「咲夜、どうして!?どうしてなの!?」
部屋から立ち去ろうとする咲夜を呼び止める。
レミリアは目に涙を浮かべ、目の前の現実を受け入れられずにいた。
咲夜は黙ってレミリアの方へ振り向く。
「どうして・・・私を裏切ったの?」
「お嬢様、私は・・・」
振り向いた咲夜の表情は申し訳なさそうに目を伏せている。
体はレミリアの方に向いているが、目を見て話すことができないのだ。
レミリアは今にも崩れ落ちてしまいそうなほどガタガタと震え、
いつもならカリスマに満ちた顔はグシャグシャになっている。
「申し訳ありません。ですが、これもお嬢様のことを想って・・・」
「違う!こんなの間違っているわ!」
(ドサッ)
「ぅっ!」
レミリアは咲夜に飛びついて押し倒し、馬乗りをする形となった。
そして胸倉を掴んでビチビチとシャツが悲鳴があがる程に無理矢理上半身を引き上げる。
「あなたは・・・まだ私をわかっていない・・・なんで気付かないの?」
「・・・・」
怒りとも悲しみとも取れるその声は咲夜の胸を痛める。
あぁ、どうしてこんなことになってしまったのだろう・・・と、自分の行いを思い返す。
自分にとって正しい選択とは一体なんだったのか。
主人を悲しませて得られるものは本当に尊いものなのか。
少なくともその時の自分は、苦渋の選択の末それが良いと思ったハズだ。
「お嬢様、私はわかっております。あなたのことを誰よりも。」
「嘘っ!あなたは私の気持ちに気付かないままじゃない!」
(びりびりっ!!!)
両手で紙を引き裂くように咲夜のエプロンとシャツを破る。
これは咲夜に対して暴力を振るっていることを意味する。
吸血鬼と人間では体の強度が違うため、本気で殴ろうものなら咲夜の体に穴が開いてしまう。
レミリアの自制がまだ利いている証だが、いつまで保てるかはわからない。
それは咲夜もわかっているが、恐怖心というものは無い。
完璧なメイド長には主人に対する忠誠心しかなく、死ぬ覚悟はできていた。
「私はいつでもお嬢様の味方です。例えお嬢様を敵に回してしまっても。」
一見矛盾しているような言葉ではあるが、今の状況から言い得て妙なことである。
咲夜はレミリアの気持ちを裏切るという行いをしてしまったけれども、
それによってレミリアのためになるのなら仕方が無いと割り切るしかなかった。
「ど・・してっ・・・」
感情が高まり過ぎて声が上手く出せない。
レミリアは搾り出すように声を出した。
「どうして今日は・・・グラタンじゃないのよ・・・」
「申し訳ございません。」
咲夜は謝った。
それはレミリアの気持ちを裏切ってしまったことに対して。
それでもまだ自分が正しいと信じられた。
主人の泣き顔を見ても、文句を浴びせられても仕方がないと頭で理解した。
「お嬢様のご健康を考えた結果、やはり食のバランスが・・・」
「そんな言い訳聞きたくない!好きな物を食べないで得られる健康なんかいらない!
私はグラタンが食べたかった!あなたはそれを用意しなかった!
だからあなたは私を裏切った!」
裏切った・・・その言葉が咲夜の胸にグサリと刺さる。
自分なりに主を思っての行動が逆に主を悲しませ、そして自分にもそのお返しがくる。
頭ではわかっている。しかし心では・・・そう考えてしまうと折れてしまいそうになった。
「私はグラタンが食べたいことを必死でアピールした!
昼食の時にグラタン皿とスプーンをわざわざ食器棚から持ってきてカンカン鳴らした!
調理開始前にはマカロニ、牛乳、小麦粉、バター、玉葱、チーズなどの材料を並べた!
あなたはそこで気付くはずじゃない!何故!?
慎ましくも激しいグラタン・リクエストをあなたは蹴った!」
怒りと悲しみで満ちたその顔と声は圧倒されるものだった。
間近でそれを見て、聞いて大抵の反応は恐怖で何も言えなくなる。
無理もない。相手はスカーレットデビルと呼ばれる悪魔である。
しかし咲夜は違う。その悪魔に魅せられ、自然と顔を近づけ瞳を閉じていた。
「って、何をするつもりだ!」
「あんっ!」
レミリアは乱暴に咲夜を放す。
放された咲夜は体が後ろに倒れ、仰向けの状態でレミリアを見上げる。
「私の好きなものはグラタン!オムライス!カレー!さぁ言ってみなさい!」
「グラタン。オムライス。カレー。」
「声が小さい!!」
「グラタン!オムライス!カレー!」
「よろしい!今日の献立は!?」
「湯豆腐です。」
「なんでじゃああっ!!!」
レミリアは耳を塞いで声をあげた。
自分が予想した未来とは違うものが現実として今テーブルの上で湯気を昇らせている。
約束の場所に待っていたのは愛しのアレではなかった。
再び胸倉を掴むと今度は引き上げるのではなく、咲夜の胸に顔をうずめる。
「咲夜!まだよ!まだ取り返しがつくハズよ!」
「お嬢様・・・」
おやめください・・・とは、言えるハズもなかった。
胸の中で泣いている小さな夜の王にこれ以上残酷な扱いができようか。
悪魔の羽もただの蝙蝠の羽に見えてしまうほど弱っている彼女に。
「私、まだご飯ができるまで我慢できるよ?作るのが大変なら手伝うよ?
