ある日一冊のノートが天から落ちてきた。
「・・・あれ?」
「どうしたの大ちゃん?」
「あ…ううん、何でもない」
霧の湖。
ここで妖精達はいつものように遊び呆けていた。
その中にいる主にツッコミ担当の異様にでかい妖精、大妖精。
いや、別に彼女がでかいわけではない。たまたま周りにいるのが小さかっただけである。
ノートが落ちてくるのをたまたま見ていた大妖精はそれが気になり皆が帰ってから拾いに行った。
「BAKA NOTE・・・べーかのーと?」
表紙をめくり「ああ、バカか」と納得。
「How to use ・・・英語で書いてる」
残念ながら大妖精は英語がわかるので余裕で読めた。
要約するとこんな感じ。
このノートに名前を書かれた者は馬鹿になる。
書く人物の名前が頭に入ってないと効果はない。
99秒以内に詳しい症状を書くとその通りになる。
特に症状を書かなかったらチルノ並みの知能になる。
このノートは厳密には馬鹿にするのではなく精神や知能、記憶に障害を与えるものである。
このノートで頭を良くすることは出来ない。
貧乳萌え。
「…なるほど。
でも嘘っぽいなぁ・・・
試しに誰か一人…私とあまり関係なく、頭のいい人…」
サラサラ・・・
八意永琳 薬品名を見間違えまくる。
―次の日。
大妖精はバファ○ンをもらいに来たという名目で永遠亭を覗きに来ていた。
「なんだか騒がしい・・・やっぱりノートの・・・でも偶然何かの準備をしてるだけかも」
その時運良く永遠亭の中から因幡てゐが出てきたので得意の瞬間移動を駆使して捕獲。
話を聞くと永琳がやらかしたのだという。
「(・・・間違いない)」
足がつくといけないのでこの兎を消去し大妖精は家に帰った。
「それにしてもこのノート・・・どんな風に活用できるのかな・・・」
魔法の森で食用キノコを採りながら考える。
すると・・・
「ちょっとそこのお嬢さん写真取らせてくれませんかー?」
「え・・・?」
「私は射命丸文。あややって呼んでね。」
妖精の女の子がたちの悪い天狗に絡まれていた。
やれやれとため息をつきながら大妖精は物陰でノートを開く。
射命丸文 方向転換をした時障害物に気付かない。
「ちょ・・・困ります!」
「へへへ、いいじゃないですかちょっとくらい」
「いや!!」
「おっと逃げても私の速さには敵いませんよ!」
「・・・そろそろ99秒」
「助けてーー!! サニー! ルナー!!」
「ふはははは遅い遅iへぶっ!!?」
あややは右に曲がった時思い切り木に顔から突っ込んだ。
妖精はそのまま逃げていった。
森での出来事によりノートが本物だと確信した大妖精はキノコも採らずにそのまま帰宅した。
―2日後。
「ふ・・・ふふ・・・」
「気に入ってるようですね。」
「わぁ!!?」
いきなり後ろから声をかけられ大妖精はもの凄くびっくりした。
「そんなに驚かなくてもいいではないですか。
そのノートの落とし主 死神・四季映姫ヤマザナドゥです。」
「え、いやあなた閻魔様ですよね・・・?」
「はいそうです。死神はただ雰囲気で言ってみただけです。」
「えーと取りあえず聞きたいことが」
そう言って大妖精はノートを広げて映姫に見せる。
「ちょっ・・・おまっ・・・書きすぎですよそれ!?」
「幻想郷の主要人妖の名前は2人ほどしか書いてません。
殆どどうでもいいのばかり書いてみました。
それで、ノートの効力をわかっていて使った私は何の罰を受けるのでしょうか?」
「いや何も。そのノートはもう拾ったあなたの物です。」
「え・・・? じゃあどうしてこのノートを・・・?」
「それは私がたまたま落としてしまったノートをたまたまあなたが拾っただけです。
そう・・・あれは3日ほど前だったでしょうか・・・
『ん? これは・・・
わぁ! 小4の夏休みの宿題で作ったバカノートじゃない!
懐かしいー』
ツルッ
『あっ・・・』
不覚にも手が滑ってしまいなんとノートを便器の中に落としてしまったのです。
うちの便所は水洗ではありませんからノートは闇の中へ落ちていき、
この幻想郷へと降ってきたのです。
今思えばどうして便器の蓋をしていなかったのかと悔やむばかりで」
「・・・そうですか。」
ドンドンッ ズガッ!ビシッ!きゅっ!どかーん!
