魔法の森の奥深く。
そこに霧雨魔法店こと、わたしの自宅は建っている。
「う~む・・・」
わたしは悩んでいた。
悩んでいたとはいっても、今晩の献立とかいつものような紅魔館への進入方法だとかのようなごくごく一般的な悩みじゃあない。
「まいったな・・・」
いつもかぶっている魔女の黒帽子をくしゃくしゃになる程に頭を抱えているのに解決策が見つからないんだ。
ここまで悩んだのは、どうすれば霊夢に気づかれずに腋をくすぐることができるかを真剣に考察したときくらいだぜ。
そうそう、いま直面している悩みのことだが。
このくらい話してしまうと、もう皆にはわかってしまうかもな。
じゃあ、せっかくだから声に出すぜ?
「マスタースパークが・・・撃てないだなんて・・・」
そう、これが今のわたしの悩みなんだ。
神様との戦いでは、『主人公側はスペルカードを使えない』んだ。
これは大きい。
ん? 花映塚でもマスタースパークは使ってなかっただろ?
いや、いくらわたしでも本家の前では空気を読むんだ。
萃夢想でもパチュリーにノンディレクショナルレーザーは使わなかっただろ?
「キノコから取れるエネルギー量には限界がある・・・
星の数も、魔力の消費量の関係で・・・・」
だから工夫に工夫を重ねているんだがどうにも上手く行かない。
なにか掴めそうな気はするんだが。
「あ~~~~っ!! もう、やめだやめ!」
家の中にこもっていてもカビが生えるだけだ。
もしかしたら外回りをしているうちに何かを見つけられるかもしれないし。
そうと決まれば行動が早いのが魔理沙さんだ。
①箒を掴んで、最高速度で魔法の森から飛び立つ。
②速度の出しすぎで落ちそうになる。
③天狗にその瞬間を撮られる。
④ムキになって追いかける。
⑤魔力のコントロールを誤る。
⑥失速
⑦苦し紛れのマスタースパークを天狗に当てる。
⑧墜落
自分は案外⑨なのかもしれない。
今度チルノと魔法について話し合ってみようか?
いや、ダメだダメだ。落ち着け自分。
「ねぇ?」
しっかし、派手に落ちたなぁ。
受身を取れなかったらマズかったかもな。
「ちょっと?」
あっ!ちょっと擦りむいてるじゃん!
え~と、やくそうを食べればHPが30回復・・・
「1番、風見幽香!元祖マスタースパーク!いっきま~す♪」
「OK、わかった。 話を聞くからその危ない傘をしまおうか?」
楽しそうに、しかしその実のところは無茶苦茶物騒なことを言う人物に両手を挙げて降参のポーズ。
うん、これが人生を長く生きるコツってやつだぜ。
「まったく、人の住処に落ちてきて、人の話を無視して・・・」
「いや、まぁ、その」
さっき自分で名乗ってたと思うが一応説明しておこう。
私の目の前にいるのは風見幽香。そしてここは太陽の畑。
「さっき、落下の衝撃を和らげてくれたのは素直に感謝してる。ありがとう」
植物がわたしに向かって急成長してくる様子はなかなかシュールだったが。
「まぁ、いいけど。 命の恩人且つ技に関しての著作者に対して御礼をしてくれるならね」
幽香が含みのある笑みをこちらに向けてくる。
まぁ、簡単に言うと『感謝の気持ちをモノで示せ』と言われているわけだ。
わたしは彼女の意図を汲み取り、帽子のなかを探りながら商人のような口調で話し始めた。
「おお、アナタとても運がいい! これ紅魔館のメイド長が胸に忍ばせている胸当て(仮)ネ」
わたしは被っていた帽子の中から胸当て(仮)を取り出して彼女に渡した。
自分で言うのもなんだが、かなりの希少品だ。
「ああ・・・ えっと、咲夜だっけ? 彼女、ホントにつけてたんだ・・・」
幽香は一通り見た後で、胸当て(仮)を返してきた。
希少品なのに・・・。
「もっと良い物はないのかしら?」
「おお、アナタとてもお目が高い! それならこちらはどうですか?」
別の胸当て(仮)を取り出して彼女に渡す。
「これって・・・さっきのとどう違うの?」
幽香が怪訝な顔をしている。
無理はない。
咲夜(小?)とかわたし(小?)の苦労はおまえら(大?)にはわかるまい。
「コレはホラ、こうよせて・・・」
「ああ、なるほど・・・」
へぇ~とか感心しながら一通りみた後でまたもやクーリングオフされた。
ちょっぴりだけハートブレイクだ。
「う~ん、店主さん。 もう一声ほしいんだけど」
