幻想郷にも年越しがある
紅い屋敷では、屋敷の主とその妹が浮かれていたり
その従事者が、神社に持っていく料理を準備していたり
図書館長と司書が、気まぐれにカルタ取りの準備していたり
門番が、こっそりとアルバイトして手に入れたお金を
お年玉袋に入れて明日に備えたりしていた
冥界では、冥界の姫と冥界の庭師が、椀子蕎麦よろしく
大量の蕎麦を庭師が大量にゆでると、それを化け物みたいな速さで
平らげていく姿が見られた、そして虹川三姉妹は年末の演奏に向けて
早めに眠っていた
マヨヒガでは、この時期冬眠している主の代わりに
その式と式の式が、一緒におせちを造り
一息ついて、炬燵の中にもぐりこんでいた
永遠邸では、その姫が年越しカウントダウンをするために
従事者である薬師とその弟子、そして腹黒ウサギと一緒に
大量の因幡達と、その日に来ていた蓬莱人と里の守護者を
巻き添えに『もこてる新年歌合戦』を繰り広げていた
三途の河原では、働き詰めの閻魔様の疲れを癒そうと
サボリ魔である死神が蕎麦を作っていたり、日頃の疲れが出たのか
炬燵の上で閻魔が涎を垂らして眠っていたりしていた
今年、幻想郷にやってきた妖怪の山の神社では
新年を迎えるに当たって、山の妖怪達と一緒に大宴会をしていた
……あと片付けに泣くのは何時も巫女である
博麗神社では、華麗な巫女さんと白黒の魔法使いと七色の人形遣いは
一緒に鍋をつつきながら、年越しを迎えようとしていた
湖の(⑨)妖精や、その保護者である大きな妖精
そして冬の忘れ物、宵闇の大食い少女や、酒飲みの鬼
等は、夜雀のお店でわいわいやっていた
そして、香霖堂では……
森近霖乃助が準備を整えて待っていた
「……こんなもんだろう…」
そして、その顔は普段お店に来ている、魔理沙や霊夢などには
けして見せない真剣な物だった
「……もうそろそろかな?」
香霖がそう呟くと部屋の中の空気が変わった
「ちょいと失礼するよ?」
何者かが香霖の後ろから声をかけてきた
「ああ、今年は君が一番乗りかい?」
香霖が後ろを振り返らずにそう答えた
「一年ぶり…って所かい?店主」
「ああ、そうだな……魅魔…」
そこに居たのは、かつて博麗神社に居た祟り神
魅魔の姿であった
「……ほい、土産だよ」
魅魔が何かを香霖のところに放り投げた
それを香霖が受け取ると
「ふむ……これは高級品だね…」
「ああ……こんなときだからね、せめてこの位は用意しないと」
魅魔が持ってきたお酒を、香霖がテーブルの傍に置く
「もうそろそろかね?」
魅魔がそう言うと同時に、再び部屋の空気が変わる
「神様と聞い「「言ってない!」」…最後まで言わせてよ」
魅魔と香霖が同時に突っ込んだ相手は
魔界神こと、神綺であった
「久しぶりだね……神綺…」
「ええ、一年ぶりかしら…魅魔…」
神綺と魅魔が軽く挨拶をかわす
そして、今度は神綺が香霖の方を向いて
「一年ぶりですね、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
神綺と香霖が挨拶をかわす
「ところで、幽香はどうしたんだい?」
魅魔の問いかけに、香霖が答える
「今年は無理かも知れないだそうな……」
その答えに神綺が驚く
「えっ?何時もこの時を楽しみにしてたのに」
毎年集まるこの時間は、なにものにも変える事が出来ない
時間のはずなのだ、それを取りやめる理由とは……
「……本人曰く可愛くて、カッコイイ女の子を見つけたらしい」
「「あ~……」」
それならば仕方がない……
「……弱ったね~」
「確かに…」
「変則でやるしかないでしょうか…」
三人が困っていると
(ガタン!)
