Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

彼女の嫁

2008/01/22 09:54:05
最終更新
サイズ
5.07KB
ページ数
1





その日、霧雨魔理沙は暇であった。

研究やら考察やら部屋の片付けやら新しい呪文の開発やら、

色々とやるべき事はあるものの、どれもやる気にはなれなかった。

ならば、他の事でこの暇を潰そう。

彼女がその結論に至るのに、さほど時間はかからなかった。

それこそ、いつも自身の箒の飛ぶスピードが如く、即決である。

さて、それでは暇を潰しにいざと、いつもの装備をし、愛用の箒を持ち、

ドアノブに手をかけたところで、彼女の足は止まった。


(……待てよ。またパチュリーのとこでゆったり本を読んだり、博麗神社でほのぼのお茶飲んだり、

 アリスの家でまったりしたり、香霖堂からアイテム永久借用か? うむむ……少し味気ないな)


どうせやるなら思いっきり。

霧雨魔理沙は、そんな人物だ。

なので、このような小さい事とはいえ、手は抜かない。

普通の魔法使いは常に全力がモットーなのだ。とは彼女の持論である。

そんな訳で、彼女はもう一度、椅子の上に腰を下ろし、

思いつく限りの暇が潰せそうなことを、次々とリストアップしてみた。



①霊夢と愛の逃避行劇場

②アリスと昼メロごっこ(誤植編)

③フランドールと紅茶を飲みながら優雅に猥談

④魅魔を尋ねて三千里

⑤パッチュパチュにされてやんよ!!

⑥リリカはいらない子じゃないと、約一時間程ヤマザナドゥに説明

⑦香霖! 香霖! 助けて香霖!!

⑧「うふふ……」と笑って黒歴史。それが旧作クオリティ

⑨   



とりあえず、魔理沙は⑧は見ないことにした。

これでもかという位に、何重にも線を引き、そこだけを塗りつぶした。

「そもそも、⑧の選択肢など歴史にない!」って、けーねが言ってた。

⑨については、想像にお任せする。あたいったら、最強ね!! 

ともかく、残った七つから、どれか一つを選ぶわけだが、

それぞれが魅力的な選択で、彼女はどれを選ぶべきか、悩んだ。


(むぅ……どれも、面白そうだなぁ)


魔理沙は一つ一つをシミュレートしていく。


まずは①の霊夢との逃避行劇場。

どこに行くかなんて、当てはない。

だが、それがまたいい。

どこか遠くに、ふらふらと主人公組二人だけで飛んで行くのも悪くない。

ちょっとした旅行だ。

そして二人は知らない土地で愛の巣を築き上げ、新世界の神となるのだ……。



「うん。いい……」


頬杖をつき、ニコニコとしながら彼女は頷いた。

その腕には鼻血が伝い、真っ赤に染め上げていた。


「……さて」


二人の子供が就職するところで想像を止め、

腕についた血を拭き取り、彼女は、次の案をシミュレートしてみた。


②のアリスと昼メロごっこ(誤植編)

漫画家と編集者との間に生まれる愛。

だがそこには、打ち切りやら何やらで二人に立ちはだかる壁があったのだった。

そして、そのごっこの後、二人は博麗神社でゴールインを果たす……。



「これも、捨てがたい……」


アリスって料理うまいんだよなと呟く。

やはりその表情は笑顔で鼻血付である。

余談ではあるが、もちろんこれの完結編もある。

だが、編集の都合上3ページで書ききる技能は作者にありません。

申し訳ありませんが、他の作者の次回作にご期待下さい。






そうやって、全ての候補をシミュレートしていったが、

どれも手軽に実行出来そうだし、何よりどれも捨て難かった。

選ばなかったものはまた今度という手もあるが、それを許さないのが霧雨魔理沙だ。

彼女は悩みに悩んだ。残機をじわじわと削りながら悩んだ。

時には腕を組んで唸りながら、またある時は窓を全開にし「P A D!!」と、

某紅い館に向かって全力全壊で叫んでみたりしながら、懸命に悩んだ。

因みにテンコーはしていない。

そして、数分後、一つの彼女は閃きとともに、妙案を思いついた。


(そうだ。個々に全部実行しようとするからダメなんだ。

 色々と混ぜてみれば、面白さがもっと増すかもしれない)


