Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

陰の拳と陽の拳  

2008/03/10 22:22:54
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(……決着をつけなければいけませんか…)
 一人の女性が真剣な顔をしていた
 普段の彼女を知るものなら、そのそれがどれだけ異常な事か良くわかる
 紅い屋敷の門の前でやってくる人にも、屋敷の中の人にも
 いつも優しく笑ってくれる女性だったから
「……覚悟を決めなければなりませんね」
 そして、彼女は戦う事を決め己の敬愛する主にその趣旨を伝えに向かった


「……申し訳ありません、お嬢様」
「……仕方ないわね…行ってらっしゃい…美鈴」
「はい!」
 紅魔館の門番である美鈴は己の主から許可を貰うと頭を深々と下げて
 主の居る部屋から出て行こうとした、その時後ろから何者かがぶつかった
「……お嬢様?」
 美鈴が振り向こうとしたが出来なかった
 自分の主が泣いている姿を見ようとは思わなかったからだ
「……帰って…来るよね?」
 珍しく弱気な発言をする主に笑いかけると
「紅魔館の威信にかけて必ず」
 そう伝えると、再び表に歩き出した
  
 

「…メーリン!」
 表に向かっていたら、目の前から突っ込んでくる者があった
 美鈴はそれを真正面から受け止める
(ずざざざっ~~~!)
 大体300mぐらい後ろに下がって受け止めた
「いたた、どうしたんですか?妹様…」
 美鈴が前から抱き着いてきた者であるフランにそう答えかけるが
 フランは、ただ美鈴に抱きついたままであった
「妹様?」
 再びそう問いかけると、フランは目に涙を浮かべていた
「メーリン…いっちゃやだよ……」
「妹様…」
 美鈴が戦いに向かう事をこっそりと聞いていたのだろう
 フランがそう伝えると、美鈴に抱きついて涙を流した
 美鈴はその頭を撫でるとフランに伝えた
「…大丈夫です、きっと帰ってきますから」
「ぐすっ……ほんとに?」
 泣きながらそう呟くフランに対して美鈴は笑いかける
「はい、私が嘘ついた事ありましたか?」
「…ない…」
 フランがそう答えると美鈴から少し離れた
「……無事に…帰ってきてね…」
「はい」
 美鈴は泣いているフランの頭を撫でるとそう答えた




 美鈴が門の前にやってきた時だった
「…咲夜さん」
「……美鈴…」
 門の前でナイフを構えて待っている人が居た
「咲夜さん…退いて下さい」
 美鈴の言葉に首を横に振る咲夜
「……行かせないわ」
 そう伝えて美鈴にナイフを投げる咲夜
 だが、美鈴はそのナイフを両手で全て受け止める
「くっ…」
「今の泣きそうな咲夜さんでは私にナイフを刺す事はできません」
 美鈴はそう伝えると、咲夜を真正面から抱きしめた
「……行ってきます」
 美鈴がそう伝えてから咲夜を離して戦いの地に向かおうとしていた
「まって!」
 咲夜が美鈴の背中に抱きつく
「何で行くの!?貴方がここにいないと、皆が悲しむのに!」
「……」
 咲夜も限界だったのだろう、美鈴の背中に顔をつけて泣いていた
 そこに居るのは普段の瀟洒な姿では無く、年相応の少女の姿だった
「嫌よ…ひっく……貴方が…居なくなるなんて…」
「咲夜さん…」
 美鈴は泣いている咲夜の頭を撫でると呟いた
「必ず帰ってきますから……笑ってください」
 その言葉を聞いて、咲夜は何とか笑顔を見せようとする
 そして、泣き止むといつものような顔になる
「うん、やっぱり咲夜さんには笑顔が似合います」
「…馬鹿……」
 咲夜にそう伝えると、美鈴は再び戦いの地に向かう事にした
「…帰ってきなさいよ?」
 背後から聞こえてきた言葉に、美鈴は
「私が帰るところはこの紅魔館の門の前だけです」
 そう答えてから、空を飛んでいった











(戦いの時は……近いか…)
 戦う時が近づいている事に気がついた者がいた
 お店の中で本を読んでいたが、その本を閉じると
 お店の中をふっと見渡した
「……このお店ともお別れになるやもしれないな」
 随分長い間、この人が来ないお店とともに居た気がする
(さて……死ぬにはいい日だ)
 


