あらすじ
おせちもいいけど
妖怪の山におわす山坂と湖の権化、八坂神奈子様はのたまった。
「そういうわけで、麓の妖怪や人間から信仰を集めなければならないのよ」
「万事お任せください、神奈子様」
「何か策があるのかえ、早苗や?」
祀られる風の人間にして守矢神社の巫女、東風谷早苗は自信をもって頷いた。
うっすらと浮ぶ笑みは祭神に生き写しの、いっそ不敵とも言えるものだった。
「必ずや麓の人妖の心を掴んでみせます」
その数週間後、幻想郷にKoCo壱爆誕。
老若男女、人妖問わずの大人気となった。
「よう霊夢、KoCo壱いこうぜー!」
「魔理沙のおごりならいいわよ」
――――――
※文々。新聞「アンケート100人に聞きました」より抜粋※
・霧雨魔理沙氏
「ああ、KoCo壱だろ? 毎日食べに行ってるぜ。
いつもすごい行列なんだけどな。でも並ぶ価値はあると思うぜ。
新しい味の筈なのに、なんでか口に運ぶとなつかしい感じがするんだよな」
・十六夜咲夜氏
「忙しいので滅多に食べにいけないのですけれど、機会があれば足を運んでいますわ。
洋風の食べ物なので、うちでも大人気で、あれを買い忘れるとお嬢様が一日不機嫌になるほどなの」
・魂魄妖夢氏
「自分で好きな辛さを選べるところが人気の秘密ではないでしょうか?
私は辛口が好きなのですが、幽々子様は甘口がお好みのようです。
少し気にしておられるようで、少し気恥ずかしそうに召し上がるのがその、お可愛らしいです……」
・博麗霊夢氏
「最初はねー、かんかんに怒ったわ。だって、信仰を集めるのに食べ物を使うのよ?
これはもう新たな異変、こらしめてやらないとって息巻いてね、怒鳴り込んで行ったの。
でもね、そんな怒気も露な私に、あの青巫女は一皿の料理を差し出してこう言ったの。
『まずは食べてみてください』って。すごくおいしそうな匂いがしたから、思わず一口。
そこでもうダメだったわね。今では完全にあの味の虜よ。これにはもう『まいった』を言うしかないわ。
えーっと、確か料理の名前は「神霊来襲(カレーライス)」だったかしら? え、違うの? まあなんでもいいじゃない」
――――――
※文々。新聞「KoCo壱オーナー独占インタビュー」より抜粋※
「きっかけは、諏訪子様がお正月に『おせち飽きた~』って駄々をこねられたことだったんです。
仕方がないので、おせちの代わりにカレーを作ってさしあげたとき、ピンと来ました。
カレーは外の世界では一般的な食べ物でしたけど、幻想郷では見かけなかったんです。
でも外の世界で大人気なら、きっと幻想郷でも大人気になると確信しました。
人も妖怪も生活の基本は食事じゃないですか? だから、まず食卓から信仰を募ろうと思ってカレー屋さんを。
詳しくレシピを知っていたのと、かなり自分でも作っていたのがこんなところで役に立つなんて思いませんでした」
――まったく新しい味なのに、なぜかなつかしいのですが、それはなぜでしょう?
「ふふ。カレーライスって、すごく洋風な食べ物に見えますけど、実は日本食なんですよ?
外国から入ってきたものが日本で変化した食べ物なんです。ほら、日本食でしょ?
外の世界ではもう随分と昔に生まれた食べ物だからかしら。だから、皆なつかしく感じるんでしょうね」
――レシピは簡単なんですが、カレー粉が作れずに皆さんお困りのようですね。
「そうですね。私も最初、そこにぶつかりました。この料理の一番の肝で、難関ですから。
でも幸い、いくつかのスパイスは幻想郷にある素材でしたし。
残りは、神奈子様と諏訪子様が揃えてくださいました。
神奈子様と諏訪子様は農耕も司ってらっしゃいますからね。このカレーはお二柱の神徳の賜物。
だからカレーを食べてくれるお客さんが増えると、自然とお二柱への信仰も集まっていくというわけです」
――カレー粉の売れ行きも好調のようですね。
「はい。カレー粉さえあれば、どの家庭でも作れる料理ですから。
それぞれの家庭の味が出て受け継がれていくのも、素晴らしい営みだと思います。
あ、でも、うちのカレーは少し市販のカレー粉とはブレンドが違いますから、一味違いますよ」
――美食家の西行寺さんは「奇跡の配合だわ」と仰ってましたね。
「私の能力は『奇跡を起こす程度の能力』ですから」
――最後に、店の名前の由来をお聞かせ願えますか?
