どこの誰でも構わないが、この報告書を読み終えたら、丸めて鼻でもかんで捨てて欲しい。
最近、私の所有物を勝手にオークションにかける輩がいるからだ。
お気に入りの下着とか、ちょっと人に言えない時に使う布地とか、その他色々が世の中に出回っている。
主に、あんまし異性と縁の無さそうな殿方が、購入してるっぽい。気持ち悪い。
そんな訳で、この手紙も捨ててね。絶対に売るなよ。
話は変わって、姫様のご機嫌はどうですか。斜めですか。斜め上ですよね、最近は。
節分とかいう、年の数だけ豆を食わされる拷問のせいだよね。師匠の嬉々として豆をぶち込んでた顔が忘れられない。ちょっとゾクッとした。
多分、日頃の鬱憤をあれで晴らしてたんだろうな……。姫を虐めるくらいなら私をとあれほど。
師匠曰く、自ら名乗り出るような子を虐めても面白くないとか。本物ですね。流石ですね。
そして、ほとぼりが冷めてから無理難題を押しつけてくる手腕に感動。気がつけば山中とか。鬼か。
鈴仙より
ごめんなさい、前回の報告書は意味不明でしたね。姫の愚痴と師匠のノロケ話ばっか書いた気がする。反省。
事情を良く知らない人が受け取るかもしれないって事を、忘れてました。
説明します。私は今、不死鳥と山登り中です――とにかくコイツが我がままで困ってる。
やれ、私がトイレしてる間は遠く行けー、とか。飯作れー、とか。何様のつもりだと聞けば、貴族です、と返事した。
そういやコイツ、そこそこ身分高い家の生まれだっけ? もんぺだから高貴さ感じないんだよね。
指摘したら、お前の破廉恥な格好よりマシだ、との事。失礼な。
それと、夜が一番酷い。変な意味じゃないよ? いびきとか寝言とか。寝れねーっつーの。
「輝夜死ね」
「お父様に謝れ」
「うわちょ慧音脱ぐな」
断片的な寝言から推察するに、粘着質でファザコンでヘタレ。友達にはしたくないが、玩具にしたら面白そうだ。
そういえば、師匠はこの気難しいもんぺをどうやって説得したんだろう?
そりゃ、不死身だし熱に強いし、活火山の探索には最適の人材でしょうけど。
硫黄採集なんて、姫の身内でもやりたくないのに。ヘンなの。
硫黄がちょこちょこ目に付くようになってきました。山頂についたみたいです。
マジで地獄絵図っぽい景観。活火山だから仕方ないんでしょうけど。
もんぺの方はというと、無駄に元気です。火の鳥だからでしょうか。熱いのは平気みたい。
ところで、火口付近でぴょんぴょん跳ね回る不死身の生物をみると、大気圏の外に追い出したくなります。何故?
……答えが出ないので、考えるのをやめた。今はただ黙々と硫黄を集めるのみ。なんて意気込んでたんですけどね。
この物体、臭いしへんぴなトコにしか落ちてないし、最悪。師匠の命令でなければ触りもしない。命令ってのが重要。上から目線で指示されると、ゾクゾクしてしまう。
上から目線といえば。もんぺの奴が、軍曹チックなノリで指示を送ってくるんですが。
人の生き死にが関わってる、とか叫んで、率先して硫黄を集めてる。何故?
