Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

神のきまぐれ

2007/12/31 18:48:35
最終更新
サイズ
16.77KB
ページ数
1


名前はありませんが、オリジナルキャラがでています。
あと、雛のお話です。














ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



とある診療所。
そこの医者もサジを投げた病気を持った少女がいた。

どこまで生きていられるのか分からない。
いつ死ぬのか分からない。

けど、確実にその少女の命は減っている。

毎日布団の上での生活。
変らない景色。
変らない顔ぶれ。
変らない日常。

年頃の少女は「なんで私だけこんな目に」といつも思っていた。

病気になる前までは、普通にみんなと遊んでいた。
が、病気になったと分かった瞬間から、そのみんなが私の前から消えていった。

体もすでに動かない。
が、意識ははっきりとしている。
これでは死んでいるのと変らない。
いっそ、このまま・・・

といつも思っていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「あらあら?これはこれは」

この診療所に入ってから、聞いたことがない声が聞こえる。
目は見えるのだが、顔が動かせないので、その声の方向が見えない。

「貴女?いま不幸かしら?」

ええ、多分、この世の中で一番不幸な人間かもね?心の中でつぶやく。

「なら、少しだけその不幸を取ってあげる」

え?何を言っているの?

胸の上に手が置かれる。
自分の体の中から、なにか冷たいものが吸い取られていく感覚がした。

「はい、今日の分はおしまい!」

なんだろう・・・体が軽くなった気がする。

声を出そうとするが、そんな力もないので、心の中で「あ、ありがとう」とつぶやく。

「いえいえ、どういたしまして」

この人は一体?なんで、私の心の中の言葉が分かるの?

「ええ、分かりますよ」

一体誰なんだ?死神?・・・ああ、そうか・・だとするとお迎えって奴か・・・・

「失礼ねっ。私は死神なんかじゃないわよ、それにまだ貴女はまだしばらく逝かないしね」
クスクスと笑う様に語り掛けてくる。

え?まだ逝かないって?なんでそんなことが分かるの?

「それは秘密・・・、じゃあそろそろ行くわね。 また明日~」

そういうと、その声の主はすでにいなかった。

私は、「きっと、これは夢なんだな」・・・と思い、そのまま眠りについた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日。
すでにサジを投げてはいるが、回診をしないといけない医者が
私を診察して驚いている。
私には何がなんだか分からなかったが、どうも今までおかしかった所が
回復しかかっているそうだ。

医者や助手の人はしきりに「奇跡だ」とつぶやいていた。



そして、今日も一日が終わる。

「また来たわよ~」

あの人だ。

「今日も、貴女の不幸を少し頂こうかしら?」

そういうと、私の胸の所に手を置く。
昨日と同じく、体の中のなにか冷たいものが、吸い取られているような感覚がある。

「はい、今日の分はおしまい!」

『あ、ありがとう』・・・・心の中でつぶやく。

「体の具合はどう?」

『なんかいい方向へ向かっているらしいです。医者が驚いていましたから・・・』

「あら、それはいいことね」

『それはそうと、貴女は一体誰なのですか?』

「それはまだ秘密よ。けど安心して、死神とかじゃないからね」

『じゃあ、いつ貴女の正体が分かるのよ?』

「それも秘密・・・」

『フフッ・・・謎の人かぁ・・・よし、元気になったら絶対に貴女の正体を突き止めてやるわ。』

「お待ちしてますわ・・・じゃあ、また明日ね」

そういうと、私の布団の近くにあったその謎の人の気配が消えた。

明日も、あの人は来るのね・・・
私の中で、謎の人の来訪が、楽しみになり始めていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




日に日に、体調がよくなりつつあるらしい。

今まで、布団の上の生活だった私が、今日は椅子に座っている。
久しぶりの感覚。
なにか、あまりにも久しぶりすぎて、酔っている様な感覚に襲われる。

椅子に座るという、久しぶりの体験で疲れていたのか、夕方に布団に戻ると、
ぐっすりと眠っていたようだ。

ただ、夢の中なのだろうか?
いつもの様に、胸の所から冷たいなにかを吸い取られる感覚があった。

そして、耳元でやさしい口調の「おやすみなさい」という声が聞こえた。

『ああ、来てくれたんだ・・・けど、今日はすごく眠くって・・・ごめんなさい。』

「いいのよ、ゆっくり休みなさい。また明日ね」

その声をおぼろげに聞いたかと思ったとき、私は夢の世界へ落ちていった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




