『おくりもの』から続いてたりします
毛皮を送られてから数日が過ぎた。
店に来る面々から賛否両論を頂戴しつつ霖之助は1日を過ごしていた。
「毛皮1枚でどれだけ変わるのかと思ったが――なるほど、大したものだ」
そういうと、純白の世界には目もくれず読書に没頭する。
外から聞こえてくるのは、時折枝から落ちたであろう雪の音。
1頁1頁を、静かにめくる。時折ひょっこりと現れる来訪者も含めて、変わらない時間。
「だいぶ読み進んだな……ここらで一息入れるか」
霖之助は立ち上がり、茶を淹れて一服する。
冬場にはいとおしく思う鼻をくすぐる青い香りが、心地よかった。
そこにすっと差し込む冬の風に振り返る霖之助。その視界には、長く伸びた黒い髪。
お供と思しき存在が2人、その後ろに立っていた。
「いらっしゃいませ。ここは香霖堂という古道具屋で、僕は店主の森近霖之助といいます」
「ふーん、どんな場所でどんな奴かと思っていたけれど……意外ね?」
何のことやらさっぱりわからなかったが、霖之助は当たり障りの無い対応をとる。
どこぞの吸血鬼と従者のような感じなのだろうとは察し、客である可能性が高いと踏んだのだ。
「何のことか存じませんが、お探しのものがありましたらどうぞお気軽に。あれば探させていただきますよ」
「そうねぇ。じゃあ『燕の子安貝』なんかはあるかしら」
「単なる子安貝ならあるかもしれませんが、そんな伝説の品は扱っていませんね」
何だ冷やかしかと思わんでもない霖之助である。
気づけば本当に冷えてきたので後ろの2人も含めて入店を促すと、そのうち1人の頭が気になった。
「ウサギ?」
それにしては、へにょへにょした変な耳だと首をかしげる。すると、他の2人が
「イナバよ」
「優曇華院ですね」
などと口々にいう。霖之助はしばらく考えた後、まあそういうものだろうと自分を納得させていた。
そんな考えなどどうでもいいのか、何ともいえない表情をしたウサギもどきの少女を除く2人が店を眺めている。
「あら、暖房?珍しいと思わない?永琳」
「珍しいですね。特にこういう形式の品は……」
客が来ている以上は放っておいて本を読むわけにも行かないので、先ほど口にした子安貝を探してみる。
海産物やそれに類すると判断した小さい道具をしまう引き出しを開けると、それはすぐに見つかった。
子安貝だけでなく珍しかったり綺麗だったりする貝や、貝合わせというものに使われた貝、
他には白かったり黒かったりする真珠や、磨かれて丸くなった元ガラス片なんかも入っている。
「ねえ、店主この暖房も売り物?」
子安貝を手にとって振り返ると、興味深そうにしていた少女はストーブを指差して聞いてきた。
「それは非売品です」
「あら残念。じゃあ、またくるわ」
そういって、お供を連れて少女は出入り口に立った。再び寒い風が店の中に吹き込んでくる。
結局、永琳と呼ばれた従者のほうが使い道も分からない特殊な道具を買っていった。
何でも彼女こそが里で有名になりつつある医者で、道具は外の医療道具だそうだ。
「あら、永琳が買い物をしたのね」
「他に買う人もいないでしょうから」
「ううー。さむいー」
去り行く黒髪の少女に、霖之助は子安貝をあげることにした。
得体の知れない、というか使い道の思い浮かばない道具への代金が支払われたから、上機嫌なのだ。
もちろん打算がまったく無いわけではなかったが。
「お探しの品は見つかりませんでしたが、せっかくですのでこれをどうぞ」
「え?」
「燕の子安貝とはいきませんが、小さくても子安貝には違いない品です。
気をつけてお帰りください。またのご来店を、お待ちしております」
従者は上客だ、と霖之助は思っていた。それだからこその、おまけである。
別段深い意図も無く渡したその貝に少女は一瞬呆然として、それから満足げな表情を浮かべた。
「回答に答えを持って来たのは貴方が初めてね。よろしい。部分点くらいはあげましょう」
「何だって?」
「また来てあげるって言ってるの」
それから後、輝夜と妹紅の殺しあう場所が少し変わった。
近辺に店を構える道具屋の主人は、『近頃、店の周囲で異変が起きている』とコメントしており
異変の解決を近日中に博霊の巫女に依頼するつもりである、と天狗の新聞は報じている。
ずばり、店主の名前です。
>致命的なミスを…
わざわざありがとうございます!
IMEと私が悪いのです!ご容赦!
急いで訂正させていただきました!
>これは三角関係ですか
そうかもしれませんが、あんまり萌える書き方ができませんスミマセン
>部分点を集めて100点になったら輝夜をお嫁にできるんですねw
どうでしょうかねフフフ