Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

湖の真夜中勉強会

2008/02/15 10:42:32
最終更新
サイズ
5.08KB
ページ数
1
湖の真夜中勉強会。



幻想卿に飛ばされてからある程度の月日がたった。
俺は日課となりかけている周辺の探索をかねた散歩をしていた。
湖のほとり、白い霧がたちこめるなか俺は歩を進めている。
あたりの涼しさからしてきっと近くにチルノあたりがいるのではないかとおもう。
正直チルノには悪いが彼女の少し(?)ばかりずれた発言等はきいていて退屈しないものである。
きっとチルノと会えたら楽しく時間をすごせるのではないか、そんなことを思いながら歩いている。
少したつと聞き覚えのある少女の声が聞こえる。
「―――じゃないもんっ!」
チルノの声だ。
何か大きな声で言っている。
「アタシはバカじゃないっていってるでしょっ!」
そう両手を挙げて怒るチルノ、その目線の先には数人の人影があった。
大方とおりすがった人たちの前にチルノがでていきまた⑨とでもいわれたのだろう。
向かいにいる人達はそんなチルノを愉快そうにわらっていた。
チルノは叫ぶのをやめうなり始めてしまった。
このままだと弾幕ごっこに発展しかねないと踏んだのか、人達は笑いながら
「じゃーねー」
といって霧の向こうに消えていった。
その後一人立ち尽くすチルノの口から

「バカじゃない・・・・・・バカじゃ・・・ないもん・・・」

そう聞こえた気がした。
俺は沈んだチルノに掛ける言葉を見つけられず挨拶もせぬまま立ち去った。



夜、妙に目が冴えていた俺は散歩にでた。
中々寝付けない、原因は・・・きっとあれだろう。
昼間のチルノのことが頭からはなれなかった。
いつもの勝気な彼女とは正反対の弱々しい声と落ち込んだ様子。
その二つがいつまでも頭の中でループを繰り返す。
「バカじゃない・・・、バカじゃない・・・」
考えてみれば至極当然、バカと言われて嬉しい奴などまずいない。
彼女は規格外の妖精として、自身を誇りに思っている点もあるだろう。
しかし彼等、いや俺も含めた人々の バカ この一言で彼女の大切な誇りをどこまで傷つけているのだろう?
そう思案しているうちに足は湖へとむかっている。
何か、何か声を、いや何でもいい、何か彼女を、自分の好きな、
勝気で、どこかずれていて、けれどもそれがとても愛らしい彼女を。
このままでわそんな彼女が無くなってしまいそうで、なくしたくなくて、
俺の足は歩むのをやめ、

駆け出していた。

湖までの全力疾走、肩で息をしながらもあたりを見回す、チルノを探す。
「・・・・・・見つけた・・・」
彼女はいた、湖に少し入ったところ、彼女を中心とした水面が凍っている。
そのうえで彼女は座って、みかん箱だろうか、それに向かって何かをしている。
完全に意識がそちらへいっているらしく俺には気づかない、後ろからゆっくりと近づき遠めから覗き込む。
「バカじゃない・・・、バカじゃないぞぉ・・・」
そうつぶやきながらみかん箱、きっと机がわりだろう、それに向かうチルノの脇に落ちているのは人里などで手に入る教材だった。
俺は自分の考えの浅さを自ら馬鹿にする。
彼女はめげてなどいなかった、彼女は負けやしない、どれだけ、何度と嘲られようといつか見返してやると努力をしている。
だったら俺がすることはもう心配でも何でもない、ただひとつ。
「チルノ」
声を掛ける、チルノは肩は少し跳ね上がらせた。
「な・・・なんでこんなところにアンタがいるのよっ!」
相当面食らった顔をしている、それだけ熱中していたのだろう。
そして驚きがさると彼女は次に自分のうろしにあるものの存在を思い出す。
「な・・・これは、違うの!ただ湖のほとりでひろっただけでっ!」
あたふたと言い訳の言葉をつむごうとするが思いつかないか、観念したのか、
「・・・どうせアンタもアタシをバカにしにきたんでしょ」
ツンとした顔をしてそっぽを向く、強気に振舞ってはいるけどその瞳は弱く、はかなくゆれていた。
俺はそんなチルノの頭に手をのせ
「ぇ?」
頭をなでてやる。
「馬鹿になんてしないよ、だってチルノはこんなにがんばってるじゃない」
みかん箱の上、そしてそのわきに置かれている教材はかなり使い込まれた様子が伺える。
それだけチルノはがんばっているのだ。
そして俺はチルノのため、自分にできるたった一つのことをする。
「ねぇ、チルノ」
「な、何よ」