日が過ぎる。

まだ、謎の人の正体は分からない。
が、日に日に、私の体調はよくなっていった。

医者も、原因が分からないと言っていたが、よくなっていることには変わりない。

体もだいぶ動く様になった。
これなら、謎の人の姿を見ることが出来るかもしれない。

そして、夜になる。

「来たわよ」

声がする。
いつも不思議に思っていた。
すでに診療所は閉まっている。
が、なんでこの人はこんな時間に病室に入ってこれるのだろうか?

謎の人を見る・・・そのためだけに、昼間に必死に首を動かせるように練習した。
長い間、動かさなかったために、固まっていたからだ。

布団の中で、心を落ち着かせる。

『1、2、3!!』

思い切って、首を謎の人の方向へ向ける。

「あら、すごいわね!」

目線があう。

とてもやさしい笑顔でこちらを見ている。
年にしたら、私と同じ位?
ただ、見たこともない服装と髪型で、独特の雰囲気を持っていた。

「すごい。ここまで動かせるようになったんだ」

『ええ、貴女の姿がどうしも見たくって、特訓しましたから』

「どう?念願が叶って?」

『ええ、なんか予想通りのやさしそうな人で安心しました』

「あらあら、ご謙遜を」

そして、今日も胸に手を当てて、体の中の冷たいなにかを吸い取ってくれる。

「もしかしたら、もっと頑張れば歩ける様になるかもね?」

『ええ、そうなるように頑張りたいです、けどここまで元気になれたのも、あなたのおかげです』

「いえ、それは貴女の努力と『生きたい』という信念の結果ですよ。私はただのお手伝い」
そういうと、人差し指を一本立てて、可愛らしく答える。

『けど、貴女がいなければ、ここまでにはならなかった・・・やはり貴女のおかげです』

「フフッ、じゃあ、もっと私も頑張らないとね」

『ええ、ぜひともお願いします』

「分かったわ、じゃあ、今日は帰るね、また明日ね」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





それから、また月日が流れる。
私の体はかなりよくなった。
謎の人も、毎日のように来てくれる。
今日は思い切って、名前とか聞いてみようかしら?

車椅子という物に乗って、診療所内なら自由に移動が出来る様になった。
診療所の庭から、里の子供達が遊んでいる姿が見える。
年頃の女の子達が、買い物に出かけていく光景も見える。

『はぁ~もっと元気になれば、あんなこととか出来るんだろうなぁ~』

羨ましい・・・素直にその光景を見て思った。

けど、自分が頑張ればきっと願いは叶う!そう信じていた。




その日の夜。

いつもの様に、謎の人が来た。

「・・・こんばんわ・・・」
 ん?なにか声のトーンがいつもと違う。

「・・・気のせいよ・・・」
 顔は、いつもの様な笑顔ではあるが、なにかどことなく寂しそうな印象がある。

『どうしたの?いつもと違うよ?』
 思い切って聞いてみた。

「・・・なにもないわ・・・・気にしないでね」

いや、明らかにおかしい。

少し重たい口調ではあったが、彼女が突然言い出した。

「ねぇ?今一番やってみたいことって何?」

突然の質問。
いつもと違う雰囲気と、急な質問に頭の中がパニックになる。

『え?え?急に言われても・・・』

しばらくう~んと考える。

そして頭の中にあることが浮かんでくる。

『やってみたい事・・・こんなのもいいのかな?』

「なんでもいいわよ」

『じゃ言うね・・・・貴女と一緒に買い物とかに行って遊びたい』
しばらく時間が経った。

そして、謎の人が口を開く。
「・・・わかったわ、それで本当にいいの?」

『ええ、お願い』

「じゃあ、今行きましょうか?」

『え?今の私じゃ無理よ、それにお店も閉まっているし・・・』
「大丈夫よ」

謎の人は、そういうといつもと同じように私の胸に手を置いた。
ただ、いつもと違うのは、その手に体ごと持っていかれそうな強い力で
引き寄せられていること。
不思議と痛くはないが、なにか怖い。