 香霖がお店の一角を見つめると、そこの空間が二つに割れた
「やあ、こんにちは……紫さん」
「……ええ、こんにちは…お店の店主」
 もし今の八雲紫の姿を見たら、神社の巫女なら思いっきり驚くであろう
 それほどまでに、今の八雲紫の姿は弱弱しかった
「どうしたんだい?いつもの君らしくないじゃないか」
「……そうね…」
 八雲紫が隙間から出ると、香霖の真正面に立つ
「…率直に言うわ……戦うのを止めて…」
 妖気を全開にさせて香霖の前に立つ
 その辺の下級妖怪程度なら、それだけで吹っ飛ぶほどの力だった
「……お願いだから」
 だが、それは逆に言うと精一杯の虚勢でもあった
 その程度の事、このお店であっている香霖にとって簡単に分かるものであった
 香霖は、目の前にいる女性の頭に手をぽんとのせると
「すまないそれは出来ない…」
 そう伝えてから八雲紫の頭を撫でて
「ありがとう……でも行かなきゃならないんだ」
 そう答えてお店から出て行った

 しばらくしてから、香霖堂の中から何者かのすすり泣く声が聞こえたらしい





「…そこのさえないお店の店主…少し待っとくれ」
 香霖が戦いの地に向かうと途中、何者かに声をかけられた
「……珍しいな…君が姿を現すなんて」
 香霖の目の前に現れたのは緑の髪を持った祟り神
「何のようだい?魅魔」
「ああ、目の前のさえない店主を無理やりでも止めに来たのさ」
 そういうと、魅魔は香霖の目の前で杖を構えた
「……通さないよ…」
 かつて幻想郷で主役を張っていた者の全力
 そのプレッシャーは凄まじいものであった
「…何故君が僕を止めようとする?」
 香霖はそのプレッシャーを清流のように受け流すとそう伝えた
「何故って?」
 その言葉に魅魔は少しだけいらだたせると
「決まってるだろう!?誰が大切な人を死地に送る事が出来る!?」
 怒鳴るようにそう答える
「お前が居なくなったらどうなる!?私も、私の弟子も……」
 魅魔が香霖の胸倉を掴みかかる
「……私も…魔理沙も…確実に…っく…」
 そこまで言うのがやっとだった、目に涙を溜めると
 そこから聞こえるのは、嗚咽だけだった
「……ありがとう…」
 香霖は魅魔の頭を撫でて呟いた
「だが、待っている相手が居る…行かなければならない…」
 そう呟いて再び歩き出した、魅魔葉その後姿を見ながら
「……この…大馬鹿野郎…」
 そう呟くのが精一杯だった


 






(もう少しで…戦いの地だな…)
 香霖は相手が待っているであろう場所に向かって移動をしていた
「……後は一直線か…」
 その道を進もうとして、香霖は足を止めた
「……最後は君かい?」
 香霖は足を止めると、後ろの方に声をかけた
 そして、後ろを振り向くと
「…神綺……」
「…はい」
 そこに居たのは、魔界神である神綺の姿であった
「香霖さんを…止めにきました」
 神綺はそう伝えると、香霖の前で両手を広げた
「もしこれ以上進むのなら……」
 そして、全力を意味する六枚の羽を開放する
「……打ちます!」
 魔界という一つの世界を作り上げた化け物のような力
 その力を前にして生き残った者は博麗の巫女のみ
 お店の店主である半妖程度では生き残る事などできる事ではない
「……すまないが通してもらうよ」
 だが、香霖は真っ直ぐ前に進んだ
 その瞬間、香霖の頬を掠めるように魔力の塊が飛んでいった
「…警告したはずです……打つって…」
「……」
 だが香霖は、もう一歩前に出る
 そのたびに香霖に魔力の塊がギリギリのところを通過する
「…こ、こないでください!」
 神綺はそれでも寄って送る香霖に涙目になりながら警告をする
 そして、ついに香霖が神綺の前に立つと神綺を抱きしめて
「……帰ってきたら、皆で鍋でもつつこうか…準備をしておいてくれないか?」
 そう伝えて神綺から離れると、神綺の真横を通り抜けて
 先の道に向かって行った
「……香霖さんの…馬鹿…」
 その日、自分の娘が旅立って以来泣かなかった魔界神が、子供のように泣きじゃくった










