<>
(布団をたたむ音、衣擦れの音、料理をする音、いただきますの声と爆音)
「来たぜ」
「帰れ」
「ご飯は軽めによそってくれると嬉しいぜ」
「やらん」
「霊夢の煮物は少し塩が足りないぜ。今度教えてやるよ」
「おぅよく聞けこのモノトーンウスラトンカチ。今すぐ口を永久封印されて鼻の穴から味噌汁流し込んで必須カロリィ摂取する生活を送りたくなけりゃ境内に開けた大穴塞いで詫びの一つも入れやがれ」
「す、すいませんでした霊夢さん」
「ってけーねがいってた」
「いや、そういうフォローを入れられてもかえって困る」
「お淑やかで清純で通ってる博麗神社の巫女さんは、そんなはしたない言葉遣いはしないと強硬に主張する向きもあるかと思って」
「オシトヤカ? お淑やかという言葉に対する認識が、私と霊夢の間で大きな隔たりがあるようだぜ。すんませんそのドドメ色の御札は仕舞って下さい。お口専用とか書いてあって禍々しすぎる」
「よく効くわよ。封じるも解くも私の気持ち次第。死人に口なし、口が無ければ死んだも同然」
「霊夢に生殺与奪握られるなんて想像するだけで殺してと懇願しちゃいそうだぜ。穴は塞いでおくから口は塞がないでくれ」
「あー。別にいいわよ。萃香が来たら適当に萃めさせて塞ぐから」
「じゃあご飯」
「はいはい」
<>
<>
(料理をする音、いただきますの声、爆音と炸裂音、断末魔)
「霊夢…着地したと同時に夢想妙珠が発動したんだが」
「パチュリー謹製、対魔理沙特化設置式スペルよ。開発協力した代わりにウチにも1つ設置してもらったの」
「ああああああ。考古学がやりづらくなったぜ…」
「どーでもいいから今度は自分で穴を塞ぎなさいね」
「5個開いた穴のうち4個は夢想妙珠のせい…」
「何か・言った・かしら」
「了解、ヤヴォール、Sir,Yes,Sir. 後生だから懐から取り出したお尻専用と書かれた御札を元の位置にお納め下さい」
「効くのに」
「聞きたくないぜ」
「ところでアンタ、服の白い部分はどこに落としてきたの。真っ黒じゃない」
「誰かさんが仕掛けたスペルのせいだよ!」
「あーあ。誰かさんのせいで夕食冷めちゃったわ」
「この傍若無人バイオレンス冷血巫女…そんなだから信仰も賽銭も山の上に持ってかれるんだいやああああお尻はらめえええええええ」
<>
<>
(障子がかすかに揺れる音、僅かな寝息、境内に響く靴の音)
「れーいむー…はおやすみだな。フフン。歩いて入れば設置式スペルが発動しないとは盲点だったぜ」
「すー…すー…」
「よーく寝てるな…これは考古学研究の大チャンス到来だぜ。とりあえず御神体を暴きに行こう」
(遠のく足音、扉がきしむ音、スペル発動の音)
「わああ! こんな所にまで設置してある!? ちょっ、前専用って何! 前って何処! ぎゃあああああああああああああああ」
「すぴー…すぴー…」
<>
<>
(ページをめくる音、風呂から聞こえてくる鼻歌、遠くから夜雀の声)
「上がったわよ。さっさと寝ましょう」
「私は考えた!」
「何よ藪から棒に」
「霊夢に勝つ方法だ!」
「そう。おやすみ魔理沙」
「ああ!? 放置で安眠モード! そう言わないで聞いてくださいよ霊夢さぁん」
「気色悪いわね…聞くだけよ」
「弾幕はパワー! 私のマスタースパークの威力増強の手段を一所懸命に考えた!」
「へえ」
「恋符のパワーの源は文字通り恋のパワー。恋に恋する力をパワーソースにしているんだが」
「そうですか」
「やはり力として本物の恋には適わない。そこでこの恋に恋する想いを本物の恋に変えてだな」
「それは凄いですね」
「お前は咲夜か。お願いだから真面目に聞いてくれ」
「聞いてる聞いてる。鯉が故意に恋してコイコイを」
「こいこい五月蝿いな。コイが居ないと何も出来ないのかよ」
「人の入眠妨げながらいい度胸してるじゃないこのファッキンブルシット」
「だから霊夢がほっぺにチュッとしてくれると私の中で恋が始まってやめてそのお祓い棒釘が打ってあるじゃないか血が出る血が出るそんなに振り被らないでやめてとめてやめて」
(鈍い音、重いものが布団に倒れこむ音、布団をかけてやる音、おやすみのキスの音)
<>
お尻と前専用が激しく気になります・・・
霊夢、この照れやさんめ
きっと魔理沙もその辺は理解しているんでしょうね。