「Kotiya Cooking 壱番屋、略してKoCo壱です」
――なにか由来でも?
「私のいた外の世界で、大人気のカレー屋さんにちなんでみました。
『カレーならココ壱番や!』っていう意味なんだそうですよ。
ちなみに、壱番屋とありますけど、弐番屋の予定はないんです、ごめんなさい。
その大人気のカレー屋さんにちなんだだけなので……壱番屋だけでも手一杯なんです」
――カレーを作る際に一番必要なものはなんでしょう?
「カレーに1番必要な調味料は“愛”です。
皆さんもおいしく食べてもらいたい人への“愛”を込めて作ってください。
そうすればきっと、とびっきりおいしい貴方だけのカレーが出来上がりますよ」
――最後に一言、お願いします。
「これからもKoCo壱と守矢神社をお願いします、皆さん」
―――――
最近富にカレー臭ただよう山坂と湖の権化、八坂神奈子様はのたまった。
「店の名前に私の名前と諏訪子の名前が入ってないじゃないの」
腕組みをしながらスプーンを咥え、むむむと唸る神奈子様の前には、大好きな早苗のカレーがあったそうな。
おせちもいいけど
妖怪の山におわす山坂と湖の権化、八坂神奈子様はのたまった。
「そういうわけで、麓の妖怪や人間から信仰を集めなければならないのよ」
「万事お任せください、神奈子様」
「何か策があるのかえ、早苗や?」
祀られる風の人間にして守矢神社の巫女、東風谷早苗は自信をもって頷いた。
うっすらと浮ぶ笑みは祭神に生き写しの、いっそ不敵とも言えるものだった。
「必ずや麓の人妖の心を掴んでみせます」
その数週間後、幻想郷にKoCo壱爆誕。
老若男女、人妖問わずの大人気となった。
「よう霊夢、KoCo壱いこうぜー!」
「魔理沙のおごりならいいわよ」
――――――
※文々。新聞「アンケート100人に聞きました」より抜粋※
・霧雨魔理沙氏
「ああ、KoCo壱だろ? 毎日食べに行ってるぜ。
いつもすごい行列なんだけどな。でも並ぶ価値はあると思うぜ。
新しい味の筈なのに、なんでか口に運ぶとなつかしい感じがするんだよな」
・十六夜咲夜氏
「忙しいので滅多に食べにいけないのですけれど、機会があれば足を運んでいますわ。
洋風の食べ物なので、うちでも大人気で、あれを買い忘れるとお嬢様が一日不機嫌になるほどなの」
・魂魄妖夢氏
「自分で好きな辛さを選べるところが人気の秘密ではないでしょうか?
私は辛口が好きなのですが、幽々子様は甘口がお好みのようです。
少し気にしておられるようで、少し気恥ずかしそうに召し上がるのがその、お可愛らしいです……」
・博麗霊夢氏
「最初はねー、かんかんに怒ったわ。だって、信仰を集めるのに食べ物を使うのよ?
これはもう新たな異変、こらしめてやらないとって息巻いてね、怒鳴り込んで行ったの。
でもね、そんな怒気も露な私に、あの青巫女は一皿の料理を差し出してこう言ったの。
『まずは食べてみてください』って。すごくおいしそうな匂いがしたから、思わず一口。
そこでもうダメだったわね。今では完全にあの味の虜よ。これにはもう『まいった』を言うしかないわ。
えーっと、確か料理の名前は「神霊来襲(カレーライス)」だったかしら? え、違うの? まあなんでもいいじゃない」
――――――
※文々。新聞「KoCo壱オーナー独占インタビュー」より抜粋※
「きっかけは、諏訪子様がお正月に『おせち飽きた~』って駄々をこねられたことだったんです。
仕方がないので、おせちの代わりにカレーを作ってさしあげたとき、ピンと来ました。
カレーは外の世界では一般的な食べ物でしたけど、幻想郷では見かけなかったんです。
でも外の世界で大人気なら、きっと幻想郷でも大人気になると確信しました。
人も妖怪も生活の基本は食事じゃないですか? だから、まず食卓から信仰を募ろうと思ってカレー屋さんを。
詳しくレシピを知っていたのと、かなり自分でも作っていたのがこんなところで役に立つなんて思いませんでした」
――まったく新しい味なのに、なぜかなつかしいのですが、それはなぜでしょう?
