定!
「もう時間無いから一気に『がーっ!』っていくわ!」
「やめてー!!」
「大丈夫よ!針刺して、ホイップクリームみたいにぎゅーって…」
「ショックで死んでしまうわ!!」
「ホイップなだけに真っ白になっちゃった♪ささ、早く早く!」
「上手いこと言わなくていいのよ!!」
「お後が宜しいようで!それじゃ!!」
「終わってない!終わってない!!」

「あぁ~~!当券無くなるぅ~!!」
ハト時計ならぬウサギ時計を見て騒ぐ永琳。
鳴き声が「ウッサー」なのは何故だ。
「なんでそんなに楽しみにしてるのに前売り買わないんですか!!」
「だってウドンゲに頼んだら、間違ってガンガンライ○のチケット買って来るんだもん!」
「なんでだよ!?」
「知らないわよ!それに買ってきたなら見に行かなきゃいけないじゃない!」
「貧乏性丸出しじゃないか!それに何故見に行く!?」
いらないなら売れよ!
「いや、巫女巫女ラッシュ(霊夢・早苗)とか魔女連合(魔理沙・アリス・パチュリー)とか面白かったわよ~」
「へぇ…って、それら若手扱いなの?」
「芸の道は、奥深いのよ……」
遠くを見る永琳。
「……」
「ありがとうございました!じゃっ!!」
「終わるな!!それに全然上手いこと言ってない!」

「あぁ~!!もう!時間無くなる!!」
「そんなに急いでるんだったらさっさと何とかしてよ!天才なんでしょ!」
「できる事と無理な事があるのよ!第一ね、私だって天才天才言われてるけどたいしたこと無いのよ!」
「どういう意味?」
「難しいことなんて、努力次第で何とかなるのよ!努力に勝る天才なんて居ないわ!」
「マジメに意味の無いことを言うな!」
「私が人より自信があることと言えば、しっかり医師の役割を果たす位よ!!」
「じゃあたった今その秀でた部分を最大限に発揮してよ!!」
「マジメに職務に取り組む!それ位よ!」
「嘘付け!!少なくともこれまでのやり取りは確実に不真面目だよ!」
「あぁ~!!もう時間無い!!とりあえず薬付けとくから!ウドンゲ~!!」
「とりあえずって…」
「虫下し出してあげて!!」
「いい加減にしろー!!」
「それじゃ行ってきます!!」
ばひゅん!
永琳は飛んだ。



数日後、永遠亭の床下がとんでもない事になったそうな。

(了)
こんな永琳はいやだ 第二回 (一回目は作品集25の傷心の永琳)
ちなみに、この時の永琳の格好は某魔法薬師みたいな感じと思って頂ければ。
欠片の屑
コメント



1.名無し妖怪削除
これってまとも見たらさっさと診察終ってたんだろうなぁ
どれだけ楽しみにしてんだこの薬師w
2.名無し妖怪削除
確かにテンションが高いと思考展開もぶっ飛びますねぇ。
でもこのえーりんは凄過ぎ。
3.苦有楽有削除
こんな永琳に「たすけて!」とは言えませんねw

4.日々流離う程度の能力削除
いやいやいや、今回見るべきところはここ。

つ「輝夜生きてるでしょ!?表でちっちゃい兎のお守りしてたよ!」

永琳より姫の方がまともに見えるわ。