山の上の神社にて作者: 欠片の屑

こんばんは、八坂神奈子です。神様やってます。
え～今日集まって貰ったのは他でもありません。
信仰を集める為に、幻想郷の各地に分社を建てる事になりました。
でも一から自分で造ってたら面倒だと言うことが分かったので、近所の河童に頼んで蛙でも出来る簡単なキットを作って貰いました。
作るのも簡単、説明書に乗っ取って順序良く組み立てていけばＯＫ、数刻位でちゃっちゃとできちゃう。
接着剤いらずのスナップフィットでランナからの切り離しも目立たないように工夫してるから、やすりだけでも結構本格的に作れます。
そして何より毎日かかさずお祈りすれば、私が色々とやってあげちゃうオマケ付き。
とってもステキで、私の信仰とお布施を一緒に集められる一石二鳥な分社作成キット。
パッケージも４種類あって内容は全て一緒。ビバッ！曲芸○商法！！
それがこの「諏訪子ちゃんのおでかけ分社キット　私のお社」セットです。
で、これを宣伝するのに今度広告を載せるってことで天狗と契約してきたから、そこに載せる宣伝文句を募集します。
それが前回の話だったわよね？

それで皆さんからネタをお願いしました。
ぶっちゃけ、天狗よりも一生懸命にネタを集めました。
具体的にはアンケート用紙を方々に配ってそれを回収してもらいました…が、
幾らなんでも出来が酷すぎます。いや、ホントにこれほどまでなのかとびっくりしました。
発狂した弾幕くらいに酷いです。どうやって避けろと！？って位に、もうえげつないことこの上ないです。
あまりにも酷いんで、反省の意味も込めて今回は目立ったやつを発表しようと思います。
これを機会にもうちょっと考えてくださいね。

と、その前に…
正解例って訳じゃないんだけど、別のところから引っ張ってきてちょっと弄ったモノを読んでみるわね。
「コレに出会ってから信じられないことの連続です。
　まず何もしていないのに『キレイになったね』と言われたり、お仕事のお給金も何故か増えたり、
　何気なくやった福引でプリズムリバーのライブチケットが手に入ったりと幸運続き！
　でも、一番嬉しかったことは大好きだったあの人に告白されたことです（はぁと）
　今度、二人でライブに行く予定です！何もかも上手く行き過ぎて怖い位です！神様！本当にありがとう！」
我ながら良く出来てるわ、まぁこんな感じよ。
こういうのが欲しかった訳。
コレに対して皆様のがどれだけ酷かったのか、それをよく考えながら聞いてくださいね？ホントに。

まず一つ目。
「私はこれに出会うまで不幸の連続でした…
　しかし、この分社キットを手に入れてからというもの、自分の人生が１８０度変わりました！
　何と周りの人たちが私の名前をちゃんと呼んでくれるんです」
何コレ？名前呼ばれるってだけで、誰が喰いつくか！
まぁ私もオンバシラだのキャノンだの色々と呼ばれてるけど、これじゃ効果しょぼ過ぎるでしょ。
大体、この娘の場合は名前でちゃんと呼ばれてたら、自分の人生が悪い方に１８０度変わるんじゃないかしら？よく知らないけど。
後この人、ここからひたすら「もうこの効果は凄い！本当に凄過ぎます！素晴らし過ぎて言葉に表せません！！」って書いてるけど、
これじゃただの強がりだからね。
勘弁してね、ホント。

はい、次。
「私には悩みが無いんですが、何となく都会の勘がこれを押さえておかないとと思い、購入しました」
…農耕の神が創ったものに反応する都会の勘は、今すぐドブにでも捨てた方がいいわね。
それに悩み無いって何？
「組み立てて枕元において置くと不思議と自分の部屋にしっくり来る感じがしました
　お部屋のアンティークにぴったりで、部屋の中の人形もよろこんでいるみたいです
　手作りのカバーを３枚も作ってしまいました」
お部屋の彩り扱いにしない！
そんなに言うほど格好のいいもんじゃないからね？
おばあちゃんが「おー神棚かぁ…」ってとりあえず拝む程度のものよ？
「カバーをかけて、隙間から覗くように遊ばせてみても面白いですよ」
その口調やめい。
アクセ屋の店員か、お前は。

