1. jewels of impurity(intangible eternity)
蓬莱の玉の枝など、手に入るものか。
まったく、かぐやは何を考えているのか。
あの時だってそうだ。私に骨みたいな枯れ枝を握らせたかと
思ったら、急に笑い出したりして……。
2. humanoid
ねえだって、こんな綺麗なブロンドをしているのよ。それに蒼い瞳。
わたしは人間なんかじゃないわ。無論、化け物でもない。
わたしは人形。朽ちること無き、永遠の少女。
3. colourless crimson
あんなに紅かった桜も、見る間にすっかり褪せてしまった。
やはり永遠など存在し得ないのだ。
どんなに紅く染まっても、やがては白へと還ってゆく……。
4. Alice
嫋々たる弦声に紛れ、鴉片の紫煙[けむり]が流れる。
此処は魔都。混沌と猥雑と、うるわしき退廃の巷。
あら、迷い子かしら……?
お嬢ちゃん、お名前は? あら奇遇、わたしもアリスと云うのよ。
5. girls' sereneness
平穏な光景だ。十ばかりに見える少女達が、輪になって
人形遊びに興じている。
笑いさざめく声が聞こえる。彼女達の幾人かは間違いなく人食いだ。
まさに、平穏そのものの光景だ。
6. Doll of eyes
「なんて素晴らしいのかしら。まさか、永遠に新しい目を
造り続けてくれる人形が手に入るだなんて!
ありがとう、お人形さん。できれば、紅ではなくて、
わたしと同じ蒼い瞳だとなおよかったのだけれど」
少女が、手に入れてきた目作り人形に笑いかける。
命拾いをした僕の片目は、新たに開けられたその人形の
アイ・ホールから紅い紅い涙があふれ出して、白い髪を
瞳と同じ色に染めてゆくのを見つめていた。
7. Extravaganza of Circus
「さて、世にも珍しいゴクラクチョウと人間の間の娘。
なんと、刺しても焼いても死なないのさ!」
確かに、座長が紅い翼の少女につけた傷は、たちどころに
癒えてゆく。しかし、最後の剣が少女の心臓を刺し貫いた時、
僕は確信した。座長。貴方は間違っている。
なぜなら、彼女はゴクラクチョウなどではなく、己が身体を
劫火に焼いて甦る、不死鳥の娘なのだから。
その証拠にほら、彼女の炎が舞台も観客席も焼き払い、
今まさに僕を呑みこもうとしているじゃないか。
8. Noisy
雨の音が響く。しきりに話し掛けてくる人形の声も。
僕は人形の首を刎ねた。雨音が、まだ耳に障る。
人形のような少女が僕の首を刎ねた。やっと静かになった。
9. a subject of Love Potion
そんなこと、彼女にはとても言えやしない。
君の作った惚れ薬は失敗作だよ、だなんて。
だから私は何も言わず、私に一服盛ったあいつに身を委ねたんだ。
10. Re-encounter
とにかく、人間の身であった彼女が今、それも変わらぬ姿で
生きているなどあり得ないことなのだ。
それさえ忘れなければ、あとは如何様にも幻想を膨らませればよい。
黄昏の色に沈みゆく室内で、昨日葉擦れの向こうに消えた少女を
提琴のような琥珀色の記憶の中の彼女と見比べる。
そう、楽園の森の洋館の中で、髪はブロンドだったか、違ったか……。
11. Which is U. N. Owen?
女の子なら、二人見たわよ。金髪で蒼いのと、銀髪で紅いの。
え? どっちかは人形で、どっちかは人形だって?
わけがわからないわよ。
12. pleasant days
此処にはいつも誰かがやってくる。遊び相手には不自由しない。
今日は誰が来るのかしら。何をして遊ぶのかしら。
あら。今日のお客様は妖怪じゃないのね。人間でもないけれど。
ようこそいらっしゃい。あなたは誰かしら?
13. Dolls in Strange Paradise
美しい人形でしょう。
ただこの二体、どうも妖怪変化の類のようで。よろしければ
お買い上げの前に、知り合いの巫女に頼んで祓わせますが。
まあ、お気になさらないのなら、構わないのですが……。
蓬莱の玉の枝など、手に入るものか。
まったく、かぐやは何を考えているのか。
あの時だってそうだ。私に骨みたいな枯れ枝を握らせたかと
思ったら、急に笑い出したりして……。
2. humanoid
ねえだって、こんな綺麗なブロンドをしているのよ。それに蒼い瞳。
わたしは人間なんかじゃないわ。無論、化け物でもない。
わたしは人形。朽ちること無き、永遠の少女。
3. colourless crimson
あんなに紅かった桜も、見る間にすっかり褪せてしまった。
やはり永遠など存在し得ないのだ。
どんなに紅く染まっても、やがては白へと還ってゆく……。
4. Alice
嫋々たる弦声に紛れ、鴉片の紫煙[けむり]が流れる。
此処は魔都。混沌と猥雑と、うるわしき退廃の巷。
あら、迷い子かしら……?
