Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ごめんなさい

2008/01/02 03:03:34
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前の「昔の夢(ちょっと修正)」を先に見ていただくと、ちょっとはお話が分かるかもしれません。

















ある日の昼下がり。

人里の中にある寺子屋の中。
午後の道徳の時間。

授業の頭に、慧音が「昨日はなにをしていたのかな?」と子供達に聞いた。

「おかあさんのお手伝いを」
「買い物に行ってました」
「○○ちゃんと遊んでいました」

など、いかにも子供らしい内容だった。

そういう話が何人が続いたあと、寺子屋の中でいたずら好きなわんぱく坊主という印象の
男の子が、こう発言した。

「昨日、人里の近くに変な奴がいたから、石を投げて追っ払った」と。

「ほう、それはちょっとは感心だが、石を投げるのはどうかな?」
慧音は苦笑いしながら軽く注意をした。

するとその子供は、「だって、すごい変な奴だったんだよ。気持ち悪いんだもん」と。

周りの子供も、その子供のいう「変な奴」の正体が気になる。

慧音も、気になっていた。

「で、その変な奴って、どんな奴だったんだい?」
慧音が聞いた。

その子供は胸を張って、まるで英雄気取りで答えた。
「僕が、里のちょっと先の別れ道のところにあるお地蔵さんの所で遊んでいたら、そいつが来たんだ。
女の人だと思うんだけど体の周りが暗くって、よく分からなかったんだ」

この言葉を聞いたときに、慧音の眉毛がピクリと動いた。
「体の周りが暗い・・・ルーミアか?」

その子供に聞いてみる。
「その女の人って、空を飛んでいたか?」と。

「いや、歩いていました。」

そうなら、ルーミアではない。あいつはいつも飛んでいるからな・・・・
だとすると、一体誰だ?

ともかく、妖怪の類の場合、人間は食べられてしまう可能性が高い。
今回は助かったのかもしれないが、もし今度こういう場面に遭遇したら、必ず逃げるように!
と、注意深く念を押す。

そこで、授業の終わりを告げる鐘がなった。

「慧音先生、さようなら」
「慧音先生!また明日!!」

子供達は家に帰っていく。

誰もいなくなった寺子屋で、慧音は一人考える。

・・・あの子供の言っていた「変な奴」とは、一体だれなのか?と・・・・

その時、寺子屋に妹紅が入ってきた。
「おう、今日はもう終わりか?」

「ああ、今さっき終わったよ・・・ところで妹紅・・・」

そういうと、さきほどの子供の話を妹紅にしてみた。
やはり、妹紅も分からない。

「子供の見間違いじゃないのか?」
「だといいんだが・・・なんか引っかかるんだよ」

なぜか、そのことが心に残った慧音は、妹紅を誘って、その子供が変な奴を見たという、
里の近くにある、お地蔵さんのところに行ってみた。

時刻は夕方。
すでに日は落ち、辺りは薄暗い。
その子供が「変な奴」を見たという時間は、このくらいの時間だったそうだ。

お地蔵さんの所で、しばらく時間を過ごす二人。

「なあ、本当にそんな奴がいるのか?」
「それを確かめに来たんだ・・・今はなんとも言えないな・・・」

そして、日は完全に落ち、辺りは闇に包まれる。




「なあ、やっぱり見間違いとかじゃないのか? そろそろ帰ろうぜ」
妹紅は、すでに飽きているようだ。

「もう少し・・・もう少し待ってくれ」
慧音は、「もしかしたら・・・」という思いがあった。

もし、その考えが当たっていたら・・大変なことだと感じていた。
ただ、ルーミアでない以上、子供が言った証言に一致する可能性がある人といえば、
この人しかいない・・・・フッと思い出していた。


慧音の頭の中がグチャグチャにこんがらがってきた。


その時、妹紅が「おい、なんか来たぜ」と小声でつぶやいた。
道のかなり向こう側から、こちらに向かってくる「なにか」がうっすらと見えた。

ここからではよく分からない。

万が一に備えて、二人で少しその場所を離れてみる。
しばらくすると、その「なにか」は、お地蔵さんのところまで来た。

・・あの子供が言っていた通りだ・・・・

なにかドス黒い塊が移動しているようにしか見えなかった。
あれはルーミアなんかじゃない。慧音はすぐに分かった。
横で、妹紅が「なあ、あれは一体なんだ?」と聞いて来た。

「私に分かるか!」小声で返事をする。

仕方ないので、私の能力を使ってみる。
「歴史を食べる程度の能力」だ。

ただ、食べるのではなく、その対象となっている「なにか」の正体を確認するために。
その「なにか」の過去を調べるために・・・・

慧音は能力を使った。

その瞬間、先ほどまで抱いていた、「大変なこと」というのが、現実であったことを思い知る。
そして、慧音の頭の中に、その「なにか」の過去の歴史が怒涛のごとく押し寄せてきた。

