夏と比べ幾分か弱くなっている日差しが、見慣れた風景を白く染めあげる雪に反射し視界に淡いベールをかける。
「ほらっあそこ、昨日の雪だるま溶けてない」
チルノはいつもと変わらず、大妖精と共にふわふわと湖の上空を散歩をしていた。
冬の自分の肌には心地よい気温により他の妖精は姿を見せず、普段玩具代わりにしている蛙もいなくなる。
「本当だ、きっとチルノちゃんがお日様に負けない様に頑張って冷やしたおかげだね」
それでも、隣で彼女が微笑んでいていくれるからチルノは退屈しない。
「そうでしょっ、そうでしょ」
雪だるまの真上でくるくるとらせんを描くように飛んではしゃいで見せる。
その様子をみて、彼女はまた微笑んでくれる。
「なんていったって最強だからねっ」
チルノは彼女の微笑む顔が好きだった。
すっかり凍ってしまった紅魔館前の湖の上。
「それでねあの大蝦蟇のやつ、突然後ろからあたいを丸呑みにしたりして」
「正面からあたいに挑むのに恐れをなしたのね、きっと」
昨日と変わらぬ姿の雪だるまの隣、雪をクッションに二人で座る。
「チルノちゃんが蛙さん達をいじめたりするからでしょう。ところで何を描いているの?」
「大蝦蟇と大ちゃん」
特に何をするわけでもなく、大妖精とおしゃべりをしたり雪の上に木の枝で絵を描いて過ごす。
「絵はちっちゃいのになんだか大きそうだね。でも、とっても上手だよ」
そう自分を褒めてくれる彼女と過ごす時間が好きだった。
気がつくと、もう太陽が山に隠れていく。
「そろそろ帰ろうか。おなか、すいたでしょう?」
楽しい時間はいつも早く過ぎてしまう。
「うん、そうだね」
きっと、あの遠くにみえる紅魔館のメイド長が時間をとっていったのだと思う。
「さあ行こう、立って」
「うん……」
差し出した手に捕まると彼女の体温が伝わってくる。
「ねえ、大ちゃん。あたいのことさ、好き?」
もう殆ど隠れてしまった太陽から漏れた紅で彼女が染まる。
「うん、大好きだよ。だから……ねっ、一緒に帰ろう」
そう自分の好きな微笑を向ける彼女がチルノは大好きだった。
これからも頑張って下さい、応援してます
最後の「大好きだった」という過去形には何らかの意味が込められているのでしょうか(; ゚Д゚)
ただ同じく大好き「だった」が怖いよ。何か起こりそうだよ。