注:この文章には『うー』と『みょん』及び『激しいぶっ壊れキャラ』が含まれております。 それらをお嫌いな方は気分が悪くなる前にお戻りください。
なおこの文章は私BOUZUが先に投稿しました『みょんむ~みょん!』の続きっぽいです。
かつて悪魔が発生させた霧で真紅に染まった湖があった。
博麗の巫女の活躍で、現在は穏やかな波が冬の日差しを反射してきらきらと輝いている。
その湖畔をゆったりと飛ぶ二つの影があった。
「いいかい? お前も判っているとは思うけど、これから行く場所は幻想郷の中でも特に恐れられている紅魔館だ。 先ほどの霊夢さんのように
優しくしてくれるかわからないからな? 失礼のないようにご挨拶するんだよ。」
隣の幼い影の手を引きながら注意を促しているのは白玉楼の庭師にして西行寺 幽々子の護衛兼指南役の魂魄 妖夢である。
「みょ!みょんみょん!」
判っているのかいないのか、とにかく元気ににこっと返事を返すは妖夢の半身である半霊 魂魄 みょんむ(霊夢命名)なのだった。
先ほど博麗神社にて霊夢とすったもんだの問答を繰り広げつつも無事に挨拶を済ませ次は紅魔館へと向かうところである。
「大丈夫かなぁ・・・? 私もあまり紅魔館にはお邪魔したことがないし、あそこには咲夜さんがいるからなぁ・・・・。」
実は妖夢、幽々子に命ぜられるままに幻想郷中の春を集めた折、三人の人間に敗れている。
一人は魔法の森に住む黒白な魔法使い、霧雨 魔理沙。 次に先ほど会って来た博麗 霊夢。
最後に紅魔館の完全にして瀟洒なメイド 十六夜 咲夜。
特に咲夜との一戦では、共に主人に仕える身であり、同じ刃物を扱うもの同士いろいろと似たことを背負う一戦。
妖夢はまだまだ未熟だという自覚はあったけれど、それでもそんじょそこいらの輩には負けないという自負があった。
その戦いで妖夢は己の全ての攻撃を、咲夜の操る短剣で捌かれ切ってしまったのだった。
投げナイフとはいえど、刀とナイフのリーチの差を完全に覆されて押さえ込まれてしまったショックは大きい。
さらに魔理沙と霊夢は宴会等でわりと声をかけてくれたりするのだが、咲夜は自分と同じく主人に仕える従者の身であるから
基本的に主人のそばから離れないため会話する機会が少なかった。
そんないくつかの理由から妖夢は他の二人より若干ではあるが咲夜に苦手意識のような物があった。
「みょ? みょみょん~」
くいくいと腕を引かれて視線を上げるともう紅魔館は目の前に迫っていた。
☆★☆★
「こんにちは、美鈴さん。」
紅魔館の門前で堂々と直立している人物に声をかける。
「あら、こんにちは妖夢さん。 久方ぶりですねぇ、この前の宴会騒ぎ以来ですか?」
と拳を手のひらで包む型の挨拶で返してれました。 彼女の出身地の挨拶の仕方なんだそうです。
「みょんむ!」
先ほどと違い今度は自分から挨拶に行くみょんむ、 うん・・・偉いよ。
「あらら? これはまた可愛らしいですねぇ。 はい、こんにちは。 お嬢ちゃんお名前は?」
霊夢と同じくみょんむの視線に合わせて会話をしてくれています。
「みょん! みょんむ~みょん!」
自己紹介も二度目になると慣れてきたのか身振り手振りを交えて元気いっぱいだ。
「はい、みょんむちゃんね? お姉さんは『紅 美鈴(ほん めいりん)』っていうの。 紅 美鈴よ? 忘れないでね!」
「みょん! みょんみょ~みょん・・・みょん!」
「うふふ、覚えてくれた? ありがとね! 間違っても中国って呼ばないでね? お姉さんからのお願いよ?」
「みょん!」
・・・やたらと、名前を強調しているなぁ・・・ なにか名前について嫌なことでもあったのでしょうか?
「はぁ~、それにしても素直で純ないい子ですねぇ~。 この子あの半霊の子ですよね?」
おや、紹介する前から何故わかったんでしょう?
「ああ、 私の能力は気を操ることですから。 当然、気の形や色、密度、そして香りなんかもわかったりするんですよ。」
私の顔に疑問が浮かんでいたのか、そう教えてくれる美鈴さん。
「みょんむちゃんと妖夢さんの気、何から何までそっくりですからね。 親兄弟でもここまで同じってことはないんですよ。」
へぇ、勉強になるなぁ。
「レミリアお嬢様とフランドールお嬢様も色は同じですが、香りと感触が全然違うんですよ~。」
「と、いいますと?」
「レミリアお嬢様はとても甘い香りでふんわりしているんです。 まるで仙桃の果汁の霧のような、その香りに誘われて中に入り込むと
霧に包まれて二度と出てこれなくなるような、そんな感じなんです。」
「へぇ~」「みょ~」
「対してフランドールお嬢様は鮮烈なクランベリーの香りですね、でもそのラズベリーは茨の壁に囲まれているんです。
近づく者を容赦なく切り刻みます。
でも茨の壁の中のクランベリー・・・・ずっと優しく摘み取ってもらえるのを待っているように感じるんですよね・・・・」
「「・・・・・」」
そうです、紅魔館にはお二人のお嬢様がいます。 お一人は紅魔館の主人であるレミリア・スカーレット。
そして、もうお一人はレミリアさんの妹であるフランドール・スカーレット。
幻想郷で二人きりの姉妹であるはずなのに、ある理由でフランドールさんは地下に幽閉されていたと聞いています。
そのせいでお二人はお互いに誰よりも求め合っているのに、ぎこちない接し方しか出来ていないとも魔理沙さんが話していました。
「あ・・・あれ? ああ!すいません! 門番に過ぎない私がなんか似合わないこといっちゃいましたね! あはっ! あははははは!」
重くなってしまった空気を誤魔化すように美鈴さんが明るく笑う。
「そうです! 今日はみょんむちゃんのお披露目にいらっしゃったんでしょう?