疲れているなら背中を流してあげるよ?寝る前に絵本を読んであげるよ?」
なんでもするから、とでも言うようにレミリアは咲夜に哀願する。
咲夜は込み上げてくるものを感じてレミリアを抱きしめた。
かけてあげられる言葉もない。これから何かをしてやれるわけでもない。
レミリアに目の前の現実を受け入れさせるにはあまりにも酷なことなのだ。
だから抱きしめるしかできない。抱きしめて少しでも安心させてあげるしかなかった。
「?」
咲夜は仰向けの状態で頬に伝う何かを感じた。
それを手にとってみると血だった。鼻から血が出ていたのだ。
血の涙がこぼれていた・・・と、咲夜は思った。
そっか、私も泣いていたんだ。
レミリアの苦しみは自分の苦しみ。
それはまるでレミリアと自分が一心同体みたいだ。
そう思うと少しだけ自分が安心することができた。
何故なら悲しい思いはレミリアと共有しているのだから。
他人事でなければと、咲夜は多少なりとも厳しいことを言えるようになった。
「お嬢様、明日はグラタンにすることを約束します。」
「・・・今日は駄目なの?私が悪い子だから駄目なの?」
悪い子だから駄目なの?・・・今の咲夜には胸にキュンとくる言葉であった。
咲夜は唇を噛んだ。できるだけ自分の感情を出さないよう堪えている。
「お嬢様、お聞きください。」
「うん。」
「冬こそ、大豆ですから。」
通だな咲夜さんwww
読み進めていって
「どうして今日は・・・グラタンじゃないのよ・・・」
ここで、大爆笑www
レミリアのカリスマは何処へ…
誰か教えて
一本じゃあ大して腹が膨れるわけでもなく、かといってカロリーが低いわけでもない、それなのに当初はダイエット食品として売り出そうとしていたあれではないかと・・・。
大豆食いたかったら納豆食えといいたい。
って、それ以前に大豆自体が駄目だったんでしたっけ、お嬢様w
咲夜さんは、ホワイトソースから作るのね。流石瀟洒!
でもこの時期の湯豆腐ってかなり美味しいよ?お嬢も好き嫌いしたらアカン!
でも、大豆のアレは好きです。
元ネタはCMか何かですか?「冬こそ大豆」で検索すれば出てくるかな。
でもかわいいので人気投票にれみりゃさま入れてくる!
確実に喜んでるw
そして湯豆腐が食べたくてたまらない。
そりゃグラタンもカレーもオムライスも美味しいけどさw
湯豆腐はたこわさとかつお節のせてポン酢をかけるのがマイブームです。
湯豆腐美味しいよ!
SOYJOYはすでに幻想郷入りしたのか、美味しくないからな。
レミリア様カリスマにあふれてますww
だめだこのメイド長
意外と「ゴマダレ」でも美味しかったりする・・・
しかし、この中のオムライスを想像すると、
なんでか「旗が立っている」のが思い浮かぶんだろうw
涙じゃねえよwww
オムライスのケチャップで文字書いたりするが、この咲夜さんは何かすごいことしそうだな。
急転換から大爆笑w
つかこの従者ご飯一つでどこまで大騒ぎするんだw
だが、笑いまくってスッキリしまくってるのでよし!
と同時に爆笑してしまったw
不意打ち過ぎる
それにしてもお嬢様必死すぎるww
湯豆腐のくだりで大爆笑www
読み始めたらシリアスなんだ、と思い、
そしてやっぱりギャグだったwww
負けましたww
その材料は慎ましいどころか「グラタン作れ」ってアピール以外の
何物でもないwwwww
咲夜さん、それは鼻血というものですよw
レミリア可愛いすぎる
>「どうして今日は・・・グラタンじゃないのよ・・・」
鏡の向こうにニヤリとしている気持ち悪いのがいるんですが霊の一種ですか?
お嬢様のカリスマがストップ安www
これはいつ見てもピカ一です。
お。おおぉぉぉぜうさまぁっぁっぁぁあああ