最近、仕方なく「文々。新聞」を購読し始めた鍵山 雛。
射命丸のしつこい勧誘により、シブシブだったのだが、
おまけで付けてくれる「ヤ○ルト」により、その新聞が来るのが楽しみになってしまっていた。
まあ、楽しみなのはヤ○ルトなのだが・・・
ただ、一つ問題があった。
自宅にはポストがない。
新聞受けはあるのだが、ヤ○ルトを置いておく場所がない。
むき出しのまま置いておくのも、不衛生だし、それにもしかしたら盗まれるかもしれない。
「う~ん、どうしようかしら?」
雛は、考えた。
そして、その足は「香霖堂」へと向かっていた。
「お邪魔するわ」
相変わらず、商売をする気がないと思える雑然とした店内。
「おや? 珍しい方が来たもんだ」
店主の森近 霖之助が驚いた表情で雛を迎える。
「実は探し物をしているんだけど」
といい、雛は店主に簡単に欲しい物の説明をする。
「う~ん、ちょっと待ってて・・・」
店主は店の奥に行き、なにやらガサゴソと探す。
「あったあった! これなんていいんじゃないか?」
店主が持ってきた物とは・・・・
緑色の樹脂製の小さな箱。
ただ、その箱の蓋の部分に「ヤ○ルト」と書かれている。
それを見た雛は目を輝かせる。
「私が捜し求めていた物は、コレよ!! なんて素晴らしい!!」
興奮気味の雛。
「買うわ! おいくらかしら?」
雛は財布を取り出し、お金を払おうとする。
「持って行っていいですよ、どうせまだたくさんあるし」
と言いながら、その箱を袋に入れて封をする店主。
「けど、それでは申し訳ないですし・・・」
困惑する雛。
「いいんですよ、さあ、どうぞ」と店主は袋を雛に手渡す。
「申し訳ありません、また今度利用させていただいた時には、ちゃんとお金を払いますので」
大事に袋を持ち、店主に礼をいい、雛は店を後にする。
そして、自宅へ。
早速玄関の所にその箱を取り付ける。
そして、射命丸宛に手紙を書いておく。
「ヤ○ルトは、今度から、この箱の中にお入れください」
と書いて、小箱に貼り付ける。
「よし、これで完璧!」
そして、翌朝。
その小箱に張られた手紙を見た射命丸は「ん?・・・分かりました!」とヤ○ルトをその小箱に入れる。
その数分後に目覚めた雛。
さっそく小箱を確認。
「入っているわ・・しかも、なんてジャストサイズなの!」
あまりのハマリ具合に、歓喜にむせる雛。
そして、日課となりつつあるヤ○ルトを飲み干す。
「プァッ! これよこれ!!」
すっかり上機嫌な雛。
「さて、今日も元気に厄を集めに行きますか!!」
いつにないハイテンションで、雛は厄を集めに出かけていった。
※ ※ ※
それから数日後。
射命丸は困っていた。
雛に渡すはずのヤ○ルトの在庫がなくなったのだ。
「うわぁ~、どうしよう・・・」
仕方なく、天狗の新聞集配所などを色々と探してみる。
「これでも・・・いいかな?」
やっと見つけた代用品を持ち、新聞を配りに出かける。
「分かってくれる・・よね?」
不安を抱えながらではあったが、とりあえず代用品を持って新聞を配りに出発した。
そして、雛の家に到着。
「まあ・・これの方が単価が高いし量も多いし・・・・」
そう自分に言い聞かせながら、代用品を小箱に入れて、次の新聞を配る場所へと向かっていった。
その数分後。
今日もヤ○ルトが飲める!と意気揚々と小箱を開けに行った雛。
そして小箱をウキウキ気分で開ける。
しかし、小箱に入っていたのは、いつもより一回り大きい容器で、色が白いものだった。
「・・・・なによ、これ・・・・」
その小箱に入っていたのは、ヤ○ルトではない・・・いや、正確にはヤ○ルトなのだが、
「○ョワ」と後ろに書かれているものだった。
それを手に取り、ワナワナと震える雛。
「これは・・・私の望んでいたものじゃないわ!!」
けど、とりあえずは飲んでみる。
「・・・やはり、舌があの味を欲しているからかしら・・・これじゃないって舌が言っているわ・・・」
一体どういう事なのか?を射命丸に問いただそうと、雛は文が新聞を配りそうな場所を追跡していこうと決めた。
※ ※ ※
博麗神社
縁側でお茶をまったりとすする霊夢。
「何か嫌な予感がするわね・・・」