今日はちょうど新月ですしれみりゃさまとふりゃんさまのよいお友だちになれ・・・」
ヒューーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・ドスン! ズドッ!ズドドドドドド!
「みょっ!?」
「なぁっ!?」
なにが起こったんでしょう!? 笑う美鈴さんの上空から、突然樽が落ちてきたと思いきや一瞬で樽がナイフでめった刺しに!??
「今日は特に警戒を強めなさいと朝に言ったはずなのに、何をお気楽に世間話をしているのかしら? 美鈴・・・・。」
「しゃ・・・・しゃくやしゃん・・・・」
いつの間にか門の前に立っているすらりとした美貌の持ち主、完全で瀟洒なメイド、十六夜 咲夜さん。
「本当にいつもいつも、少し目を離すと居眠りするわ部下と賭け麻雀するわ黒白泥棒鼠に突破されるわ湖の氷精に嘗められるわ・・・。」
「今日という今日は、骨の髄までお仕置きが必要なようね。」
「ひっ! ひ~~~ん、それだけは~ご勘弁を~ごめんなさいごめんなさい~。」
片手で3本のナイフをジャグリングしながら威圧するように樽の周りをゆっくりと歩く咲夜さん。
っていうか、樽に押し込めた上にナイフでハリネズミにしたのはお仕置きに含まれないのでしょうか・・・。
「ねぇ 美鈴? 私ちょっとしたゲームを思いついたのよ。」ヒュン! ズドォ! 「ヒィ!」
「この前香霖堂でみつけたんだけれどねぇ・・・ 」 ヒュンヒュン! ズガドス! 「にょわ! ひょおお!」
「樽の中に人形を押し込んでナイフで少しずつ刺し貫いていくの。 そしてだんだんと逃げ場がなくなっていってね・・・」 ヒュンヒュンヒュン!
「しゃ、しゃくやしゃんっ! もう、逃げ場g(ドドドスっ!)おわぁああああああっ!」
「最後に人形はナイフに突かれて・・・・飛ぶのよ!」 ヒュン! ズ ド ン!
「アッーーーーーーー!」
最後の一撃で樽は粉砕、美鈴さんはビョイーンと樽から飛び出して湖の真ん中当たりまで飛んで入ってしまった・・・・
お尻にグッサリとナイフが刺さったまま・・・・
「「・・・・」」
「紅髪中国危機一髪! 仕置き完了・・・あら? 妖夢じゃない。」
「こ、こんにちは咲夜さん。」
「門の影に隠れて館内から見えなかったけれど、あなただったのね。」
「ええ・・・」
「それで? 今日は何の御用かしら? 今日はアポ有りじゃないと館内に通すわけにいかないのだけれど・・・」
「あ、はい。 今日はこの子を紹介しに来たんですよ。 ほらみょんむ、ご挨拶を。」
と先ほどの出来事ですっかりビビってしまって、私の足にしがみついているみょんむを促すけれど
「みょ・・・・みょん~~~。」
ちょっと、前に出てみる物のやっぱり怖いのかすぐに私の後ろに隠れてしまいました。
「あらら、 すみません恥ずかしがりやなもので・・・・」
と少し苦しい言い訳をしてみたりして・・・。
「・・・・・・・・・・」
あちゃ・・・・やっぱり気分を悪くしちゃったかな?
「咲夜さん?」
先ほどからみょんむを見つめて微動だにしない・・・これはかなり怒らせてしまったかも・・・。
「そ、それでは! 今日はご挨拶だけのつもりでしたのでこれにて失礼しますね? レミリアさんや他の方々にはまた後日ご挨拶に伺いますそれでは!」
っと飛び発とうとした時。
「まちなさい!」
「ぅはいっ!」
「ぅみょんっ!」
後ろからものすごい強烈な気配が立ち上がりました・・・音にするとゴゴゴゴゴゴゴゴg・・・・といった感じでしょうか。
恐る恐る振り向くと・・・・。
「いやぁーーーーーん、かわいいぃいいいいいいいいい!!!!!」
瀟洒!瀟洒!瀟洒!(ズダダダ♪)瀟洒!瀟洒!幼女!(ズダダダ♪)瀟洒!幼女!幼女!(ズダダダ♪)幼女!幼女!幼女!!!!!!!!
☆★☆★
突然の嬌声に驚くや否や、風景ががらりと切り替わりました。 どうやら咲夜さんの能力である時間を操る能力で停止させられたまま運び込まれたようですね。
ふわふわのソファーに転がされていたようです・・・む?みょんむがいない・・・・。
(きゃー! きゃははは。)
と隣から子供のはしゃぐ声が聞こえてきます。
(かわいい! かわいいぜ!ふりゃん!)