お嬢ちゃん、お名前は? あら奇遇、わたしもアリスと云うのよ。
5. girls' sereneness
平穏な光景だ。十ばかりに見える少女達が、輪になって
人形遊びに興じている。
笑いさざめく声が聞こえる。彼女達の幾人かは間違いなく人食いだ。
まさに、平穏そのものの光景だ。
6. Doll of eyes
「なんて素晴らしいのかしら。まさか、永遠に新しい目を
造り続けてくれる人形が手に入るだなんて!
ありがとう、お人形さん。できれば、紅ではなくて、
わたしと同じ蒼い瞳だとなおよかったのだけれど」
少女が、手に入れてきた目作り人形に笑いかける。
命拾いをした僕の片目は、新たに開けられたその人形の
アイ・ホールから紅い紅い涙があふれ出して、白い髪を
瞳と同じ色に染めてゆくのを見つめていた。
7. Extravaganza of Circus
「さて、世にも珍しいゴクラクチョウと人間の間の娘。
なんと、刺しても焼いても死なないのさ!」
確かに、座長が紅い翼の少女につけた傷は、たちどころに
癒えてゆく。しかし、最後の剣が少女の心臓を刺し貫いた時、
僕は確信した。座長。貴方は間違っている。
なぜなら、彼女はゴクラクチョウなどではなく、己が身体を
劫火に焼いて甦る、不死鳥の娘なのだから。
その証拠にほら、彼女の炎が舞台も観客席も焼き払い、
今まさに僕を呑みこもうとしているじゃないか。
8. Noisy
雨の音が響く。しきりに話し掛けてくる人形の声も。
僕は人形の首を刎ねた。雨音が、まだ耳に障る。
人形のような少女が僕の首を刎ねた。やっと静かになった。
9. a subject of Love Potion
そんなこと、彼女にはとても言えやしない。
君の作った惚れ薬は失敗作だよ、だなんて。
だから私は何も言わず、私に一服盛ったあいつに身を委ねたんだ。
10. Re-encounter
とにかく、人間の身であった彼女が今、それも変わらぬ姿で
生きているなどあり得ないことなのだ。
それさえ忘れなければ、あとは如何様にも幻想を膨らませればよい。
黄昏の色に沈みゆく室内で、昨日葉擦れの向こうに消えた少女を
提琴のような琥珀色の記憶の中の彼女と見比べる。
そう、楽園の森の洋館の中で、髪はブロンドだったか、違ったか……。
11. Which is U. N. Owen?
女の子なら、二人見たわよ。金髪で蒼いのと、銀髪で紅いの。
え? どっちかは人形で、どっちかは人形だって?
わけがわからないわよ。
12. pleasant days
此処にはいつも誰かがやってくる。遊び相手には不自由しない。
今日は誰が来るのかしら。何をして遊ぶのかしら。
あら。今日のお客様は妖怪じゃないのね。人間でもないけれど。
ようこそいらっしゃい。あなたは誰かしら?
13. Dolls in Strange Paradise
美しい人形でしょう。
ただこの二体、どうも妖怪変化の類のようで。よろしければ
お買い上げの前に、知り合いの巫女に頼んで祓わせますが。
まあ、お気になさらないのなら、構わないのですが……。
コメントをお寄せくださり、ありがとうございました。
はい、仰せの通り、主にはアリスと妹紅をイメージしております。
この二人に、終盤は霊夢を、そして時折霖之助を、プラスしています。
説得力があると言うか、視点が自分には無いと言うか。
そういうのを表現するとすると、あなたはものっそ素晴らしい!ぐらいしか思い浮かばないのですよ、私はボキャ貧だから。
お褒めのお言葉、本当にありがとうございます。
お叱り覚悟の初投稿ということもあって、感激しきりです。
>視点
時々、妙な妄想がわくのですよ。この場合ですと、前掲作品の「見世物」という単語から、サーカスレヴァリエにつながったり。
そんな妄想達を、読んで楽しんでいただける作品に昇華できるよう、精進してゆきたいです。