「なんだ・・・これは・・・・」

気が付くと、慧音の目から涙が溢れていた。

なんだ・・・この膨大な量の「悲しみ」と「苦しみ」だらけの歴史は!
その「なにか」の歴史の大半を理解した時に、慧音は、その場に立ち崩れた。

「ああ・・なんて・・なんてことを・・・・」

今までに見たことがない慧音の姿を見て、妹紅は動揺していた。
「お・・おい、どうしたんだよ・・・」

涙ながらに、慧音は言った。
「とんでもない事をしていたみたいだな・・・・あの子供は・・・・
 あれは、変な奴なんかじゃない・・・・厄神様だ」

「厄神?」
その言葉を聞いた妹紅は、思わず声をあげる。
「あの黒い塊はなんなんだよ?」

「あれは、人間の厄だよ」
そして、慧音は妹紅に説明した。

大まかではあったが、理解した妹紅も「そりゃ・・・とんでもないことだな・・・」と感じていた。

「今日は帰ろう・・・・ダメだ・・・心が落ち着かない」
動揺を隠し切れない慧音の姿を見て、妹紅もそれしかないな・・と思っていた。

家に帰り、妹紅がもっと詳しく話を聞きたいといってきたので、
慧音が知ってしまった厄神の過去の話を説明してやった。

話が終わると、妹紅も目に涙を浮かべていた。
「なんだよ・・・それ・・・・」言葉にならなかった。

「そうだよ・・・誰よりも、人の悲しみ、苦しみを知り、あえて自分がその不幸をすべて受け取り、
 人が不幸にならないように見守ってくれている神様だ。
 その神様にあの子は石を投げつけた。
 『気味が悪い』という理由だけで」

「けど、私も慧音から話を聞くまでは、その子供と同じ感情があったのかもしれないな。
 今だから言えるが・・・」

「人間は、どうしても自分を守る為に自己防御の考えをする場合がある。
 今回の場合だって、外見がああいった気持ち悪いと見えるだけで、
 実際に、なんでああいう姿をしているのか?という本質を見ずに、
 ただ、気持ち悪いだけが先行してしまい、今回の様なことになる。
 真実を知ると、自分がしていた事の愚かさが分かるよ。」
 

慧音のいう「真実」とは、さっき慧音が言っていた「人間が不幸にならないように」の所だな・・と妹紅は思った。

「もうこんな時間か・・・・さて、明日も寺子屋の授業があるし・・・そろそろ寝るか」

「なあ、明日の午後の道徳の時間に、今日と同じ話をするんだろ?
 だったら、私も行ってもいいか?」妹紅が言う。

「ああ、かまわないよ・・・じゃあお休み」

布団に入ったものの、気持ちの動揺からか、しばらくは眠れなかった慧音だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日。
いつも通りの寺子屋。

午前中はいつもの授業。
午後になって、寺子屋に妹紅がやってきた。

そして、道徳の時間になる。

あえて、感情を隠し笑顔で生徒に聞く、
「さて、昨日も聞いたけど・・・昨日の寺子屋から帰ったあとは、何をしていたのかな?」

一人一人に聞いていく。

子供らしい答えが返ってきた。
そして、問題の子供の順番になる。

「昨日は・・・○○ちゃんと河原で遊んでいました~」

ちょっとだけホッとする。
が、そのとき、他の生徒から声が上がる。

「あ、昨日あの変な奴みたよ!」
「あ、僕も!」
「私も!!」

5~6人が釣られて言う。
慧音の顔色が変る。
が、必死に感情を抑えながら、無理に笑顔を作ってその発言をした子供に聞いた。
「まさか、石とか投げたりしてないよね?」

