※多分普通の霖之助です。今回は大きなオリ設定があるため苦手な方はブラウザで戻るをどうぞ。
※霖之助商売奮闘記その3の続きです。一応あらすじを設けましたが見ておくと
なんだか得した気分になれます。多分。
※今回結構長いです、ご注意を。
~あらすじ~
季節は秋、香霖堂の経営がついに大変な事になってしまった。
店主の霖之助は居候兼バイトのルーミアと共に(?)打開策として新しいお店を考え始めるのだった。
そこで困っていた所に大妖怪、八雲 紫が現れ、(点数稼ぎのために)手伝いを申し出る。
紫により、紅魔館との業務提携を可能にするが、それと引き換えに紫はある条件を提示した。
それは『しばらく自分の所有物になれ』、というもので、
霖之助はそれを承諾し、その証として身長を奪われてしまうのだった。
――そして集まる有象無象――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ルーミアに昨日あった事を霖之助は寝ぼけ眼を擦りながら説明した。
昨日は結局眠ることが出来なかったからだ。
腕には件の紫のリボンが丁寧に蝶結びされている。
それを見てルーミアは
「お揃いだねー」
と、とても嬉しそうだった。
自分を縛る存在である、という点であることに霖之助は気付くことはなかった。
ちなみにルーミアはまだ白いワンピースを着ている。
昨日の血濡れの服は乾いてないのでしょうがないが、下着の類を着けてないのであんまり飛んだり跳ねたりしないで欲しい。
まあ言った所で聞かないだろうが。
「でもうっかり外さないよう気を付けないと。背が低いと物が取れなくなるし」
そう言われると外したくなるのが子供心。
試しにと、ルーミアは悪戯半分に素早く霖之助のリボンを解いてそれを奪った。
あ、と霖之助は呟いたが、
あ、という間に霖之助の視界がすとん、と落ちた。
本当にあっという間も無く霖之助の容姿は変化した。そりゃもう風船が一気に萎んだみたいに。
「……ルーミア、悪戯はやめてくれないか。」
霖之助はため息をつく。
声は幼く中性的なものに、
身長もルーミアより少し背が高いぐらい。
いつもの胡散臭さのない、純真そうな顔。
身体は華奢だったが、それが知的な感じをより一層引き立たせていた。
まあ詰まる所、
誰がどう見ても見事な美少年になっていた。
しかも言葉遣いが大人ぶってるようでどことなく可愛い雰囲気だ。
「え、あ、や、やだ。」
あんまり可愛いのでルーミアはついそんな事を無意識の内に言っていた。
「なっ……!?いいから返しなさい!」
「やだもーん。」
そう言ってからルーミアは腕を掴もうとする霖之助の手をするりとかわし、
せまい店内を走り出した。
ばたばたと香霖堂の店内で騒がしい音が響く。
ルーミアは並の妖怪といえど弾幕少女、霖之助の手をするりするりと抜けていった。
「こっ、このっ」
「こっちだよー」
「いい加減に……そらっ!」
「あうっ!…………捕まったー」
霖之助のフェイントをいれたタックルにより、
半ば押し倒す形で決着がついた。はたから見るととてもアレな光景だが。
ルーミアなんてワンピースの裾が持ち上がって大変なことになってるし。
がちゃり、と店のドアが唐突に開いた。ずいぶんタイミングの悪い客だ。
「霖之助さん、お店の件で話が――」
赤い屋敷のメイド長、十六夜 咲夜が店に入ってきた。
「――ごふぅっ!!」
何故か吐血してぶっ倒れた。少し変わった性癖を持つ咲夜にとってタイミングが悪すぎた。
「うわっ!!?咲夜!?ルーミア、救急箱!!……で、いいのか?」
「わかった、もってくるー」
咲夜はとても幸せそうな顔だったという。
・咲夜さんはこういうのに慣れているので三分で復活しました。
「ごめんなさいね、ちょっと驚いちゃって。」
(驚いて吐血……肺か心臓でも患ってるのだろうか)
霖之助は咲夜が気絶してる間にリボンを腕に縛り直して元に戻っていた。
念のため簡単に解けないよう、たこ結びにしておいて。
(ああ、もう少し見ておきたかった……)
メイド長ちょっとガッカリ。
「はあ……で、店の事でなにか?」
「え、ああ、いま紅魔館で働き手を調整してるんだけどいい人材がいないのよ。
調理師はなんとかなるけど接客がね……頭の弱い妖精しか空いてなくて」
「へ?」
人材確保。
あまりにもとんとん拍子に話が進むものだからすっかり忘れていた。
おかげでつい間抜けな声が漏れてしまった。
紫は紅魔館でついでに人材確保を考えていたようだがこれでは……
「何匹かは回せるけど最低あと6人は欲しいわね」
「6人ですか……」
「ええ、お店の意向に合う子がなかなかいなくて。…………あら」
咲夜はちらりとルーミアを見、腕を組んでなにやら考え始めた。
当のルーミアは回転椅子に座ってぐるぐる回っている。
「めーがーまーわーるー」
「ねえ、あなたルーミア……だったかしら」
「そうだよー」
咲夜の呼びかけにルーミアは少し回転を弱めて答える。
「あなたのお友達に暇な子はいる?」
「んんー? みんな暇だよー今日も遊ぶつもりー」
「そう? じゃあみんなをここに呼んでくれる?」
「んー、いいよー」
そう言うとルーミアはすぐさまピタッと椅子の回転を止め、
その後回転椅子から降り、足早に外に出て行った。
「いってきまーす」
「あ、ルーミ……」
ばたん。
霖之助が何か言う前に行ってしまった。相変わらず行動が早い。
(お店の意向……?紫がなにかしら指示を出したのか?)