・・・なにか、聞き覚えのある声も聞こえました・・・いってみましょう。
「みょん!」「きゃはは!まってー!みょんむちゃん!」
扉を開けるとまずみょんむが走り回っているのがみえました・・・とその後ろに紅い服を着て七色の羽根を持った女の子もみえますね。
さっきの声はこの子かな? それと・・・見覚えのある三人が・・・・
「おう!起きたか? 白玉楼二百由旬を一瞬で駆け抜ける割には術が解ける音速は遅かったな!」
彼女は霧雨 魔理沙さん、先の事件で私を打ちのめした人間の一人でもあり、よく白玉楼からも物を盗んでいく手癖の悪い黒白魔法使いです。
彼女の魔法は彼女の信条である「弾幕はパワー」の通り、人間とは思えないほどの膨大な魔力での一撃必殺で決めてきます。
撃たれると思ってから避けていたのでは間に合わないほどの高威力、広範囲は幻想郷でも一、二を争うのではないでしょうか。
「あら・・・おきたのね。 悪いけれど、みょんむにはふりゃんの遊び相手になってもらっているわ。」
そんなに眠いのですか?と思わず聞きたくなってしまうほどボンヤリした眼差しの彼女はパチュリー・ノーレッジさん。
紅魔館の図書館の館長でレミリアさんの親友らしいです。
動かない大図書館との異名を持つとおりその知識の量は膨大で、何度か手合わせしたことがあるのですが毎回違うスペルカードを使ってくるほど魔法の腕
も強大です。
「久しぶりね、妖夢? 宴会騒動以来かしら?」
・・・・・えーと、彼女は・・・・だれだっk「アリス!」
「アリス・マーガトロイド!」
そうそう、アリスさんでした。 彼女は魔理沙さんと同じく魔法の森に住んでいる魔法使いで友達が片手でも余るくらいしかいないさみs「こら!」
「なんでしょう?」「何か失礼なことを考えていたでしょう!」「いいえ、滅相もない」
まぁ人形をあわせればそれなりに友達がいるかもしれない。
彼女の魔法はとても理性的で計算高い弾幕を放ってきます。
魔力自体にはさほど脅威を感じないのに気がつくと追い詰められているという少々厄介な魔法です。
まぁ裏を返せば威力が足りないから奇をてらった攻撃でひきつけて後ろからグッサリと言ったわりとせk「ほんといい加減にしなさいよ!!」
「もう・・・人の思考にいちいち割り込まないでくださいよ。」
「あなた考えてることがいちいち顔に出てるのよ!」
う・・・顔に出てましたか。 剣士として相手に心情を悟られるなんて未熟の極みです、気をつけなきゃ・・・。
まぁ、それはさておき
「今日は皆さんおそろいでどうなさったんですか? 先ほど咲夜さんからアポ無しでは入れないと伺ったんですが。」
「ああ・・・今日は新月だから、レミィとフランが極端に無防備になってしまうの。 だからレミリアとフランが心を許している相手しか通さないのよ。 あなたは咲夜のお眼鏡にかなう可愛いお友達を連れてきてくれたから例外だそうよ。」
私の質問にパチュリーさんが答えてくれる。
「なるほど、魔理沙さんはフランさんとの弾幕勝負で勝っているんでしたね。」
「そうだぜ、いまでも時々相手をしているしな!」
ニッ!と笑って魔理沙さん。
「でも、そうなるとアリスさんはどういった繋がりで?」
「それは、私の以来よ・・・・。」
またも、パチュリーさんが答えてくれる。
「フランのね情操教育に、人形劇を公演してもらっているの。 フランの好きな絵本を中心に人形を手作りしてもらう所から見せてもらっているわ。」
「そういうこと、物を作るということがどういうことかを学んでもらっているって訳よ。 最初の頃なんか大変だったんだから! 待つことに飽きた
フランが弾幕ゴッコを初めて、それを避けながら針仕事をしたり台本を覚えたり・・・・。」
・・・・なんていうか器用ですね・・・・真似は・・・したくないけど。
「あと、なぜあの子の名前が判ったんです?」
「あの子が、ちゃんと自己紹介してくれたわよ」
「ああ、それに名札もついてるしな!」
そうでしたか、偉いぞみょんむ・・・・ん?名札?
バッとみょんむを振り返るとみょんむの胸元に『こんぱく・H(HAKUREI)・みょんむ』と書かれた名札・・・いやお札が・・・・
あの腋巫女いつの間に・・・
「みょん!」「おねーちゃんだぁれ?」
と今まではしゃぎまわっていたふたりが私の両足にみとみとっ!としがみついて来ました。
「ああ、私は魂魄 妖夢、みょんむのお姉ちゃんみたいなものなんだよ。」
「みょん!」
みょんむが嬉しそうにバンザイする。
「そうなんだー、ふりゃんはね、ふりゃんっていうんだよ? れみりゃおねーしゃまのね、いもうとなんだよ。」
ふりゃんちゃんはお姉ちゃんという単語で納得したのかニッコリ笑って自己紹介してくれました。 ・・・にしても。
「これが、新月で無防備になるということなんですか?」
「ええ、その通りよ。 月の魔力が低下すると、その影響を最も大きく受けている種族の吸血鬼は幼態化してしまうの。」
「そうでしたか・・・」
「体の強度は人間よりかはよっぽど強いけれど、それでも大きく低下してしまうしね。」
そういってパチュリーさんはふりゃんちゃんの頭を優しくなでる。
ふりゃんちゃんは嬉しそうにパチュリーさんの腰にしがみついて甘えている。
「あ! 抜け駆けするなんてずるいぜパチュリー!」
「そうよ! つぎふりゃんを撫でるのは私だったはずでしょう!」
怒る二人をまるで相手にせず
「それに、戦うべき相手は紅魔館の中にも存在する・・・」
え?
「れみぃが懐いていることをいいことに新月時にずっとれみぃを独占し続けている者がいるわ」
それは・・・
「お待たせしました。 れみりゃお嬢様がなかなかお起きにならなくて、思わずいろんな角度から眺めたり撫でたりキスしたり舐めたり匂いを嗅いだり
ぷにぷにしたりさすさすしてみたりネチョネチョしてみたりしていたら遅くなってしまいましたわ。」
いきなり問題発言を乱射しながら咲夜さんが部屋に入ってきた。
その咲夜さんの首に腕をからめて抱かれているのは・・・紅魔館の主人にして紅い悪魔、レミリア・スカーレットさんでした。
「咲夜、約束の刻限を30分もオーバーしているじゃない。 時間も守れないなんて完全で瀟洒なメイドの名が泣くわね?」
突然、場の皆が殺気立った。 パチュリーさんのみならず、魔理沙さんとアリスさんも臨戦態勢です。
うわわ!パチュリーさん、いつもは眠そうな半目なのに今は目を限界まで「くわぁっ!」と見開いてる! 怖!
うひ! 魔理沙さん肩を箒でポンポンたたきながら眉間に「キュゥウ!」としわ寄せてる! ガラ悪!
ぶは! アリスさんにいたっては体を半身にして拳を「ギュォオオ!」と握り、額に「ビキビキビキ!」と青筋を立ててかつ、口を半開きにしてる!