確か、美容目的で硫黄集めてるんですよね? 硫黄は吹き出物に効くらしいですし……。私はそう聞いたんですけど。
なんか、もんぺと会話が噛み合わない。
……師匠のステッキーな口車には驚嘆致しました。
どうやってこの気難しいもんぺの協力を得たのか、ずうっと疑問に思ってたけど、見事に解決。
――姫の身に宿った新たな命(アクネ菌)が、姫のご負担となって……。なんせ、あちら(アクネ菌)の方から無理矢理……。
かっこの中を伏せて説明すれば、世の女性は確実に同情する惨劇に聞こえますもんね。人の心が有るなら、誰だって協力するよね。
あれですね。姫、豆の食いすぎで体調崩して、ニキビできましたもんね。確かに嘘はついてないわな、うん。
隣にいるもんぺは、こないだ姫のお腹を蹴り飛ばした事を思い出して、めっさ後悔してます。面白いから、事実は告げてやらない。
時々、姫がどんな目に会ったかを想像して、青くなったり赤くなったりを繰り返してる模様。
お前は一体、頭の中でどんな光景を繰り広げてるんだ。聞いてみたら、逃げた。
師匠も普段、こんな気分なのかな。嗜虐的な感情がもりもり沸いてきてしまい、詰問ラッシュしたらフジヤマヴォルケイノりやがった。
あらゆる食料が炭化しました。現在、昆虫はどの調理法でもデザートに適さない事を実感中。
はい。ぶっちゃけ食糧難です。どうしよう……。
天候悪化。両手一杯に集めた硫黄も負担。
ちょっと帰れそうにないです。もんぺの奴は、相変わらず熱血路線でうざい。
それと時々、私を飢えた目つきで見つめてきます。
食われて、たまるか。(カロリー的な意味で)
ネクタイって意外と美味しいですね。
もんぺって意外と美味しいですね。
今まで藤原妹紅を『もんぺ』、なんて服装から連想した蔑称で書いていたので、あらぬ誤解を招いたかも。
カニバリズムとは無縁ですよ。兎ですから。互いの衣服をしょっぴいて召し上がったんです。
奴は今、下着と靴下のみなので、もんぺと呼べなくなっちまった。新しくパンツと呼べばいいのか? 柄も考慮しようか。
水玉、バブル、アクアボール……。どれもしっくりこないな。いえね、火の鳥のくせして爽やか水玉模様なのよね。
はー。早く天候直らないかな。女のパンツなんか見ても面白くない。
バブル妹紅が下山を決意。視界はどう見ても最悪、雪とか灰とかでレミングよろしく、自殺志願者に対する福音としか思えない。
そりゃ、妹紅は不死身だからいいけど。私はどうなる。
ガスコンロ兼暇つぶしの道具を失ったら死ぬ。寒さとか寂しさで。後の方だけ伝えたら、何か嬉しがってた。
「そうかそうか。私がいなくなったら寂しいのね」
と、得意気にニヤニヤしてる……。こんな極限状態じゃなきゃ相手しねぇよ。
やった、晴れた。
飛ぶ気力は残ってますが、結構高い所にいるのがネック。浮遊したら、空気薄すぎて死にかけた。
ある程度空気の濃いところまで徒歩で下山してから、一気に飛んで帰るのがベストと判断。
っていうかできれば助けに来てくれませんか。
妹紅が動かなくなった。不死身だし、ほっといても大丈夫そうだけど……。
確か蓬莱人も空腹は感じるんだよね。つまり、永遠に飢えて行動不能なまま、ここに置いてけぼりな状態にできると。
やったぁ厄介者排除じゃん、とか一瞬思ったけどそこまで鬼畜じゃない、そういうのは師匠の担当。
おんぶしてます。奴を。一気に行動範囲が狭まりました。
そして、身近な所でカロリーを摂取するためにはアレな訳で。
その、何ていうか……。この報告書用の紙と、パンツ。どっち食べるかの二択で迷ってる。
個人的には紙をプッシュしたいけど、報告書に愚痴書く事で精神の平静を保ってる気がするし……。
――。
もし、これからもそちらに報告書が届くようだったら、パンツの事には触れないでほしい。
――何故報告書を届ける事ができるのか。そんな疑問に答えたい。
よく訓練された鳩の足に手紙を結んでるからです。つまり、この伝書鳩についていけば、迷わずに帰れるという訳で。
やっぱり鳥は偉いな、と妹紅も得意気です。もうちょっとで下山できそうです。
帰ったら妹紅にネタバレして、二人して姫をぶん殴りたいです。
たかが吹き出物くらいでこんな……。蓬莱人なら自力で治せるんじゃあ……。薬使った方が治り早いのかな。
それとも、追加効果の美肌目的なのかな。どっちみち許さん。
それにしても師匠が外道だwww
お前の破廉恥な格好よりマシだ
考えてみれば、まともな事だなW
あと、姫うぜぇw
姫とてゐは逃げたほうがいい
フジヤマヴォルケイノり
フジヤマヴォルケイノる
フジヤマヴォルケイノれ
フジヤマヴォルケイノれば
・・・・・・いや何となく。それにしてもカオスwwネクタイでマジで色々と吹いたので謝罪とば(ry
俺もだ。
ハートマンノリ? の口の悪さが素敵。
>ファザコンでヘタレ
なんだかイイ。
いかん全員頭沸いてやがるwwwww