「これで何人かは間に合うわね。」
「ってルーミアも働かせるのか?」
「ええ、その方がいいんじゃない? あなたにとってもあの子にとっても
……あ、そうそう、これ紅魔館からお近づきの印」
菓子折りを貰った。
「む……すまないね。お茶でも出そうか」
お土産などあまり貰った事がなかったので
霖之助は素直に嬉しくなった。
・紅魔館への好感度++
咲夜への好感度+
霊夢への好感度-
魔理沙への好感度-
(なぜ霊夢と魔理沙の好感度が下がったかはお察し下さい)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ただいまー」
咲夜との会話で紅魔館への好感度が鰻登りになっていたが(おおよそ++++ぐらい)、
しばらくするとルーミアが帰ってきた。
「おかえり。どうだった?」
「みんな暇だったから来たよー。橙ちゃんはいなかったけど…」
そりゃあ妖怪なんだからだいたい暇だろう。
仕事してるの少数だし……あ、趣味の人は除いて。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
―その頃の太陽の畑―
「くちゅんっ!……うん、誰か噂話でもしてるのかしら?」
以外にも可愛らしいくしゃみをして、
『忙しい趣味人』風見 幽香は日課の植物との語らいを再開した。
「うーん、ムシャクシャするからそうねぇ、今度冥界の桜を全部 秋桜にでも……ん? なぁに?」
一方的に話しているように見えるので、とても奇妙な光景であるが、
多分こういった所もこの妖怪が恐れられている要因のひとつなのだろう。
サワサワと花が揺れる。
「そうね、きっとリグルが言ってるのよ。今度会ったらいじめておきましょうか」
にこやかに幽香は言った。
花と蟲は切っても切り離せぬものとも言うが、この場合はひたすら蟲が苦労する事になっていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「うはくしゅっ!……うーん、寒気がするなあ。」
一方の蟲、リグル・ナイトバグは香霖堂にいた。言うまでも無くルーミアに連れられてきたのだが。
そのすぐ横に氷の妖精、チルノとその親友、大妖精もいた。
「え、あたいのせい?」
「いや、もっとこう……幽霊が掠ったような悪寒かな」
「あ~、わかるわかる~」
うんうん、と前三人と同じくルーミアに連れてこられた夜雀、ミスティア・ローレライが頷いた。
「亡霊にこう、鬼ごっこみたいに背後に迫られながら手が届くか届かないかっていう距離にいる感じね~
昨日、手が背中を掠った時はホント悪寒がしたわ~」
「いやそれは……というか昨日森のほうで聞こえた絶叫って……」
「「うるさい」って巫女巫女レイムが飛んで来て亡霊とドンパチしだした隙に逃げたわ~」
相変わらずスリリングな幻想郷ライフをミスティアは送っているようだ。
しかしこれとは関係がない。
「あ、それならあれじゃないですか?ほら、お花の……」
「…幽香がどうかしたの?」
「まだ言い切ってないのにわかるリグルさんがすごい」
「わかってないなあ大ちゃん。好きd「不意打ちリグルキック!!」げふっ!?」
ピチューン
スタッ
チルノの顔面に文句の無いキックを炸裂させ、空中一回転の後、着地。
チルノは残機を1機失った。
「ただ敏感なだけだよ。会ったらいつもいじめられるし。」
「それは 愛だy「もう一丁!!」ぐはっ!」
ピチューン
すぐさま復活したチルノにもう一発顔面キック。チルノはもう1機失った。
「いちまんねんとにせんねんまえから、あ・い・し・て・るぅ~」
ミスティアも半分ふざけて悪乗りしだした。
「歌わないでよ!」
スパーン
「いちおくと~あいたっ。」
ミスティアにはローキック。ここら辺は扱いの差である。
「まったく……」
「ねぇ、チルノちゃんが復活しないんだけど。」
どうやら丁度残機が2だったらしい。
「適当にそこら辺のリリーからエクステンドアイテムでも貰ったら? 妖精のよしみで」
「いまは秋だしあの妖精さんはエクステンドアイテム持ってないよ……」
「しょうがないわね~私が拾ったこの『ふっかつのじゅもんのメモ』とやらを歌ってみるわ~」
「なんか平仮名なのが不安になるんですけど……」
その後適当っぽい平仮名の羅列をミスティアは謳いあげ……チルノは復活した。
「あたいったら最弱ね!」
なんか赤いけど。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その様子を店の窓越しに見て僕は軽く眩暈を覚えた。
ルーミアの交流関係を考えればこのメンバーになることはわかっていた…はずだった。
……彼女らに店の接客を任すというのか?