不意に戸をノックする音が聞こえてきた。
「大ちゃーん、みんなで遊ぼー!」
「あっ友達が来たみたい。
うんー準備するから先に遊んでてー!」
大妖精が答えると「わかったー」と言い声の主は遠ざかっていった。
「・・・困りましたね。」
「え?」
「いえ、私はそのノートを最後まで見届けなければなりません。
そしてノートの所有者にずっと憑いてないといけないんです。
さらに別にノートに触れても触れなくても誰の目からでも私の姿は普通に見えます。」
「・・・そう言うことはもっと早く言ってください。
確かに常に閻魔様が側にいるというのは不思議極まりないですね。
これが知れたらすぐに幻想郷中に広まって同棲、恋人とかいう騒ぎになるでしょう。」
「出来れば私も周りに知られたくはありません。特に小町には・・・
散々サボりのことを叱ってきた私が今仕事せずにここにいるのですから。」
「・・・着替えましょう」
「へ?」
「別人としてみんなの前に姿を見せましょう。」
そう言って大妖精はクロゼットを開けリボンやらカチューシャやらキャミソールやらを取り出す。
「髪型も服装も変えればぱっと身ではわからないと思います。
服は私のお古を」
「お古って・・・私の方があなたより体格でかいはずなんですが」
「大丈夫です。胸は私の方が大きいですから。」
「うぐっ!?」
―1分後。
「完成です。」
「早っ!」
「大きめのリボンにポニーテール、緑の服で完全に別人です。」
「確かにこれならそう簡単には気付かれないでしょうね」
「あなた名前はRune Whitemist『ルーネ・ワイミスト』。
昨日から住み始めた私の従姉妹と言うことにしましょう。」
「よくもまぁそんなすぐに思いつきますね。」
「あ、あとタメ口で話した方が良いかな?」
「そうね。よろしく大妖精。あ、本名で呼んだ方がいいかしら?」
「え・・・本名知ってるの?」
「ええ。私には目があるから。」
「目?」
「そう。顔を見ると名前とIQとスリーサイズがわかる目よ。
あなたも欲しかったらIQの半分と引き替えに得られるけど。」
「いりません。」
「え、そう?」
「いやIQ半分だよ!? 200あったとしても100になっちゃうじゃない!
あ、あと本名は絶対にばらさないでね。」
「わかったわ。花子ちゃnおぶぐはぁ!!?」
-大妖精秘技『ジェット正拳』-
圧縮した空気を利用して超高速のパンチを繰り出すのだ!!
その威力はマウンテンオブフェイスを一撃で粉砕するほどである!
この後死にかけたルーネを連れて友達の待つ夜遊びへと出かけた。
―次の日。
大妖精と映姫の同居生活の最初の朝が訪れた。
「ルーネちゃん、もう朝だよー!」
「んーーー? 8時4分・・・大丈夫。仕事は9時からだから・・・あと52分は寝られる」
「何寝ぼけてるの。今は閻魔様じゃ無いでしょ?」
「はっ・・・そうだったわ!」
ルーネが着替えて居間に行くとすでに飯台の上に朝食が並べられていた。
「それにしても随分と家庭的な妖精ね。
こんな家まで建てて・・・買ったの?」
「これは私が自分で造った家だよ。」
「へぇ・・・妖精の技術力も侮れないわね。
ではいただきます。」
まず白ご飯に手を出す。
「ご飯、良い感じで炊きあがってるなぁ」
「・・・別に無理にネタに走らなくてもいいんだよ?」
「ごめんなさい。いつも小町はこれで大ウケしてたから。」
次に味噌汁に手を出す。
と、そこでルーネの動きが止まった。
そして他のおかずを全て一口ずつ食べる。
「・・・この味噌汁、味噌が多い。辛いわ。」
「え」
「この魚も塩かけすぎ。卵焼きは塩も砂糖も多い。」
「う・・・」
「更にあなたのやっこの醤油のかけ具合から見てあなたもの凄い濃い味好きね。」
依然チルノに言われたこことシンクロする。
そう、チルノはこの大妖精の料理の味の濃さに耐えられずに家出したのである。
現在は三バカ妖精の家に泊まっているらしい。
「う~」
「そ、そんな泣きそうな顔しないで! ほら、私が色々教えてあげるから。」
「ルーネちゃんは料理出来るの?」
「勿論。地獄の料理長とは私のことよ!」
こうして料理を習う約束をした2人。
朝食を済ませると大妖精は早速ノートを開く。
「質問いいかな?」
「何かしら?」
「このノートに名前を書かれて馬鹿になったら元に戻せるの?」
「無理よ。一度書いてしまえば効果は永久に続くわ。
あらかじめ何時から何時まで馬鹿になると書いておけば時間が過ぎれば元に戻るけれど。」
「じゃあもう一つ、効果の追加はできるの?」
「出来るわ。ただし最初にその者の名前を書いた部分の続きに書かなければならない。」
「なるほど。」
サラサラ
「あら、もう主人公格に手を出したわね。」
霧雨魔理沙はいつもと違う自分を感じていた。
なんだか力が湧いてくる。
今ならこの手に持った竹の柄の箒で目の前の木を斬り倒すことが出来る。そんな気がするのだ。
そして魔理沙は箒を構え・・・目の前の木へと一閃させたっ!
