Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

「年の瀬ですから」

2007/12/30 00:26:32
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前々作「クリスマスツリー」と若干繋がっているような、そうでないような・・・・
















薄暗い森の中。
一人の少女が歩いている。

今日も一日、厄を集めて帰宅する。
途中にある秘密の場所で、体に溜まった厄を落として、
今は、近寄っても不幸にはならない状態。

その足で、家へと向かう。

そして、その少女を探す箒に乗った白黒少女が上空を飛んでいた。

薄暗くっても、目立つ頭の赤いリボンを発見。

「見つけたぜ!」

その少女の前にいきなり飛び降りる。

目の前にいきなり現れた白黒の魔法使いにビックリする。
そして、その瞬間、なにかちょっと前にも同じ様なことがあったと思い出す。

前回は紅白の巫女だった・・・
で、あの後は、体に電飾とか飾りを付けられて、回転させられて、
「クリスマスツリーだ!!」と、好き放題された記憶がよみがえる。

「いやっ!今度は何よ!もう私は仮装とかしないんだからっ!!」

もう、あんなことは二度とゴメンよ。

「いや、今日は違うぜ!」

聞く耳を持っているのだろうか?

人は違えど、やっていることは紅白の巫女と大して変わりなく、
強引に連れて行かれる。

手をつかまれ、空に浮かぶ。

そして、今から起こる不吉なことを予測する。

・・・・
・・・・・

「またクリスマスツリーをやらすの!?」

「もう時期は過ぎたぜ」

「じゃあ、今度は・・・まさか『門松』じゃないでしょうね!」

「いくらなんでも、雛の色じゃないよな。それに門松は回転しないしな。」

「じゃあ・・・わかったわ! 「獅子舞」ね!色も合っているし!」

「おお、いい案だな、それは次回の時にやってもらうぜ!」

ああ、墓穴を掘ったわ。

けど、一体なんだろう?
考える余地もなく博麗神社へ到着。

・・・宴会が始まっている・・・・

そこに霊夢がお酒を持って近寄ってくる。

「やっと見つけたのね、今日は忘年会だから雛ちゃんにも来てもらおうかと思ったんだけど、
 なかなか見つからなくってね」

毎日、違うコースを散歩しているから、見つからないのは当たり前よ。

周りを見て、悪寒が走る。
また、なにかやらされる?
門松?獅子舞?それとも別ななにか?

「いや、今日は本当に普通の忘年会よ」

といっていますが、境内にいるメンバーを見る限り「普通」とは言えない気がするのは一体??

とりあえず空いている場所に座り、お酒を飲む。

周りから、「よっ!今日もごくろうさんだったな」とか、「いつもお疲れさま!」といった声を掛けてもらう。

忘年会は、終盤に差し掛かる。
毎度の事ながら、「加奈子」、「文」、「萃香」の3人での飲み比べが続いている。

ほとんどの者は、ダウンするか、帰るか・・・・

私も、一日の疲れと心地よい酔いで、その場で寝込んでしまった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

朝に目が覚める。
あいたた・・・これは二日酔いかしら?
痛い頭を抑えながら、ゆらゆらと起き上がる。

「み・・水・・・」

そこにはすでに霊夢が起きて、後片付けを始めていた。
私の姿を見るなり、「はい、これでしょ」と水を渡してくれた。

はぁ・・生き返る・・・・

痛い頭を抑えながら、一人で片付けをしている霊夢の手伝いをする。
毎回、これをほとんど一人でやっているんだ・・・

境内を見ると、完全に酔って呂律の回っていない3人が、多分意識がないのにもかかわらず、
まだ、飲み比べをやっていた。

その数分後。
大きないびきと共に、3人の戦いは終わった。

「起きていても、寝ていてもうるさい連中ね」
ボソッと霊夢が小言をいう。

しばらくして、頭痛も治まり、足取りも戻ったので、帰宅しようと
霊夢に挨拶し、神社を後にしようとした。

そのとき、「ちょっと待って!」と霊夢が私を引き止める。

こちらに、あわてて走ってくる霊夢。
その手には、なにか箱の様なものがあった。

「アンタにしか出来ない事を、お願いしたいのよ。」

と、持っていた箱を私に手渡した。

「?」なんだろう?