チラリ、と咲夜の横顔を覗く。彼女は顎に手を当て、値踏みするかのように子供達を見ていた。
「……ふむ、いいわね。」
その言葉にガクッとなる。
何がいいと言うのだろうか。
どう見ても子供である彼女らに本気で接客を任すつもりか?
あ、ルーミアは別だ。物覚えがいいから。(親バカ)
「すまないが、僕としては…あまりいいとは思えないのだが……」
子供だから、とまでは言えなかった。
さすがにルーミアのいる手前、その親友を卑下することは憚られた。
しかし当のルーミアは我関せずとばかりに机の引き出しを漁っていた。
そしておもむろにクッキー缶を引っ張り出して友達の所に持って行った。
――なんで知ってるんだ……隠しといたのに……
「賢い子ね」
「まったくだよ」
「魔理沙みたいにならないといいわね、お父さん?」
「………ああ、ほんとまったくだ」
多少呆れたように言い放つ反面、そういう関係なのかもなあ、と心の中で妙に納得している自分が居る。
店の外ではルーミアによるクッキーの大盤振る舞いが行われていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「うちは妖怪、妖精、その他諸々…かなりの数が働いてるわ」
「はあ……」
丁度お茶受けが切れてきた頃、
咲夜は外の光景を見ながら唐突に話し出した。
そういえばかなりまったりとしていたが紅魔館に戻らなくても大丈夫なのだろうか。
「実際今外にいる彼女らより頭の弱い、喋る事すらできないメイドもいるの。
それでも仕事はしているわ。…そう教え込んだから」
「それに比べればある程度喋れるだけで十分だと?」
「ええ」
そう自信満々に咲夜は答えた。
「貴方が思うほど彼女達は無知じゃないわ。むしろ子供相応に大人より知ってる事も多いんだから。」
「例えば?」
「クッキーの缶」
霖之助が黙るのにはそれで十分だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
これはなんとかなるか、と思ったがすぐに弊害が出た。
「お店の手伝い……ですか?私はいいんですけど…」
「あんまり気が進まないなあ。」
「あたしはもうお店あるもの~ムリムリ~♪」
「あたいに頼むとはいい目をしてるわね! 長生きするわよ!」
全体的にやる気がないムード。
そりゃあ働くより遊ぶほうが楽しいし、なにより妖怪なんだから好き勝手に生きたいのは当たり前だろう。
氷精はいやにやる気があるが多分何のことだかわかってないと思う。
というか半妖なんだし長生きなのは当たり前だ。
「りぐるー、みすちー、手伝ってよー。」
ルーミアも説得…もといお願いをするがいまいち効果ナシ。
咲夜もずっと腕組みをしてどうしたものか、と言った感じだ。
(かわいい…)
実は違った。
「お菓子やケーキが食べ放題なんだよー?」
「う。」
反応した。取り敢えず今のルーミアの発言は問題あるがこの際無視。
「うーん」「でもねー」
それでもまだ決心のつく様子はない。後一押し何かあれば……
―――――お困りのようね。
霖之助の耳に、つい昨日聞いたばかりの声が聞こえてきた。
「ハロー、霖之助さん」
「その声は紫……ってどうしたんだ!? 重傷じゃないか!?」
何時も通り何の前触れもなく、何時も通りじゃない紫が出てきた。
左腕に三角巾にギプスをしてこれでもかと”怪我人です”と主張している。
「いつどこで何をどうしたら妖怪の賢者がそこまで大怪我するのよ」
「うっかり気を抜いちゃって……」
咲夜が言うとおり、たとえ弾幕ごっこでもここまでなることは無い……はずだ。
妖怪なら尚更である。
「あれが妖怪の賢者様?」
「じゃあ今倒したらあたい最強?」
「負傷した虎を狩ってもしょうがないわよー」
子供たちが口々にそう言う。
まるで今なら絶対勝てる! とでも言うような物言いだ。
「なっ失礼ね! 言っとくけど私は貴女達のお友達である橙の主人の主人よ!」
「え? 橙ってそんなにすごいんだ」
「そーなのかー!」
「橙すごい! じゃあ未来の大妖怪候補筆頭?」
「ふん、その頃にはあたいだってだいよ……”大妖精”よ!」
「チルノちゃん、それ私だから」
「いや、橙じゃなくて私を……」
「そういえば橙どこいったんだろうね」
「なんか自分の主人が突然倒れたんだって」
「そーなのかー」
「…………」
―十分後―
「う、……うえぇ」
「ごめんなさい、泣かせるつもりなんてなかったんです」
「ほら、泣かないで。賢者なんでしょ(…持って帰りたい)」
「なかないで、もーおーすこしーさーいーごまでーはしりぃーぬけてー♪」
紫が本気で泣き出した為、全力であやす羽目になった。
しかも精神退行してるのか背まで低くなってしまっている。
「ほら、紫、クッキーだ」
「グスッ、ありがとう霖之助さん」
もしゃもしゃ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
―香霖堂店内―
「ごめんなさいね、つい大人気ないことしちゃったわ」
紫がなんとか持ち直したのでとりあえず全員店内へ入れ、
居間のテーブルに着きお茶とお菓子を再度出す。…狭い。
霖之助は紫の言いつけ通り、腕のリボンを解いて小さい姿になっている。メイド長の視線が怖い。
ついでに何が気に入ったのかは知らないが小さいまま紫は霖之助の膝の上に乗っている。
はたから見ると子供同士のカップルのようでほほえましいが、この身長では小さい紫の体重でも重く感じる。
しかし無闇に降ろそうとするとまた泣き出しそうな顔になるので降ろすに降ろせない。
(ふふふ、計算通り! ホントに少し泣いちゃったけどこの愛らしさ溢れる姿にもう霖之助さんはメロメロね!)