「……やあ…こんにちは」
 香霖が戦う場所に着くと同時に、目の前に戦う相手がやってきた
「あははっ…これから戦う相手にまであいさつですか?…こんにちは」
 香霖の目の前に現れたのは、紅魔館の門番こと、紅美鈴

「……負けるわけにはいかないな」
「……はい、待っててくれる人が居ますから」

 二人は、普段は誰にも見せないような真剣な顔になると
 構えを取った
「いくぞ!」「いきます!」

 二人はお互いに叫ぶと、その両腕をお互いに突きつけた
「君の手はすなわち陽!」
「貴方の手はつまり陰!」
 その手が何度も交差するたびに、二人の身体から血が飛び散る

 そして、二人の腕がクロスの形にぶつかると同時に、空が二つに割れた

「「幻想郷で頭を撫でる事が出来るのは、(僕)(私)だけの特権だ!!!」


 二人の戦いは、まだ始まったばかりだ
 一人は陽…幼女の頭を撫でる力を
 一人は陰…熟女の頭を撫でる力を


 どちらが勝つかは、誰にも分からない

「「うぉぉぉぉぉおっ!!!」」



 お終い
 最近スランプな脇役です
 そろそろ、読み専門に移ろうかと思っています

 さて、このお話は
「美鈴は小さな女の子の頭を撫でていそうだけど、香霖は年上のお姉さんの頭撫でてそうだよな?」
 と思って書かせてもらったんだ……ちなみの天が割れるのは北斗です
 それでは……ご意見感想待ってます
脇役
コメント



1.名無し妖怪削除
真面目な話かと思えば…
なんの闘いだwwww
2.名無し妖怪削除
香霖は名前じゃないんだぜ…
あえてそう表記してるのかもしれないけど
3.名無し妖怪削除
冷静に考えると二人が争う意味なくね?w
撫でるタイプ違うんだし
4.名無し妖怪削除
ちょw熟女言うなwww

それでパッチェさんや魔理沙の出番が無いのな、納得
5.名無し妖怪削除
バトルと感動とニヤニヤ展開への期待を返せww
6.道端から覗く程度の能力削除
無理せず書きたくなったら書く、みたいな心持ちでいいんじゃないでしょうか。またあなたの作品を読める時を楽しみに待っております。
7.☆月柳☆削除
すごいシリアス展開だ……。
ドキドキ。
盛大に吹いたwww
8.名無し妖怪削除
シリアスに読んでた私がバカでした
いや、正直相手が香霖という時点でまともな展開にはならない気もしてはいたんですが(笑)
ところで咲夜さんのどの辺が幼j(ピチューン
9.欠片の屑削除
何してますのん、お二人ともww
スランプですか…書いても書いても楽しくない時は無茶しないのが一番ですね。
でも、創作する楽しさを知ってる人が、それを完全に忘れることなんて出来ませんよw
それに、脇役さんの描く美鈴や香霖って大好きなんです、また気が向いた時に投下されるであろう作品を、首を長く、月に届くまで長くして待ってます。
10.名無し妖怪削除
吹いたwww

スランプは誰にでも起こることです
そういうときはあまり突拍子の無いことはしないのが一番ですよ
いつも通りの日常を送っていればその内ふとした切欠でスランプは治るものですから

読み専門になるのも脇役さんの自由ですが、自分は脇役さんの作品をまだまだ見続けたいというのが正直な気持ちです
11.時空や空間を翔る程度の能力削除
ばかちんな二人に吹いたwwwwwwwww

12.名無し妖怪削除
どんなオチかと思いきやww・・・
13.名無し妖怪削除
予想の斜め上w
スランプがないと上達しないんだぜ
応援してます
14.名無し妖怪削除
陰陽が逆だからあれ?と思ったが男女の陰陽では無く幼女か否かだったとはw
15.名無し妖怪削除
これって死ぬのかどっちかが死ぬのか!?
と言うか能力的に霖之助の手は美鈴に効きそうだが
美鈴の手は霖之助に効かないんじゃなかろうかw
16.回転魔削除
最初 なぜこの二人が?

最後 うおおおおおおい!!
全力でつっこんだ。
17.名前が無い程度の能力削除
ゆかりん、魅魔様、神綺様て・・・すごい豪華なハーレムwww                   こーりん替われwww
18.名前が無い程度の能力削除
笑いww
19.名前が無い程度の能力削除
・・・・・どこがスランプ?
・・・・・えっ?どこがスランプ?