もう訳がわかりません! とりあえず威嚇してます!
「あら?図書館の奥で年がら年中、本ばかり読んでる石潰しと約束をした覚えなんてありませんわ。 おまけに黒白鼠と七色⑨(ピー)まで引き込んで、
埃が立って仕方ありませんわ。 れみりゃ様とふりゃん様の肺が穢れる前にお掃除(ぶっ殺)しますわよ?」
ひぇえええ! 咲夜さんの目が紅い! 怒ってる!咲夜さんも殺る気だ!どうしよう!?私はいったいどうすれば!?
「うー?さくやぁ?どうしたのぉ?」
おや?咲夜さんの腕に抱かれていたレミリアさん・・・いや今はれみりゃちゃんか・・・目を覚ましたようですね。
「いえ、お嬢様なんでもありませんわ。 少々、パチュリー様に時間に遅れたお詫びをしていただけですわ。」
「ええ、そうよ。 なんでもないのよれみぃ、れみぃのためなら1世紀だって待って見せるわ。」
「ああ、よく起きて来たな偉いぞれみりゃ、なでなでしてやるぜ」
「ほんとに偉いわね、そしてかわいいわ!れみりゃ!かわいいわ!」
咲夜さんの顔が一瞬でこの上なく優しく暖かなものに切り変わった。 その変わり様は人食い鬼神から子を守る神へと転身した鬼子母神のようだった。
その隙を利用してパチュリーさんと魔理沙さんとアリスさんは一気にれみりゃちゃんへと肉薄する。
「うー、れみりゃまだねむねむなのぅ・・・」
目を小さな握りこぶしでくしくしと擦る様は、なんとも子供らしく可愛いものでした。 私もちょっと胸のおくがほわほわとあったかくなってしまいました。
「お、おぢょうさまっ!な、なんて可愛らしい! そんなおぢょうさまを見てると私・・・私・・・!ああああああああ!」
「れみぃ、抱きたいわはぁゲホガフ!・・・、れみぃれみぃはぁはぁゲッホゲホヒュー・・・ヒュー・・・」
「れみりゃ、お前はなんて罪なやつなんだ、弾幕ゴッコじゃほとんど負け無しの私を弾も使わず撃ち落すなんて・・・。」
「れみりゃ、お人形にしてずっと閉じ込めたい・・・ハァ、着せ換えしたい・・・アァ、食べたい・・・。」
・・・・が、私以外の4人は胸の奥どころか頭まであったかくなっているようです。
感極まってトんでしまいそうになったり、喘息の発作になったり、幼女相手に口説いたり、サイコに走ったり・・・・
「総じて突っ込めばお前ら全員その趣味かあああ!!!」
「れみりゃおねーしゃまばっかりずるい!ふりゃんも!ふりゃんもぉ!」「みょんみょん!みょんむ~!」
先ほどかられみりゃちゃんばかりに注目が集まってヤキモチを焼いたのか、ふりゃんちゃんとみょんむが四人の足元で地団太を踏んでいました。
「あ、ふりゃん!さくやぁおろしてぇ!」
二人の様子に気がついたのか下に下ろしてほしいとジタジタする。
「ふりゃん!」「おねーしゃま!」「みょん!」
咲夜さんが名残惜しそうに下に下ろすと、ととてててと走り寄りきゅーっと抱き合う。
ああ、こんなに小さくてもやはり最愛の姉妹なんだなぁ。 こういう風景を愛おしいというんだろうなぁ。
「ああ!、ダメです!姉妹丼だなんて!!もうだめです、私トんじゃう~!」
「ガッハゲヘゴホヒュー・・・、 れみガホヒュー・・・」
「ああ、二人で私の心をを散り散りに引き裂きやがって・・・愛してるぜ二人とも・・・」
「れみりゃ・・・の人・・形と・・・・ふりゃんの人形・・・・で私を・・・挟んで五寸釘・・・でゴッスンゴッスンして・・・エヘヘヘヘ」
ああ、もうお前らもう休んでください・・・鼻だけならまだしも耳からもナニか出てるから。
「ねぇ、あなただぁれ?」「みょん?」
おっと、れみりゃちゃんがみょんむに興味を示したようです。
「みょん?」 「みょんむ?」
れみりゃちゃんが不思議そうに首をコクッとひねります、それを真似してみょんむもひねる。
「みょんむ?」 「みょんむ~?」「う~?」
さらに、面白がってふりゃんちゃんもひねります。
「「う~?」」 「みょんむ?」 「「う~!」」 「みょんむ!」 「「う~♪」」 「みょんむみょん♪」 「「う~☆」」 「みょんむ☆」
ああ、可愛らしいですねー、純真無垢な子供たちはこんなことでも楽しめてしまうんですね。
「「「「あああああああ!もうだめー!」」」」
「ア゛リ゛!」(ブッシュー!)
「マ゛リ゛!!」(ブッシュー!)
「パッチェ!!!」(ブッシュー!)
「ザ グ ヤ゛!!!!」(ブッシュシュシュシュー!)
