秋も終わりを迎えてどんどん寒くなっていくなか
博麗神社の中では、そんなの関係ないとばかりに
宴会が行われていた
まあ、別にそんなの事は関係ないが
「まあ、たまにはいいけどね」
今日に限って魔理沙に引き連れられて
「なに、こそこそ飲んでいるんだ香霖、せっかくの宴会なんだぜ?もっと飲まないと」
「少し酔いすぎたみたいでね……ちびちび飲む事にするさ」
香霖こと、森近霖之助が宴会にやってきていた
宴会が始まってから1時間もたたないうちに
神社には大量に人が集まっていた
「……いや、人ではない者のほうが多いか」
その場にいるのは、皆名の知れた妖怪…
いや、大妖怪クラスが集まっていた
(…僕なら絶対近づかないような者ばかりだがね)
そのような者達に酒で勝負を挑む魔理沙を見てそう思っていた
「あら?霖之助さん?」
誰かが、僕の近くにやって来たみたいだ
「こんな所で一人で飲まないで、向こうにこればいいのに」
「霊夢か」
この幻想郷の大結界を維持している、博麗神社の巫女
博麗霊夢だった
「皆と一緒に飲めば?」
僕の隣に座ってお酒を飲み干す
どうやら霊夢もうまい事立ち回って、飲む方より飲ませる方に向かっているみたいだ
「いや、僕が出て行くと周りが困るだろう」
流石に、女性達がいっぱい居る中で男一人は辛い
「……それに…」
宴会の中でお酒を一気飲みして、辺りから拍手喝采を浴びている魔理沙を見て
「あれを見ているほうが楽しいからね」
「同感ね」
少しだけ霊夢と笑う
「さて、私がここに居たら誰かがやってくるわ」
霊夢がそう言って立ち上がろうとしたら
「あら?もう戻るの」
何者かが霊夢の背中から現れた
「……紫、飲みすぎ」
「いいじゃない?今は大会が開かれているんだから」
隙間妖怪こと、八雲紫が姿を現して霊夢の隣座った
(魔理沙がいなければ、一生会うこともなかっただろうな)
幻想郷を古くから見つめる大妖怪を見ながら、酒を、ちびりちびりと舐める様にして飲む
「大会?一体なにをするのよ」
お酒を飲む僕を抜きにして、霊夢と紫が言葉を交わしていた
「宴会芸大会、辺りを驚かせるような事をした者が優勝よ」
「へえ~……まあ、被害が出なければ私はどうでもいいんだけど」
「あら?商品も出るわよ?」
「……ちょっと行ってくる」
霊夢が宴会の中央に戻っていく
「……やれやれ」
霊夢の後姿を見つめながら、持って来たお酒を飲もうとすると
「私も一杯いただけないかしら?」
いつの間に移動したのか、僕の後ろから
八雲紫が手を伸ばしてきた
「……まあ、綺麗な女性にそういわれたら注ぐしかないでしょう」
そういってから彼女が持っているコップにお酒を入れる
「まあ、うれしい……」
注がれたお酒をゆっくりと飲み干すと僕の隣に座る
「君の式はどうしたんだい?」
「まあ、女性の前で別の女の話をするなんて…」
扇を使って顔を隠し、泣きまねをするのを見て
僕は、ため息をつくと
「では……一体何のようですか?」
世間話をしないで、そのまま聞く事にした
「暇だからよ…せっかく面白い人が宴会に来ているんだから」
隙間を使って真正面にやってくる
「からかわないと」
そして、両手で僕の顔を掴む
「……はたから見たらまるでキスしているように見えますね」
僕がそう答えると
「してあげましょうか?」
相手も然る者ながら、そう切り替えしてきた
(このままだと、ペースがあちらのものになるな…)
そう思っていると、彼女の後ろに打開策が見えた
そして、その打開策に向かって紫に見えないように手で
連絡を取った
「どうしたの?」
「いや……キスされるのは別に構わないけど」
後ろを指差す
