氷雨の降りしきる中、血に濡れた刀を持つ少女が一人、地面に蹲っている…
「何故…なぜっ!このような事に…」
少女の前には力なく横たわっている彼女の主が血だまりの中に、いた。
その瞳は強く閉ざされ、もう開く事の無いように見える…
血塗られた刀を投げ捨て体を引きずるようにして主の元に行く少女。
体を引き起こしてみるも、既に主の体は冷たくなっていた…
「お願いですっお願いですからっ!目を覚ましてください、幽々子様あああぁぁぁぁぁっっ!!」
…………………
……………
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…
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場所は白玉楼。あいにくの天気の中、西行寺 幽々子は実に暇そうにゴロゴロしていた。
「ねえぇ~、妖夢ぅ~。私暇なんだけどぉ~…」
「大人しくしてて下さい、幽々子様っ!今お掃除中なんですから。」
「ええぇ~…」
従者である魂魄 妖夢にまであしらわれて、拗ねる幽々子。
あまりに暇なので障子にぶすぶすと穴を開けてみる。
「もうっ!幽々子様っ!!」
追い出されてしまった。
「それにしても暇ねえ……そうだ!」
掃除の終わった頃を見計らって妖夢を外に呼び出す幽々子。
「新しい遊びってなんですかぁ?寒いですしお部屋に戻りましょうよ、幽々子様。
ううっさぶっ!雨まで降ってきましたよ。」
「そうそう、これでいいの。妖夢、貴女の刀を私に突き刺しなさい。」
主の突然で無茶な要求に妖夢も面食らっているようだ。
「何言ってるんですか…そんなの無理に決まってるじゃないですか。」
「無理じゃないわ。これは命令よ。私をぶっすぅ~っと刺しなさい。それはもう、親の敵のように!!」
「でもなんd「何でもいいから早くなさい!」」
こうなった時の幽々子はもう何を言っても無駄だと知っている妖夢は深いため息を吐く。
「どうなっても知りませんよ?本当に行きますよ!?」
「どうぞどうぞ。」
どうせ、ひらりと避けて自分を落とし穴にでも入れる心算だと思い込んでいた妖夢は特に深く考えずに
刀を主に突き向けた…
……
……………
……………………
「ううっどうか、目を開けてください!じゃないとわたしっ私……!!」
「はいは~い。」
「うわあひゃっ!?」
突然何事も無かったかのようにむくりと起き上がる幽々子。
「ゆっ幽々子様!!??お怪我は…」
「見ての通り元気よん。」
「でも!血がこんなに…」
相変わらず幽々子の周りにはおびただしい量の血だまりがある。
「いやいや妖夢、霊体は血を流さないわよ。」
「体もこんなに冷たくなって…」
「だって死んでるし。」
未だ何が起こっているのか理解できずに目を白黒させる妖夢。
その様子をしばらく楽しんでいた幽々子はようやく説明を始める。
「いやぁ~ね、こういうシリアスなしちゅえ~しょんっていうのを楽しんでみたかったのよ。」
「…し、しちゅ、えっ何?」
「なれ~た~もいい感じだったでしょ?」
「…ナレーター……って…うえぇぇ!?最初のアレ幽々子様がやってたんですかぁ?道理で文の感じが違う
と思ったら…。」
「憧れてたのよ~。思いの行き違いで主に刃を突き立ててしまった従者って感じ?」
「って感じ?じゃありませんよ!どんなに心配した事か…大体最初の一行目から難しい漢字出てくるし。」
「ああ…『うずくまる』ね。ちゃんと勉強なさい、妖夢。」
「はいはい、猛烈に疲れました。もう部屋に戻りますよ。」
「そうね、じゃあ次は…」
「もう二度とやりません!!」
少女の怒りと悲しみの宿った拳は主のあg「勝手に話を創らないで下さい!」