アリスは自宅で人形を作っていた。
最近は家にいて黙々とこの作業をしている彼女なだけに、日付と時間の感覚があいまいになってきてるのだろうか?
「そういえばヴァレンタインっていつだっけ?」
なんて言ってしまうのはきっとそのせいなのである。そんな時。
「郵便です」
と、自宅の玄関を叩く音が。珍しいと思い外に出てみると、そこには白い犬……いや、狼の姿が見えた。
その肩に掛けてるものは郵便袋。どうも郵便屋らしい。
……幻想郷に郵便屋なんていたっけ?とアリスが質問すると。白い狼は『最近はじめたばかりです。まだ試験の段階なんですよ』と。
兎も角その狼から自分宛の手紙と、郵便物と称された手提げ袋(とキャンペーン中ということで洗濯洗剤)を貰うと、白い狼は別の所へと飛んでいった。
さて、アリスは繕っていた人形をいったん置いて、渡された手紙に目を向けた。
『差出人・博麗霊夢』
さほど珍しくはない、と思う。あの巫女が手紙を書くのか、とか思うがとにかくそこはおいておく。
それでもって次に目を向けるのは手提げ袋。と言っても紙でできている。エコなのか。
まずは最初に手紙の方を見てみようと思う。中に書いてあった内容はこんな感じだった。
『こんにちはアリス、ご機嫌麗しゅう』
この時点で『誰だ』と思った。
『さて、貴方に素敵なプレゼントがあります。チョコレートです。貴方のために丹念をこめて作りました。9日遅れのチョコを受け取ってください』
と。
これを読んで暫く私は呆気にとられた。9日遅れと言うのも十分驚くのに値するが、何より霊夢が私のために送ってくれたことに驚いた。
世間じゃマリアリやらパチュマリやらフラマリやらレイマリやら噂されてるからレイアリで来るとは思わなかったのだ。とりあえず魔理沙は一回霊夢に撃墜されてしまえ。
9日遅れと言うと、今日は23日か。とりあえずそれを確認する。
さて、いよいよメインに入ろうか。手提げ袋の中を覗いてみると。なるほど、中にはチョコレートが一つ入っていた。
形はトランプのクラブ。何故かと考えてみて、そういえばクラブには相棒という意味もあったなと思いつく。思いついてから少し心が温かくなった。
では霊夢。ありがたくいただきます。そう思ってカリリと噛んだ。
クシャキィ
「ほぉあらあああ!」
チョコは美味しかった。しかし中にはチョコ以外の何かが入っていたのだ。別にキャラメルとか素材じゃなくて!気持ちとかロマン的なものでもなくて!針だなんてネタ的な物でもないし!
中に入っていたのはまごうことなき、紙である。銀の。
つまり銀紙。アルミニウムを薄く延ばしたあれ。
経験したものしか分からないあの感覚!さっきの音はこれを噛んだ音よ!
まさかこんな罠があったとは。霊夢、恐ろしい子!
涙目になりながら銀紙を口から出してみる。と、よく見るとその銀紙は何かを包んでるようだった。
早速その包みをはずしてみると、中には先ほど呼んだ手紙と別の手紙が。
『ご機嫌麗しゅう、アリス』
だから誰だよ。
『貴方に一つ面白いお話を聞かせてあげるわ。セント・ヴァレンタインの呪いについてよ。
貴方は知らないかもしれないけどね、そもそもヴァレンタインは、セント・ヴァレンタインの命日。なのに人々はそのことを忘れてチョコだの恋愛だのに現を抜かしているわ。許せないと思わない?そんな人々についにセント・ヴァレンタインはお怒りになったわ。これが呪い。
呪いの内容は簡単なものよ、ヴァレンタインから過ぎた日にチョコを上げると、貰った側には過ぎた日数文の災いが降りる』
なんで当日の人に対しての呪いの内容が入ってないのよ。
『さて、貴方はもう9日過ぎたわ。つまり9倍の災いが降り注ぐ。それを回避する方法は一つ。過ぎた日数分の人数にチョコを渡すのよ』
どんなトンでも理論だ。
『そしてチョコを貰った日からお返しの日……つまり3月14日までの日数分のお礼を、渡した人――つまり私にお返しするのよ。現金で』
……。
『じゃあ、がんばって』
私はそっと、霊夢に貰ったチョコを外に放り投げ……ようとして結局全部食べた。もう紙は入っていなかった。
* * *
「さて、これからどうしましょう」
私はふぅと溜息をついてこれからのことを考えた。正直無視する、という手もあったのだが。なんとなくそれは憚られた。別に紙の最後に『実行しなきゃ全力で倒しに来ます』と書いてあったからではない。断じて。
あの後。手紙の追記に『手提げの下を見よ』と書いてあったのを見て、手提げ袋の下の板をはずしてみると、そこにはチョコがご丁寧に9個置いてあった。
これを渡せということか。そう納得した私は早速9人に渡しに行く事にした。
はて、ここでふと気がつく。誰に渡そう?