「一緒に勉強しようか」

俺にできること、それは同情でも心配でもない、ただひたむきに努力する彼女を応援し、支えること。
俺はみかん箱の上に開かれた教科書をみる。
かけざんのやり方、そうかかれたページにはいくつもの鉛筆の後がある。
「な、いらないわよ!そんなの別に」
そういう彼女をわきに座らせ強引に解説をはじめる。
最初は怪訝そうにしていたが解説が進み、じょじょに問題がとけていくといつしかひれも消え完全な勉強会となっていた。
俺達はチルノの珍回答に笑ったり、それを怒られたりして明け方まで勉強して

「9x9=・・・81?」
「そう、正解、やったよチルノ、一晩で掛け算を覚えれたじゃないか」
そういって俺はチルノの頭をなでてやる。
「ふぁ・・・」
チルノは最初はびっくりしていたがすぐに心地よさそうに目を閉じて。
パタリ
と、俺の膝元に倒れてきた。
どうしたものかと驚いてチルノをみると
「スー・・・スー・・・」
眠っている。
まぁ徹夜明け、勉強も終わって気が抜けたのだろう。
俺は自分の膝に頭を眠る彼女を眺めてたまま、気づけば自分も眠りに落ちていた。


おきぬけ、彼女は俺がおきたのを確認するやいなや
「自慢してくる!」
といって霧の向こうへと消えていった。
数分後彼女はものすごいスピードで戻ってきて。
「割り算って何!?」
第一声。
予想はついていたがそんな彼女がかわいらしくてつい笑ってしまう。
「な、何よ!」
まだ⑨卒業にはかかりそうだった。




彼は私を馬鹿にしない。
彼は私を理解してくれている・・・そう思う。
彼との勉強は自分ひとりでやるよりもはかどったし、何より
楽しかった。
さっき掛け算を自慢しにいったら
「割り算は?」
といわれた。
割り算って何だろう。
彼に聞いてみよう。
それにもしかしたらこれで今日も一緒に勉強できるかもしれない。
それに、もし
もしちゃんと問題をとけたら

また、頭を撫でてもらえるかな?



湖の真夜中勉強会 -END-
どうも、初投稿です。
色々と東方の細かい設定などが理解できてないところなどもあるので至らない部分がありましたら申し訳ございません。
朝露滴
コメント



1.ななーし削除
チルノ好き(でもある)ので悪くは無い、のですが。
…うーん。過去作品をいっぺん回ってくる事を推奨しますぞ。
俺キャラを嫌う人もいますし、プチとは言えこの系統の作品はモロに叩かれそうな…
2.名無し妖怪削除
>幻想卿に飛ばされてから
取り敢えず幻想郷は単語登録しましょう。
>掛け算を覚えれた
ら抜きが文法的に是か非かは色々と議論がありますが、確かなのは「頭が悪そうに」又は「幼く」見えることです。⑨な子に普通の人が勉強を教える話なれば、ら抜きは使わない方が良いと思います。
3.名無し妖怪削除
一行目から誤字はきつい
4.名無し妖怪削除
初投稿との事で幾つか忠告をば……

創想話ではオリキャラは好かれない傾向にあります。(特に主人公)
書く時は批判を受ける覚悟が必要です。それが嫌な場合オリキャラは避けたほうが無難かと。
またその際はオリキャラ注意などの注意書きは必須です。

本文内に題名は必要ありません。
何故かこの辺も気にする人がいるので気をつけた方がいいです。

少なくともキャラの一人称は知ってから書いた方がいいですよ。
創想話本編内だと容赦なく叩かれます。
(ちなみにチルノの一人称はあたいです)


チルノが微笑ましくて笑ってしまった。
個人的には作品内の雰囲気が好きなので今後に期待してます。
頑張って書いてください。
5.名無し妖怪削除
初投稿なら逆にきちんと他の作品を読んでください。こんなのは言い訳になりません。
6.nama-hane削除
心温まりますね。特にみかん箱を机にして、勉強をするチルノにはグッときました。
ですが、ごめんなさい。オリキャラと思われる「俺」や「彼」というのが気になってしまいました。
でも本当に素敵なお話でした。次の作品ができたら是非読ませていただきたいなと思います。
7.名無し妖怪削除
オリキャラは好かれない傾向にあるというより、『嫌われるオリキャラ』の作品が多いんですけどね。ちゃんと良作もあるのです。

ところで、前半に極力『、』を省いてるのは何か意味が?
読み難いのですが
8.名無し妖怪削除
動きや派手でなく、のんびりとした感じがいいですね。ぜひ続きを読みたくなりました。

チルノは「あたい」や「あいつ」などが合うかと。オリキャラについての注意を文頭に付けるなども気を付けてください。