眉間にしわを寄せ、何かに備える。
そして、おもむろに御札を神社の階段の方へ投げつける。
ちょうどその時、その階段を登る雛がいた。
階段の切れ目から雛の顔が霊夢の所から見えた時に、その御札は
まっすぐに雛の顔面にめがけて飛んでいた。
そして、御札は雛にヒット。
「キャァ」
「なんだ、あんたか」
何事もなかった様な霊夢。
「いたた・・・何するんですか!」
おでこに御札が張り付いたまま霊夢に言い寄る雛。
「今日は厄はないわよ」
「いや・・そうじゃなくって・・」
話にならない・・・そう思い、単刀直入に霊夢に聞いた。
「天狗の新聞って、もうここには来たかしら?」
「ん?ああ、これ?」
霊夢が指差した先には、すでに鍋敷きとして代用されていた新聞があった。
なんて不遇な・・・・この新聞にも厄があるんじゃないかしら?と思いながらも、雛は話を続けた。
「いつ頃来たのか分かるかしら?」
「さあ、気が付いたら縁側にあったからね」
そうか・・・じゃあ、ここにいても無意味ね。
そう思い、雛は文が次に向かいそうな場所へ向かって行った。
※ ※ ※
永遠亭
しかし、竹林で迷ってしまって到達できなかった。
※ ※ ※
白玉楼
いきなり飛び出して切り付けてきた妖夢にビックリするが、
話をして分かってもらう。
「天狗の新聞ですか・・・それなら、もうかなり前に来ましたよ」
ああ・・やっぱりね・・・
やはり幻想郷1の俊足は伊達じゃないのね・・・
妖怪の山から一番遠いと思われる所で、すでに来ているという事は、すでに配り終えている可能性が高いわ。
雛は仕方なく、自宅へと戻る。
※ ※ ※
次の新聞が配られる日。
雛は、いつもより早起きしていた。
射命丸が新聞を置きに来る時間よりも早く起き、玄関の前で待ち伏せしていた。
そして、上空から天狗の羽の風切音が聞こえていた。
「来たわ!」
家の前に射命丸が降りてきて、まず新聞を新聞受けに入れる。
そして、小箱に入れる物を取り出す。
銀色に光るバックの中から取り出したのは・・・
あの「○ョワ」だった。
「この前クレームがなかったから・・・大丈夫だよね?」
そう自分に言い聞かせながら、小箱に入れようとした瞬間。
「待ちなさい!!」
勢いよく玄関が開くと、そこには怒り顔の雛が仁王立ちしている姿があった。
玄関からはすでにものすごい量の厄が漂っていた。
「あやややっ!」文は、驚いて尻餅をつく。
その文に雛は言い寄る。
「ちょっとこれは何!私の望んでいたものじゃないじゃない!!」
雛にしては珍しくすごい剣幕でまくし立てる。
「い・・・いや・・今在庫が無くって・・・」
怯えながら答える文。
「言い訳無用!無いなら無いで事前に調達するのが記者としての勤めでしょう!!」
何かすこし間違っているが、そんな事は今の雛には関係ない。
「で・・でも、こっちの方が単価が高いんですよ・・・」
文は、なんとか雛に納得してもらおうと言って見る。
「単価とか関係ないのよ!あの味!あの形!あれこそが私の求める厄○トなのよ!」
どんな理論なんだか・・・
「これが続くのなら、新聞は解約ね!」
その言葉を聞いて、文は思った。
「いや・・厄神様は、結構他の人にも新聞を勧めてくれている上客・・・これを逃したら・・・」
実際、河童のにとりや秋姉妹にも新聞を紹介してくれている実績がある。
これでは、まずい・・・と。
仕方ない! 文は覚悟した。
「次回までには必ず用意しますので・・・今回は勘弁してください!」
雛の前で文は土下座した。
「ま、まあ分かったわよ。次回までに必ず持ってきてくださる?」
文の土下座を見て、少しだけ冷静さを取り戻した雛は、テンションを下げて文に言った。
「は・・・はい・・・」
少し涙目の文・・・
そうして、なんとか雛から解放された文は、新聞配りを再開した。
・・・とても低いテンションで・・・・
※ ※ ※
文がなんとか新聞を配り終えたのは、いつもより少し遅い時間だった。
一件目からあんな事があったら、そりゃテンションも下がる。
落ち込んだまま、天狗の新聞集配所に戻る。
「はぁ・・・どうしよう・・・」
ガックリと肩を落とす。
それはそうと、在庫の確認をしないと!