(重いな……)
・霖之助の精神は鉄板だった。
(出来るなら二人とも私の上に乗せたい)
・咲夜には効果はばつぐんだ。
(いいなあ…)
・ルーミアにフラグが立ちました。
「まず言っておくけどね、紅魔館で人手が足りないくらい予想してたわ」
「うん? じゃあどうするつもりだったんだ?」
「この状況の通りよ。この子達にやらせるつもりだったわ。当然何人かごねるとも予想して、ほら」
ゴトン、とテーブルの真上に開いたスキマから何かが落とされた。
どうやら数冊の本のようでいやに分厚い。それがボックスに入っているのだからその大きさは半端無い。
『原色ワイド図鑑』、しかも”フルセット”と書かれている。…いかにも高そうな代物だ。
「好きなように読みさいな。外で一番新しいモノよ」
「で……でかぁ」
チルノがそう言うが、
よく本を読んでる僕から見ても規格外なサイズだなこれは。普通本が落ちる時はゴトンなんて音はしない。
ほとんどが呆気に囚われてる中、ミスティアが箱の中から鳥類図鑑を手に取った。
そしてしばらく読んでいて何故かいきなり号泣。
「ピトフーイのおじさんがー」
誰だ。
「ううう……メゾサイロスさん……」
いつのまにかリグルも絶滅種図鑑で肩を震わせていた。
だから誰だよ。
「(なんか予定してた反応と違うけど)…どう、それで働く気になった?」
「くっ、こんなの見せられて断る奴なんていないよ…」
「そうねー…」
あっさり二人とも承諾したという。
ちなみに他の皆も読み出したが泣く事はなかった。いや、面白かったが。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ともかくこれでひぃ、ふぅ、……五人だから後一人ね」
「いや、うちの橙も入れるから六人」
ここまで計算していたのか。
「……見事にぴったりだな。さすが、といったところか」
「でしょう? もっと褒めて」
「紫ちゃんすごーい! 頭撫でてあげる!」
ここぞとばかりに小さい紫に抱きついて頭を撫でる咲夜。
「お前に言ったんじゃじゃねえよっ!?」
「がーん!」
「……紫、膝の上で暴れないでくれ。重いから」
「そんなっ! 重くなんかないわよ!」
「いやルーミアより重い」
「がーん!」
咲夜と紫、二人していじけ始めた。
――そして日が暮れる。
「もっと読みたいから今日は止まってもいい?」
「あたいもー」
「じゃあ皆泊まっていきなよー、いいでしょ、りんのすけー」
「無茶言わないでくれ、ルーミア」
ああ、今日はなんか特に忙しかった。
ともかくこれで人手、土地、資金、知識……だいたい揃ったはず。
それにしても大事になったものだ、と霖之助は灰色の空を見て思うのだった。
(了?)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
―――これで役者は揃ったの?
―――いいえ、まだよ。まだあるの。
―――何? まだ増えるの?