「…皆…居る?」
何者かが香霖堂にやってきた
「「「幽香?」」」
「ええ、お待たせ…」
無理と思っている人物が現れたのだ
三人が驚くと
「なに?まだ始まってないの?」
幽香が何時ものような挑発的なしぐさで三人を見据える
それを見て、魅魔と神綺が微笑む
「やっぱりこうでなくちゃいけないね…」
「ええ、これで無理して魔界から逃げてきた甲斐があるってものね」
そんな中香霖が、手を上げて呟く
「幽香…君は確か今年は……」
香霖の言葉をさえぎるように幽香が呟く
「あら?何の事かしら」
これ以上の話は余計だと言わんばかりに打ち切る
こうなれば、香霖も何も言えない
「まあ、いいか……」
こうして、四人そろうのを見届けてから
香霖が準備した物の所に四人を移動させると
こう宣言した
「…それでは、毎年恒例年越し麻雀大会を始めよう」
「「「おー!」」」
この香霖堂主宰の麻雀大会、実は東方紅魔郷が出来る前から行われていた
きっかけは、この香霖堂に魅魔が挨拶に来たこと
己の可愛い弟子が、新しい幻想郷に出れる事がわかった時は
涙を流してこの祟り神が喜んだ、だが自分はこのまま消える運命
いかに、己の弟子が強くなろうともまだまだ子供
もしかしたら、何か都合の悪い事が起こるかもしれない
その時、魅魔は弟子から聞いたこの男の話を思い出した
そして挨拶に来てから……
「まさか、こんなに集まるとは思ってもいなかったねぇ…」
魅魔がそう呟きながら、己の手牌を見据える
「……まったく、ひどい牌だね…」
魅魔がそういって牌をきる
初めて香霖堂にやってきた魅魔
この香霖堂の店主が如何なる人物かを見定めるために
「ちょっと失礼するよ?」
「いらっしゃいませ…」
お店の中で、椅子に座りながら本を読んでいる店主
(ふむ……まあ、見た目は悪くないみたいだね…)
魅魔がそう思うと、次にこう問いかけた
「すまないけど、このお店の中で私に合う物を探して欲しい」
いわば一つの謎かけだった
答えはない…いや、色々ありすぎる
(さて?どうかえすかね?)
その答えに対して、香霖は
「ふむ…残念だけどそれはないね…」
そう答える
「…なぜ?」
魅魔の謎かけに対して、香霖が答えた言葉
それは『無い』であった
(この男…商売する気があるのかね?)
もし、別のお店ならお店にある高い物を選ぶであろう
また、あるいは女性に受ける物を選ぶであろう
だが、香霖の答えは明らかに常識を超えていた
そして、香霖が魅魔に対して
「……実は君と同じような事を前に言われたばかりでね」
そう言ってから、何かを魅魔に見せる
「……これを作るのに随分時間がかかったんだ…
同じような物を作るのは多分無理だろう」
「……これは…」
魅魔には、同じような事を答えた人物が用意に想像できた
そして、目の前の男は魅魔の問いかけに対して
既に用意をしていたのだ
「この、道具は貴方の弟子が使うための物…そうでしょう?」
「………」
魅魔が黙り込む
「この道具は、今ようやくできたばかりだ…」
香霖が魅魔を見据えると
「貴方が名前をつけると良い」
(……そうか…この男なら…魔理沙を任せれる)
思わず魅魔の目に涙があふれそうになる
それを、香霖に気取られないようにすると
「そうだね……その道具の名前は…」
そして、話は今の戻る
「リーチね!」
対面である幽香が三順目でリーチをかける
「早いな」
香霖がそれを見て安牌であるイーピンを捨てると
「残念だけど当たりだよ…」
魅魔が己の手牌を倒す
「…酷い手配じゃ無かったのかい?」
香霖が苦笑しながらそう突っ込む
手配は
字牌が一枚ずつ、そして1と9のピンズ、ソウズ、マンズが全て
「うん?見ての通り屑ばかり集まっているじゃないか」
けして同じ物が一つとしてない、その名も
「ロン!国士無双13面待ち」
(八卦炉の名前は私が付けたんだよ?)