集配長の所へ行って、ヤ○ルトの入荷状況を聞く。
「あ~、当分入ってこないねぇ~」
集配長の言葉に文の目の前が真っ暗になる。
しかし、そこに一筋の光が差した。
「けど、これなんて面白そうじゃないか?」
集配長が文にサンプルのパンフレットを見せた。
それを見た文は、目を輝かせた。
「これは・・・いけるかもしれない!!」
早速注文して、次の新聞配達時に間に合うように手配する。
「これなら、厄神様も納得してくれるに違いない!」
そのパンフレットを見た文は、そう確信していた。
※ ※ ※
そして、運命の新聞配達の日。
いつもより、ちょっとだけ重たい荷物を背負い、文は一件目・・・つまり雛の家へと向かっていた。
「今日は大丈夫・・大丈夫・・・」
そう自分に言い聞かせながら、雛の家へ到着する。
雛はまだ寝ている様で、気配はなかった。
ホッと一安心しながら、新聞を新聞受けに。
そして、「例の物」を銀色のバックに入れたまま玄関先においておく。
そして、手紙を書いておく。
「前回はすいませんでした。お口直しになるかは分かりませんが、これでご勘弁ください」と。
そうして、文は次の新聞配達先へと飛び立っていった。
※ ※ ※
それから少し経った頃、雛は目覚める。
まだ寝ぼけていた頭だったが、今日は新聞が来る日という事を思い出し、
急いで着替えて玄関へ向かう。
そして、急いで小箱を開ける。
・・・何よ?空じゃない!・・・
と思っていたら、その小箱の下に銀色のバックが置いてあり、そこに手紙が張ってあった。
雛は手紙を読む。
・・・
・・・・
・・・・・
「という事は、まだ代用品って訳ね・・・」
手紙で、そう感じた雛は少し気落ちした。
今日もヤ○ルトが飲めないなんて・・・
私の優雅な朝を返して!といわんばかりにこぶしを握り締める。
「ま、まあしょうがないわね・・・どれ・・・」
と、その銀色のバックを開けてみる。
その中身を見た雛は、その中身の神々しさに動きが止まった。
「こ・・・これは!!!」
口や手も振るえ、まるでそれを触ってはいけないという衝動に駆られる。
が、紛れも無く目の前にあるものは・・・!!
恐る恐るそれに手を伸ばす。
そして、まるで生まれたばかりの子犬を抱きかかえる様なやさしい手つきで、
それを持ち上げる。
その感触・・その質量!
雛は感動していた。
「これは・・・まさに私が捜し求めていた究極のもの!!」
思わず、それに頬擦りする。
「ああ・・幸せ・・・・」
それを大事に抱え、満足な笑みを浮かべて雛は家の中に入っていった。
・・・ジャンボ ヤ○ルト(1000ml入り)を抱えて・・・・
※ ※ ※
後日。
射命丸は、雛の家に新聞とジャンボヤ○ルトを配りに来ていた。
新聞を新聞受けに入れた瞬間、玄関が開いた。
そこには、すごくにこやかな笑顔の厄神様が立っていた。
口の周りには、なぜかうっすらとピンク色のひげがあったが・・・
「あら?おはようございます」
以前の様な剣幕は微塵も感じず、あの時の人とは絶対に思えない・・・そう文は感じた。
「あやや・・おはようございます・・・」
前の恐怖があるのか、まだ顔が引きつっている文。
「この前は取り乱してしまってごめんなさいね・・・」
素直に文に謝る雛。
そして、文から大事そうにジャンボヤ○ルトを受け取り、
申し訳なさそうに話を続ける。
「やっぱりね・・・申し訳ないけど、以前の小さい物に変更できないかしら?
だって、分かったのよ・・・
美味しい物は、少ししかないから美味しいのであって、
いくら美味しいからといって、たくさんあると、その価値が下がると思うの」
あまりの急な話にポカンとする文。
「そ・・・そんな・・・私の苦労は・・・一体・・・」
少し涙目になる文。
それを尻目に、「じゃあ、よろしくね~」とジャンボヤ○ルトを抱えて家に入っていった雛。
「な・・なんてわがままな・・・・」
雛の家の前で途方に暮れる文・・・・
「あ・・どうしよう・・・まだ当分入荷しないんだっけ・・・・」
その後も文の厄災は続く・・・・
飲んでみたいと思ったことはありますが。
っていうか、もう完全に新聞二の次になってますよね。気づけ文。
多すぎるのも嫌だけど、少ないのも嫌。
難しいところです
あかんよ神様wwww
>容器を移し替・・・なんでもない
>移し替(ryはいかん。それは雪○フラグだ
我が家のすぐ横に、その工場があったり・・・w
>ピルクルにすれば量はジャンボの半分で丁度いいかも…
実は、○ョワの次にそのネタで、ジャンボへつなげようとしたのは、内緒の話w。
>文は酪農家に転職して、収益で新聞を出すと良いと思うんだ。
>もう完全に新聞二の次になってますよね。
ひそかに、ヤ○ルトレディーのコスの文を書いてくれる絵師さんに期待・・w
>中に一票
>私としては中くらいのが欲しい
何事も、ほどほどが一番ですね。
>厄取りがヤク○ト取りになっとるwwwww
いつもありがとうございます。
この作品の裏テーマをモロに言われましたw。