「これで自由に動けるわね」

自分の姿を見てみる。

今までの動かなかった体が嘘の様に軽く動く。
普通に歩けるし、声も出せる。

『すごい!すごい!私元気になった!!』

「ええ、じゃあ行きましょうか?」

そういうと、謎の人は私の手を引いて、外へ出た。

外に出ると・・・確か夜だったはず。
が、外は太陽の光に溢れ、人がたくさん里の中を歩いている。

2人は、活気の溢れる商店街の方へ向かっていった。

『ねぇ・・・あ、名前を教えてくれないかしら?いつまでも「貴女」じゃ悪いし・・・』

「雛よ・・・鍵山 雛・・・それが私の名前」

にっこり微笑みながら、名前を教えてくれた。

『じゃあ・・雛さん。 私あのお店に行ってみたい!!』
まるで遊園地に行った子供の様にはしゃぐ。
そして、2人で色々な所へ行く。

売店で、食べ物を買って食べたり、好きなものを買ったり。

楽しい時間はあっという間に過ぎる。

すでに夕方。

「そろそろ帰らないといけない時間ね」

『そうね・・・けど楽しかった!また行きたいな』

「また・・・行けたらいいね・・・・。じゃあ、帰りましょうか?」

そして、診療所へ帰る。
布団に横になる。

そして、今日も謎の人・・・雛さんは、私の胸に手をあてて、冷たいなにかを吸い取ってくれた。

『いつもありがとう。今日はとても楽しかったわ』

「それはよかったわ・・・じゃあ、私は帰るね・・・じゃあね・・・・」

そういうと、雛さんの姿はかき消すように消えていった。

私は、楽しい思いで一杯な気分で夢の世界へ落ちていった。
ただ、今日の雛さんの何かあるような口調が気になっていたが・・・




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




翌朝、目が覚める。
体が動かない。
おかしい、昨日はあんなに動いていたのに。
目もあまりよく見えない・・・

なんとか目を開けてみる。
すると、ここの診療所の医者が血相を変えて私になにかをしている。
助手の人も顔に汗を浮かべて、なにかをやっている。

何をしているんだろう?

自分の体の分かる限りの感覚を探ってみる。

・・・
・・・・

なんか息が苦しい?
目線を下げると、なにか口の所にマスクの様なものを付けられている。

腕も、色々な管の様なものが取り付けられている。

いつもの医者の後ろに、赤色と青色の服を着た長い銀髪の女性がいた。
そして、その女性は、医者に向かって「なんで、こんなになるまで放置したんですか!!」と怒鳴っていた。

何?何が起こったの?

その女性が色々と私の体を見る。

そして、はぁとため息をついたかと思うと、私から離れる。

私に背中を向けて、小声で医者と助手になにかを言っている。
けど、聞こえているよ?
「もう手遅れです、家族とか身内の方を早急に呼んでください」って。

そうか・・・もう私逝くんだ・・・・

急に思い出す。
最初に雛さんに会ったときに「貴女はまだしばらく逝かないしね」って言ってたよね・・・・
そうか・・・雛さんは知っていたんだ。
私の命が尽きる日を。

そう思うと、雛さんの昨日の口調に納得がいくし、急に私の願いを聞いてきたのにも、
合点がいく。

それに、雛さんは帰るときに、いつもなら「また明日ね」って言うのに、昨日は言わなかった。

そっか・・・私逝くんだね。
最後に・・最後に雛さんに会いたかったな・・・・
そして、言いたかった。「今まで本当にありがとう」って。

親があわてて病室に入ってきた。
その姿を見ながら、私の意識は遠のいていった。



『さようなら』





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





















三途の川。
相変わらず、小野塚小町はサボっていた。
「フワァァ・・・」大あくびである。

「はぁ・・どこかにいきたいなぁ・・・けど、また四季映姫様に見つかったら・・・・」

すでにサボっているのに、そんな心配をしなくってもいいと思うんだが・・・

「また説教されるのも、嫌だしなぁ・・・」といいながら、自分の担当する船の所へ行く。
・・・ありゃ、船を待っている魂で混んでいるじゃないか!

