Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

さそいさそわれ

2008/03/04 09:51:16
最終更新
サイズ
3.21KB
ページ数
1
没になったタイトル「外に出るのにうってつけの日」

ほんのり博麗霊夢×森近霖之助です。そういうのが苦手なお方はそっと『戻る』を。


















魔法の森、その入り口にある店の中で1ページ1ページを呼吸するように消費していく。
文字列を追いかけ理解できる範囲で理解し妄想し空想し反芻し分類していく。
たとえ今日の空が突き抜けるような青色だろうと、お構いなしに僕は本を読み続けていた。

「……けさん。霖之助さーん」

自分を呼ぶ声を知覚して、ようやく僕は意識を本以外に向けることにした。
反射的に咳払いをしたのは、しばらく声を出さないとうまく発声できないからで、
年寄りもかくやというような外見不相応な音を聞かれないためだった。

「また本を読んでたの?こんなにいい天気なのに」
そういうと博麗の巫女は、当たり前のように売り物に腰掛けて
何か目新しい物はないかと店内を見回していた。

「天気と読書における因果関係なんて、実はそれほど無いという仮説があるんだよ」
「もう!そんなこと言って、いつも店から外に出ないんだから」
たまには仕事で出るよ、と答えると霊夢は呆れたように両手を挙げると
「そうじゃなくて、たまには運動しなきゃダメよ。どっか出かけるとか」
「日々の動作で事足りてるよ」

店を構えてる時点でそういった事はあらかた放棄しているし、元々そういう気質ではない。
一人で暮らしていると、そういったことの優先順位は物凄い勢いで低下していくものだ。
普段はのんびり過ごすが異変があればあちこちに駆け回るという行動量の塊のような
霊夢にそのあたりの配慮をしてくれることを期待できるかといえば、疑わしい限りだった。

「ねえ、霖之助さん。たまには霖之助さんから神社に来たりしないの?」
「さてね」

適当に返事をして本を閉じて立ち上がると、それを平積みされた本の山の一番上に乗せる。
次に読む本は何にしようかと考えてるが、残念ながら未読の本はもう見つからなかった。

「いよいよ霖之助さんのボムも尽きた?」
「弾幕と読書は違うよ」
「やっぱり出かけないとダメなのよ。色々と鈍っちゃうわよ」
「そんなことは無いさ」
「思いっきり鈍いと思うけど」
「何のことやら……」

ときどき彼女は自身の価値観を機軸になにやら直感で言葉を紡いでくるので
前後の内容にまったく関連性が見出せなことがある。が、幻想郷では珍しいわけでもない。
それに別に客も来ないし目新しい道具が入ったわけでもないので、霊夢の提案も悪くない。
が、いざ出かけるにしても用事が無いのだから出かける先があるはずも無い。

「霊夢、それじゃあ出かけるとしよう。僕はどこにいけば?」
「博麗神社。素敵な賽銭箱と素敵な巫女が霖之助さんを待ってるわ」
「その巫女さんは目の前にいるようだけど」
「まあ、霖之助さんったら私のことを素敵だなんて……」
「言ってない言ってない」

僕は持っていかれない程度の味と風味の安い茶を淹れて乾きを潤すことにした。

「粗茶ですが」
「ほんとだわ。ね、神社に来たらおいしいお茶、いれてあげるわ」
「さぞ美味しいだろうね。少し前にここから持っていったお茶なら」
「懐かしくて泣いちゃうんじゃない?」
「思い出が生まれる前に手元から消えたと記憶しているんだけど」
「決まり!それじゃ、思い出を作りに行きましょ?」

デートに誘うんじゃあるまいし変な言い方をするものだと思いながらも
せっかくなので、歩いてお茶を飲みに神社まで行くことにした。

「……だけど、なんで霊夢まで歩いてついてくるんだい?」
「いいじゃない。ほらほら、ゆっくり歩いてたら日が暮れちゃうわよ」
「……やれやれ」

そこから特に何かあるわけではなかった。確かにお茶は美味しかった。
ついでに夕食まで食べて行けたのは手が抜けて楽だったかもしれない。

あえて言えば、何故か霊夢の機嫌が良かったことくらいだと思う。



コメントが付くとすごいテンションが上がる自分にビックリ
ぽんこつたぬき
http://ponkotsutanuki.blog4.fc2.com/
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
霊夢可愛いよ霊夢
もっとやって!
2.名無し妖怪削除
ああもういじらしいなあここの霊夢は、あと霖之助鈍感過ぎるだろw
3.名無し妖怪削除
この朴念仁!


いいぞもっとやれ
4.名無し妖怪削除
鈍いなこの男w ほかにもフラグ立ててそうだw
>コメントが付くとすごい~
わかりすぎるくらいによくわかる
5.名無し妖怪削除
そりゃオメー、ノーショットで博麗神社まで行かなきゃいけないんだから
難度たけーべー
……でも無縁塚にはいけてるんだよな。襲われたらどうすんだろ
6.名前が無い程度の能力削除
仮にも半妖だし普通の人間よりは強いだろうな
霊夢のお札やお払い棒、魔理沙のミニ八卦路も霖之助が作ってるんだし
護衛用の道具ぐらい簡単に作りそう

それはそうと別キャラverで見て見たいな
7.ぽんこつたぬき削除
コメントがついて嬉しいのですよ。

>もっとやれ。別キャラverなど
個人的にもやりたいですが妄想が追いつくかどうかは別問題…!

>いじらしい
必要に迫られれば行動に出るんです…たぶん。

>どうやって無縁塚へ
攻めに出ないだけでスネークしたり守りのために攻撃くらいするのでは。(笑
8.名無し妖怪削除
これは良い空気。
長い話の中では描写もされないような、こーいう何気ないやり取り、大好きです。