とりあえず魔理沙とパチュリーには渡そう。似たような魔法使いとして。
で?後はさてどうしようか。
とりあえず同じ3面の面々である美鈴さんと慧音とにとりさんには渡しておこう。3ボス同盟として。
これで5人。後4人。
……まぁ、言った先々で見つかるでしょう。
そんな甘い考えを持って、私はチョコを渡すサンタとして幻想郷に飛び立った。
* * *
「さてと、こんなものね」
チョコを配り終えて自宅のある森まで戻ってくる最中である。
結局残りの4人は行き当たりばったりな感じで渡すことができてよかった。
パチュリーの近くにいた小悪魔と、慧音の家に遊びに来ていた妹紅と、後は新しく幻想郷に来たという巫女に渡しておいた。『数が足りない』と言われたので一つだけ私の手造りのチョコを渡しておいた。こう見えても手先の器用さには自信がある。
なんだかんだあったアフター・ヴァレンタインも終了……じゃない。霊夢にお返ししなくちゃならないんだっけ、現金で。
と、そこで一つ違和感を覚えた。その違和感は最初からあったものなのだが、他のことに夢中で懸念していた。
――何故霊夢は私にチョコを配らせた?
単純にチョコを配るなら自分でやればいいと思うし、第一チョコを配る必然性が見つからない。そんなことして彼女の利益になることなんて――
そして、私は一つの仮説を立てた。
その仮説は、正に間も無く、確信へと導かれるのであった。
私の家の前に、6人の人影が見えたのだ。
「こ、こんにちは~……」
ものすごい控えめな挨拶。それを見て微笑む六人。胸中は察するに価しない。
よくよく見ると彼女らは口から赤黒い何かを出している。血か?まさか針が入っていた?いいえ、チョコレートです。
「なぁアリス。私、お前からチョコもらえて嬉しかったんだぜ」
「そ、そーなの」
「あぁ。凄くな。でもな、二重の意味で裏切られた感があるんだ が?」
「で、ですよね~」
冷や汗がだらだらと流れる。お風呂入りたい。それが今の私の正直な気持ち。
「一つ目は、お前のチョコに霊夢の文字があったこと。そしてもう一つは――――」
魔理沙が必殺技の構えを取る。うん。その先は何を言いたいか分かるよ、私。
「――銀紙が入っていたことだぁあぁああ!」
「それ私も被害者ぁぁぁぁぁ!」
魔理沙のマスタースパーク。
その他の皆さんの必殺技。
もう止めて、とっくに私の心身のライフはゼロよ。
その後、慧音が『やりすぎだ』の一言でこの惨劇を止めてくれた。ありがとう、きっと貴方なら運命を変えられるわ、歴史とか作れば何とか。
他の皆も『まあアリスが100%悪いわけじゃないし』と言って納得してくれた。ありがたい。持つべきものは友達ね。
皆が帰って、私も家に戻ろうとしたとき、後ろから声が聞こえた。
「あら、アリス。ご苦労様」
霊夢である。今回の事件の諸悪。私はムスッとした顔で振り返った。
「どう?私の作ったチョコは?」
「ええ、とっても美味しい銀紙の味がしたわ」
皮肉たっぷりこめて言い返すと、霊夢は少しだけ笑って。
「ごめんなさい。お口直しにまたチョコ作ったのだけど?食べるかしら?」
「いらないわよ。どうせまた銀紙の味がしそうだし。もしかしたら金箔とか入ってたりして」
「そんな高価なもの入れないわよ」
確かに、と思って霊夢の手を見た。
所々に絆創膏が張ってある。
私の視線に気がついたのか、霊夢は慌てて手を引っ込めた。
そして困り顔で『ちょっと転んじゃって』なんていってくる始末。
そんな霊夢を見ていたら私も自然と笑いがこみ上げてきた。
「貰うわ、そのチョコ。私のために作ってくれたんでしょ?」
「まぁね。今日はアリスにいっぱい迷惑掛けちゃったから」
「分かってるならかけないようにしなさいよ」
談笑しながらチョコを受け取る。心が幾分温かくなった。
「じゃあ私は帰るけど、ホワイトデーのお返し、忘れないでね。現金よ?」
「はいはい、分かってるわよ。じゃあね」
と、お別れの挨拶をして霊夢は帰っていった。
周りにちらほらと雪が降り始めた。私はそれを少しだけ愛おしいと感じて、自分の家のドアを空けた。
中には繕いかけの人形と、二通の手紙と紙袋。
そして今の私には最後のチョコレート。
包み紙を丁寧にはがして、一口サイズのそれらを口に入れる。ほんのりとした甘みが、私には丁度いい。
お返しは精一杯のものを送ってあげよう、現金で。なんて思いながら、私は人形を繕う作業を再開した。
霊夢から貰った最後のチョコは、とってもとっても美味しい――――
――――あめとむちがデザインされたチョコだった。
最近は家にいて黙々とこの作業をしている彼女なだけに、日付と時間の感覚があいまいになってきてるのだろうか?