一回戦は魅魔の圧勝であった
「それじゃあ、次に行きますね?」
神綺がそう答えてから、二回戦目が始まる
そうして牌をきりはじめると、ふと
初めてこの香霖堂にやってきた事を思い出した
(そういえば、私が香霖さんに会ったのは…)
神綺が疲れていた時だった
魔界での激務が原因であったが、何より辛かったのが
「……アリスちゃん…」
己が一番可愛がっていた娘、アリスの事だった
この魔界に対して乗り込んできた者達に対して
サラ、ルイズ、マイとユキ、夢子…
そして魔界神である神綺までもが敗れてしまった
たったの四人に対して、魔界神がボロボロにされた事で
魔界全体がの秩序が崩れようとしていた
「魔界神である神綺が負けたらもう後が無い」
そう思う思う者が達が魔界から次々と出て行こうとしていた
その時、アリスが魔界に乗り込んだ四人に対して
一人で戦いを挑んだ……禁忌とされていた魔道書を携えて
そのおかげで、アリスは敗れたりはしたものの
魔界に来ていた四人は幻想郷へと引き上げて行った
そのために、魔界の秩序は保たれたのだ
だが、禁断の魔道書を使った事に対してのアリスの罪は重かった
本来ならば、問答無用で処刑されるはずだったが
(誰が…己の可愛い娘を殺す事が出来ようか…)
神綺ができる事の全てを考え抜いて、魔界の住人達に
納得できて、しかもアリスを生きさせる方法を考えた
それが……
「……禁忌の魔道書を使った罪は許せないが、魔界を脅かしていた四人を
追い払うためと、まだ幼いため殺す事は無い、だが代わりに魔界を追放する」
と言う物だった
アリスは、その言葉に驚いた
「神綺さま?私は死刑では…」
「……さあ、早く行きなさい…」
魔界の門の前で誰も居ない事確認した上で
アリスを抱きしめると
「ごめんね……お母さん…もっと強かったら…」
それだけ言うのが精一杯だった
(あの頃は、本当に辛かったな~…)
神綺が牌をきる
既に半荘が終わりかけていたが
点数はほとんど変わらない
辛うじて、幽香が3千点ほどの差でトップだった
「はあ……アリスちゃん…」
神綺が疲れていながらも雑務をこなしていたのは
少しでも考えるのが怖かったのだ
しかし、雑務も黙々とこなしていれば
いずれは無くなる
そんな時
「やあ?暇してるかい」
「貴方は!」
アリスのよって幻想郷に戻っていた魅魔の姿であった
「ああ、攻撃の意志は無いから落ち着いてくれ」
「…ええ、私もそんなつもりは無いわ…」
今日の仕事も全て終えてしまった
(……この人と話すのも、悪くないかな…)
「そうかい、では…」
魅魔が笑うと、神綺の手を掴むそして…
「丁度いいから幻想郷に行こうか」
「えっ!?ちょっと…」
待った……という暇も無く
あっという間に、魔法によって幻想郷に連れてこられていた
「ちょっと待ってください!私は幻想郷には…」
「ん?そんな時には私に連れてこられたといえばいいのさ…ほらついた」
魅魔は神綺の考えを完全に無視して、とある所に連れてきていた
「やあ、店主…あいからわず人がいない店だねぇ…」
「……そう思うのなら何か買って行って欲しいのだがね」
魅魔が誰かと話していた
(誰?……でも、なぜか親近感がわく人だけど)
「…ところで、後ろの方は?」
お店の店主が神綺に気がついたようだった
「…始めまして、魔界神の神綺というものです」
無難に挨拶をすると、香霖が少しだけ考えて
「…そうか、貴方がアリスの…」
「!?」
香霖の言葉を聞いて神綺が全力で詰めよると
「…アリスちゃんの事を知って居るの!?」
香霖を真っ直ぐ見据えていた
「あ、ああ…」
思わぬ事に香霖が少し引き気味になって居るところに
「あ~…ちょっと落ち着いたらどうだい?店主もひいてるよ?」
魅魔が助け舟を出した、その言葉に神綺も少し落ち着きを戻すと
「……すいません、少し疲れていて…」
神綺が少しうつむくと
香霖がなにやら考えた上で
「もしよろしかったら、何があったか話てもらってもいいですか?」
そう伝えた
「…実は…」
香霖と魅魔に向かって自分の思いを伝える
魔界であった事、魔界神と母親との間で苦しんだ事
アリスに恨まれているという事……
その全てを聞いた香霖が両腕を組んで
「なるほど……」
そう答えてから
「だけど、一つだけ勘違いしているみたいですね」
神綺に対してそう答えた
「勘違い?」
その言葉に神綺が首をかしげると
「多分、貴方の娘は貴方を怨んでなんかないですよ?」
香霖がそう答えた、その言葉に神綺がうろたえる
「で、ですが私は…」
何かを言おうとした時に香霖が
「……でしたら、実際に聞けばいいじゃないですか」
そう答えるとお店の奥の部屋のドアをあけた
そこには……
「…お母さん……」
「ア、アリス…ちゃん?…」
幻想郷に追放したはずの娘が
涙を流しながら立っていた
(もし、香霖さんが機転を利かせてくれなかったら
今どうなっていたんだろう……)
その後、丸一日アリスと話し合い泣いて、笑って
魔界に戻って、夢子に怒られて自分が思った事は
(私は、娘達に愛されているんだな…)
そう思いながら己の手牌を見つめる
そして、南場のオーラス
「……これで流局かな?」
香霖が場に二枚切れている、中をきると
「ごめんなさい…ロン」
神綺が手牌を倒す
「……綺麗なもんだな…」
「はい!」
そこには、同じ柄が三枚あるのが四つ
そして、香霖が捨てた牌で頭が出来た
「ロン!四暗刻単騎!」