そうして彼女はもう一度、リストアップしたものを眺めてみる。

そこから、組み合わせが出来そうな箇所をつなぎ合わせて、

より面白そうなものだけを拾い上げていく。

途中、烏天狗の新聞屋が取材兼勧誘に来たが、居留守を使ってやり過ごした後で、

「射ぁ 命ぃぃ 丸ぅ!!(cv若本)」と叫んだり、

考えに詰まった時に「きり ☆ さめ ☆ う~」と某紅い館の当主の様に、

幼女臭あふれるポーズをとったりしたが、しっかりと作業は続けていた。

普通の魔法使いに、抜かりはない。


「……できた。できたぞ!!」


そして、ついに完成した。

魔理沙の暇を潰すためだけの計画。

数刻の時を経て、今ようやく、それは完成したのだ。


「ふっふっふ、見るからに楽しそうなこの計画。

今から実行することを考えるだけで、笑いが止まらないぜ」


さっそく実行だと、さっきの3倍のスピードで準備を開始する。

かなり大きな計画である。

それをするとなると、色々なものが必要となってくる。

故に彼女は、いつもは使っていないマジックアイテムも、倉庫から引っ張り出してきていた。


「よし! これで準備完了だぜ!!」


準備を終えると、そこには、いつもより重装備な彼女がいた。

いうなれば、フルアーマー魔理沙だ。

別に、初代のやつとは全く関係ないのであしからず。

あと、蛍は台所に出るGではない。覚えておこう。

そうして、彼女はいつも通り、だが、いつもより気迫溢れる様で、

愛用の箒にまたがって、大空へと飛び出していった。






家主も誰もいない部屋で、一枚の紙が風に吹かれ、はらりと床に落ちる。

どうやら、家主は鍵もかけずに飛び出していったようで、扉は開けっ放しになっていた。

そこからもう一度、風が部屋を吹き抜け、紙が宙を舞い、字の書かれた面を上にして落ちた。

何度も消しては書いたその紙面には、たった一文、こう書かれていた。



               幻想郷は私の嫁



紙は三度、風に吹き飛ばされ、そして外へ出たまま、もう家の中に戻ることはなかった。






どうも、初めまして。
持てない人というものです。

拙い上に、初投稿でこんなカオスな作品を投稿してしまい、
読んでくれてた方々には、感謝と申し訳ない気持ちでいっぱいです。

言い訳をさせて貰うなら、本当は、ほのぼの作品にするつもりでした。
めるぽ→ガッ! いつの間にやら変な方向に……。

まぁ、楽しめる人が少しでもいればと、そう思うしだいです。
因みに、うまいこと言わせて貰うと、これのオチも風で一緒に飛んでいってしまいました。

ははは、こやつめ。

そんな訳で、慧音先生は、俺の従姉妹の友達の従兄弟の妹の兄の姉!!

誤字、脱字、お待ちしてます。
持てない人
コメント



1.名無し妖怪削除
色々詰め込みすぎて収拾がつかなくなったから投げっぱなしになった様に感じます。
2.欠片の屑削除
こういう暴走は結構好きです。オチの投げっ放しジャーマンも一つの味かとw
ネタ的には③~⑦のを膨らました方がもっと面白かったかと思います。
3.名無し妖怪削除
しりきれトンボ
4.卯月由羽削除
これは酷い投げっぱなしだぁw
でもこれもありだと思います。
5.名無し妖怪削除
見事にオチで滑っちゃいましたね