「私の家は神社なんです」
じゃあいらないよね、コレ。しかもこの一文しか書いてないし。
何で神社の人にこんなの持っていくかな、早苗ちゃん？
友達できたからって嬉しいのは分かるけど、向こうが友達って思ってるか怪しいもんよ？
…あ、ごめん言い過ぎた、泣かないで…
って、弾飛ばさないでよ！
ちょ、ちょっ！危な！？
だぁ！いきなり海を割るのはやめなさい！！

―閑話休題―

ごめんなさい、落ち着かせたので次に行きます。
え～「私は、霧の湖近郊に住んでいる妖精です」と書いてありますね。
うん、自分の住んでいるところを書くと言うのは、ちょっと信憑性が増すから中々良いわよ。
「ずっと誰かに頼りっきりだった、あの日の自分と決別したい…」
う～ん…ちょっと入り方が重いわね…
呼んでて「ﾌﾟｯ」ってなっちゃうからね？
で、内容は
「ぶんしゃをたててさいきょーよ！」内容ー？！
何の話よ！？
これ確実に前半を書いたのと後半を書いた娘は別の娘よね？多分。
何にしても、バカに文章を書かせちゃダメ！！

ホントにもう！次！
「これを建てることで、奪われてしまったモノを取り戻すことが出来ました」
……かいつまんで読んでいくわね。
「私は念願叶ってアイスソードと言う武器を手に入れたのですが、いきなり強盗に襲われ命を落としてしまいました」
はい。
「そしてたどり着いた先の冥府にて、変な帽子を被った小娘の逆鱗に触れ、その従者に輪廻転生の輪を断ち切られてしまいました」
大変ね、でも流石の私も輪廻転生はどうにもならないから。
「賽の河原で石を積んでいたところ、このキットが流れ着き、半ばヤケになり組んでみたところ何故か転生の輪が元に戻りました」
…これ最後まで聞きたい？
「冥界に戻ったところ、雪女のお母さんと小さい青い娘さんに出会い、二人の力でアイスソードを作って頂きました」
母娘？
「もうこのキットを手放すことなど出来ません！本当にありがとう！！」
はい次！

「新聞でこのキットのことを知り、自宅に分社を建てたのですが、建てた翌日に宇宙人が親に恥をかかせました」
…これも一応最後まで読むわね。
「１０：０で向こうが悪いのですが、示談で済ますことになり、お詫びにと薬を貰いました
　その薬を飲んでからというもの、私の体は病気も老いも忘れ、死ぬことが無くなりました
　そして何故か体から火が出るようになりました！もう怖いものなんかありません！！」
ちょっと待てぃ！
大体、中盤から分社が全然関係無くなってるじゃない！
って言うかこんなの分社があっても無くても一緒だからね？
こういうヤツには神の私も干渉出来無いわ。
私はドラゴンボ○ルじゃないからね？

次！
「今まで手作業でお賽銭を集めていたのですが、分社が出来てから向こうが勝手にお賽銭を入れてくれるようになりました
　私とともに相手も幸せになってとってもうれしいです」
地味な賽銭ドロをするな！
それに、これは確実にこの子のおかげで幸せになってるからね。
しかも賽銭ドロに分社が負けてるのよ！？

「オッス！オラ分社！」
しばいたろか。

「今分社を買うと、オマケに幸せが付いてきます！」
いやマジでオンバシラ・フルスイングするよ？

…大体こんな感じかしら？
まぁこのキットの効果自体はあるんだし、この幻想郷なら需要もきっとあるはずよ！
これを反省に新しい文章を考えてきてよ？
それではこれにて解散！

あれ？一枚残ってた。
なになに…
「夏休みの自由研究にもバッチリです！」
やかましいわ！

（了）