捻挫した。
「ほら見てルーネちゃん。」
「ん? ほう、これは・・・」
大妖精はパソコンのとあるホームページをルーネに見せる。
「『恐怖の⑨伝説』だって。
⑨で検索しただけで1000件はヒットするよ。
もうみんな⑨の手によって世界が蹂躙されるのがわかってるんだよ」
「こんな小さな妖精がこの大規模な異変の犯人とは誰も思わないわね。」
「まあこの⑨っていうのがチルノちゃんから取ってるっていうのがちょっと気に入らないけど」
そう言いながらパソコンを切りテレビを付ける。
「もう『神奈子さんといっしょ』が始まる時間だよね。」
「ええ。頭突きのお姉さんは今日も絶好調だといいわね」
「褌のお兄さんも期待だね」
『…ザー…』
「あれ?」
『番組の途中ですが妖怪の山からの全世界同時中継を行います。
通訳はユカリ・ラフカディオハーン。
―私は全世界の妖怪を動かせる唯一の存在
アリス・マーガトロイド―――通称「M」です。』
「え・・・何この人?」
『私は俗に言われている「⑨」を必ず捕まえます。』
「ちょっ途中すっ飛ばしすぎ!?」
「必ず捕まえるですって」
「・・・無理だよ。馬鹿にする手段すらわからない、
証拠も残らない、このノートを押さえない限り。」
『⑨よ、お前がどのようなことを考えてこんなことをしているのかは全く見当もつかない。うん。
しかしお前のしていることは、悪だ』
「悪・・・ね。
ふふ・・・」
大妖精はノートを開き名前を書き始める。
「すぐにわかるよ・・・私こそが正義だと・・・
そして私から神奈子さんといっしょを奪ったお前こそが悪!
さようなら」
Alice Margatroid クルクルパー
「あと80秒・・・」
「3、2、1、」
※アリスファンの方々の気持ちを考慮しクルクルパーになったアリスの描写は控えさせていただきます。
ご了承ください。
「あはははは!」
『し・・・信じられない!!』
「!?」
『⑨・・・お前は直接手を出さずに人を馬鹿にすることが出来るのか・・・
よく聞け、⑨。
お前が今馬鹿にしたアリス・マーガトロイドは今日この時間に脱稿する予定だった者だ。私ではない。
だが、Mという私は実在する!
さぁ⑨よ、私を馬k』ブツッ
大妖精はテレビの電源を切った
「あら、切っちゃうの?」
「どうせ勝手に色々喋るだけだよ。
⑨が何者なのかもわかってないようだしMについてのヒントも言うはずないし。」
―その頃のM
「⑨、お前は幻想郷にいる!!」
「小ー樽のーひーかーありー
まーとーの裕貴ー
二ー三ー呼ぶー月ー日ーかーさーねつーうーつー」
「リグル何歌ってるの・・・?」
「あ、ルーミア。火垂るの墓。」
「嘘だ!!
蛍の光でしょ!?
裕貴君は的なの!?
二三って誰!?」
「金田一に出てきたじゃん」
「そ、そーなのかー!!」
午前中ルーネと大妖精は他の妖精達と遊んでいた。
普段仕事ずくめだったルーネは思いっきりはしゃいでいたという。
そしてお昼。
「お昼ご飯は私が作るわ。まあ見てなさい。」
「あ、うん」
大妖精は居間で座って待つことにした。
台所からガチャガチャと食器の音が聞こえてくる
「(え、いきなり食器出すんだ・・・)」
とんとんとんと包丁の音。
「痛っ!!」
「え!大丈夫ルーネちゃん!?」
「平気よ。ちょっとかすっただけ」
ジャー ガシャーン!