―――どうかしら、まだわからないわ。思いついたら、ね。
―――あーあ、×××の続き待ちかあ。
(霖之助商売奮闘記・第一部了)
※霖之助商売奮闘記その3の続きです。一応あらすじを設けましたが見ておくと
なんだか得した気分になれます。多分。
※今回結構長いです、ご注意を。
~あらすじ~
季節は秋、香霖堂の経営がついに大変な事になってしまった。
店主の霖之助は居候兼バイトのルーミアと共に(?)打開策として新しいお店を考え始めるのだった。
そこで困っていた所に大妖怪、八雲 紫が現れ、(点数稼ぎのために)手伝いを申し出る。
紫により、紅魔館との業務提携を可能にするが、それと引き換えに紫はある条件を提示した。
それは『しばらく自分の所有物になれ』、というもので、
霖之助はそれを承諾し、その証として身長を奪われてしまうのだった。
――そして集まる有象無象――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ルーミアに昨日あった事を霖之助は寝ぼけ眼を擦りながら説明した。
昨日は結局眠ることが出来なかったからだ。
腕には件の紫のリボンが丁寧に蝶結びされている。
それを見てルーミアは
「お揃いだねー」
と、とても嬉しそうだった。
自分を縛る存在である、という点であることに霖之助は気付くことはなかった。
ちなみにルーミアはまだ白いワンピースを着ている。
昨日の血濡れの服は乾いてないのでしょうがないが、下着の類を着けてないのであんまり飛んだり跳ねたりしないで欲しい。
まあ言った所で聞かないだろうが。
「でもうっかり外さないよう気を付けないと。背が低いと物が取れなくなるし」
そう言われると外したくなるのが子供心。
試しにと、ルーミアは悪戯半分に素早く霖之助のリボンを解いてそれを奪った。
あ、と霖之助は呟いたが、
あ、という間に霖之助の視界がすとん、と落ちた。
本当にあっという間も無く霖之助の容姿は変化した。そりゃもう風船が一気に萎んだみたいに。
「……ルーミア、悪戯はやめてくれないか。」
霖之助はため息をつく。
声は幼く中性的なものに、
身長もルーミアより少し背が高いぐらい。
いつもの胡散臭さのない、純真そうな顔。
身体は華奢だったが、それが知的な感じをより一層引き立たせていた。
まあ詰まる所、
誰がどう見ても見事な美少年になっていた。
しかも言葉遣いが大人ぶってるようでどことなく可愛い雰囲気だ。
「え、あ、や、やだ。」
あんまり可愛いのでルーミアはついそんな事を無意識の内に言っていた。
「なっ……!?いいから返しなさい!」
「やだもーん。」
そう言ってからルーミアは腕を掴もうとする霖之助の手をするりとかわし、
せまい店内を走り出した。
ばたばたと香霖堂の店内で騒がしい音が響く。
ルーミアは並の妖怪といえど弾幕少女、霖之助の手をするりするりと抜けていった。
「こっ、このっ」
「こっちだよー」
「いい加減に……そらっ!」
「あうっ!…………捕まったー」
霖之助のフェイントをいれたタックルにより、
半ば押し倒す形で決着がついた。はたから見るととてもアレな光景だが。
ルーミアなんてワンピースの裾が持ち上がって大変なことになってるし。
がちゃり、と店のドアが唐突に開いた。ずいぶんタイミングの悪い客だ。
「霖之助さん、お店の件で話が――」
赤い屋敷のメイド長、十六夜 咲夜が店に入ってきた。
「――ごふぅっ!!」
何故か吐血してぶっ倒れた。少し変わった性癖を持つ咲夜にとってタイミングが悪すぎた。
「うわっ!!?咲夜!?ルーミア、救急箱!!……で、いいのか?」
「わかった、もってくるー」
咲夜はとても幸せそうな顔だったという。
・咲夜さんはこういうのに慣れているので三分で復活しました。
「ごめんなさいね、ちょっと驚いちゃって。」
(驚いて吐血……肺か心臓でも患ってるのだろうか)
霖之助は咲夜が気絶してる間にリボンを腕に縛り直して元に戻っていた。
念のため簡単に解けないよう、たこ結びにしておいて。
(ああ、もう少し見ておきたかった……)
メイド長ちょっとガッカリ。
「はあ……で、店の事でなにか?」
「え、ああ、いま紅魔館で働き手を調整してるんだけどいい人材がいないのよ。
調理師はなんとかなるけど接客がね……頭の弱い妖精しか空いてなくて」
「へ?」
人材確保。
あまりにもとんとん拍子に話が進むものだからすっかり忘れていた。
おかげでつい間抜けな声が漏れてしまった。
紫は紅魔館でついでに人材確保を考えていたようだがこれでは……
「何匹かは回せるけど最低あと6人は欲しいわね」
「6人ですか……」
「ええ、お店の意向に合う子がなかなかいなくて。…………あら」
咲夜はちらりとルーミアを見、腕を組んでなにやら考え始めた。
当のルーミアは回転椅子に座ってぐるぐる回っている。
「めーがーまーわーるー」
「ねえ、あなたルーミア……だったかしら」
「そうだよー」
咲夜の呼びかけにルーミアは少し回転を弱めて答える。
「あなたのお友達に暇な子はいる?」
「んんー? みんな暇だよー今日も遊ぶつもりー」
「そう? じゃあみんなをここに呼んでくれる?」
「んー、いいよー」
そう言うとルーミアはすぐさまピタッと椅子の回転を止め、
その後回転椅子から降り、足早に外に出て行った。
「いってきまーす」
「あ、ルーミ……」
ばたん。
霖之助が何か言う前に行ってしまった。相変わらず行動が早い。
(お店の意向……?紫がなにかしら指示を出したのか?)