「オーあなたヒドイ人! わたしに首吊れ言いますか! でもアナタ友達!」
お互い白々しい調子で続ける。
そろそろ、本当に渡すべきものを渡そうか。
「これでどうだ? おまえさんの欲しがるのはこういうものじゃないか?」
「こ、これは?!」
帽子から私が取り出したものをみて幽香が驚く。
それはそうだろう。
なにせこのわたしが厳選した品物なんだから。
幽香は最愛の人を抱きしめるがごとくそれを胸に抱いた。
・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
・・
・
「ほしかったのよね、この低反発枕」
「喜んでもらえて何よりだ」
幽香が一通り枕の感触を味わった後、わたしは悩みを打ち明けることにした。
「なぁ、元祖マスタースパークの持ち主としてのあんたに話があるんだが、いいか?」
「んぅ? 貴方の方から相談なんて珍しいわね。 いいわよ」
案外あっさりとした回答に胸をなで下ろす。
ここで断られると場を和ませるためのジョークのために命がけで用意したメイド長の胸当て(仮)×2の小道具とアリスに頼んで作ってもらった低反発枕が無駄になってしまうところだった。
わたしは事情を幽香に話した。
幽香の第一声は予想したものとあまり変わりなかった。
「花映塚の時とべつに変わらないじゃない」
「いや、あの時とそれ以外だとシステムとか違うだろ?」
「そうじゃなくて。 あとメタな話はあんまりしないよ~に」
幽香はコホンと咳払いをしてから続けてきた。
「ねぇ魔理沙、わたしは花映塚のときどんなスタイルをとってた?」
「花映塚のとき?」
そう記憶に遠い話ではない。
わたしは幽香との戦いを思い出す。
「大型の向日葵弾か?」
「違うわ」
どうやら違うようだ。
しかし、わたしには他に心当たりはない。
悩むわたしを尻目に幽香は空に傘を向けた。
「つまりこうよ」
パパパンッ!
空から鴉が三羽ほど落ちてくる。
別に変わったところはないと思うんだが・・・
・・・ん?
・・・いや、まてよ!?
「なるほど! つまり、こういうことだな?」
ズドンッ!
今度は空から文が落ちてきた。
やたら大きい鴉だと思ったらお前か。
さっきの写真のネガを渡せ。
「わかったみたいね」
「ああ、わかった。なんだ、簡単なことだったんじゃないか!」
クスリと笑う幽香をみて、悩んでいた自分をちっぽけなように感じる。
そうだ。自分のやり方でやればいいんじゃないか!
「じゃあ、頑張ってね。 巫女にはあのスキマなトシマがつくんでしょう? 困ったことがあったらあなたの師匠の代わりに聞いてあげるわよ」
気が向いたらだけど、という幽香の背中はかつての師匠である魅魔さまに似ていた気がする。
「ああ、わかった! 今度はもっと気の利いたものをもってくるぜ!」
言いながら箒にまたがり魔法の森へと全速力で帰った。
もちろん、教わったことを実践するために、だ。
~~~そして、風神録の幕は開ける~~~
わたしはついに霊夢より早く黒幕に会うことに成功した。
これも一重に幽香の助言とわたしの研究の成果だろう。
「あんたが、うちの早苗をいじめてくれたのかい?」
紅い月の晩のスカーレット姉妹に勝るとも劣らないカリスマを持つ神、八坂神奈子がわたしの前に立ちはだかる。
しかし、今のわたしの前に立って無事でいられるものはそうはいない。
「わたしは、あんたらが周りの連中と仲良くしてくれるなら手を出すつもりはないんだがな」
「もう手を出しているのによくいうわね」
「手を出したのはそっちのお嬢さんが先立ったんだがね。どうも、力が上手く加減できなくてな」
その言葉に八坂の神様は怒りを露にする。
あぁ、そうそう。
こんな会話をしているが早苗とかいう青巫女は気絶してるだけだから心配は要らない。
「なら、あなたには見せるべきね」
「ほう、実はこちらも見せたいものがあるんだ」
八坂の神様には神通力が集中し、わたしは八卦炉に魔力をためはじめた。
スペルがないなら通常弾を強化しろ。
幽香の教えはこれだった。
わたしは八卦炉のレーザーを調べつくした。
すると、フルパワー一歩手前(P3.00~3.99)の状態のレーザーは圧縮版マスタースパークに変化させられることがわかったのだ。
わたしは幽香からもらったこの切り札をここで解き放つ!