「えっ!?」
「大丈夫。積み上げてた食器が崩れただけよ。割れてないわ。」
こうしてルーネの作った料理がやって来た。
「これ、大丈夫?」
何というか予想通りだった。
一体何を作ったつもりなのかよくわからない。
前を見ると満面の笑みを浮かべたルーネ。指には絆創膏が3つ。
大妖精はおそるおそる料理を口に運ぶ。
・・・美味かった。
今までに食べたどんな料理よりも。
見た目や手際がかなり悪い代わりに味が最高。手際が良いのに味が極端な大妖精と正反対だった。
まさに地獄の料理長。
2人が協力すれば完璧な料理が作れよう。
映姫ルートが解放されました。
映姫ルートへ進みますか?
はい
→いいえ
―その頃の⑨事件捜査本部。
「Mです。」
「・・・こいつが?」
「なんかイメージと・・・」
捜査本部の一員である紫と藍の前に現れたのは1人の少女。
白いボサボサの髪に白い服、赤い袴みたいなスカート、裸足、真っ黒な瞳、クマ。
「では、まず⑨が人を馬鹿にするには顔と名前が必要だと言うことがわかりました。」
「それは私達もわかってます。」
「なので私のことは『天宮』と呼んでください。 であなたたち二人はえーと松本と船越で。」
そして机に事件について色々書き始めるM。
「紫様、なんか投げやりすぎませんかこの方・・・?」
「大丈夫よ・・・たぶん。 幻想郷一の探偵だって言ってたし」
「まずは最近幻想郷に現れた者からあたってみましょう。 聞いてますか?」
「え? あ、はいっ聞いてますよ!」
「それでは解散。」
「早!?」
「ルーネちゃん見てこれ」
大妖精がテレビの歌番組を見ているルーネを呼ぶ。
「今前田慶次出てるから終わるまで待って。」
「何かしら?」
「ほらこの号外見て。」
大妖精は持っていた新聞を広げて見せた。
「今日の出来事だよ」
「『十六夜咲夜 少年を襲う』!? 何これ!?」
「咲夜さんにショタコンを追加してみたの。書いたの昨日の夜なのに予想以上に行動が早かったよ。
このノートは多少は思想を変えたり追加したりすることも出来るみたいだね。」
襲われた少年にとってそれは幸せだったのか地獄絵図だったのか、それは少年にしかわからない。
「次はミスティアでも書こうかなー」
―次の日。
捜査本部 M、紫、藍の会議。
「えー最近現れた者を当たり片っ端から調べて見たところ数名いることがわかりました。
まずは外の世界の日本からやって来た東風谷 早苗。神社ごと引っ越してきたようです。
布教活動をしているらしく幻想郷の色々なところで目撃されています。
次に妖精ルーネ・ワイミスト。彼女は大妖精の従姉妹で彼女の家に居候しているようです。
妖精が生息していそうな所は大抵調べましたが彼女のことを知っている者は誰一人いませんでした。」
「妖精は元々秘密が多いですし一緒に住んでいる大妖精自体も殆どが謎に包まれています。
それにある日突然沸く妖精もいるので別に不思議なことではありません。」
「そうなの!?