「そういえばヴァレンタインっていつだっけ?」
なんて言ってしまうのはきっとそのせいなのである。そんな時。
「郵便です」
と、自宅の玄関を叩く音が。珍しいと思い外に出てみると、そこには白い犬……いや、狼の姿が見えた。
その肩に掛けてるものは郵便袋。どうも郵便屋らしい。
……幻想郷に郵便屋なんていたっけ?とアリスが質問すると。白い狼は『最近はじめたばかりです。まだ試験の段階なんですよ』と。
兎も角その狼から自分宛の手紙と、郵便物と称された手提げ袋(とキャンペーン中ということで洗濯洗剤)を貰うと、白い狼は別の所へと飛んでいった。
さて、アリスは繕っていた人形をいったん置いて、渡された手紙に目を向けた。
『差出人・博麗霊夢』
さほど珍しくはない、と思う。あの巫女が手紙を書くのか、とか思うがとにかくそこはおいておく。
それでもって次に目を向けるのは手提げ袋。と言っても紙でできている。エコなのか。
まずは最初に手紙の方を見てみようと思う。中に書いてあった内容はこんな感じだった。
『こんにちはアリス、ご機嫌麗しゅう』
この時点で『誰だ』と思った。
『さて、貴方に素敵なプレゼントがあります。チョコレートです。貴方のために丹念をこめて作りました。9日遅れのチョコを受け取ってください』
と。
これを読んで暫く私は呆気にとられた。9日遅れと言うのも十分驚くのに値するが、何より霊夢が私のために送ってくれたことに驚いた。
世間じゃマリアリやらパチュマリやらフラマリやらレイマリやら噂されてるからレイアリで来るとは思わなかったのだ。とりあえず魔理沙は一回霊夢に撃墜されてしまえ。
9日遅れと言うと、今日は23日か。とりあえずそれを確認する。
さて、いよいよメインに入ろうか。手提げ袋の中を覗いてみると。なるほど、中にはチョコレートが一つ入っていた。
形はトランプのクラブ。何故かと考えてみて、そういえばクラブには相棒という意味もあったなと思いつく。思いついてから少し心が温かくなった。
では霊夢。ありがたくいただきます。そう思ってカリリと噛んだ。
クシャキィ
「ほぉあらあああ!」
チョコは美味しかった。しかし中にはチョコ以外の何かが入っていたのだ。別にキャラメルとか素材じゃなくて!気持ちとかロマン的なものでもなくて!針だなんてネタ的な物でもないし!
中に入っていたのはまごうことなき、紙である。銀の。
つまり銀紙。アルミニウムを薄く延ばしたあれ。
経験したものしか分からないあの感覚!さっきの音はこれを噛んだ音よ!
まさかこんな罠があったとは。霊夢、恐ろしい子!
