森の中に、香霖堂と呼ばれる中々つぶれない古道具屋がある。
いずことも知れない場所からやってきた道具が並んで、静かに時を刻んでいた。
どこか色彩に乏しい印象を受けるその道具屋に、お客が一人、訪れている。
正確にはその客は人ではない。なぜなら、少女の頭から角が生えていたからだ。
「だから、お酒を少し分けなさいよ」
少女の身振り手振りを混ぜた交渉。店主である森近霖之助のすぐそばを
ものすごい音をたてながら錘が通過していった。
「そうは仰いますが、基本は等価交換となっておりまして」
「そんな道理は無理してひっこめてよ。霊夢みたくツケで」
「駄目です」
しばらく悩んで、少女は瓢箪を取り出した。その瓢箪は、ちゃぷんと音を立てている。
「じゃあじゃあ、この中の秘蔵の酒と交換で」
「……まあ、いいでしょう。いくらでも出るとはいえ、鬼のお酒は珍しいですからね」
「え、なんで瓢箪の秘密を知ってるの!」
「秘密です」
お酒があるならそれを飲めば良いだろう、と思う霖之助だった。
だが余計なことは商売でも人生でも、理解してる範疇なら言わないほうが良い。
残念なながら既に余計なことを言っている自覚は、無かったが。
「で、いくら出せばそのお酒、くれるの」
「珍しいお酒ですから、そうですね……『一升』いただきましょう」
「い、『一生』?!大きく出たな」
目を大きく見開き、胸に手を押さえながら後ろに下がる鬼の少女。
何をどうを勘違いしているのか、ほんのり顔が赤い。
「無理に、とは言わないよ。ゆっくり考えてくれ」
「……うん。その、ちょっと考えさせて」
無理難題を出したつもりは無いのだけど、と考える霖之助。
その言葉の真意に気づくのは、はたしてどちらだというのか。
答えを知るのは店と、古道具と、机の上に置かれている甘味果実酒。
かも、しれない。
いずことも知れない場所からやってきた道具が並んで、静かに時を刻んでいた。
どこか色彩に乏しい印象を受けるその道具屋に、お客が一人、訪れている。
正確にはその客は人ではない。なぜなら、少女の頭から角が生えていたからだ。
「だから、お酒を少し分けなさいよ」
少女の身振り手振りを混ぜた交渉。店主である森近霖之助のすぐそばを
ものすごい音をたてながら錘が通過していった。
「そうは仰いますが、基本は等価交換となっておりまして」
「そんな道理は無理してひっこめてよ。霊夢みたくツケで」
「駄目です」
しばらく悩んで、少女は瓢箪を取り出した。その瓢箪は、ちゃぷんと音を立てている。
「じゃあじゃあ、この中の秘蔵の酒と交換で」
「……まあ、いいでしょう。いくらでも出るとはいえ、鬼のお酒は珍しいですからね」
「え、なんで瓢箪の秘密を知ってるの!」
「秘密です」
お酒があるならそれを飲めば良いだろう、と思う霖之助だった。
だが余計なことは商売でも人生でも、理解してる範疇なら言わないほうが良い。
残念なながら既に余計なことを言っている自覚は、無かったが。
「で、いくら出せばそのお酒、くれるの」
「珍しいお酒ですから、そうですね……『一升』いただきましょう」
「い、『一生』?!大きく出たな」
目を大きく見開き、胸に手を押さえながら後ろに下がる鬼の少女。
何をどうを勘違いしているのか、ほんのり顔が赤い。
「無理に、とは言わないよ。ゆっくり考えてくれ」
「……うん。その、ちょっと考えさせて」
無理難題を出したつもりは無いのだけど、と考える霖之助。
その言葉の真意に気づくのは、はたしてどちらだというのか。
答えを知るのは店と、古道具と、机の上に置かれている甘味果実酒。
かも、しれない。
でも可愛いから許す!
でも萃夢想の萃香はなぜか好きになれない・・・
物語通り王道に弱い鬼娘かわいいよ鬼娘
しかも萃香のキャラに合う可愛いらしさが上手く書けてる・・・。良作だねっ!