「神の威光にひれ伏しなさい!」
「最強×パワーの弾幕! マスターレーザー!」
東方風神録~完~
そこに霧雨魔法店こと、わたしの自宅は建っている。
「う~む・・・」
わたしは悩んでいた。
悩んでいたとはいっても、今晩の献立とかいつものような紅魔館への進入方法だとかのようなごくごく一般的な悩みじゃあない。
「まいったな・・・」
いつもかぶっている魔女の黒帽子をくしゃくしゃになる程に頭を抱えているのに解決策が見つからないんだ。
ここまで悩んだのは、どうすれば霊夢に気づかれずに腋をくすぐることができるかを真剣に考察したときくらいだぜ。
そうそう、いま直面している悩みのことだが。
このくらい話してしまうと、もう皆にはわかってしまうかもな。
じゃあ、せっかくだから声に出すぜ?
「マスタースパークが・・・撃てないだなんて・・・」
そう、これが今のわたしの悩みなんだ。
神様との戦いでは、『主人公側はスペルカードを使えない』んだ。
これは大きい。
ん? 花映塚でもマスタースパークは使ってなかっただろ?
いや、いくらわたしでも本家の前では空気を読むんだ。
萃夢想でもパチュリーにノンディレクショナルレーザーは使わなかっただろ?
「キノコから取れるエネルギー量には限界がある・・・
星の数も、魔力の消費量の関係で・・・・」
だから工夫に工夫を重ねているんだがどうにも上手く行かない。
なにか掴めそうな気はするんだが。
「あ~~~~っ!! もう、やめだやめ!」
家の中にこもっていてもカビが生えるだけだ。
もしかしたら外回りをしているうちに何かを見つけられるかもしれないし。
そうと決まれば行動が早いのが魔理沙さんだ。
①箒を掴んで、最高速度で魔法の森から飛び立つ。
②速度の出しすぎで落ちそうになる。
③天狗にその瞬間を撮られる。
④ムキになって追いかける。
⑤魔力のコントロールを誤る。
⑥失速
⑦苦し紛れのマスタースパークを天狗に当てる。
⑧墜落
自分は案外⑨なのかもしれない。
今度チルノと魔法について話し合ってみようか?
いや、ダメだダメだ。落ち着け自分。
「ねぇ?」
しっかし、派手に落ちたなぁ。
受身を取れなかったらマズかったかもな。
「ちょっと?」
あっ!ちょっと擦りむいてるじゃん!
え~と、やくそうを食べればHPが30回復・・・
「1番、風見幽香!元祖マスタースパーク!いっきま~す♪」
「OK、わかった。 話を聞くからその危ない傘をしまおうか?」
楽しそうに、しかしその実のところは無茶苦茶物騒なことを言う人物に両手を挙げて降参のポーズ。
うん、これが人生を長く生きるコツってやつだぜ。
「まったく、人の住処に落ちてきて、人の話を無視して・・・」
「いや、まぁ、その」
さっき自分で名乗ってたと思うが一応説明しておこう。
私の目の前にいるのは風見幽香。そしてここは太陽の畑。
「さっき、落下の衝撃を和らげてくれたのは素直に感謝してる。ありがとう」
植物がわたしに向かって急成長してくる様子はなかなかシュールだったが。
「まぁ、いいけど。 命の恩人且つ技に関しての著作者に対して御礼をしてくれるならね」
幽香が含みのある笑みをこちらに向けてくる。
まぁ、簡単に言うと『感謝の気持ちをモノで示せ』と言われているわけだ。
わたしは彼女の意図を汲み取り、帽子のなかを探りながら商人のような口調で話し始めた。
「おお、アナタとても運がいい! これ紅魔館のメイド長が胸に忍ばせている胸当て(仮)ネ」
わたしは被っていた帽子の中から胸当て(仮)を取り出して彼女に渡した。
自分で言うのもなんだが、かなりの希少品だ。
「ああ・・・ えっと、咲夜だっけ? 彼女、ホントにつけてたんだ・・・」
幽香は一通り見た後で、胸当て(仮)を返してきた。
希少品なのに・・・。
「もっと良い物はないのかしら?」
「おお、アナタとてもお目が高い! それならこちらはどうですか?」
別の胸当て(仮)を取り出して彼女に渡す。
「これって・・・さっきのとどう違うの?」
幽香が怪訝な顔をしている。
無理はない。
咲夜(小?)とかわたし(小?)の苦労はおまえら(大?)にはわかるまい。
「コレはホラ、こうよせて・・・」
「ああ、なるほど・・・」
へぇ~とか感心しながら一通りみた後でまたもやクーリングオフされた。
ちょっぴりだけハートブレイクだ。
「う~ん、店主さん。 もう一声ほしいんだけど」
「オーあなたヒドイ人! わたしに首吊れ言いますか! でもアナタ友達!」
お互い白々しい調子で続ける。
そろそろ、本当に渡すべきものを渡そうか。
