おやおや、私の事を知ってるなんて以外と物知りだね
…ああ、かしこまらなくてもいい、本来ならもう居ない筈の者だから…
ん?何だって?……どうして表に出ないかって?
……ああ、たいした事じゃないよ…もう祟り神になる必要がなくなっちゃったからね
あん?霊夢にボロボロにされたからって?違う違う…
霊夢と戦う時にはもう憎む気持ちがなくなっていたのさ
何でかって?……祟り神として必要な物ってわかるかい?
……そう、恨みとかそんなものだ…それこそが祟り神として必要な力になる
まあ、随分長らく博麗神社に閉じ込められていたからねぇ……
好き勝手できないし随分怨んだものだったよ…
そんなのは良い……祟り神としての力の源を消してしまった
最大の原因………それは私の弟子…魔理沙だよ……
ああ、勘違いしないでくれよ?原因と言うよりは、おかげっていた方がいい
……あの子のおかげで、今は自由にしているわけだしね…おっと!話がそれちまったね
博麗神社に恨みを持っていた私は、霊夢が居なくなった隙に自分の手下に
なりそうな者を探し回っていたんだけど、その時に泣いている女の子を見つけたわけさ
……うるさいからそのまま無視しようかと思っていたんだけど…
その子を食べようとして、一人の妖怪が現れたんだよ…
なんでかねぇ…気がついたらその子を助けていたんだ
正直言って、驚いたよ自分自身…
そのまま助けた後で聞いたら、家出娘って言うじゃないか
厄介な者拾ったと思っていたけど、その子から魔法使いの素質を感じてね
博麗神社を奪うための手駒にしようと考えたわけだ
……そう、その子が魔理沙だ
今まで弟子なんて取った事が無かったからもう大変だったよ
自分は悪霊だから食事なんてほとんどいらないけど、魔理沙はそうはいかないから
料理の本見てご飯作ったり、基本となる魔法を一から教えたり
魔理沙が風邪ひいた時は風邪薬手に入れるために走り回ったりして
もう大変だったんだよ……
でもねぇ……その時の私は、今までのどの時間よりも充実していたよ
そして、そんなある日の事だった……
ある日、私用で遅くなった私が魔理沙の所に帰ってきたら
台所のテーブルの上で、魔理沙が倒れていたのさ
私は大慌てしたけど、何の事は無い…ただ眠っていただけだった
呆れると同時に思いっきり安堵したね……
そしてそのまま、魔理沙を抱きかかえると魔理沙をベッドに運んだんだけど……
ベッドまで運んだ時に、魔理沙が少しだけ目を覚ましたんだよ…
そして、私に向かって微笑んで呟いたのさ
「魅魔…おかあさん……」ってね…
気がついたら眠っている魔理沙を抱きしめていたんだよ……
その時だったね…私が博麗神社に持っていた恨みとかが一切消えたのは…
ん?なんでそれでも霊夢と戦ったかって?
せっかく準備したのに、やっぱり止めましたって言うわけにはいかないだろう?
……まあ、あえて言うなら、魔理沙に友達を作ってやりたかったからかな?
私のような悪霊の傍に居ても、友達ができないからねぇ…
今はもう、私が居なくても十分やっていってるわけだし
もう私は出番が無くてもかまわないよ?
魔理沙が……私の馬鹿弟子(むすめ)が元気にしているならね…
やれやれ…そんな事話していたら、少しだけ馬鹿弟子の事が心配になってきたよ
……真面目にやっているか、久しぶりに見に行ってやることにするかね…
お終い