涙目になりながら銀紙を口から出してみる。と、よく見るとその銀紙は何かを包んでるようだった。
早速その包みをはずしてみると、中には先ほど呼んだ手紙と別の手紙が。
『ご機嫌麗しゅう、アリス』
だから誰だよ。
『貴方に一つ面白いお話を聞かせてあげるわ。セント・ヴァレンタインの呪いについてよ。
貴方は知らないかもしれないけどね、そもそもヴァレンタインは、セント・ヴァレンタインの命日。なのに人々はそのことを忘れてチョコだの恋愛だのに現を抜かしているわ。許せないと思わない?そんな人々についにセント・ヴァレンタインはお怒りになったわ。これが呪い。
呪いの内容は簡単なものよ、ヴァレンタインから過ぎた日にチョコを上げると、貰った側には過ぎた日数文の災いが降りる』
なんで当日の人に対しての呪いの内容が入ってないのよ。
『さて、貴方はもう9日過ぎたわ。つまり9倍の災いが降り注ぐ。それを回避する方法は一つ。過ぎた日数分の人数にチョコを渡すのよ』
どんなトンでも理論だ。
『そしてチョコを貰った日からお返しの日……つまり3月14日までの日数分のお礼を、渡した人――つまり私にお返しするのよ。現金で』
……。
『じゃあ、がんばって』
私はそっと、霊夢に貰ったチョコを外に放り投げ……ようとして結局全部食べた。もう紙は入っていなかった。
* * *
「さて、これからどうしましょう」
私はふぅと溜息をついてこれからのことを考えた。正直無視する、という手もあったのだが。なんとなくそれは憚られた。別に紙の最後に『実行しなきゃ全力で倒しに来ます』と書いてあったからではない。断じて。
あの後。手紙の追記に『手提げの下を見よ』と書いてあったのを見て、手提げ袋の下の板をはずしてみると、そこにはチョコがご丁寧に9個置いてあった。
これを渡せということか。そう納得した私は早速9人に渡しに行く事にした。
はて、ここでふと気がつく。誰に渡そう?
とりあえず魔理沙とパチュリーには渡そう。似たような魔法使いとして。
で?後はさてどうしようか。
とりあえず同じ3面の面々である美鈴さんと慧音とにとりさんには渡しておこう。3ボス同盟として。
これで5人。後4人。
……まぁ、言った先々で見つかるでしょう。
そんな甘い考えを持って、私はチョコを渡すサンタとして幻想郷に飛び立った。
* * *
「さてと、こんなものね」
チョコを配り終えて自宅のある森まで戻ってくる最中である。
結局残りの4人は行き当たりばったりな感じで渡すことができてよかった。
パチュリーの近くにいた小悪魔と、慧音の家に遊びに来ていた妹紅と、後は新しく幻想郷に来たという巫女に渡しておいた。『数が足りない』と言われたので一つだけ私の手造りのチョコを渡しておいた。こう見えても手先の器用さには自信がある。
なんだかんだあったアフター・ヴァレンタインも終了……じゃない。霊夢にお返ししなくちゃならないんだっけ、現金で。
と、そこで一つ違和感を覚えた。その違和感は最初からあったものなのだが、他のことに夢中で懸念していた。
――何故霊夢は私にチョコを配らせた?
単純にチョコを配るなら自分でやればいいと思うし、第一チョコを配る必然性が見つからない。そんなことして彼女の利益になることなんて――
そして、私は一つの仮説を立てた。
その仮説は、正に間も無く、確信へと導かれるのであった。
私の家の前に、6人の人影が見えたのだ。
「こ、こんにちは~……」
ものすごい控えめな挨拶。それを見て微笑む六人。胸中は察するに価しない。
よくよく見ると彼女らは口から赤黒い何かを出している。血か?まさか針が入っていた?いいえ、チョコレートです。
「なぁアリス。私、お前からチョコもらえて嬉しかったんだぜ」
「そ、そーなの」
「あぁ。凄くな。でもな、二重の意味で裏切られた感があるんだ が?」
「で、ですよね~」
冷や汗がだらだらと流れる。お風呂入りたい。それが今の私の正直な気持ち。
「一つ目は、お前のチョコに霊夢の文字があったこと。そしてもう一つは――――」
魔理沙が必殺技の構えを取る。うん。その先は何を言いたいか分かるよ、私。
「――銀紙が入っていたことだぁあぁああ!」
「それ私も被害者ぁぁぁぁぁ!」
魔理沙のマスタースパーク。