(もう、泣かないんですから)
二回戦は、オーラスで神綺の逆転勝利であった
「さて?私の番ね」
三回戦の親は幽香であった
(ふふっ…やっぱり楽しいわね)
幽香が初めてこの麻雀をしたときの事を思い出していた
「暇ね……」
自分の陣地である向日葵畑の中で幽香は暇を持てはやしていた
「なにか面白い事ないかしら?」
そういいつつも、けして動こうとはしない
誰かが来てくれたら、そいつを使って遊ぼうとしていた
(まったく……誰か来なさいよ…)
この幽香も本当の所怖かったのだ
かつての幻想郷がなかった事にされた折
自分はなぜか気がついたらこの場所に居た
自分の居たはずである場所は、今はどうなっているか
「…ふん、あいつ等ならどれだけでもやって行ってるでしょうね」
それからまたしばらく、幽香はこの向日葵畑に居た
別に何もする事はない、気まぐれに花を咲かせて
やってきた人や妖怪を驚かせたりしていた
そして、年末が近づいてきたある日
「おやおや、幽香じゃないか…」
「誰?私の名前を呼ぶのは」
幽香が辺りを見渡した
(…私の名前を知っている奴が、この新しくなった幻想郷に居るなんて)
自分の名前を知っている者が居るとすれば
自分に喧嘩を売ってきた巫女の他数人ぐらいしかいない
「…そうか…あんたはこの幻想郷に居る事を許されたんだね」
「……博麗神社の祟り神?」
そこに居たのは、かつて自分と戦った事がある
巫女が居た神社に祭られていた神の姿だった
「…もはや、あの神社の神でもなんでもないよ」
「…とうとう追い出されたの?」
幽香が面白そうに言うと
魅魔が無言で頷いた
「ああ、神主に言われてね……無期限休暇だそうな」
「そんな!?」
考えようによってはあんまりな仕打ちだ
黒歴史とはいえ、かつては様々な所で戦ってきた者が
戦いを止めさせられたのだ
流石に、幽香も声をあげた
だが、魅魔は微笑むと首を振る
「でもね、そのおかげでようやくあの二人も一人前になれたという事さ」
「あの二人?」
「……霊夢と魔理沙さ…」
感慨深く魅魔が答えた、そして一息つくと
「ところで、幽香…あんた今暇かい?」
唐突にそういわれたが、答えは一つ
「ええ、もう死にそうなぐらい…」
笑ってそう答える、それを見た魅魔は
「…もしなんだったら、面白い所があるんだけど?」
その言葉は、幽香にとって渡り舟であった
「へえ?…いいわ、着いて行ってあげる」
(で、呼ばれたのがここだった訳ね)
今は、東の三局目
これまでに、香霖が満貫で上がっていた
そして、次の回で魅魔がツモで上がり
今は、幽香が親の番だった
(……私にぴったりの手だわ)
己の手配を見ての感想だった
「で?この小さな小屋はなに?」
幽香が連れてこられたお店の感想がその一言だった
「…随分と手酷いお客さんだな」
「まあ、事実には変わりないだろう?」
流石に、香霖と魅魔も苦笑する
だが、そんな事は幽香に関係なかった
(……こんな所の何処が面白いのよ…)
少し、落胆していると、また何者かがこのお店に入ってきた
「こんばんわ」
そこに居たのは、かつて自分が面白半分で攻め込んだ魔界の神であった
「あら?アホ毛の神様じゃない」
「あ、アホ毛じゃありません!」
いきなり、馬鹿にされたので神綺が怒る
それに対して魅魔が大笑いする
「はははっ!確かに立派なアホ毛だからね」
「魅魔!貴方まで!」
魔界神が一人孤立している時
「ストップ…アホ毛を馬鹿にしちゃいけない」
一人だけ助けに入る人が居た
「うわ~ん、香霖さん皆が虐める~」
思わず涙目になって香霖に助けを求める神綺を見て
幽香は思わず笑っていた
(へえ…確かに魅魔が言ったとおり面白い所かもね)
幽香がそう思って居ると、魅魔が笑いながら香霖に話しかける
「なあ、店主……これだけ美人がそろったんだ何か面白い物はないのかい?」
その言葉に、魔界神をあやしていた香霖が少し考えてから
「…四人か…よし、良い物がある」
香霖がそういってから、お店の奥に戻って行った
しばらく三人が待っていると、香霖が三人をお店の奥に呼び寄せる
「準備が出来た、中に入ってくれ」
お店の奥にある炬燵の上に準備されていたものは
「……なるほどね」
魅魔が感心する
「確かに四人で遊べるゲームですね」
神綺も納得する
「ふふっ……負けないわよ?」
幽香も久しぶりに戦いが出来る事に喜んだ
「では、麻雀を始めようか」
それがこの年越し麻雀の原点になった物であった
(あれから私も、随分変わったのかも知れないわね)
幽香は、自分が昔に比べて少し丸くなった事がわかっていた
(それと……)
今の幽香の傍には、愛用の傘の他にもう一つ何かが置かれていた
(行ってらっしゃいって言ってもらえるのも、悪くないわね)
そこに置いてあるのは、今の彼女を大切にしてくれる者が
外は寒いからと言って貸してくれた黒いマントであった
「やっぱり、こうやって楽しむのも悪くないわね」
幽香がそう言ってから牌をきる
今は、魅魔と神綺がリーチをかけている状態であった
だが、既に幽香の手は出来上がっている
(一歩も引かないわよ)
その時、香霖が発を捨てる
「あら?それ当たりね」
幽香が己の手牌を倒す
香霖がため息をつくと
「まったく…テンパイしているのならリーチをかけてくれればいいのに」
「わからないように、こっそりとするのが楽しいんじゃない?」
「ロン!緑一色」
(今の私は一人じゃないわよ?)
