Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

死ぬ度に

2007/12/26 21:14:15
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「よぅ、久しぶりだね」
「ああ、最近は勝ち続きだったから」


話しかけた方の少女が、どこからか煙管を取り出した。

「丁度いい、火をくれないか」
「・・・いいのかい、仕事は」
「今は休憩中さ」
「はっ!お前は会う度に休憩中だな」

そうかもねぇ、といつの間にか火が入った煙管を咥えながら
苦々しげに少女は答えた。

「まあ、この間の異変から見ればまだマシな方だな。」
「そりゃ当然、あたいだって真面目に働くさね。たまには。」
「異変が起きるまでサボり続けた女が、よく言うよ」
「身の締まる思ですよぅ。まったく。」

どっこらせ、と肩に担いでいた巨大な鎌を舟に立て掛け、
先ほどから胡坐をかいて座っている少女の隣に腰を下ろした。

「ばばくせえ」
「お互い様」

くだらない会話だ、と思いながらもお互い笑みを浮かべている。

「あとどれくらい此処に居られるんだい?」
「ん、一分くらいかな」

そうか、とぷかぷか煙管を吸いながら。
少し残念そうな顔をした。

「しっかし、見れば見るほど変な鎌だね、それ」

岸辺に付けてある舟に立て掛けた鎌を見て言った。

「別に何に使うわけでも無いんだけどね。飾りさ飾り」

「いやね、他の死神の鎌も見たことあるんだけどさ、
 こんなに刃が波打ってるのは他に見たこと無い。」

「持ち主の根性でも表してるんだろうよ。」

ちがいない、と二人して笑った。

「おっと、お前さんも要るかい?」
と、思い出したように煙草を取りだした。

「ありゃ?」

隣に座っていたはずの少女は、いつの間にか消えていた。

「せっかちなお客様だね。」
誰に言うでもなく一人ごちる。

川岸には既に、煙管を咥えた少女が一人
周りにぷかぷかと浮かんでいる魂が、まだかまだかとぷかぷか上下する。

「あーはいはい、タイタニック号そろそろ出航ですよーっと」

そろそろ運ばないと上司が此処まで出張してきちまう。
可愛い顔して説教癖のある閻魔の顔を思い出し、煙管の火を消した。

可愛いか?と自問し、いや可愛いねと自答した。

「三途の川の渡り賃は六文だよー!可愛い閻魔様にシバか・・・
 いや裁かれたい魂はこっち寄っといでー!」

煙管に火が入る前から大分続いていた休憩を終え、三途の川の渡し守は舟を出す。


「何、六文持ってないのかい?あー、んじゃあっちの金持ちの魂から少し貰っといで」


仕事が遅いのはご愛嬌、今日も気ままに幻想の魂を彼岸に運ぶ。

「じゃータイタニック号出航ー!」

姐さん肌の船頭が、魂達の思い出話に耳を傾け、今日ものんびり舟を漕ぐ。








リザレクショーン







そんな声が、遠くで聞こえた気がした。
初投稿です。
絵板で見た小町と妹紅の作品が忘れられず、思いつくままに書いてしまいました。
妹紅とか死ぬ度に三途の川に行ってたらこんな感じですかね。
拙い作品ですが最後まで読んでくださって本当に有難う御座います。
乳輪大納言
コメント



1.名無し妖怪削除
この分だと輝夜はどうなるんだろうかね?
2.名無し妖怪削除
実はこの二人の組み合わせって結構好きだったりする。百合的な意味じゃなくて。
3.名無し妖怪削除
渡し賃に関してアバウトwww
4.名無し妖怪削除
こんなにのんきなタイタニック号だったら乗ってもいいなぁ
これなら今はちょっと忙しくてもいいかなと
5.名無し妖怪削除
タイタニックだったら沈むだろwww
どうでもいいですが、小町の鎌について。
「フランベルジェ」というこれも刃が波打っている剣があるのですが、
これは傷口を広げる役割があったそうです。
……小町怖っ。