彼女はふと思った。『ああ、私も随分長生きしたものだ』と。
思えばいろいろなことがあったと、彼女は走馬灯を懐かしむ。
吸血鬼の姉妹。
亡霊のお嬢様とその従者。
永遠を生きる姫。
長いお説教の閻魔。
外からやってきた新たな神。
私がいなくなったらみんなどんな顔をするのだろうか?
ああ、でもあの閻魔には、むしろ会いに行くのか。
魔理沙、また会えるかな。
そういえばあのメイドはどうしたのだろうか?……ああそうだ。彼女はとっくに。
私は、これからのことを考えると、少しだけ、ほんの少しだけ怖い。
だけど、怖いからといって別段もっと生きていたいとは思わない。これが私の寿命なのだ。ならここまで生きれたことにむしろ感謝しようではないか。
そう思って、彼女はゆっくりと目を閉じた。
――霊夢。
目を閉じると、懐かしいあの声が聞こえた。
――よお、霊夢。お前は随分と長生きだな。
(悪かったわね、長生きで)
――いや別に責めるめてるわけじゃないさ。けどいいのか?お前ならもっと長生きする方法を知ってるんだろ?お前の知り合いに頼んで長生きさせてもらえばいいじゃないか。
(勘違いしないでよ。私は別に妖怪になりたいわけじゃないわ。半妖にも半幽にも。……いえ、私はきっと勘違いしてほしかったのね。
博麗として、中立を演じてきたのだけれど、心はやっぱり人間よりだったわ。
あ、でも勘違いしてほしいのは、中立を演じていたということだけ。決して妖怪を蔑ろにしていたわけじゃないわ、そこは勘違いしないで)
――ややこしいんだなぁ。霊夢はもっと気楽に生きてたほうが霊夢らしいぜ。
(そうね、どうも歳をとるとこんな考えばかり思いついちゃうのよ)
――元より年寄りじみてたくせにか?
(そうね……)
――ま、何はともあれ、来るんだったら案内ぐらいはしてやるよ。あの死神のところまで、だけどな。あのメイドもお前のことを待ってるんだぜ。
(そう。じゃあお願いするわね、魔理沙)
彼女は一番の親友に見守られて、とても微笑ましげであった。
こうして、博麗霊夢は、ゆっくりとこの世界を、去った。
「まだ生きてるわよ」
生きてた。
「突然ですが、このデリバリーえーりん。いろいろご不便な貴方を豊かにするために参上しました」
「うわ!…・・・本当に突然ね」
なぜか急に現れたのは、永遠の姫の従者。永琳だった。
「ずばり、貴方は今若返りの薬を捜し求めてますね」
「いや、ゆっくりとこの世を去ろうとしてたんですけど」
「ならお買い得のいい薬がありますよ」
「話聞いてる?」
永琳は自身の持っていた袋をがさごそと漁ると、そこから一つの一升瓶を取り出した。
「若返りの薬です」
「どう考えてもお酒よ、それ」
「このお薬、なんととってもお高いのです」
「へぇ、いくら?」
「50万」
「さようなら永琳。こんにちは魔理沙」
「――の所を、今ならたったの50円に!」
「さようなら魔理沙。こんにちは永琳」
さきほど冒頭で言ってたことやら、夢の中で魔理沙に言ってたことやらと違うことを言ってます霊夢さん。
きっとあの世で魔理沙も『現金なやつだぜ』と言ってる事でしょう。
「それじゃ、飲むわよ」
「まいど~」
霊夢は一升瓶を口に近づけて、ぐいっと一気に飲んだ。
暫くすると、霊夢の体は見る見るうちに若返り始めた。
皺はゆっくりと消え、背が段々と縮んでいく。
「凄い、本当に若返ってる」
と、霊夢が発した言葉も若かりしころの言葉そのもの。
ごめんね魔理沙。そっちに行くのはもう少し後になるわ。と詫びを入れて、霊夢は若返った体をゆっくりと堪能することにしたのだった。
――1分後――
「……」
「……」
霊夢は若返りました。予想以上に。
「ちょっと。これはどういうことなのよ」
「いや~……」
霊夢の姿にあまり困った顔を面に出さない永琳。彼女は彼女で楽しんでるのかもしれない。
「よしょういじょうに、ちいさくなりしゅぎよ!」
呂律が回ってません。
「まぁいいじゃない。可愛いんだし。……改良の余地あり、と」
「ちょっと!どうにかしなさいよ」
「それでは、またのご利用お待ちしております~」
といって、永琳はその場から去ってしまった。
「こら!まて!まちなさいよ~!このからだを、なんとかしなさ~い!もうこうなったら、スペカはつどうするわよ!
『むしょうふういん!』……って、ろれつがまわらないから、はつどうしない!ま、まちなさ~い!!」
……
「は!……ドリームか」
終わり(夢落ち)
思えばいろいろなことがあったと、彼女は走馬灯を懐かしむ。
吸血鬼の姉妹。
亡霊のお嬢様とその従者。
永遠を生きる姫。
長いお説教の閻魔。
外からやってきた新たな神。
私がいなくなったらみんなどんな顔をするのだろうか?