その表情を見て、後ろで見ていた妹紅は、「返答しだいでは嵐が来るな・・・」と感じていた。

そして、子供達が答えた。

「妖怪とか妖精とかでも、石は投げたらいけないと思って・・・・・」

よかった、そういうことはしていなかった・・・

「『こっちへくるなー!!』って大声で言ってやりました!!」得意げに話す子供。

慧音の顔色が一瞬で変った。
段々と頬に赤みが増してきているのが分かった。

「あ、僕も『気持ち悪いから来るな!!』って言ってやったよ!」
「あ、僕はそこらへんにあった、枝を投げつけてやったよ!」

それに近い内容の話を他の子供達も自慢げに話し始めた。

部屋の後ろで妹紅は、「あ、こりゃ来るな・・・・」と確信して、耳をふさいだ。





「この・・・馬鹿どもがっ!!!」






子供達が、いままで聞いたことがないくらい大きな声で慧音は怒鳴った。

部屋の空気が一瞬で凍る。

少し呼吸を整えてから、慧音が感情を抑えながら話始める。

「君達の言っている変な奴はな・・・・なんだか知っているのか?」

言葉に怒りが込められているので、子供達は蚊の泣く様な細い声で、
「し・・・しりません・・・・」と次々に答えて言った。

「あの方はな!神様なんだよ! 厄神様という素晴らしい神様なんだよ!!」

子供達は「神様」と聞いて驚いた。
が、子供の中から、「でも、どうしてあんなに気味が悪いの?」という声も上がっていた。
そこで慧音は、昨日知ってしまった厄神様の過去をすべて話した。
子供達でも分かりやすい様に言葉を選び、簡略はしてあるが、要点は掴んである内容だった。
あの体の周りの黒い塊は、里のみんなから出た「厄」という悪い気であるという事。
そして、その厄を再び、人間に戻らないように自分の体に溜め込んでいるという事も。
だから近寄ると、その厄によって近寄った人が不幸になってしまうという事も。


すべてを話し終えて、子供達は自分がしてしまった罪を知る。
女子の中には、泣いてしまっている子もいた。
今まで知らなかったとはいえ、自分達がしてしまったことを後悔しているようだ。

慧音の話が終わり、部屋の中に静寂が訪れる。

所々で、すすり泣く声が聞こえる。

子供達の中から声が上がる。

「ぼく・・・謝りに行きたい」
「ぼくも・・・」
「私も・・・・」

寺子屋の生徒全員が言った。

「しかし・・・近寄ると不幸になるからな・・・・」
子供達のその気持ちを行動に移してあげたい気持ちはあるが、どうしたらいいのか?
慧音は悩んだ。
どこにいるのか分からないし、近寄れないし・・・・

そのとき、妹紅が口を開いた。

「大丈夫だ!ちゃんと先方に話はつけておいたぜ」

部屋全体が「え?」という顔になる。

「探すのに苦労したぜ、神様だけあって、神出鬼没だからな」
ケラケラ笑いながらも、話を続ける。

「多分、こうなるだろうと思ってさ、午前中に探しまくったら、やっと見つけてさ。
 とりあえず大まかに説明したら、分かってくれたよ。
 夕方にあのお地蔵さんの所にいるはずだぜ」

「けど、近寄れないぞ・・・・」慧音が言った。

「それも大丈夫!」妹紅が説明を始めた。

「どうやら、一日掛かって集めた黒い塊を一度森の中のとある場所にしまうそうだ。
 それ以降なら、黒い塊はないから、近寄っても触っても大丈夫らしいぜ。
 だから、今日の夕方の時には、先に黒い塊を置いてくるってさ」

「妹紅・・・すまないな・・・」

「いやいや・・どうってことないぜ」

話はまとまり、今日の授業は終わる。
寺子屋の前に半刻後に集合と子供達に伝える。
子供達が一旦いなくなり、集まるまでの間、妹紅と話す。

「妹紅・・・しかし、どうやって見つけたんだ?」

「ああ、紅白の巫女と白黒の魔法使いに聞いたんだ」

「なるほどな・・・」

「で、よく見かける場所ってのを聞いて上空で待っていたら、目立つ目印があってな・・・
 目の前に飛び降りたら、相手がすごい驚いていたなぁ・・・」

「そりゃ、普通驚くだろう?」

「いや、なんか可笑しかったんだよ。
 『クリスマスツリーはいやだぁ!!』とか、『獅子舞?そうよ!獅子舞ね!』とか、
 訳の分からない事を言っていたなぁ・・・」

「なんだ?それは?」

「いや・・・私も正直分からないが・・・けど、話したらちゃんと分かってくれたぜ。
 仕切りに『気にしないでいいですよ』って言っていたぜ」

「そうか・・・本当にすまないな」

ボチボチ子供達が集まってきた。

全員そろったのを確認して出発する。

里からは歩いて約5~10分程度で、そのお地蔵様に到着する。
向かっている間、子供達の誰もが無言で「その神様に怒られてしまうのではないか?」という不安で一杯だった。

遠くにお地蔵さんが見えてきた。

まだ、だれもいないようだ。

お地蔵さんの周辺で、みんなで待つ。

しばらくすると、一人の女性がこちらに向かって歩いてきた。
妖怪の山方面から来たから、間違いないだろう。

いままで、黒い塊の中にいたので、だれもハッキリとした姿をみた人はいなかったが、
いま目の前を歩いているその人の姿は、見たこともない服装ではあったが、
いたって、普通の女性の姿であった。