ああ、背後で不純で穢れまくった人たちの汚らしくて200X年っぽい破砕音とか聞こえてきますけどもう気にしません・・・・・
☆★☆★
あのあと体中から何かを垂れ流し続ける四人を紅魔館の庭に埋め、ちょうど戻ってきた美鈴さんに「「うー☆」」疲れで眠ってしまった二人のお嬢様を
託して紅魔館を後にした。
「たのしかったかい?」 「みょん!」
あれだけ二人のお嬢様と遊んでいたのにみょんむはまだまだ元気なようですね。
「それじゃ、次の場所に挨拶に向かおうか。」 「みょーん!」
くいくい、みょんむが繋いだ手を引いてくる。
「ん?」 「みょん! みょ~んみょんみょん!」
「すまない・・・あと数ヶ月は、もう紅魔館には近寄りたくないんだ・・・・」
なおこの文章は私BOUZUが先に投稿しました『みょんむ~みょん!』の続きっぽいです。
かつて悪魔が発生させた霧で真紅に染まった湖があった。
博麗の巫女の活躍で、現在は穏やかな波が冬の日差しを反射してきらきらと輝いている。
その湖畔をゆったりと飛ぶ二つの影があった。
「いいかい? お前も判っているとは思うけど、これから行く場所は幻想郷の中でも特に恐れられている紅魔館だ。 先ほどの霊夢さんのように
優しくしてくれるかわからないからな? 失礼のないようにご挨拶するんだよ。」
隣の幼い影の手を引きながら注意を促しているのは白玉楼の庭師にして西行寺 幽々子の護衛兼指南役の魂魄 妖夢である。
「みょ!みょんみょん!」
判っているのかいないのか、とにかく元気ににこっと返事を返すは妖夢の半身である半霊 魂魄 みょんむ(霊夢命名)なのだった。
先ほど博麗神社にて霊夢とすったもんだの問答を繰り広げつつも無事に挨拶を済ませ次は紅魔館へと向かうところである。
「大丈夫かなぁ・・・? 私もあまり紅魔館にはお邪魔したことがないし、あそこには咲夜さんがいるからなぁ・・・・。」
実は妖夢、幽々子に命ぜられるままに幻想郷中の春を集めた折、三人の人間に敗れている。
一人は魔法の森に住む黒白な魔法使い、霧雨 魔理沙。 次に先ほど会って来た博麗 霊夢。
最後に紅魔館の完全にして瀟洒なメイド 十六夜 咲夜。
特に咲夜との一戦では、共に主人に仕える身であり、同じ刃物を扱うもの同士いろいろと似たことを背負う一戦。
妖夢はまだまだ未熟だという自覚はあったけれど、それでもそんじょそこいらの輩には負けないという自負があった。
その戦いで妖夢は己の全ての攻撃を、咲夜の操る短剣で捌かれ切ってしまったのだった。
投げナイフとはいえど、刀とナイフのリーチの差を完全に覆されて押さえ込まれてしまったショックは大きい。
さらに魔理沙と霊夢は宴会等でわりと声をかけてくれたりするのだが、咲夜は自分と同じく主人に仕える従者の身であるから
基本的に主人のそばから離れないため会話する機会が少なかった。
そんないくつかの理由から妖夢は他の二人より若干ではあるが咲夜に苦手意識のような物があった。
「みょ? みょみょん~」
くいくいと腕を引かれて視線を上げるともう紅魔館は目の前に迫っていた。
☆★☆★
「こんにちは、美鈴さん。」
紅魔館の門前で堂々と直立している人物に声をかける。
「あら、こんにちは妖夢さん。 久方ぶりですねぇ、この前の宴会騒ぎ以来ですか?」
と拳を手のひらで包む型の挨拶で返してれました。 彼女の出身地の挨拶の仕方なんだそうです。
「みょんむ!」
先ほどと違い今度は自分から挨拶に行くみょんむ、 うん・・・偉いよ。
「あらら? これはまた可愛らしいですねぇ。 はい、こんにちは。 お嬢ちゃんお名前は?」
霊夢と同じくみょんむの視線に合わせて会話をしてくれています。
「みょん! みょんむ~みょん!」
自己紹介も二度目になると慣れてきたのか身振り手振りを交えて元気いっぱいだ。
「はい、みょんむちゃんね? お姉さんは『紅 美鈴(ほん めいりん)』っていうの。 紅 美鈴よ? 忘れないでね!」
「みょん! みょんみょ~みょん・・・みょん!」
「うふふ、覚えてくれた? ありがとね! 間違っても中国って呼ばないでね? お姉さんからのお願いよ?」
「みょん!」
・・・やたらと、名前を強調しているなぁ・・・ なにか名前について嫌なことでもあったのでしょうか?
「はぁ~、それにしても素直で純ないい子ですねぇ~。 この子あの半霊の子ですよね?」
おや、紹介する前から何故わかったんでしょう?
「ああ、 私の能力は気を操ることですから。 当然、気の形や色、密度、そして香りなんかもわかったりするんですよ。」
私の顔に疑問が浮かんでいたのか、そう教えてくれる美鈴さん。
「みょんむちゃんと妖夢さんの気、何から何までそっくりですからね。 親兄弟でもここまで同じってことはないんですよ。」
へぇ、勉強になるなぁ。
「レミリアお嬢様とフランドールお嬢様も色は同じですが、香りと感触が全然違うんですよ~。」
「と、いいますと?」
「レミリアお嬢様はとても甘い香りでふんわりしているんです。 まるで仙桃の果汁の霧のような、その香りに誘われて中に入り込むと
霧に包まれて二度と出てこれなくなるような、そんな感じなんです。」
「へぇ~」「みょ~」
「対してフランドールお嬢様は鮮烈なクランベリーの香りですね、でもそのラズベリーは茨の壁に囲まれているんです。
近づく者を容赦なく切り刻みます。
でも茨の壁の中のクランベリー・・・・ずっと優しく摘み取ってもらえるのを待っているように感じるんですよね・・・・」
「「・・・・・」」
そうです、紅魔館にはお二人のお嬢様がいます。 お一人は紅魔館の主人であるレミリア・スカーレット。
そして、もうお一人はレミリアさんの妹であるフランドール・スカーレット。
幻想郷で二人きりの姉妹であるはずなのに、ある理由でフランドールさんは地下に幽閉されていたと聞いています。
そのせいでお二人はお互いに誰よりも求め合っているのに、ぎこちない接し方しか出来ていないとも魔理沙さんが話していました。
「あ・・・あれ? ああ!すいません! 門番に過ぎない私がなんか似合わないこといっちゃいましたね! あはっ! あははははは!」
重くなってしまった空気を誤魔化すように美鈴さんが明るく笑う。
「そうです! 今日はみょんむちゃんのお披露目にいらっしゃったんでしょう?