このままだと、また怒られて説教される!
自分の身の危険を予測したのか、急いで魂たちを船に乗せる。
「渡し賃は途中で貰うから!!」よほど慌てているのだろうか?

とりあえず、乗せれるだけ船に乗せる。

しかし、どうしても乗れない魂がひとつがあった。

「ゴメンな、すぐに戻ってくるから、ちょっとそこで待っててくれ」

そういうと、小町は船を漕ぎ出す。

その魂は、その場で漂って待っていた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー













三途の川を行く船の上。

「これでいいのかい? 厄神様」
さっきまでいた川岸が見えなくなってから、小町が話しかける。

「ええ、無理を言ってすいません」
いつの間にか船の横に厄神・・・鍵山雛が同じ速度で浮かびながら飛んでいた。

「しかし、たった一人の人間の為だけに貴女が動くとは・・・」
少し驚いた様子でたずねる。

「フフッ、神の気まぐれ・・なのかもね」

無事に対岸へ到着する。

雛は、この奥にいる四季映姫に会いに奥へと向かう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「話は分かりました」

四季映姫は答えた。

「すいません、勝手なお願いをしてしまって」
雛は深々と礼をする。

「いえ、たまには閻魔も気まぐれがあってもいいんじゃないでしょうか?
 それに、私の業務にそれが影響あるとは思えませんし。
 まあ、業務に影響があるとすれば、小町が仕事をちゃんとやっていれば・・・・・」

ああ、話が長くなりそうだわ。
「すいません、ではちょっと用意をしてきますので・・・」
別に何も用意とかはないのだが、説教が始まると長くなるので、適当に用事をつけて
その場を離れた。

その頃。
小町が残っていた魂をひとつだけ乗せてこちらに向かっていた。



その船が対岸へ着いたときには、前に運んだ魂の裁定がすべて終わっていた。
さすが、四季映姫。仕事が速い。


「さあ、この奥に閻魔様がいるから、ちゃんと裁いてもらえよ」
小町が最後に残っていたその魂を送り出す。

魂は、ビクビクしながら奥へと進む。

そして、広い空間へ出る。

威圧的な佇まいの空間。
その目線の上に四季映姫が座っていた。

「さあ、裁きを始める」

魂は覚悟した。

「と、思ったんだが、あなたはすでに無罪であることが決定している。不遇の死だったからな」

魂は安堵した。

「やはり不遇の死だと、なにかと未練があるだろう・・・なにか遣り残したこととかないか?」
いつもとは違うやさしい言葉使いで、魂に聞いた。

その言葉を聞いて、四季映姫の後ろに隠れていた厄神は驚いた。
「ちょ・・・流れが違うじゃない!」と。


魂は言った。
『あります・・・ある人に感謝の言葉を言えなかった・・・だからその人に感謝の言葉を言いたい!」

「ほう・・それは誰かな?」
少し棒読み的だったが、四季映姫は聞いた。

『私が最期の瞬間まで生きる望みを持たせ続けてくれた人なんです。名前だけは分かるんです!
 「鍵山 雛」という名前の人なんです!!』

「会ってみたいか?」にこやかに笑いながら四季映姫が聞く。

『もちろんです!』大きな声で魂が答える。

四季映姫の後ろにいた厄神は、自分が考えていたシナリオとまったく違う流れになっていたことに動揺した。
さらに、その魂が言った力強い言葉を聞いて、思わず顔を手で隠す。





「だそうだよ、厄神様!!」
さらに大きな声で四季映姫が後ろを振り返りながら答える。

厄神・・・鍵山雛は、困惑していた。
当初の自分の予定では、最期の時に立ち会えなかったので、
この場を四季映姫に借りて、自分の方から最後のお別れをいう為に、
冥界まで来ていた。
はずだった・・・・

が、その子の方から、私に会いたいと・・・・
四季映姫の不意打ちだった。

四季映姫のいる台座の後ろから、雛が現れる。

『雛さん・・・厄神?やっぱり貴女は神様だったんですね・・・』

「ええ、私は確かに厄神よ。けど、生きている時の貴女にそれが知れたら、
 私は嫌われると思って、言わなかったのよ。
 ただでさえ、嫌われる厄神ですからね・・・」

『そんなことはありません。ちゃんと私に生きたいって気持ちを強く持たせてくれたじゃないですか!
 それに、毎日私の中の悪い何かを吸い取ってくれていた。
 そのおかげで、楽しいことがたくさん出来た。雛さんには、どんなに感謝の言葉を並べても、
 足りないくらいです!!』
魂は、思いのたけを早口ではあるが、言い切った。