ああ、でもあの閻魔には、むしろ会いに行くのか。
魔理沙、また会えるかな。
そういえばあのメイドはどうしたのだろうか?……ああそうだ。彼女はとっくに。
私は、これからのことを考えると、少しだけ、ほんの少しだけ怖い。
だけど、怖いからといって別段もっと生きていたいとは思わない。これが私の寿命なのだ。ならここまで生きれたことにむしろ感謝しようではないか。
そう思って、彼女はゆっくりと目を閉じた。
――霊夢。
目を閉じると、懐かしいあの声が聞こえた。
――よお、霊夢。お前は随分と長生きだな。
(悪かったわね、長生きで)
――いや別に責めるめてるわけじゃないさ。けどいいのか?お前ならもっと長生きする方法を知ってるんだろ?お前の知り合いに頼んで長生きさせてもらえばいいじゃないか。
(勘違いしないでよ。私は別に妖怪になりたいわけじゃないわ。半妖にも半幽にも。……いえ、私はきっと勘違いしてほしかったのね。
博麗として、中立を演じてきたのだけれど、心はやっぱり人間よりだったわ。
あ、でも勘違いしてほしいのは、中立を演じていたということだけ。決して妖怪を蔑ろにしていたわけじゃないわ、そこは勘違いしないで)
――ややこしいんだなぁ。霊夢はもっと気楽に生きてたほうが霊夢らしいぜ。
(そうね、どうも歳をとるとこんな考えばかり思いついちゃうのよ)
――元より年寄りじみてたくせにか?
(そうね……)
――ま、何はともあれ、来るんだったら案内ぐらいはしてやるよ。あの死神のところまで、だけどな。あのメイドもお前のことを待ってるんだぜ。
(そう。じゃあお願いするわね、魔理沙)
彼女は一番の親友に見守られて、とても微笑ましげであった。
こうして、博麗霊夢は、ゆっくりとこの世界を、去った。
「まだ生きてるわよ」
生きてた。
「突然ですが、このデリバリーえーりん。いろいろご不便な貴方を豊かにするために参上しました」
「うわ!…・・・本当に突然ね」
なぜか急に現れたのは、永遠の姫の従者。永琳だった。
「ずばり、貴方は今若返りの薬を捜し求めてますね」
「いや、ゆっくりとこの世を去ろうとしてたんですけど」
「ならお買い得のいい薬がありますよ」
「話聞いてる?」
永琳は自身の持っていた袋をがさごそと漁ると、そこから一つの一升瓶を取り出した。
「若返りの薬です」
「どう考えてもお酒よ、それ」
「このお薬、なんととってもお高いのです」
「へぇ、いくら?」
「50万」
「さようなら永琳。こんにちは魔理沙」
「――の所を、今ならたったの50円に!」
「さようなら魔理沙。こんにちは永琳」
さきほど冒頭で言ってたことやら、夢の中で魔理沙に言ってたことやらと違うことを言ってます霊夢さん。
きっとあの世で魔理沙も『現金なやつだぜ』と言ってる事でしょう。
「それじゃ、飲むわよ」
「まいど~」
霊夢は一升瓶を口に近づけて、ぐいっと一気に飲んだ。
暫くすると、霊夢の体は見る見るうちに若返り始めた。
皺はゆっくりと消え、背が段々と縮んでいく。
「凄い、本当に若返ってる」
と、霊夢が発した言葉も若かりしころの言葉そのもの。
ごめんね魔理沙。そっちに行くのはもう少し後になるわ。と詫びを入れて、霊夢は若返った体をゆっくりと堪能することにしたのだった。
――1分後――
「……」
「……」
霊夢は若返りました。予想以上に。
「ちょっと。これはどういうことなのよ」
「いや~……」
霊夢の姿にあまり困った顔を面に出さない永琳。彼女は彼女で楽しんでるのかもしれない。
「よしょういじょうに、ちいさくなりしゅぎよ!」
呂律が回ってません。
「まぁいいじゃない。可愛いんだし。……改良の余地あり、と」
「ちょっと!どうにかしなさいよ」
「それでは、またのご利用お待ちしております~」
といって、永琳はその場から去ってしまった。
「こら!まて!まちなさいよ~!このからだを、なんとかしなさ~い!もうこうなったら、スペカはつどうするわよ!
『むしょうふういん!』……って、ろれつがまわらないから、はつどうしない!ま、まちなさ~い!!」
……
「は!……ドリームか」
終わり(夢落ち)
>思わず突っ込んでしまった方々
夢落ちだから思わず突っ込みたい。そんな衝動を逆手にとった変な話でした。本当にありが(略
>本質を見抜いた方
おめでとうございます。勝ち組かもしれません。でも商品は何もありませんです、悪しからずです。
>それとは関係なしに吹いちゃった方
元ネタは鼻毛真券……。実は分かってたとかですか?
ともあれ、感想ありがとうございました。
最近の同人誌のイメージのせいか実は予定通りとほくそえんでる永琳(幼女好き)を幻視した。
難波ともあれ→何はともあれ かと
糞ワロタwww
>誤字訂正してくださった方
東方の同人誌は持ってないので分からないですが。永琳のその設定はガチだと思います。というか、『難波ともあれ』ってこれで正解だと思ってましたorz
訂正ありがとうございますです。
>ドリームでつぼった方
ありがとうございます。笑ってくださるのが一番嬉しいです。これからも笑ってください。年明けとかに。
それでは、感想ありがとうございました。