今日はちょうど新月ですしれみりゃさまとふりゃんさまのよいお友だちになれ・・・」
ヒューーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・ドスン! ズドッ!ズドドドドドド!
「みょっ!?」
「なぁっ!?」
なにが起こったんでしょう!? 笑う美鈴さんの上空から、突然樽が落ちてきたと思いきや一瞬で樽がナイフでめった刺しに!??
「今日は特に警戒を強めなさいと朝に言ったはずなのに、何をお気楽に世間話をしているのかしら? 美鈴・・・・。」
「しゃ・・・・しゃくやしゃん・・・・」
いつの間にか門の前に立っているすらりとした美貌の持ち主、完全で瀟洒なメイド、十六夜 咲夜さん。
「本当にいつもいつも、少し目を離すと居眠りするわ部下と賭け麻雀するわ黒白泥棒鼠に突破されるわ湖の氷精に嘗められるわ・・・。」
「今日という今日は、骨の髄までお仕置きが必要なようね。」
「ひっ! ひ~~~ん、それだけは~ご勘弁を~ごめんなさいごめんなさい~。」
片手で3本のナイフをジャグリングしながら威圧するように樽の周りをゆっくりと歩く咲夜さん。
っていうか、樽に押し込めた上にナイフでハリネズミにしたのはお仕置きに含まれないのでしょうか・・・。
「ねぇ 美鈴? 私ちょっとしたゲームを思いついたのよ。」ヒュン! ズドォ! 「ヒィ!」
「この前香霖堂でみつけたんだけれどねぇ・・・ 」 ヒュンヒュン! ズガドス! 「にょわ! ひょおお!」
「樽の中に人形を押し込んでナイフで少しずつ刺し貫いていくの。 そしてだんだんと逃げ場がなくなっていってね・・・」 ヒュンヒュンヒュン!
「しゃ、しゃくやしゃんっ! もう、逃げ場g(ドドドスっ!)おわぁああああああっ!」
「最後に人形はナイフに突かれて・・・・飛ぶのよ!」 ヒュン! ズ ド ン!
「アッーーーーーーー!」
最後の一撃で樽は粉砕、美鈴さんはビョイーンと樽から飛び出して湖の真ん中当たりまで飛んで入ってしまった・・・・
お尻にグッサリとナイフが刺さったまま・・・・
「「・・・・」」
「紅髪中国危機一髪! 仕置き完了・・・あら? 妖夢じゃない。」
「こ、こんにちは咲夜さん。」
「門の影に隠れて館内から見えなかったけれど、あなただったのね。」
「ええ・・・」
「それで? 今日は何の御用かしら? 今日はアポ有りじゃないと館内に通すわけにいかないのだけれど・・・」
「あ、はい。 今日はこの子を紹介しに来たんですよ。 ほらみょんむ、ご挨拶を。」
と先ほどの出来事ですっかりビビってしまって、私の足にしがみついているみょんむを促すけれど
「みょ・・・・みょん~~~。」
ちょっと、前に出てみる物のやっぱり怖いのかすぐに私の後ろに隠れてしまいました。
「あらら、 すみません恥ずかしがりやなもので・・・・」
と少し苦しい言い訳をしてみたりして・・・。
「・・・・・・・・・・」
あちゃ・・・・やっぱり気分を悪くしちゃったかな?
「咲夜さん?」
先ほどからみょんむを見つめて微動だにしない・・・これはかなり怒らせてしまったかも・・・。
「そ、それでは! 今日はご挨拶だけのつもりでしたのでこれにて失礼しますね? レミリアさんや他の方々にはまた後日ご挨拶に伺いますそれでは!」
っと飛び発とうとした時。
「まちなさい!」
「ぅはいっ!」
「ぅみょんっ!」
後ろからものすごい強烈な気配が立ち上がりました・・・音にするとゴゴゴゴゴゴゴゴg・・・・といった感じでしょうか。
恐る恐る振り向くと・・・・。
「いやぁーーーーーん、かわいいぃいいいいいいいいい!!!!!」
瀟洒!瀟洒!瀟洒!(ズダダダ♪)瀟洒!瀟洒!幼女!(ズダダダ♪)瀟洒!幼女!幼女!(ズダダダ♪)幼女!幼女!幼女!!!!!!!!
☆★☆★
突然の嬌声に驚くや否や、風景ががらりと切り替わりました。 どうやら咲夜さんの能力である時間を操る能力で停止させられたまま運び込まれたようですね。
ふわふわのソファーに転がされていたようです・・・む?みょんむがいない・・・・。
(きゃー! きゃははは。)
と隣から子供のはしゃぐ声が聞こえてきます。
(かわいい! かわいいぜ!ふりゃん!)
