Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

月夜見の夢

2007/12/31 15:10:44
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※若干百合にて要注意





「はじめまして」
「お久しぶり」

はぁ? と、無理もなかろう素っ頓狂な一鳴きに対し一方的に大笑いされる。
それが彼女との出会いだった。



*   *   *



サークル活動という名の旅行に勤しんでいたここ数日、今日が大学のレポートの提出日だということをすっかり忘れてしまっていた。

「実は私も忘れてたのよねー。じゃあ一緒にやりましょうよ」

当然の様について来た彼女はコタツを挟んで向かいに座ると、自分の作業もそこそこに、私の手元を食い入るように見つめていた。
私は見られながらのキータッチがおぼつかず、結局昨晩は完徹してしまった。既に朝日が眩しい。
ちなみに彼女は気づいたらしっかり寝ていた。もはや何がしたかったのか訳がわからない。
というより出会ったときから彼女は訳がわからなかった。

そんなことから私の悶々たる回想が行われたのだ。

そのとき何を笑ったのかと聞くと、第一声に対しあまりに調子っ外れなのがツボだ、などと抜かす。
あまりのくだらなさに一緒に笑っておいて言えないのだが、考えなくとも最初からおかしな奴だったのだ。
おかしな目を持ってるし。

……、別にそれがおかしいと言う訳ではない。
日常生活で利便性が発揮できる異能力をなぜ私の待ち合わせに有効活用しないのかということだ。実に癪だ。

と思い出したように言い訳を付け足してみるが何も釈然としない。
間違いなく私「達」はおかしいに違いないのだろう。
手元のコーヒーで手を温めながら思いふける。


結界の境目が見える能力。

自分が直感的に導き出したその力の概要。
それが何なのか、私は未だよくわかっていない。
結界。そもそも結界とは境を作るものではないのか? その境目などとはおかしな話だ。
まるで結界そのものが継ぎ接ぎであって、そこにスキマが存在するかの様な言い方だ。

「自問自答?」

何故かこういうときに発揮される内なる発想力、また自分のそれが全然不自然に感じないから不思議だ。不自然じゃないのに不思議とはこれ如何に。

すっかり馬鹿らしくなった思考を切り上げ、温くなっていた珈琲を飲み干してしまおうと口に運ぶ。
目の前では彼女がうなされていた。

「うーん。星々のきらめきは我が瞬きと共にありー」

なんじゃそりゃ。


星と月を見ることで、それぞれ現在の時間と現在の場所がわかる能力。

それが彼女の特異の力。こっちは実に具体的で解りやすい。
空を見上げれば昼間でも星の光を捉え時間がわかり、月が出ていれば場所を把握できるちょっと便利な能力。
月夜を見上げるだけなんて、なんだかロマンチックだ。星見の様でお洒落だし。
顔を横にして突っ伏している彼女の指先を弄くりながら話しかけてみる。

「あなたはわかりやすくていいわね」
「むうぅ、ふぃぅ」

彼女は返すように寝息を立てる。
こういう状況を見ると普段のへんちくりんなオカルト少女の面影はなく、遠目からでも美少女であることがわかるだろう。
顔を隠す前髪から、やわらかそうな唇と長い睫毛が覗く。

自分の鼓動が聞こえる。

この女最初から変な奴だと思っていたのだ。

なぜ彼女のように慎ましさもなくけらけら笑う女の子と一緒にいるのか。

彼女のように傍若無人極まりない人間と一緒に笑っていられたのか。

彼女に見つめられたぐらいでモニタの文字さえ追えなくなっていたのか。

なぜ彼女の寝顔に思わず微笑んでしまうのか。

いつの間にか私の指は彼女のそれを絡み取っていた。

「気持ちよさそうね。私なんかいっぱいいっぱいよ」

自分でいっぱいいっぱいの意味を考えてみる。

もう眠気などは微塵も無く、すっかり冴えてしまっていた。

でも眠ってしまおう。眠らなければ。

私は彼女と同じように突っ伏し、横から覗くように向かい合う。



ひかりとかげが溶け合うように。




*   *   *




月を見ると思わず微笑んでしまう。

「今度こそ、その身と心を攫って見せますわ。夜を統べる神」



先ほど間違って創想話に投稿しちゃいました。

あらためまして、はじめまして、お久しぶり、とももと申します。

ふ○なりの神様がいると聞いて歩いてきました。

月に攻めに行ったゆかりん、実は好きな人に会いに行ったんじゃない?とか妄想
ともも
コメント



1.泥棒かささぎ削除
悪くない