その他の皆さんの必殺技。
もう止めて、とっくに私の心身のライフはゼロよ。
その後、慧音が『やりすぎだ』の一言でこの惨劇を止めてくれた。ありがとう、きっと貴方なら運命を変えられるわ、歴史とか作れば何とか。
他の皆も『まあアリスが100%悪いわけじゃないし』と言って納得してくれた。ありがたい。持つべきものは友達ね。
皆が帰って、私も家に戻ろうとしたとき、後ろから声が聞こえた。
「あら、アリス。ご苦労様」
霊夢である。今回の事件の諸悪。私はムスッとした顔で振り返った。
「どう?私の作ったチョコは?」
「ええ、とっても美味しい銀紙の味がしたわ」
皮肉たっぷりこめて言い返すと、霊夢は少しだけ笑って。
「ごめんなさい。お口直しにまたチョコ作ったのだけど?食べるかしら?」
「いらないわよ。どうせまた銀紙の味がしそうだし。もしかしたら金箔とか入ってたりして」
「そんな高価なもの入れないわよ」
確かに、と思って霊夢の手を見た。
所々に絆創膏が張ってある。
私の視線に気がついたのか、霊夢は慌てて手を引っ込めた。
そして困り顔で『ちょっと転んじゃって』なんていってくる始末。
そんな霊夢を見ていたら私も自然と笑いがこみ上げてきた。
「貰うわ、そのチョコ。私のために作ってくれたんでしょ?」
「まぁね。今日はアリスにいっぱい迷惑掛けちゃったから」
「分かってるならかけないようにしなさいよ」
談笑しながらチョコを受け取る。心が幾分温かくなった。
「じゃあ私は帰るけど、ホワイトデーのお返し、忘れないでね。現金よ?」
「はいはい、分かってるわよ。じゃあね」
と、お別れの挨拶をして霊夢は帰っていった。
周りにちらほらと雪が降り始めた。私はそれを少しだけ愛おしいと感じて、自分の家のドアを空けた。
中には繕いかけの人形と、二通の手紙と紙袋。
そして今の私には最後のチョコレート。
包み紙を丁寧にはがして、一口サイズのそれらを口に入れる。ほんのりとした甘みが、私には丁度いい。
お返しは精一杯のものを送ってあげよう、現金で。なんて思いながら、私は人形を繕う作業を再開した。
霊夢から貰った最後のチョコは、とってもとっても美味しい――――
――――あめとむちがデザインされたチョコだった。
いやー、よかったですw
よかったね早苗さん。残り物には福があるという事だ。
仕返しに来たメンバーと最後のオチについて解説をお願いします。
そこだけ私の読解力ではよく解らなかったので。
銀紙を噛んだ時のあの不快はたまりませんな。魔理沙の気持ちがわかります。w
>策士な霊夢によかった方
通常の霊夢も十分強いのですがお金が絡むとその数十倍になると言ううわさが……。
まぁ、普通の人もそうですよね。
>霊夢を賞賛なさってる方
霊夢は通常でも(ry
特にアリスなら霊夢の手のひらで踊ってしまうのでは?そんな感じです。
最後の落ちに関しては後述します。
>銀紙同盟の方
くしゃ、マジできついです。勘弁してほしいですよね、あれは本当に。
>2008-02-24 12:04:36の名無し妖怪さん、及び後述周辺の落ちについて
まず魔理沙たちが仕返しに来たのは、アリスから配られたチョコがアリスが食べたチョコと同じものだったのです。つまり銀紙とメッセージ入り。そのため、配ったアリスと霊夢は共犯だと思って仕返しに来たわけですね。
最初のアリスへは『お賽銭よこせ』と強制させたわけです。
次にアリスに優しくすることによって、『渡してもいいかな』とアリスに思わせたわけです。
これが『飴と鞭』というわけです。この言葉の意味が分からない方はググって見てくださいな。
と言うわけで2008-02-24 12:04:36さんのご意見は正しいのです。
少々分かりにくい表現を用いて申し訳ありませんでした。
それでは、感想ありがとうございました。
「アリスは多くの人妖に狙われており、霊夢もその例外ではなかった。
そこで彼女は自らの手を汚すことなく、効率よくライバルを排除する為に策を練った。
それはアリスの性格を上手く利用したもので、結果それは成功した。ただ、早苗さん達は未遂。
『あめとむち』とはアリスに敢えて罪を被せる“鞭”とアフターケアの“飴”によって構成された、
まさに霊夢らしい作戦である スキマ書房刊『博麗の乱』より」