・・・なにか、聞き覚えのある声も聞こえました・・・いってみましょう。
「みょん!」「きゃはは!まってー!みょんむちゃん!」
扉を開けるとまずみょんむが走り回っているのがみえました・・・とその後ろに紅い服を着て七色の羽根を持った女の子もみえますね。
さっきの声はこの子かな? それと・・・見覚えのある三人が・・・・
「おう!起きたか? 白玉楼二百由旬を一瞬で駆け抜ける割には術が解ける音速は遅かったな!」
彼女は霧雨 魔理沙さん、先の事件で私を打ちのめした人間の一人でもあり、よく白玉楼からも物を盗んでいく手癖の悪い黒白魔法使いです。
彼女の魔法は彼女の信条である「弾幕はパワー」の通り、人間とは思えないほどの膨大な魔力での一撃必殺で決めてきます。
撃たれると思ってから避けていたのでは間に合わないほどの高威力、広範囲は幻想郷でも一、二を争うのではないでしょうか。
「あら・・・おきたのね。 悪いけれど、みょんむにはふりゃんの遊び相手になってもらっているわ。」
そんなに眠いのですか?と思わず聞きたくなってしまうほどボンヤリした眼差しの彼女はパチュリー・ノーレッジさん。
紅魔館の図書館の館長でレミリアさんの親友らしいです。
動かない大図書館との異名を持つとおりその知識の量は膨大で、何度か手合わせしたことがあるのですが毎回違うスペルカードを使ってくるほど魔法の腕
も強大です。
「久しぶりね、妖夢? 宴会騒動以来かしら?」
・・・・・えーと、彼女は・・・・だれだっk「アリス!」
「アリス・マーガトロイド!」
そうそう、アリスさんでした。 彼女は魔理沙さんと同じく魔法の森に住んでいる魔法使いで友達が片手でも余るくらいしかいないさみs「こら!」
「なんでしょう?」「何か失礼なことを考えていたでしょう!」「いいえ、滅相もない」
まぁ人形をあわせればそれなりに友達がいるかもしれない。
彼女の魔法はとても理性的で計算高い弾幕を放ってきます。
魔力自体にはさほど脅威を感じないのに気がつくと追い詰められているという少々厄介な魔法です。
まぁ裏を返せば威力が足りないから奇をてらった攻撃でひきつけて後ろからグッサリと言ったわりとせk「ほんといい加減にしなさいよ!!」
「もう・・・人の思考にいちいち割り込まないでくださいよ。」
「あなた考えてることがいちいち顔に出てるのよ!」
う・・・顔に出てましたか。 剣士として相手に心情を悟られるなんて未熟の極みです、気をつけなきゃ・・・。
まぁ、それはさておき
「今日は皆さんおそろいでどうなさったんですか? 先ほど咲夜さんからアポ無しでは入れないと伺ったんですが。」
「ああ・・・今日は新月だから、レミィとフランが極端に無防備になってしまうの。 だからレミリアとフランが心を許している相手しか通さないのよ。 あなたは咲夜のお眼鏡にかなう可愛いお友達を連れてきてくれたから例外だそうよ。」
私の質問にパチュリーさんが答えてくれる。
「なるほど、魔理沙さんはフランさんとの弾幕勝負で勝っているんでしたね。」
「そうだぜ、いまでも時々相手をしているしな!」
ニッ!と笑って魔理沙さん。
「でも、そうなるとアリスさんはどういった繋がりで?」
「それは、私の以来よ・・・・。」
またも、パチュリーさんが答えてくれる。
「フランのね情操教育に、人形劇を公演してもらっているの。 フランの好きな絵本を中心に人形を手作りしてもらう所から見せてもらっているわ。」
「そういうこと、物を作るということがどういうことかを学んでもらっているって訳よ。 最初の頃なんか大変だったんだから! 待つことに飽きた
フランが弾幕ゴッコを初めて、それを避けながら針仕事をしたり台本を覚えたり・・・・。」
・・・・なんていうか器用ですね・・・・真似は・・・したくないけど。
「あと、なぜあの子の名前が判ったんです?」
「あの子が、ちゃんと自己紹介してくれたわよ」
「ああ、それに名札もついてるしな!」
そうでしたか、偉いぞみょんむ・・・・ん?名札?
バッとみょんむを振り返るとみょんむの胸元に『こんぱく・H(HAKUREI)・みょんむ』と書かれた名札・・・いやお札が・・・・
あの腋巫女いつの間に・・・
「みょん!」「おねーちゃんだぁれ?」
と今まではしゃぎまわっていたふたりが私の両足にみとみとっ!としがみついて来ました。
「ああ、私は魂魄 妖夢、みょんむのお姉ちゃんみたいなものなんだよ。」
「みょん!」
みょんむが嬉しそうにバンザイする。
「そうなんだー、ふりゃんはね、ふりゃんっていうんだよ? れみりゃおねーしゃまのね、いもうとなんだよ。」
ふりゃんちゃんはお姉ちゃんという単語で納得したのかニッコリ笑って自己紹介してくれました。 ・・・にしても。
「これが、新月で無防備になるということなんですか?」
「ええ、その通りよ。 月の魔力が低下すると、その影響を最も大きく受けている種族の吸血鬼は幼態化してしまうの。」
「そうでしたか・・・」
「体の強度は人間よりかはよっぽど強いけれど、それでも大きく低下してしまうしね。」
そういってパチュリーさんはふりゃんちゃんの頭を優しくなでる。
ふりゃんちゃんは嬉しそうにパチュリーさんの腰にしがみついて甘えている。
「あ! 抜け駆けするなんてずるいぜパチュリー!」
「そうよ! つぎふりゃんを撫でるのは私だったはずでしょう!」
怒る二人をまるで相手にせず
「それに、戦うべき相手は紅魔館の中にも存在する・・・」
え?
「れみぃが懐いていることをいいことに新月時にずっとれみぃを独占し続けている者がいるわ」
それは・・・
「お待たせしました。 れみりゃお嬢様がなかなかお起きにならなくて、思わずいろんな角度から眺めたり撫でたりキスしたり舐めたり匂いを嗅いだり
ぷにぷにしたりさすさすしてみたりネチョネチョしてみたりしていたら遅くなってしまいましたわ。」
いきなり問題発言を乱射しながら咲夜さんが部屋に入ってきた。
その咲夜さんの首に腕をからめて抱かれているのは・・・紅魔館の主人にして紅い悪魔、レミリア・スカーレットさんでした。
「咲夜、約束の刻限を30分もオーバーしているじゃない。 時間も守れないなんて完全で瀟洒なメイドの名が泣くわね?」
突然、場の皆が殺気立った。 パチュリーさんのみならず、魔理沙さんとアリスさんも臨戦態勢です。
うわわ!パチュリーさん、いつもは眠そうな半目なのに今は目を限界まで「くわぁっ!」と見開いてる! 怖!
うひ! 魔理沙さん肩を箒でポンポンたたきながら眉間に「キュゥウ!」としわ寄せてる! ガラ悪!
ぶは! アリスさんにいたっては体を半身にして拳を「ギュォオオ!」と握り、額に「ビキビキビキ!」と青筋を立ててかつ、口を半開きにしてる!
もう訳がわかりません! とりあえず威嚇してます!