「これで何人かは間に合うわね。」
「ってルーミアも働かせるのか?」
「ええ、その方がいいんじゃない? あなたにとってもあの子にとっても
……あ、そうそう、これ紅魔館からお近づきの印」
菓子折りを貰った。
「む……すまないね。お茶でも出そうか」
お土産などあまり貰った事がなかったので
霖之助は素直に嬉しくなった。
・紅魔館への好感度++
咲夜への好感度+
霊夢への好感度-
魔理沙への好感度-
(なぜ霊夢と魔理沙の好感度が下がったかはお察し下さい)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ただいまー」
咲夜との会話で紅魔館への好感度が鰻登りになっていたが(おおよそ++++ぐらい)、
しばらくするとルーミアが帰ってきた。
「おかえり。どうだった?」
「みんな暇だったから来たよー。橙ちゃんはいなかったけど…」
そりゃあ妖怪なんだからだいたい暇だろう。
仕事してるの少数だし……あ、趣味の人は除いて。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
―その頃の太陽の畑―
「くちゅんっ!……うん、誰か噂話でもしてるのかしら?」
以外にも可愛らしいくしゃみをして、
『忙しい趣味人』風見 幽香は日課の植物との語らいを再開した。
「うーん、ムシャクシャするからそうねぇ、今度冥界の桜を全部 秋桜にでも……ん? なぁに?」
一方的に話しているように見えるので、とても奇妙な光景であるが、
多分こういった所もこの妖怪が恐れられている要因のひとつなのだろう。
サワサワと花が揺れる。
「そうね、きっとリグルが言ってるのよ。今度会ったらいじめておきましょうか」
にこやかに幽香は言った。
花と蟲は切っても切り離せぬものとも言うが、この場合はひたすら蟲が苦労する事になっていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「うはくしゅっ!……うーん、寒気がするなあ。」
一方の蟲、リグル・ナイトバグは香霖堂にいた。言うまでも無くルーミアに連れられてきたのだが。
そのすぐ横に氷の妖精、チルノとその親友、大妖精もいた。
「え、あたいのせい?」
「いや、もっとこう……幽霊が掠ったような悪寒かな」
「あ~、わかるわかる~」
うんうん、と前三人と同じくルーミアに連れてこられた夜雀、ミスティア・ローレライが頷いた。
「亡霊にこう、鬼ごっこみたいに背後に迫られながら手が届くか届かないかっていう距離にいる感じね~
昨日、手が背中を掠った時はホント悪寒がしたわ~」
「いやそれは……というか昨日森のほうで聞こえた絶叫って……」
「「うるさい」って巫女巫女レイムが飛んで来て亡霊とドンパチしだした隙に逃げたわ~」
相変わらずスリリングな幻想郷ライフをミスティアは送っているようだ。
しかしこれとは関係がない。
「あ、それならあれじゃないですか?ほら、お花の……」
「…幽香がどうかしたの?」
「まだ言い切ってないのにわかるリグルさんがすごい」
「わかってないなあ大ちゃん。好きd「不意打ちリグルキック!!」げふっ!?」
ピチューン
スタッ
チルノの顔面に文句の無いキックを炸裂させ、空中一回転の後、着地。
チルノは残機を1機失った。
「ただ敏感なだけだよ。会ったらいつもいじめられるし。」
「それは 愛だy「もう一丁!!」ぐはっ!」
ピチューン
すぐさま復活したチルノにもう一発顔面キック。チルノはもう1機失った。
「いちまんねんとにせんねんまえから、あ・い・し・て・るぅ~」
ミスティアも半分ふざけて悪乗りしだした。
「歌わないでよ!」
スパーン
「いちおくと~あいたっ。」
ミスティアにはローキック。ここら辺は扱いの差である。
「まったく……」
「ねぇ、チルノちゃんが復活しないんだけど。」
どうやら丁度残機が2だったらしい。
「適当にそこら辺のリリーからエクステンドアイテムでも貰ったら? 妖精のよしみで」
「いまは秋だしあの妖精さんはエクステンドアイテム持ってないよ……」
「しょうがないわね~私が拾ったこの『ふっかつのじゅもんのメモ』とやらを歌ってみるわ~」
「なんか平仮名なのが不安になるんですけど……」
その後適当っぽい平仮名の羅列をミスティアは謳いあげ……チルノは復活した。
「あたいったら最弱ね!」
なんか赤いけど。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その様子を店の窓越しに見て僕は軽く眩暈を覚えた。
ルーミアの交流関係を考えればこのメンバーになることはわかっていた…はずだった。
……彼女らに店の接客を任すというのか?
チラリ、と咲夜の横顔を覗く。彼女は顎に手を当て、値踏みするかのように子供達を見ていた。
「……ふむ、いいわね。」
その言葉にガクッとなる。
何がいいと言うのだろうか。
どう見ても子供である彼女らに本気で接客を任すつもりか?