妹紅が一歩前にでて、挨拶をする。
「さっきは、すまなかったな。
 忙しい所、わざわざ申し訳ない。
 さっき話した寺子屋の先生の『上白沢慧音』と、その生徒達だ」

慧音が一歩踏み出す。深々とお辞儀をする。
「この度は、私の小屋の生徒が貴女に大変失礼な振る舞いをしたそうで・・・
 生徒に代わって、私がお詫び申し上げます。」
慧音のお辞儀に合わせて生徒もお辞儀をする。

「あらあら、ご丁寧に・・・・
 大丈夫よ、私は気にしてはいませんからね。
 それに、子供は、あの位元気があった方がいいですよ」
厄神様は、笑顔で答える。

その言葉を聞いて、子供達の中から「ごめんなさい」という声が溢れた。

「いいのよ、気にしないでね。
 私は、みんなが幸せであれば、それでいいの」

「本当にごめんなさい」
生徒は、手に持っていた荷物を次々と厄神様に渡す。
「あらあら・・・いいのに・・・・」
ちょっと困惑気味の厄神様。

「いや、ぜひとも受け取って欲しい。子供達の素直な思いだから」
慧音の指示で、順序よく荷物を渡していく子供達。
荷物の中には、子供のお小遣いでは厳しいと思われるようなお菓子や、
手紙などが入っていた。

「そんなに気を使わなくてもいいのに・・・
 じゃあ、私からもちょっといいかな?」

そういうと厄神様は、慧音と妹紅と子供達を順序よく整列させる。

「私が出来ること・・・・それは、人に悪さをする悪い気を取り除くこと」

右手を上に掲げて、手のひらを広げる。

その瞬間、そこにいた全員の体から黒く光る塊が無数出てくる。

その塊が空中でひとつにまとまり、厄神様の右手の手のひらに集まる。
そして、その塊がゆっくりと厄神様の右手の中に消えていく。

「はい、おしまい!」

そう笑顔で微笑む。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「厄神様~ありがと~」
妹紅と一緒に子供達が帰っていく。
慧音だけは、その場に残った。

「すまない・・・悪気はなかった。
 けど、昨日貴女の過去をすべて知ってしまいました」
慧音は、本当にすまなそうに謝った。

「貴女でしたか・・・なにか気配はあったのは分かっていたのですが」
どうやら、厄神様は分っていたようだった。

「申し訳ないです」

「いいんですよ。たいした過去ではなかったでしょう?」

「何をおっしゃる・・・・」
フッとあの過去を思い返すと、今でも動揺する。

「けど・・・貴女も私と似ていませんか?」

「何を??」慧音はビクッとする。

「ワーハクタク」・・・厄神様は、笑顔でつぶやいた。

「・・・・・」この人には、隠し事は出来ないな・・慧音は覚悟を決めた。

「ええ、貴女がいわれるように、私はワーハクタクです。」

「貴女もそれで苦労したのね・・・それを受け入れるまでは」

後天性・・・それまでお見通しって事か・・・・

「人に一度付いてしまった印象は、なかなか拭えないものです。
 今回の私の様に、見た目や勝手に植えつけられた印象だけが先行してしまうことって、
 よくあることですからね。
 貴女も、似たようなことがあったでしょう?」

確かに、満月の日だけだが、この姿を見た人の中には、私を敬遠する人もいた。

「今度、お時間があれば、もっとお話しません?」
「ええ、いいですね」

「あ、それと・・・・」
厄神様がなにかを言いかけた。

「さっき一緒にいた方に伝えて欲しいんです。
 私に用事があるときは、いきなり目の前に飛び降りてこないでって。
 ちょっとした嫌な思い出があって・・・・」

「もしかして、『クリスマス』・・・」と言いかけた所で、「いやぁ!!やめてぇ!!」と耳をふさぎながら叫ばれた。

本当に嫌な事だったんだな・・・帰ったら妹紅に言っておこう。

そして、お互い各自の家へと戻っていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それ以降。
子供達は厄神様を見かけても、罵声を浴びせたり石を投げたりしなくなった。

慧音が言っていたように、黒い塊があるときは近寄ってはいけないと。

なので、子供達は厄神様を見かけると遠くから、

「厄神様~いつもありがと~~!!」と大声で手を降るようになった。









昔の自分の体験がベースだったりする今回の話。

ただ違うのは、自分の場合は最後の部分がBad Endだったことですがw。


毎度の事ながら、ご意見、ご感想、ご指摘等よろしくお願いいたします。
苦有楽有
コメント



1.名無し妖怪削除
この雛の歴史は重いな・・・

それはそうと、あのクリスマスの出来事を引きずってるwww
2.時空や空間を翔る程度の能力削除
良い話ではないですか、
心に「じ~ん」と来ました。