今日の事を知って、一緒に居たいのを我慢して送り出してくれた
この、黒いマントの持ち主に捧げる一撃であった
「やれやれ……今年も厄年だな」
香霖が最終戦の親の番であった
すでに、ハコは三回も食らっている
大負けであったが、それでも香霖は楽しそうに
麻雀を続ける
そして、最終戦も終わりが近づいていく時
(ごーん!)
「…除夜の鐘か」
おもむろに鐘の音が響いてきた
「今回は、店主の大負けで終わりそうだね」
魅魔が笑いながら牌をかき混ぜる
「そうですね……さて?どうしましょうか」
神綺もそう言ってから、牌を積み上げる
「私はすぐに戻る予定だから、後から請求するわ?」
幽香がそういいながら、牌を配り終える
皆が手牌を見て、親である香霖が何をきるのか見ていると
香霖が、おもむろにため息をついた
「……本当に今年は厄年らしい…」
そういって、何も捨てないで牌を倒した
そこには
東東東南南南西西西北北北白白
「ツモ!天和、大四喜、字一色、四暗刻」
先ほどの全ての負け分を全て返す一撃で
今年の年越し麻雀は香霖の勝ちで勝負がついた
「負けちまったね…」
「…そうですね…」
「どうしようかしら?」
余りにも意外な事で、三人は驚いていた
これだけの点数を全て返された挙句に
自分達が負けさせられたのだ
香霖は麻雀牌を片付けると
「では、これで麻雀大会は終わるが、この後はどうするんだい?」
そう三人に問いかけた
「そうだねぇ……私はもうしばらくここに居ようか」
魅魔がそういいながら、先ほど香霖に渡したお酒を飲んでいた
「でしたら私も……今帰ると夢子ちゃんが怖いから」
いつの間にか神綺もつまみを用意して炬燵の中に入っていた
「私は帰るわ……待っていてくれる可愛い子がいるから…そうそう…はいこれ負け分」
幽香はそういってお店に貴重な薬草を置いていくと、
黒いマントを羽織ると傘を差して表に出て行った
「さて…それでは?」
香霖が残った二人に向かって一言
「あけましておめでとう……」
そう言って、毎年恒例の香霖堂の年越し麻雀大会は終わりを迎えた
ありえねー
そしてこーりん殺す
いやー、楽しそうな年越しだ(後書き除くw)。
そして私は『もこてる新年歌合戦』の会場に行きたい、ぜひ行ってみたいwww
()いらね
図書館組が用意したカルタの内容が気になってしょうがない
あと、お約束という事で・・・こーりんぶっころ!
13個くらい下でも紫が同じの出してたけど、流行ってんのこれ?
本物いるけど
kk
意外とこーりんは顔が広いですな~。
そろそろアッチのお話が読みたい今日頃ごろ・・・
旧作ボスといえば某教授と助手は年越しはどう過ごしたのか、気になりますな…
8万オールとかマジありえねえから…
なにこの野生の闘牌-鰻-
あとこーりん殺さないからzipうp。
まあ、皆さん安心してください…香霖はけして、神様を『食べた』訳ではないですから(笑)
あと、多分この香霖はツバメ返しが出来ると思います…
それでは!見てくれた方々に感謝!
異端なのだろうか。