Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

○○回目の正直

2008/02/25 09:32:00
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ズゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!





気だるい昼下がり、幻想郷をかつてない大きな揺れが襲った。

「うわぁ!何だよ一体!」
「おっとと」
博麗神社で談笑していた魔理沙と霊夢はとっさに空に浮かんで地面の揺れから逃れた。
下手に降りると危ないので地震が収まるまで浮いていようという魂胆だ。
周囲の木々の揺れが収まらないのを見ると、まだ地震は続いているようだ。



「・・・随分長い地震ね・・・。」
「ああ、1分以上続く地震なんて滅多に出会わないぜ。」

わしゃわしゃと木々が揺れる。神社の柱がみしみしと音を立てた。
「おいおい・・・こりゃちょっとヤバいんじゃないか?」
魔理沙が不安そうに話しかけた。
「そうね・・・またおかしな異変でなければいいんだけど・・・。」
永遠に続くかのような長い揺れは、しばらくすると嘘のようにピタリと収まった。


「何だったんだ今のは・・・。」
やれやれ、と箒から地面に降り、魔理沙は縁側に腰掛けた。
だが、霊夢は宙に浮いたままだ。
おうい、と声をかけてみても霊夢は反応しない。ただ虚空一点を見つめている。

「来るわ。」
ただ一言そう言うと

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

「ま、またかよ!」
再び大きな揺れが襲ってきた。
慌てて空に飛び上がり、霊夢のそばへ寄った。
「これは・・・確実に人為的なものね。」
「そのようだな・・・。」



霊夢はどこからか御幣<ごへい>とお札を取り出した。
魔理沙は八卦炉をポケットから取り出し弄っている。



「で、震源地は?」
「妖怪の山が怪しいと思う、・・・勘だけどね。」
そうか、と箒の柄の先をその方角へ向けた。
「さて・・・」
「行くか・・・!」


木々がざわめく幻想の空を二人の少女が再び翔けた。

お互いに歴戦の親友を携えた状態である、負ける気は、しない。









天狗達が住む妖怪の山の麓。今回は大した衝突もなく道なき道を進んでいた。
「変だな・・・。」
「何がよ。」
森を越え、滝を越えて二人は順調に山を進んでいた。
随分前から、妖怪達のテリトリーに武器持参で侵入してきているというのに、出てくるのは毛玉や妖精ばかり。
「妖怪の姿が全く見えなくなってるぜ・・・。」
「・・・・・・・。」
これは、と霊夢と魔理沙、両者共に嫌な予感が脳裏をよぎった。
「罠かしら、それとも・・・」
罠という可能性が大きい、前に一度妖怪の山に攻め入った時は周囲の妖怪だけでなく、八百万の神まで倒して進んだのだ。
並には勝てぬと踏んだ妖怪達が何かしらの対策を施していても不思議は無い。
「なんにせよ、お前の勘が当たっていることを祈ってるぜ?」
「ん、そろそろ守矢神社に着くわよ・・・。」


ズゴゴゴゴゴゴゴ!!!


再び轟音と揺れ。揺れが強くなっているということは、それだけ震源地に近付いたということだ。





赤い鳥居を視界に確認して、予想がつかぬ今回の異変の犯人を思い、二人は一層緊張を高めた。




















「神奈子様!貧乏揺すりやめてくださいー!」
「ちょ、神奈子またアルコール禁断症状!?」
たどり着いた神社では、諏訪子とその早苗がオンバシラの上に腰掛け、膝をがくがくさせている神奈子にしがみついていた。


「ふ、ふふ、大丈夫よ、二日くらい呑まなくたって全然平気なん・・・だか・・・らららららららららら!」
「全然大丈夫じゃないだろ。」
ペシッ、と魔理沙が平手で神奈子の頭を叩いた。
「まさか・・・この地震の原因って貴方じゃ無いでしょうね・・・?」
霊夢が半ば絶望したような表情で問うた。

「あ、霊夢さんに魔理沙さん!神奈子様を!どうか止めて下さいー!」
神奈子にしがみついていた早苗が必死の表情で訴えかけてくる。
「仕方無いわねえ・・・。早苗、諏訪子、離れなさい。危ないから。」


       回霊「夢想封印 侘」!!


光の洪水が神奈子を飲み込んだ。

「おぎゃああああああああああああああああああああ!!」


「巫女に調伏される神様って一体・・・。」
その光景を、諏訪子が苦笑いで見つめていた。








「んで、結局地震の犯人はお前ってことでいいのか?」
黒焦げになった神奈子を、つんつんと突付きながら魔理沙は問う。
しかし、答えは背後から返ってきた。
「あー、まあそうなっちゃいますね・・・。」
振り返り見れば、早苗が何とも恥ずかしそうに視線を泳がせていた。
「っていうか禁断症状で地震が起きるとかどんだけ凄まじいのよ、あんたのとこの神様は。」
「うう、申し訳ありません・・・。」

「さ、早苗が謝ることじゃないわ・・・責任は私にあるん・・・だか・・・ら・・・。」
「神奈子大丈夫?」

黒焦げの神奈子はやっと起き上がり、諏訪子の肩を借りて立ち上がった。
「私が・・・酒を呑み過ぎるから、早苗たちに迷惑を・・・」
「無茶しやがって」

「ああもう、酒が呑みたいなら呑めばいいのに、うちの鬼を見習いなさいよ。」
「いえ、そういうわけにもいかないんです。金銭的な問題で。」
よろめく神奈子を介助しながら、早苗が言った。

「神奈子様が呑むのは構わないんですけど、流石にうちの家計を圧迫しはじめまして・・・。」
「なるほどなー、神社ってのは、どこもこんなに財政が苦しいものなのか?」
そんなことよりも、一人で家計を圧迫するほど呑む神奈子の方に驚くべきなのだが、
その程度の飲兵衛は幻想郷にいくらでもいるので別段驚かなかった。

「禁酒なんてもう30回も成功してるから、このくらいわけ無いと思ってたんだけどねぇ。」
「それは成功って言わないの!」
ピン、と叱るように霊夢は神奈子の額を弾いた。

「ところで、山の妖怪達の姿が見えないんだけど、あれはどういうこと?」
「神奈子の禁断症状に巻き込まれないように避難してったー。」

天狗も逃げ出すとは、恐るべしアル中。



「全く。うちの鬼みたいに、酒が無限に湧き出る瓢箪とかあればいいのにねぇ。」

















「その手があったか!!」

















後日、博麗神社に居候が一人増えたとか。
その後早苗と諏訪子に泣きつかれてまた帰っていったとか。
乳輪大納言
コメント



1.名無し妖怪削除
禁断症状で地震とか、はた迷惑なw
鬼が居候……酒代浮いても、宴会で結局家計圧迫するだろw
2.脇役削除
もし、今の日本で地震が起きたら、それは神主の禁断症状という事に?
……いや、あの人は飲まないとなったら、それ以上のことが起こるかww
3.名無し妖怪削除
いや確かに、神の貧乏ゆすりならば、地震を引き起こしたとしても、さして不思議ではない気がww