あ、ルーミアは別だ。物覚えがいいから。(親バカ)
「すまないが、僕としては…あまりいいとは思えないのだが……」
子供だから、とまでは言えなかった。
さすがにルーミアのいる手前、その親友を卑下することは憚られた。
しかし当のルーミアは我関せずとばかりに机の引き出しを漁っていた。
そしておもむろにクッキー缶を引っ張り出して友達の所に持って行った。
――なんで知ってるんだ……隠しといたのに……
「賢い子ね」
「まったくだよ」
「魔理沙みたいにならないといいわね、お父さん?」
「………ああ、ほんとまったくだ」
多少呆れたように言い放つ反面、そういう関係なのかもなあ、と心の中で妙に納得している自分が居る。
店の外ではルーミアによるクッキーの大盤振る舞いが行われていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「うちは妖怪、妖精、その他諸々…かなりの数が働いてるわ」
「はあ……」
丁度お茶受けが切れてきた頃、
咲夜は外の光景を見ながら唐突に話し出した。
そういえばかなりまったりとしていたが紅魔館に戻らなくても大丈夫なのだろうか。
「実際今外にいる彼女らより頭の弱い、喋る事すらできないメイドもいるの。
それでも仕事はしているわ。…そう教え込んだから」
「それに比べればある程度喋れるだけで十分だと?」
「ええ」
そう自信満々に咲夜は答えた。
「貴方が思うほど彼女達は無知じゃないわ。むしろ子供相応に大人より知ってる事も多いんだから。」
「例えば?」
「クッキーの缶」
霖之助が黙るのにはそれで十分だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
これはなんとかなるか、と思ったがすぐに弊害が出た。
「お店の手伝い……ですか?私はいいんですけど…」
「あんまり気が進まないなあ。」
「あたしはもうお店あるもの~ムリムリ~♪」
「あたいに頼むとはいい目をしてるわね! 長生きするわよ!」
全体的にやる気がないムード。
そりゃあ働くより遊ぶほうが楽しいし、なにより妖怪なんだから好き勝手に生きたいのは当たり前だろう。
氷精はいやにやる気があるが多分何のことだかわかってないと思う。
というか半妖なんだし長生きなのは当たり前だ。
「りぐるー、みすちー、手伝ってよー。」
ルーミアも説得…もといお願いをするがいまいち効果ナシ。
咲夜もずっと腕組みをしてどうしたものか、と言った感じだ。
(かわいい…)
実は違った。
「お菓子やケーキが食べ放題なんだよー?」
「う。」
反応した。取り敢えず今のルーミアの発言は問題あるがこの際無視。
「うーん」「でもねー」
それでもまだ決心のつく様子はない。後一押し何かあれば……
―――――お困りのようね。
霖之助の耳に、つい昨日聞いたばかりの声が聞こえてきた。
「ハロー、霖之助さん」
「その声は紫……ってどうしたんだ!? 重傷じゃないか!?」
何時も通り何の前触れもなく、何時も通りじゃない紫が出てきた。
左腕に三角巾にギプスをしてこれでもかと”怪我人です”と主張している。
「いつどこで何をどうしたら妖怪の賢者がそこまで大怪我するのよ」
「うっかり気を抜いちゃって……」
咲夜が言うとおり、たとえ弾幕ごっこでもここまでなることは無い……はずだ。
妖怪なら尚更である。
「あれが妖怪の賢者様?」
「じゃあ今倒したらあたい最強?」
「負傷した虎を狩ってもしょうがないわよー」
子供たちが口々にそう言う。
まるで今なら絶対勝てる! とでも言うような物言いだ。
「なっ失礼ね! 言っとくけど私は貴女達のお友達である橙の主人の主人よ!」
「え? 橙ってそんなにすごいんだ」
「そーなのかー!」
「橙すごい! じゃあ未来の大妖怪候補筆頭?」
「ふん、その頃にはあたいだってだいよ……”大妖精”よ!」
「チルノちゃん、それ私だから」
「いや、橙じゃなくて私を……」
「そういえば橙どこいったんだろうね」
「なんか自分の主人が突然倒れたんだって」
「そーなのかー」
「…………」
―十分後―
「う、……うえぇ」
「ごめんなさい、泣かせるつもりなんてなかったんです」
「ほら、泣かないで。賢者なんでしょ(…持って帰りたい)」
「なかないで、もーおーすこしーさーいーごまでーはしりぃーぬけてー♪」
紫が本気で泣き出した為、全力であやす羽目になった。
しかも精神退行してるのか背まで低くなってしまっている。
「ほら、紫、クッキーだ」
「グスッ、ありがとう霖之助さん」
もしゃもしゃ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
―香霖堂店内―
「ごめんなさいね、つい大人気ないことしちゃったわ」
紫がなんとか持ち直したのでとりあえず全員店内へ入れ、
居間のテーブルに着きお茶とお菓子を再度出す。…狭い。
霖之助は紫の言いつけ通り、腕のリボンを解いて小さい姿になっている。メイド長の視線が怖い。
ついでに何が気に入ったのかは知らないが小さいまま紫は霖之助の膝の上に乗っている。
はたから見ると子供同士のカップルのようでほほえましいが、この身長では小さい紫の体重でも重く感じる。
しかし無闇に降ろそうとするとまた泣き出しそうな顔になるので降ろすに降ろせない。
(ふふふ、計算通り! ホントに少し泣いちゃったけどこの愛らしさ溢れる姿にもう霖之助さんはメロメロね!)