「・・・ありがとう・・・・・」
涙をこらえながら、雛は答える。

『そんな・・・それはこっちの台詞です・・・・本当に今までありがとうございました!』
魂も涙ぐんでいるのか?途切れ途切れではあるが、お礼の言葉を述べた。

雛が魂を抱きしめる。

「これが本当の最期のお別れよ。
 貴女は生まれ変わる。また、あの里に。
 元気な体を持って・・・・、
 そして、私はいつまでも里の人間の幸福を祈って、みんなの厄を集めるわ。」

『雛さん・・・私忘れない・・・貴女の存在を・・・・・』

「生まれ変わって、大きくなったら、会いに来てね。
 いつでまでも待っているわ。」

『ええ、もちろんです』




「さて、そろそろ時間だ、もう思い残すことはないかな?」
四季映姫がそれまで黙っていた口を開く。

『はい・・・これでもう思い残すことはありません』

魂は、ハッキリと答えた。

『では、雛さん・・・いえ、厄神様・・・本当にありがとうございました!!』

魂はそういうと、光に包まれて、天国へ向かう扉の中へ消えていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「さて・・・本来なら・・・こんなことは前代未聞なんだが・・・・」
しばらくして、四季映姫が口を開く。

「記録からすると、あの魂は本来ならもっと早くこっちへ来ているはずだったんだが・・・」
台帳を見ながら厄神に問いただす。

「申し訳ありません、どんな処罰でも受ける覚悟でいます」
深く礼をして厄神は答えた。

「まあ、今回の件は、見なかったことにしよう・・・神の気まぐれならぬ、閻魔の気まぐれもあってもいいんじゃないか?」
微笑みながら、厄神に言う。

「・・・すいません。ありがとうございます。」
また、深く礼をする。

しばらくして、厄神は閻魔に聞いた。
「しかし、四季映姫様も人が悪い・・・あの魂が、ああいう行動をするというのを分かっていらっしゃったのですね」

「ああ、分かっていたさ・・・だからこそ、本当だったらいくら厄神である貴女のお願いであっても、
 あのお願いは引き受けなかったさ」

「フフッ・・・やられましたわ」

肩をすくめ、一本取られたという感じでつぶやく。

「さて、今日の業務は終了だ! あ、厄神!帰るときに小町がサボっていないか見て行ってくれないか?
 もし、サボっていたら、脅かしてやってくれ」

「フフッ、分かりましたわ」

そして、厄神は幻想郷へ戻った。


・・・小野塚小町がすでに夢の中に居て、いくら起こしても起きなかったのを、四季映姫に伝えてから・・・・・・





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


数年後。

里のとある家で、元気な赤ちゃんが生まれた。
元気な女の子だった。

その光景を里の外で眺めていた厄神は笑顔でつぶやいた。












「おかえりなさい」と。













厄神が幻想郷に帰ってから・・・



「こらぁ~~!!厄神~~~~!
 もっとちゃんと起こしてから帰ってくれ~~!!」
 涙目で小町は正座の状態で、三途の河原で四季映姫のありがたい説教を長時間受けていた。

「人のせいにするんじゃありません!
 小町!大体アナタは(以下略)・・・・」

「もう勘弁してくださ~い!!」


これのリピートが続く。

雛は、大体こうなるのでは?と予測してつぶやいた。

「ちゃんと起こしたわよ、起きないアナタが悪いんじゃないの?」と。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・・仕事柄人の死に立ち会う事が多いので・・・
少しくらいは、希望を持たせてあげたいな・・・
そう思って書いてみました。

苦有楽有
コメント



1.苦有楽有削除
そーいう仕事しているわけで、盆暮れ正月はまったく関係ないんです。

現在、PM11:45.
皆様、よいお年を!
2.時空や空間を翔る程度の能力削除
閻魔様
貴方の心遣いに一本取られました。
3.極夜削除
雛と映姫様のささやかな思い遣りに感動しました!