そして、紫もその方向を見る
「……紫…」
「れ、霊夢?」
そこには、冷たい目で紫を見る霊夢の姿があった
「……馬鹿…」
紫の前で、泣きそうな顔をしながら早足で逃げていく
霊夢の姿を見て
「ま、まって!霊夢こ、これは!」
大急ぎで霊夢を追いかける隙間妖怪の姿を
後ろから見つめていた
「……しかし、よくもこれだけ騒げるものだな」
宴会が始まってかなり長い事が過ぎているが
未だに、皆のテンションは高かった
「まあ、宴会芸はすごかったが」
先ほどあった、紅魔館の門番と里の守護者VS不死身の蓬莱人と月の姫
のタッグマッチは、激しいバトルになった
「いや、なんだかんだで色々あったが…やっぱり」
先ほどの魔理沙の魔法が、一番心に残った
小さな星を、空に浮かべてそれが回転するという物だった
小さな頃に、魔理沙が始めて使っていた魔法だった
(ふう、人が成長するのは早いな…)
小さな頃を知っている僕だけが思う事だった
いずれ、僕を置いていくのだろう……
「よ~、飲んでいるか~♪」
「…魔理沙、飲みすぎだ」
感傷に浸っている時に、その本人がそれを破壊した
すっかり、酔っ払い顔を紅くしている魔理沙が
「お?いい酒持ってるな」
「あ、それは…」
何かを言う前に、魔理沙がその酒のビンごと飲み干す
「げっふ……」
「あ~……僕のとっておきだったのに…」
「良い酒は、皆で飲むものだぜ?」
何を言っても無駄だと悟って空を見上げる
ふと、隣にいた魔理沙が静かに尋ねてきた
「なあ……香霖…」
「ん、どうした?」
「……楽しかったか?宴会…」
「…ああ、だが、僕には少し騒がしすぎるみたいだ……君一人で十分だな、騒がしいのは」
「ははっ、なんだよそれ」
魔理沙と二人で、少しだけ笑う
もうそろそろ、宴会も終わりかけて来る頃だろう
唐突に、魔理沙が
「そうだ、言い忘れていた」
「なんだい?」
魔理沙が起き上がると
「香霖も、宴会芸の大会に出るように名簿に名前を書いておいたから」
「な!?」
驚いて起き上がると
向こうから霊夢が走ってきた
「そろそろ出番だから、よろしく」
「だぜ?」
いきなりの事に、僕は困ったが
(……魔理沙にも、恥をかいてもらうか)
「……魔理沙」
「おっ?覚悟が決まったか?」
魔理沙の肩を掴むと
「取っておきを見せて、辺りを静かにさせるから、君も手伝え」
「お、おう、わかったぜ」
魔理沙が、気迫で驚いていたが僕の心の中には
(フッフッフ……覚悟をしておけよ魔理沙)
酒の力に少し当てられたのだろう
そして、とっておきの酒を飲まれて、しかも勝手に大会に出されて
少しだけ頭にきていたのだろう
「え~、宴会芸大会のラストナンバー森近霖之助さんです」
勝手に呼ばれて、辺りが拍手で出迎える
「さあ、最後を飾る芸は?」
皆が、香霖の方を向く
そして、香霖が魔理沙を手招きすると
「一体どんな芸をする……」
魔理沙の喋りはそこで止まった
宴会芸大会優勝者 森近霖之助
宴会を見に来た人の前で
霧雨魔理沙に30秒以上にわたるディープキスを見せ付けた
魔理沙の帽子を自然に取って、顎に手を当てて
しかも、逃げれないように軽く身体を抱き寄せるという芸等も加えて
キスが終わったあと、顔を紅く染めて息が絶えそうにしていた魔理沙が実に色っぽかった
これ以降、香霖が宴会に来る事はなかった
「…ひっく…ひっく……酷いぜ…」
「…ごめん」
(まあ、こ、香霖なら…いいかな?)
まあ、魔理沙も満更ではなかったみたいだが
あと、妹紅と輝夜はその二人の猛攻からイ㌔
(最初は脱ぐかと思ってたw)
もっとやったれ!!w
さて、ちょっと香霖堂までガトリングドライバーのテストに行ってきます。