Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

アリスのさんぽ

2008/02/20 09:32:31
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その日魔法の森は珍しく晴れていた。
だから虫干しも兼ねて、アリスは人形達を連れて散歩にでかけた。
そしたら道に、霊夢が落ちていた

「・・・霊夢かしら、あ、それとも霊夢に良く似たキノコかしら」
「本人よ・・・」
「そう、何してるの?」
「見て分からない?」
「・・・行き倒れた人ごっこかしら」
「行き倒れてるのよ・・・悪いけど、魔理沙呼んできてくれる?」
「何か用なの?」
「とりあえず食べるものが無いと死にそうなのよ・・・
怪しげなキノコ料理でも良いから、今は胃袋にカロリーが欲しいの」
「でも、魔理沙ならさっき箒に乗ってどこかに出かけた所よ」
「え゛」
「だから散歩に出たの、誰にも会わないと思ってたんだけど・・・
ああ、誰にも会わなかった事にすればいいのかしら」
言って立ち去ろうとするアリスの背中に、霊夢の声が突き刺さる。
「化けて出るわよ」
「巫女なのにその台詞は無いんじゃない・・・」
「巫女とか巫女じゃないとか言ってられる状況じゃないのよ」
「ふぅん・・・」
振り向いたアリスは、言葉を交わしてから初めて霊夢に近寄りまじまじと霊夢の姿を見つめた。
「本当に行き倒れらしいわね」
「嘘なんかついて何になるってのよ・・・」
「この森には一人、何にもならなそうな事に熱心なのがいるもんだから」
「それはさっき飛んでったんでしょ」
「そうね、仕方が無いから助けてあげるわ。
本当に霊夢にそっくりなキノコが生えても困るし」
「嫌な事言わないでよ…」
顔を顰める霊夢に笑って、アリスは人形達を操ると霊夢の体を持ち上げる。
勿論一体では持ち上がらない、霊夢の体の下には何体もの人形が群がっていた。
「・・・何体ぐらいあるの、この人形・・・?」
「今日虫干ししようと思ってたから、百体位かしら」
「・・・ガリバーにでもなった気分だわ」
「貴重な体験ね」

「来客の予定なんか無かったから、手の込んだ物なんて期待しないでね」
普段のように言い訳を口にしてアリスは並べた昼食に手をつける。
聞こえてはいるらしくこくこくと頷く霊夢は、すでにしゃべることなど不可能な勢いでパスタを啜っていた。
そのまま飲み物のようにパスタを平らげると、丼物のようにサラダを貪り出す。
そんな霊夢を見ながら、アリスは考え事をしていた。
(パスタは塩が足りないかしら、でも私は薄味が好きだし。
サラダはドレッシングとの愛称がイマイチだけど、今ある食材の中ではベストだわ。
スープももう少し香りをつけても良かったけど、人形に臭いが移ったら嫌だから控えめにしたの)
言い訳に頭を悩ませるアリスの耳に、ごちそうさまと霊夢の声が聞こえた。
「え、もう食べたの?」
「ええ、美味しかったわ」
「・・・え?」
「ん?なんか変な事言った?」
「味付け、これで良かった?
パスタの塩加減とか、ドレッシングとか、スープの香りとか」
「何か失敗したの?全然気づかなかったけど」
「えっ、ううん、そうじゃないんだけど・・・その、魔理沙が良く文句を言うから」
「そうなの?十分美味しかったけど」
「そう・・・あの、良かったら昨日焼いたケーキでも食べる?」
「勿論よ、ケーキなんて単語久しぶりに聞いたわ・・・本物はいつ以来かしら・・・」
「そんなに食べてないの?」
「神社だから和菓子のほうが多いのよ、
それにしばらく前に酔っ払って紫を年増呼ばわりしちゃって以来、どうも貧乏と普通の境界をいじられたみたいで・・・
厳しいのよね、食糧事情が」
「・・・それは、その・・・微妙な所ね」
「まあ、怒りが冷めたら戻すと思ったんだけど、
妖怪の気が長いのを忘れてたわ、起こるときまで気長にこられるとは予想外よ」
「早めに謝った方が良いんじゃない?」
「そんなの行き倒れたのでチャラよ、後で引っ張り出してしばくわ。
という訳で私に力を頂戴、ケーキという名の力を!」
「・・・どんな力よ・・・まあ、良いけど」

後日、八雲紫がケーキに負けたと嘆いている姿が見られたとか見られないとか。
後日、紅魔館にて。
「そんな訳で霊夢がアリスの所に入り浸ってるせいで、私の食生活はとても貧しいんだ」
「だからって、毎日のように押しかけるのは止めてくれる、迷惑よ」
「断るぜ、ここは遠いけど食事の質は良いからな」
「だったら咲夜の所にでも行なさい」
「私にハリネズミになれって言うのか、酷いぜ」
「じゃあ門番の所にでも行ってなさい」
「門番に黒焦げになれって言うのか、もっと酷いぜ」
「構わないわ、というか、黒焦げにするのはあなたじゃない」
「ばれたか、にしても今日は歓迎が無いんだな?」
「・・・そんなに歓迎されたいの?」
「遠慮しとくぜ」
「・・・誰かさんが毎日暴れるせいで図書館が埃っぽいのよ」
「だから今日はレミリアがいるのか」
「私は夕食ぐらいなら振舞っても良いと思ってるんだけどね、
パチェの本を盗ったり、暴れたりせずにいればね?」
「うーん、仕方ないな、今日は夕食を盗ってくだけで我慢するぜ」
「賢明だわ」
「あ、今日はフランは居ないのか?」
「あの子を出したら屋敷中が埃っぽくなるじゃない、
騒がしいのがいる間は地下にいてもらうわ」
「まったく迷惑な奴もいたもんだぜ」
「ええ、図々しい人間も居たものね?」

アリスの言しかないので分かりにくいですが、魔理沙はアリスの料理が不味いと文句をつけた訳ではなく、
自分の好みの味付けを散々口にしてから美味かったぜ、と言うものだからアリスから見ると文句を言っているように見えるのです。
アリスが気にしすぎというか、魔理沙が気にしなすぎというか。
はるさめ
コメント



1.名無し妖怪削除
これは霊夢のアリス寝取りフラグ。霊夢がアリスを陥落させる日も近いな。
やっぱり何でも素直な褒め言葉が一番心に響くもんです。
こういうまったりした感じが大好きなんで、これの続きを書く予定があればお願いします!
2.名無し妖怪削除
アリスが物凄く「尽くす女」ですねw いじらし過ぎる…!
>起こるときまで
「怒る」です。
3.名無し妖怪削除
つーか貧乏から普通に戻ってからもアリスん家に入り浸ってるのかよw
よっぽど美味かったんだな。そして追い出された魔理沙哀れw
4.名無し妖怪削除
>咲夜の所にでも行なさい
行きなさい?居なさい?去なさい?
5.名無し妖怪削除
アリスの料理が人気だなw
6.名無し妖怪削除
魔理沙に続いて霊夢までか。
なんというヒモメイカーなアリス。
7.名無し妖怪削除
冒頭のやりとりいいねw
8.Yuya削除
レイアリをありがとう