「これでどうだ? おまえさんの欲しがるのはこういうものじゃないか?」
「こ、これは?!」
帽子から私が取り出したものをみて幽香が驚く。
それはそうだろう。
なにせこのわたしが厳選した品物なんだから。
幽香は最愛の人を抱きしめるがごとくそれを胸に抱いた。
・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
・・
・
「ほしかったのよね、この低反発枕」
「喜んでもらえて何よりだ」
幽香が一通り枕の感触を味わった後、わたしは悩みを打ち明けることにした。
「なぁ、元祖マスタースパークの持ち主としてのあんたに話があるんだが、いいか?」
「んぅ? 貴方の方から相談なんて珍しいわね。 いいわよ」
案外あっさりとした回答に胸をなで下ろす。
ここで断られると場を和ませるためのジョークのために命がけで用意したメイド長の胸当て(仮)×2の小道具とアリスに頼んで作ってもらった低反発枕が無駄になってしまうところだった。
わたしは事情を幽香に話した。
幽香の第一声は予想したものとあまり変わりなかった。
「花映塚の時とべつに変わらないじゃない」
「いや、あの時とそれ以外だとシステムとか違うだろ?」
「そうじゃなくて。 あとメタな話はあんまりしないよ~に」
幽香はコホンと咳払いをしてから続けてきた。
「ねぇ魔理沙、わたしは花映塚のときどんなスタイルをとってた?」
「花映塚のとき?」
そう記憶に遠い話ではない。
わたしは幽香との戦いを思い出す。
「大型の向日葵弾か?」
「違うわ」
どうやら違うようだ。
しかし、わたしには他に心当たりはない。
悩むわたしを尻目に幽香は空に傘を向けた。
「つまりこうよ」
パパパンッ!
空から鴉が三羽ほど落ちてくる。
別に変わったところはないと思うんだが・・・
・・・ん?
・・・いや、まてよ!?
「なるほど! つまり、こういうことだな?」
ズドンッ!
今度は空から文が落ちてきた。
やたら大きい鴉だと思ったらお前か。
さっきの写真のネガを渡せ。
「わかったみたいね」
「ああ、わかった。なんだ、簡単なことだったんじゃないか!」
クスリと笑う幽香をみて、悩んでいた自分をちっぽけなように感じる。
そうだ。自分のやり方でやればいいんじゃないか!
「じゃあ、頑張ってね。 巫女にはあのスキマなトシマがつくんでしょう? 困ったことがあったらあなたの師匠の代わりに聞いてあげるわよ」
気が向いたらだけど、という幽香の背中はかつての師匠である魅魔さまに似ていた気がする。
「ああ、わかった! 今度はもっと気の利いたものをもってくるぜ!」
言いながら箒にまたがり魔法の森へと全速力で帰った。
もちろん、教わったことを実践するために、だ。
~~~そして、風神録の幕は開ける~~~
わたしはついに霊夢より早く黒幕に会うことに成功した。
これも一重に幽香の助言とわたしの研究の成果だろう。
「あんたが、うちの早苗をいじめてくれたのかい?」
紅い月の晩のスカーレット姉妹に勝るとも劣らないカリスマを持つ神、八坂神奈子がわたしの前に立ちはだかる。
しかし、今のわたしの前に立って無事でいられるものはそうはいない。
「わたしは、あんたらが周りの連中と仲良くしてくれるなら手を出すつもりはないんだがな」
「もう手を出しているのによくいうわね」
「手を出したのはそっちのお嬢さんが先立ったんだがね。どうも、力が上手く加減できなくてな」
その言葉に八坂の神様は怒りを露にする。
あぁ、そうそう。
こんな会話をしているが早苗とかいう青巫女は気絶してるだけだから心配は要らない。
「なら、あなたには見せるべきね」
「ほう、実はこちらも見せたいものがあるんだ」
八坂の神様には神通力が集中し、わたしは八卦炉に魔力をためはじめた。
スペルがないなら通常弾を強化しろ。
幽香の教えはこれだった。
わたしは八卦炉のレーザーを調べつくした。
すると、フルパワー一歩手前(P3.00~3.99)の状態のレーザーは圧縮版マスタースパークに変化させられることがわかったのだ。
わたしは幽香からもらったこの切り札をここで解き放つ!
「神の威光にひれ伏しなさい!」
「最強×パワーの弾幕! マスターレーザー!」
東方風神録~完~
でもそれだと通常移動中にしか効果が発揮されない理由がry
>
こういうのもありかな~と思いました!
>
低速移動のときは前方集中になるからエネルギーが飽和してしまうのですよ!
な、なんだ(ry
苦しいですね(汗)
>欠片の屑さん
今回からレーザーは明滅しませんもんね。
なにかアレに変わるものが欲しいですね!