そして、その箱を開けてみる。
中に入っていたのは・・・・

かなりの数の「流し雛」。
それも、色とりどり・・・なんかオリジナリティ溢れるものもあったりする・・・・

「宴会が始まる前にね、来た人に折ってもらったのよ。今年一年の厄を、雛ちゃんに落としてもらおうってね」

私がここに連れてこられた本当に意味が分かった。

「本当は私がやってもいいんだけど、餅は餅屋と言うしね」
霊夢は、ちょっと照れくさそうに言った。

「・・・・分かりました、そう言うことなら、喜んでお引き受けいたします。
 責任を持って、厄を流させてもらいます」

そうして、その流し雛の入った箱を大事に持って、森の中にある小さな川へと向かう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

川辺で、ひざを崩して座る。
手を伸ばせば、水面に触れられる距離だ。
大切に箱を開けて、ひとつづつ流し雛を取る。

手に取った流し雛を一度額に当てる。
こうすると、この流し雛を折るときにこめられた思いが分かる。



さて、1体目。

 なんか、流し雛なのに、頭に大きな角?があるわ。
 さっそく額に当ててみる。

 『酒!酒!霊夢!霊夢!』

 ・・・なにかしら?これは厄ではない様な気がする・・・

 気を取り直して、川へ流す。


2体目。

 流し雛とは別に、なにか隣に丸っこいものがおまけ?で付いている。
 こんな流し雛あったっけ?
 では、さっそく。

 『最近、食費が掛かりすぎます。なんとかしてください。』

 え~っと・・・それはご本人に直接言ったが方いいのでは?・・・・


3体目

 全体が水色で統一されている、結構綺麗なものね。

 『お腹空いたわ。』

 前の流し雛の厄は、あんたが原因か?


4体目

 なんか、独特の姿勢をしているわね。

 『そーなのかー』

 そーなのよ~w


5体目

 これも水色だけど、なんか所々凍っているわ。

 『あたいってばさいきょう?』

 ええ、⑨では間違いなく最強よ。


6体目

 真っ白だけど、これもなんか少し濡れているわ。

 『ふとましくなんてないわ!服がそう見えているだけよ!』

 なんか、乙女の切実なお願いみたいね。


7体目

 なんか、頭のところに細い触覚?の様なものがあるわ。

 『来年こそは、女の子に見られますように・・。 あと、私は「G」じゃない!!』

 ・・・なんとも言えないわ・・・・・・


8体目

 あら、かわいい。背中にちいさな羽がついているわ。

 『来年こそは、捕食されませんように・・・』

 ・・・多分、無理だと思うわ・・・・


9体目

 なんか、流し雛からも哀愁が漂っている気がするわ。
 きっと、毎日殺伐したところにいるのでしょうね。

 『来年こそは、本名で呼ばれたい!』

 無理ね、中国。


10体目

 なんか、臭うわ・・・

 『私の靴下は臭くなんてないわ!!』

 いや、その匂いこそが厄。


11体目

 すごい器用ね。尻尾が9つもあるわ。

 『橙!橙!橙!橙!』

 なにかしら?偏った愛情を感じるわ。


12体目

 あら、こっちは尻尾が2つあるわ。

 『藍しゃま~藍しゃま~藍しゃま~』

 勝手にやってなさい!


13体目

 本体のほかに、小さい雛がたくさんいるわ。

 『魔理沙のバカ・・魔理沙のバカ・・・魔理沙のバカ・・・・』

 ものすごい厄を感じるわ。


14体目

 この流し雛は、なんか、かび臭いわ。

 『これ以上、本を持っていかれませんように・・・あ・・・けど、そうなると、魔理沙がこなくなっちゃうから・・・
  え~っと、え~っと・・・・』

 結局どっちよ?