(重いな……)
・霖之助の精神は鉄板だった。
(出来るなら二人とも私の上に乗せたい)
・咲夜には効果はばつぐんだ。
(いいなあ…)
・ルーミアにフラグが立ちました。
「まず言っておくけどね、紅魔館で人手が足りないくらい予想してたわ」
「うん? じゃあどうするつもりだったんだ?」
「この状況の通りよ。この子達にやらせるつもりだったわ。当然何人かごねるとも予想して、ほら」
ゴトン、とテーブルの真上に開いたスキマから何かが落とされた。
どうやら数冊の本のようでいやに分厚い。それがボックスに入っているのだからその大きさは半端無い。
『原色ワイド図鑑』、しかも”フルセット”と書かれている。…いかにも高そうな代物だ。
「好きなように読みさいな。外で一番新しいモノよ」
「で……でかぁ」
チルノがそう言うが、
よく本を読んでる僕から見ても規格外なサイズだなこれは。普通本が落ちる時はゴトンなんて音はしない。
ほとんどが呆気に囚われてる中、ミスティアが箱の中から鳥類図鑑を手に取った。
そしてしばらく読んでいて何故かいきなり号泣。
「ピトフーイのおじさんがー」
誰だ。
「ううう……メゾサイロスさん……」
いつのまにかリグルも絶滅種図鑑で肩を震わせていた。
だから誰だよ。
「(なんか予定してた反応と違うけど)…どう、それで働く気になった?」
「くっ、こんなの見せられて断る奴なんていないよ…」
「そうねー…」
あっさり二人とも承諾したという。
ちなみに他の皆も読み出したが泣く事はなかった。いや、面白かったが。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ともかくこれでひぃ、ふぅ、……五人だから後一人ね」
「いや、うちの橙も入れるから六人」
ここまで計算していたのか。
「……見事にぴったりだな。さすが、といったところか」
「でしょう? もっと褒めて」
「紫ちゃんすごーい! 頭撫でてあげる!」
ここぞとばかりに小さい紫に抱きついて頭を撫でる咲夜。
「お前に言ったんじゃじゃねえよっ!?」
「がーん!」
「……紫、膝の上で暴れないでくれ。重いから」
「そんなっ! 重くなんかないわよ!」
「いやルーミアより重い」
「がーん!」
咲夜と紫、二人していじけ始めた。
――そして日が暮れる。
「もっと読みたいから今日は止まってもいい?」
「あたいもー」
「じゃあ皆泊まっていきなよー、いいでしょ、りんのすけー」
「無茶言わないでくれ、ルーミア」
ああ、今日はなんか特に忙しかった。
ともかくこれで人手、土地、資金、知識……だいたい揃ったはず。
それにしても大事になったものだ、と霖之助は灰色の空を見て思うのだった。
(了?)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
―――これで役者は揃ったの?
―――いいえ、まだよ。まだあるの。
―――何? まだ増えるの?
―――どうかしら、まだわからないわ。思いついたら、ね。
―――あーあ、×××の続き待ちかあ。
(霖之助商売奮闘記・第一部了)
まとめて言おう。やっぱり幻想郷大丈夫か…
後書きのなぞなぞの答えが段々とレベル上がっていくwww
恐らく幻想郷が滅んでもこーりんのガードは不滅だろう
こーりんの鉄板を破壊するのにはそれこそ宇宙開闢にも匹敵すr・・・
ルーミアフラグktkr
全体に細かく散りばめたのを楽しませてもらいましたが、もう少し早めてもいいのではないでしょうか?
がんばれ!おとん!!
お話は大変和みました。
これからも頑張って下さい
嫌いではない無いので頑張って続けてくださいね。
今回は色々と詰め込みすぎてしまいました……(汗)
原因は恐らく無理に縮小化をしたこととおまけです。勿論技量もですが。
特に前回おまけで変にシリアス風味にしたせいで割とどうでもいい所に今回支障が出てしまいました……(紫のへたれシリアス等)
そうでなくてもただでさえキャラが多くなってしまい、
誰か一人忘れてもそのまま進んでしまいそうな気さえします(汗)
それも含めて一旦仕切り直す為にも『第一部終了』としました。
もう一度これからやる予定の構想を練り直し、物語の調整を行い、
修正完了まではプチや本家で少しずつ他の作品を出そうと思います。
でも一部と二部のつなぎを今再構築していますので
割と近いうちに再開するかと。
で、第二部のタイトルは『香霖堂幼女喫茶』……かもしれません。
と、長くなりましたがこれで『霖之助商売奮闘記』、
幕間とさせていただきます。
第一部のご声援ありがとうございました。
続きに是非ご期待下さい! では!