「ふふ。カレーライスって、すごく洋風な食べ物に見えますけど、実は日本食なんですよ?
外国から入ってきたものが日本で変化した食べ物なんです。ほら、日本食でしょ?
外の世界ではもう随分と昔に生まれた食べ物だからかしら。だから、皆なつかしく感じるんでしょうね」
――レシピは簡単なんですが、カレー粉が作れずに皆さんお困りのようですね。
「そうですね。私も最初、そこにぶつかりました。この料理の一番の肝で、難関ですから。
でも幸い、いくつかのスパイスは幻想郷にある素材でしたし。
残りは、神奈子様と諏訪子様が揃えてくださいました。
神奈子様と諏訪子様は農耕も司ってらっしゃいますからね。このカレーはお二柱の神徳の賜物。
だからカレーを食べてくれるお客さんが増えると、自然とお二柱への信仰も集まっていくというわけです」
――カレー粉の売れ行きも好調のようですね。
「はい。カレー粉さえあれば、どの家庭でも作れる料理ですから。
それぞれの家庭の味が出て受け継がれていくのも、素晴らしい営みだと思います。
あ、でも、うちのカレーは少し市販のカレー粉とはブレンドが違いますから、一味違いますよ」
――美食家の西行寺さんは「奇跡の配合だわ」と仰ってましたね。
「私の能力は『奇跡を起こす程度の能力』ですから」
――最後に、店の名前の由来をお聞かせ願えますか?
「Kotiya Cooking 壱番屋、略してKoCo壱です」
――なにか由来でも?
「私のいた外の世界で、大人気のカレー屋さんにちなんでみました。
『カレーならココ壱番や!』っていう意味なんだそうですよ。
ちなみに、壱番屋とありますけど、弐番屋の予定はないんです、ごめんなさい。
その大人気のカレー屋さんにちなんだだけなので……壱番屋だけでも手一杯なんです」
――カレーを作る際に一番必要なものはなんでしょう?
「カレーに1番必要な調味料は“愛”です。
皆さんもおいしく食べてもらいたい人への“愛”を込めて作ってください。
そうすればきっと、とびっきりおいしい貴方だけのカレーが出来上がりますよ」
――最後に一言、お願いします。
「これからもKoCo壱と守矢神社をお願いします、皆さん」
―――――
最近富にカレー臭ただよう山坂と湖の権化、八坂神奈子様はのたまった。
「店の名前に私の名前と諏訪子の名前が入ってないじゃないの」
腕組みをしながらスプーンを咥え、むむむと唸る神奈子様の前には、大好きな早苗のカレーがあったそうな。
カレー食いに行ってきます!
当て字上手いなw
本編読むまで紫話だと思ってた俺も、スキマに落とされてくるよ!よ!
>神霊来襲(カレーライス)
ここまで見事な当て字は近年稀に見るでしょうwww
タイトルを見て少女臭漂う人の話かと思いましたが・・これはwwww
カレーが食べたくなってきた。
それにしてもさらりと魔理沙におごらせようとする霊夢がw
ウチのは甘くて、辛いぜ。
・・・むむむ、『四六死苦-よろしく』なんかより凄くインパクトがあったのは何故だろう?
きっとその店、働く天狗や河童達の朝と昼を応援してんでしょうね
なぜか深夜の通販番組を思い出した
身近な食材を上手く表現して話が盛り上がってる。
いやいや、美味しく頂きました。
前回だけでなく今回も表してますね。
ちなみにカレーはインドがイギリスから伝わり、インドでは無かったビーフはイギリスオリジナルとか
早苗さんらが来なければ、カレーは当分幻想入りしなかったろうな
しかし霊夢締り屋w
こ れ は 流 行 る
早苗能力何に使ってるんだww
うわ、カレー食いたくなってきた。ちょっと今から行って来る。
KoCo壱爆誕で思わず笑いました。神霊来襲の威力は当て字通りですし。
でも神霊来襲は読めなかったよ! カレー食いてぇ!
豊作豊作
なんと!じょにーずさんは神霊廟を予測していたのか!