「あら?図書館の奥で年がら年中、本ばかり読んでる石潰しと約束をした覚えなんてありませんわ。 おまけに黒白鼠と七色⑨(ピー)まで引き込んで、
埃が立って仕方ありませんわ。 れみりゃ様とふりゃん様の肺が穢れる前にお掃除(ぶっ殺)しますわよ?」
ひぇえええ! 咲夜さんの目が紅い! 怒ってる!咲夜さんも殺る気だ!どうしよう!?私はいったいどうすれば!?
「うー?さくやぁ?どうしたのぉ?」
おや?咲夜さんの腕に抱かれていたレミリアさん・・・いや今はれみりゃちゃんか・・・目を覚ましたようですね。
「いえ、お嬢様なんでもありませんわ。 少々、パチュリー様に時間に遅れたお詫びをしていただけですわ。」
「ええ、そうよ。 なんでもないのよれみぃ、れみぃのためなら1世紀だって待って見せるわ。」
「ああ、よく起きて来たな偉いぞれみりゃ、なでなでしてやるぜ」
「ほんとに偉いわね、そしてかわいいわ!れみりゃ!かわいいわ!」
咲夜さんの顔が一瞬でこの上なく優しく暖かなものに切り変わった。 その変わり様は人食い鬼神から子を守る神へと転身した鬼子母神のようだった。
その隙を利用してパチュリーさんと魔理沙さんとアリスさんは一気にれみりゃちゃんへと肉薄する。
「うー、れみりゃまだねむねむなのぅ・・・」
目を小さな握りこぶしでくしくしと擦る様は、なんとも子供らしく可愛いものでした。 私もちょっと胸のおくがほわほわとあったかくなってしまいました。
「お、おぢょうさまっ!な、なんて可愛らしい! そんなおぢょうさまを見てると私・・・私・・・!ああああああああ!」
「れみぃ、抱きたいわはぁゲホガフ!・・・、れみぃれみぃはぁはぁゲッホゲホヒュー・・・ヒュー・・・」
「れみりゃ、お前はなんて罪なやつなんだ、弾幕ゴッコじゃほとんど負け無しの私を弾も使わず撃ち落すなんて・・・。」
「れみりゃ、お人形にしてずっと閉じ込めたい・・・ハァ、着せ換えしたい・・・アァ、食べたい・・・。」
・・・・が、私以外の4人は胸の奥どころか頭まであったかくなっているようです。
感極まってトんでしまいそうになったり、喘息の発作になったり、幼女相手に口説いたり、サイコに走ったり・・・・
「総じて突っ込めばお前ら全員その趣味かあああ!!!」
「れみりゃおねーしゃまばっかりずるい!ふりゃんも!ふりゃんもぉ!」「みょんみょん!みょんむ~!」
先ほどかられみりゃちゃんばかりに注目が集まってヤキモチを焼いたのか、ふりゃんちゃんとみょんむが四人の足元で地団太を踏んでいました。
「あ、ふりゃん!さくやぁおろしてぇ!」
二人の様子に気がついたのか下に下ろしてほしいとジタジタする。
「ふりゃん!」「おねーしゃま!」「みょん!」
咲夜さんが名残惜しそうに下に下ろすと、ととてててと走り寄りきゅーっと抱き合う。
ああ、こんなに小さくてもやはり最愛の姉妹なんだなぁ。 こういう風景を愛おしいというんだろうなぁ。
「ああ!、ダメです!姉妹丼だなんて!!もうだめです、私トんじゃう~!」
「ガッハゲヘゴホヒュー・・・、 れみガホヒュー・・・」
「ああ、二人で私の心をを散り散りに引き裂きやがって・・・愛してるぜ二人とも・・・」
「れみりゃ・・・の人・・形と・・・・ふりゃんの人形・・・・で私を・・・挟んで五寸釘・・・でゴッスンゴッスンして・・・エヘヘヘヘ」
ああ、もうお前らもう休んでください・・・鼻だけならまだしも耳からもナニか出てるから。
「ねぇ、あなただぁれ?」「みょん?」
おっと、れみりゃちゃんがみょんむに興味を示したようです。
「みょん?」 「みょんむ?」
れみりゃちゃんが不思議そうに首をコクッとひねります、それを真似してみょんむもひねる。
「みょんむ?」 「みょんむ~?」「う~?」
さらに、面白がってふりゃんちゃんもひねります。
「「う~?」」 「みょんむ?」 「「う~!」」 「みょんむ!」 「「う~♪」」 「みょんむみょん♪」 「「う~☆」」 「みょんむ☆」
ああ、可愛らしいですねー、純真無垢な子供たちはこんなことでも楽しめてしまうんですね。
「「「「あああああああ!もうだめー!」」」」
「ア゛リ゛!」(ブッシュー!)
「マ゛リ゛!!」(ブッシュー!)
「パッチェ!!!」(ブッシュー!)
「ザ グ ヤ゛!!!!」(ブッシュシュシュシュー!)
ああ、背後で不純で穢れまくった人たちの汚らしくて200X年っぽい破砕音とか聞こえてきますけどもう気にしません・・・・・
☆★☆★
あのあと体中から何かを垂れ流し続ける四人を紅魔館の庭に埋め、ちょうど戻ってきた美鈴さんに「「うー☆」」疲れで眠ってしまった二人のお嬢様を
託して紅魔館を後にした。
「たのしかったかい?」 「みょん!」
あれだけ二人のお嬢様と遊んでいたのにみょんむはまだまだ元気なようですね。
「それじゃ、次の場所に挨拶に向かおうか。」 「みょーん!」
くいくい、みょんむが繋いだ手を引いてくる。
「ん?」 「みょん! みょ~んみょんみょん!」
「すまない・・・あと数ヶ月は、もう紅魔館には近寄りたくないんだ・・・・」
小悪魔!!居るんやろ!?助けてくれ!
みょん。
このみょんむお持ち帰りぃぃぃぃぃーーーー!!!
あっちこっちにネジが落ちてるけど・・・・・
まっいっか。気にしたら負けですよね。(笑