15体目。

 あら?かわいらしい。うさぎみたいな耳がついているわ。

 『来年こそ、師匠の無茶な実験の実験体になる回数が減りますように。』

 なんか、まともね・・・・


16体目

 こっちもうさぎみたいな耳が付いているわ。けど、さっきのより小さいわ。

 『うさうさ』

 うさうさ?


17体目

 あら?これも器用な雛ね。赤と青とを上手く使い分けているわ。
 けど、なんか薬品臭いわ。

 『なにか面白い薬はないかしら? 手の形をした葉っぱとか、
  注射器を使う白い粉とか、鼻から吸う奴とか・・・』

 ・・・それは、「厄」じゃなくって、「ヤク」よ・・・・・・


18体目

 これも頭から角が生えているわ。

 『CAVED!!』

 私は遠慮するわ。


19体目

 体が小さいけど、背中から、なにかこうもりみたいな羽が付いているわ。

 『カリスマが欲しいです。お願いします。』

 ・・・・ノーコメントよ・・・・・・


20体目

 あら?これはすでにボロボロじゃない?

 『遊んでくれる?』

 遠慮させていただくわ。


21体目

 なんか、胸のところだけ強調されているような流し雛ね。

 『来年こそは、「パッド長」とか言われませんように』

 ・・・多分、無理ね・・・・・



22体目

 靴が独特ね。なにか高い下駄みたい。

 『もっと新聞が読まれますように』

 その前にもっとちゃんとした記事をお願いするわ。


23体目

 あら?この流し雛からしてすでにやる気がないのが分かるわ。

 『来年こそ、サボっているのが見つかりませんように』

 ちゃんと仕事しろ。


24体目

 体は小さいのに帽子は立派な流し雛ね。

 『部下がちゃんと働いてくれますように』

 部下のしつけは上司の責任!


25体目

 あら?なにか立派な着物を着ているみたいな雛ね?

 『来年も働かずに遊んでいられますように!』

 だから、仕事しろって!


26体目

 白黒の雛・・・・・

 『弾幕はパワーだぜ!』

 すでに厄じゃないし・・・・


27体目

 紅白の雛・・・・・しっかりと腋は出ているわ。

 『賽銭!金!賽銭!金!』

 厄じゃなくって、欲よね・・これ・・・・・


28体目

 なんか帽子に目がついているわ・・・

 『あ~う~』

 あ~う~


29体目

 あら?これは流し雛じゃないわ・・・男性みたいね?

 『キャスト・オフ!!』

 不潔よ・・・・


フゥ・・・なんか、すごい疲れたわ・・・・

最後に自分で流しますか・・・・


『来年もいい年でありますようにっ!!』


そういいながら、箱に残った流し雛を怒りにまかせて全部川にぶちまけて帰って行った鍵山さんでした。





 


いや・・ただただ、ごめんなさい。

苦有楽有
コメント



1.名無し妖怪削除
それぞれの個性がよく出てますね

籃しゃまと橙がすさまじい(笑)

あともこたん・・・
2.三文字削除
最後、怒ってたのかwww
3.名無し妖怪削除
雛ちゃんの常識人っぷりに萌えた。幻想郷の人達はフリーダムですね。
>まさか「門松」じゃなでしょうね!」
いが抜けています。あと括弧内括弧は二重鍵括弧『』の方が良いかと。
> 「CAVED!!」
周りが二重鍵括弧なので合わせた方が良いかと。
4.苦有楽有削除
ご指摘ありがとうございます。
さっそく修正させていただきました。
5.時空や空間を翔る程度の能力削除
笑える作品も良いですね。
強いって言えば5体目所を
⑨体目に持ってきて欲しかったかな~。