その日魔法の森は珍しく晴れていた。
だから虫干しも兼ねて、アリスは人形達を連れて散歩にでかけた。
そしたら道に、霊夢が落ちていた
「・・・霊夢かしら、あ、それとも霊夢に良く似たキノコかしら」
「本人よ・・・」
「そう、何してるの?」
「見て分からない?」
「・・・行き倒れた人ごっこかしら」
「行き倒れてるのよ・・・悪いけど、魔理沙呼んできてくれる?」
「何か用なの?」
「とりあえず食べるものが無いと死にそうなのよ・・・
怪しげなキノコ料理でも良いから、今は胃袋にカロリーが欲しいの」
「でも、魔理沙ならさっき箒に乗ってどこかに出かけた所よ」
「え゛」
「だから散歩に出たの、誰にも会わないと思ってたんだけど・・・
ああ、誰にも会わなかった事にすればいいのかしら」
言って立ち去ろうとするアリスの背中に、霊夢の声が突き刺さる。
「化けて出るわよ」
「巫女なのにその台詞は無いんじゃない・・・」
「巫女とか巫女じゃないとか言ってられる状況じゃないのよ」
「ふぅん・・・」
振り向いたアリスは、言葉を交わしてから初めて霊夢に近寄りまじまじと霊夢の姿を見つめた。
「本当に行き倒れらしいわね」
「嘘なんかついて何になるってのよ・・・」
「この森には一人、何にもならなそうな事に熱心なのがいるもんだから」
「それはさっき飛んでったんでしょ」
「そうね、仕方が無いから助けてあげるわ。
本当に霊夢にそっくりなキノコが生えても困るし」
「嫌な事言わないでよ…」
顔を顰める霊夢に笑って、アリスは人形達を操ると霊夢の体を持ち上げる。
勿論一体では持ち上がらない、霊夢の体の下には何体もの人形が群がっていた。
「・・・何体ぐらいあるの、この人形・・・?」
「今日虫干ししようと思ってたから、百体位かしら」
「・・・ガリバーにでもなった気分だわ」
「貴重な体験ね」
「来客の予定なんか無かったから、手の込んだ物なんて期待しないでね」
普段のように言い訳を口にしてアリスは並べた昼食に手をつける。
聞こえてはいるらしくこくこくと頷く霊夢は、すでにしゃべることなど不可能な勢いでパスタを啜っていた。
そのまま飲み物のようにパスタを平らげると、丼物のようにサラダを貪り出す。
そんな霊夢を見ながら、アリスは考え事をしていた。
(パスタは塩が足りないかしら、でも私は薄味が好きだし。
サラダはドレッシングとの愛称がイマイチだけど、今ある食材の中ではベストだわ。
スープももう少し香りをつけても良かったけど、人形に臭いが移ったら嫌だから控えめにしたの)
言い訳に頭を悩ませるアリスの耳に、ごちそうさまと霊夢の声が聞こえた。
「え、もう食べたの?」
「ええ、美味しかったわ」
「・・・え?」
「ん?なんか変な事言った?」
「味付け、これで良かった?
パスタの塩加減とか、ドレッシングとか、スープの香りとか」
「何か失敗したの?全然気づかなかったけど」
「えっ、ううん、そうじゃないんだけど・・・その、魔理沙が良く文句を言うから」
「そうなの?十分美味しかったけど」
「そう・・・あの、良かったら昨日焼いたケーキでも食べる?」
「勿論よ、ケーキなんて単語久しぶりに聞いたわ・・・本物はいつ以来かしら・・・」
「そんなに食べてないの?」
「神社だから和菓子のほうが多いのよ、
それにしばらく前に酔っ払って紫を年増呼ばわりしちゃって以来、どうも貧乏と普通の境界をいじられたみたいで・・・
厳しいのよね、食糧事情が」
「・・・それは、その・・・微妙な所ね」
「まあ、怒りが冷めたら戻すと思ったんだけど、
妖怪の気が長いのを忘れてたわ、起こるときまで気長にこられるとは予想外よ」
「早めに謝った方が良いんじゃない?」
「そんなの行き倒れたのでチャラよ、後で引っ張り出してしばくわ。
という訳で私に力を頂戴、ケーキという名の力を!」
「・・・どんな力よ・・・まあ、良いけど」
後日、八雲紫がケーキに負けたと嘆いている姿が見られたとか見られないとか。
だから虫干しも兼ねて、アリスは人形達を連れて散歩にでかけた。
そしたら道に、霊夢が落ちていた
「・・・霊夢かしら、あ、それとも霊夢に良く似たキノコかしら」