そして人里に住む滝沢さん。外の世界の土耳古という国からやって来たようで
趣味はボウリング、好きな食べものは七面鳥だそうです。
最後に紅魔館でメイドをしている黒龍族の春風亭 辰子。落語家ではないそうです。
勘と知力が優れているらしくメイドになって2日ほどで霧雨魔理沙を捕獲した経歴を持ちます。
あああと逆に最近いなくなった者もいることがわかりました。
因幡てゐです。
彼女は最初の被害者と思われる八意永琳の事件の次の日から姿を消しています。
何か重要なことを知っているかもしれませんので金田一さんに七瀬さん、彼女の捜索をお願いします。」
「昨日と呼び名が変わってるんですけど」
「えっ? えーこれも用心のためです。
私はさっき言った方を調べます。」
「・・・わかりました。」
「ところで捜査本部なんで3人しかいないんでしょうね?」
「他に調べようとする者がいないからよ。」
「おはようみすちー!」
「おはようルーミア。今日も燕ってるわね。」
「つ、つばめ!?」
「ところでなんか最近リグルが百舌ってるんだけどどうしちゃったのかしら」
「もず??? ・・・あっほら見て、前田慶次の写真集買っちゃった!」
「あー最近鷲ってる男ね。私も烏っていかないとやばいわね」
「み、みすちーも変になったーーーー!!!」
「ちょっルーミア!! ・・・急に鶉っちゃってどうしたのかしら」
「ところでルーネちゃん、ちょっと話があるんだけど」
「何かしら?」
「私実は来週大学の試験受けるの。だからルーネちゃんも一緒に受けよ。」
「は!?」
「基本的に一緒にいないと駄目なんでしょ?」
「そうだけど
ていうかそういうことはもっと早く言いなさいよ! それに来週って・・・まだ受けられるわけ?」
「裏から手を回せば。」
「だったら裏口入学でいいじゃない。めんどくさい」
「閻魔様の言葉とは思えないよそれ・・・」
―そして試験当日。
ちなみにここの試験は1日のみである。
「始め。」
いくらか解いたところでふと斜め前にいるルーネの方を見た。
寝てた。机にうつ伏せになって。
「(ちょっ・・・)」
「そこ、ちゃんと座りなさい。」
そんな注意が聞こえ気になって後ろを見てみると白い髪のうんこ座りがこっちを見ていた。
視線がキモかったので大妖精はすぐに前を向いた。
すると、
「かーえーるーの心臓はーーー皮ーのー中ー
そーっと開いて見てごらん☆ そーっt・・・」
右側に変な歌を歌っている緑髪の妖怪。
「こんな問題軽く駝鳥ってやるわ」
その前にピンク髪の妖怪。
まさかと思い左側を見てみたが
手に包帯を巻いた少女が普通に問題を解いているだけだった。
色々と疲れる試験であった。
―そして伝説へ入学式。
『新入生挨拶。新入生代表、大妖精。』
「おお、やはり一問わざと外しておいたおかげで大妖精がトップになったわね。」
「(あの短時間で全部解いてたんだ・・・)」
『同じく新入生代表、射命丸 文』
「射命丸文ってあの新聞記者かしら?」
「まさか、あのブンヤにそんな学力は無いのだわ。」
「あっ本当、全然ちがうのー。」
ステージに向かって歩く大妖精。
後ろを歩いている射命丸(偽)がかなり気になる。
「この妖怪・・・試験の時にいたうんこ座り・・・」
まさかと思い新入生の方を見たが緑とピンクはいなかった。安心。
『挨拶。』
新入生挨拶を済ませ階段を下りていると不意に射命丸(偽)が喋りかけてきた。
「大妖精。
紅魔館の近所にある霧の湖周辺を縄張りとする妖精。
⑨事件直後に妖精ルーネ・ワイミストと住むようになった。
・・・私はMです。」
「・・・・・・・・・・・――!!?
(い、いきなり何・・・相手にしない方が良いのかな・・・)」
相手にしない方がいい。
しかし大妖精は振り返って爽やかな笑みを浮かべながら返した。
「私はSです。」
入学式が終わりさっさと帰ろうとした大妖精達にやはりMが声をかけてきた。
「テニスしません?」
「え!? まぁ・・・いいですけど・・・(いきなりすぎるよ・・・)」
「テニス・・・か。
言っておきますけど私妖精の大会で優勝してますから。」
「それなら私も妖怪の山でチャンピオンになったことがあります。
なので遠慮はいりません。」
「大ちゃん頑張ってー!」
ルーネの声援を背に受けつつ大妖精は構える。
「さぁ・・・喰らうがいい大妖精。
未だ返されたことのない私の一撃必殺サーブ・・・スクリュードライバー!!」
Mの放った超高速キックサーブが大妖精へと襲いかかる!