「本人よ・・・」
「そう、何してるの?」
「見て分からない?」
「・・・行き倒れた人ごっこかしら」
「行き倒れてるのよ・・・悪いけど、魔理沙呼んできてくれる?」
「何か用なの?」
「とりあえず食べるものが無いと死にそうなのよ・・・
怪しげなキノコ料理でも良いから、今は胃袋にカロリーが欲しいの」
「でも、魔理沙ならさっき箒に乗ってどこかに出かけた所よ」
「え゛」
「だから散歩に出たの、誰にも会わないと思ってたんだけど・・・
ああ、誰にも会わなかった事にすればいいのかしら」
言って立ち去ろうとするアリスの背中に、霊夢の声が突き刺さる。
「化けて出るわよ」
「巫女なのにその台詞は無いんじゃない・・・」
「巫女とか巫女じゃないとか言ってられる状況じゃないのよ」
「ふぅん・・・」
振り向いたアリスは、言葉を交わしてから初めて霊夢に近寄りまじまじと霊夢の姿を見つめた。
「本当に行き倒れらしいわね」
「嘘なんかついて何になるってのよ・・・」
「この森には一人、何にもならなそうな事に熱心なのがいるもんだから」
「それはさっき飛んでったんでしょ」
「そうね、仕方が無いから助けてあげるわ。
本当に霊夢にそっくりなキノコが生えても困るし」
「嫌な事言わないでよ…」
顔を顰める霊夢に笑って、アリスは人形達を操ると霊夢の体を持ち上げる。
勿論一体では持ち上がらない、霊夢の体の下には何体もの人形が群がっていた。
「・・・何体ぐらいあるの、この人形・・・?」
「今日虫干ししようと思ってたから、百体位かしら」
「・・・ガリバーにでもなった気分だわ」
「貴重な体験ね」
「来客の予定なんか無かったから、手の込んだ物なんて期待しないでね」
普段のように言い訳を口にしてアリスは並べた昼食に手をつける。
聞こえてはいるらしくこくこくと頷く霊夢は、すでにしゃべることなど不可能な勢いでパスタを啜っていた。
そのまま飲み物のようにパスタを平らげると、丼物のようにサラダを貪り出す。
そんな霊夢を見ながら、アリスは考え事をしていた。
(パスタは塩が足りないかしら、でも私は薄味が好きだし。
サラダはドレッシングとの愛称がイマイチだけど、今ある食材の中ではベストだわ。
スープももう少し香りをつけても良かったけど、人形に臭いが移ったら嫌だから控えめにしたの)
言い訳に頭を悩ませるアリスの耳に、ごちそうさまと霊夢の声が聞こえた。
「え、もう食べたの?」
「ええ、美味しかったわ」
「・・・え?」
「ん?なんか変な事言った?」
「味付け、これで良かった?
パスタの塩加減とか、ドレッシングとか、スープの香りとか」
「何か失敗したの?全然気づかなかったけど」
「えっ、ううん、そうじゃないんだけど・・・その、魔理沙が良く文句を言うから」
「そうなの?十分美味しかったけど」
「そう・・・あの、良かったら昨日焼いたケーキでも食べる?」
「勿論よ、ケーキなんて単語久しぶりに聞いたわ・・・本物はいつ以来かしら・・・」
「そんなに食べてないの?」
「神社だから和菓子のほうが多いのよ、
それにしばらく前に酔っ払って紫を年増呼ばわりしちゃって以来、どうも貧乏と普通の境界をいじられたみたいで・・・
厳しいのよね、食糧事情が」
「・・・それは、その・・・微妙な所ね」
「まあ、怒りが冷めたら戻すと思ったんだけど、
妖怪の気が長いのを忘れてたわ、起こるときまで気長にこられるとは予想外よ」
「早めに謝った方が良いんじゃない?」
「そんなの行き倒れたのでチャラよ、後で引っ張り出してしばくわ。
という訳で私に力を頂戴、ケーキという名の力を!」
「・・・どんな力よ・・・まあ、良いけど」
後日、八雲紫がケーキに負けたと嘆いている姿が見られたとか見られないとか。
やっぱり何でも素直な褒め言葉が一番心に響くもんです。
こういうまったりした感じが大好きなんで、これの続きを書く予定があればお願いします!
>起こるときまで
「怒る」です。
よっぽど美味かったんだな。そして追い出された魔理沙哀れw
行きなさい?居なさい?去なさい?
なんというヒモメイカーなアリス。