「ば、馬刺しソーダ!!」
「!!」
気がつくとボールはMの持っていたラケットと共に壁に突き刺さっていた。
『ゲームセット!! ウォンバイ大妖精!! 15-0!!』
「ええ!? 一点勝負なの!?」
長い一日を終え家へと戻った大妖精は早速ノートを開く。
犬走…
「あら、彼女の名前知ってたの?」
「ルーネちゃん、そういうことは思っても口にしちゃ駄目だよ。」
「え?・・・あ」
「まぁそのおかげで確信できたけど。
私の知ってる白い天狗の名前って犬走椛だけだったから勘で途中まで書いてたの。
そうしたらルーネちゃんが正解だって言ってくれた。」
「・・・けどよくその名前も知ってたわね」
「射命丸文の出した裏盗撮本・・・その中にいた1人だよ。
Mも自分に関する写真なんかは全て抹消してるつもりだったんだろうけど
裏に出回った物はまず消せない。
ああ、偽名として使った名前の持ち主によって負かされてしまうなんて・・・ふふ」
「やはりクルクルパーにしてしまうの?」
「ううん、あれが本物のMかどうかわからないし犬走が絶対に私に辿り着かないように操作するだけだよ。
もし本物ならそれで私の勝ち。偽物なら次のを待てばいい。」
こうして2人の天才の戦いは大妖精の勝利によって終わってしまった。
と言うことはルーネは今後ずっと大妖精と共に暮らすということ。
黒リリーが閻魔様に(強制的に)格上げされた瞬間であった。
「・・・あれ?」
「どうしたの大ちゃん?」
「あ…ううん、何でもない」
霧の湖。
ここで妖精達はいつものように遊び呆けていた。
その中にいる主にツッコミ担当の異様にでかい妖精、大妖精。
いや、別に彼女がでかいわけではない。たまたま周りにいるのが小さかっただけである。
ノートが落ちてくるのをたまたま見ていた大妖精はそれが気になり皆が帰ってから拾いに行った。
「BAKA NOTE・・・べーかのーと?」
表紙をめくり「ああ、バカか」と納得。
「How to use ・・・英語で書いてる」
残念ながら大妖精は英語がわかるので余裕で読めた。
要約するとこんな感じ。
このノートに名前を書かれた者は馬鹿になる。
書く人物の名前が頭に入ってないと効果はない。
99秒以内に詳しい症状を書くとその通りになる。
特に症状を書かなかったらチルノ並みの知能になる。
このノートは厳密には馬鹿にするのではなく精神や知能、記憶に障害を与えるものである。
このノートで頭を良くすることは出来ない。
貧乳萌え。
「…なるほど。
でも嘘っぽいなぁ・・・
試しに誰か一人…私とあまり関係なく、頭のいい人…」
サラサラ・・・
八意永琳 薬品名を見間違えまくる。
―次の日。
大妖精はバファ○ンをもらいに来たという名目で永遠亭を覗きに来ていた。
「なんだか騒がしい・・・やっぱりノートの・・・でも偶然何かの準備をしてるだけかも」
その時運良く永遠亭の中から因幡てゐが出てきたので得意の瞬間移動を駆使して捕獲。
話を聞くと永琳がやらかしたのだという。
「(・・・間違いない)」
足がつくといけないのでこの兎を消去し大妖精は家に帰った。
「それにしてもこのノート・・・どんな風に活用できるのかな・・・」
魔法の森で食用キノコを採りながら考える。
すると・・・
「ちょっとそこのお嬢さん写真取らせてくれませんかー?」
「え・・・?」
「私は射命丸文。あややって呼んでね。」
妖精の女の子がたちの悪い天狗に絡まれていた。
やれやれとため息をつきながら大妖精は物陰でノートを開く。
射命丸文 方向転換をした時障害物に気付かない。
「ちょ・・・困ります!」
「へへへ、いいじゃないですかちょっとくらい」
「いや!!」
「おっと逃げても私の速さには敵いませんよ!」
「・・・そろそろ99秒」
「助けてーー!! サニー! ルナー!!」
「ふはははは遅い遅iへぶっ!!?」
あややは右に曲がった時思い切り木に顔から突っ込んだ。
妖精はそのまま逃げていった。
森での出来事によりノートが本物だと確信した大妖精はキノコも採らずにそのまま帰宅した。
―2日後。
「ふ・・・ふふ・・・」
「気に入ってるようですね。」
「わぁ!!?」
いきなり後ろから声をかけられ大妖精はもの凄くびっくりした。
「そんなに驚かなくてもいいではないですか。
そのノートの落とし主 死神・四季映姫ヤマザナドゥです。」
「え、いやあなた閻魔様ですよね・・・?」
「はいそうです。死神はただ雰囲気で言ってみただけです。」
「えーと取りあえず聞きたいことが」
そう言って大妖精はノートを広げて映姫に見せる。
「ちょっ・・・おまっ・・・書きすぎですよそれ!?」
「幻想郷の主要人妖の名前は2人ほどしか書いてません。
殆どどうでもいいのばかり書いてみました。
それで、ノートの効力をわかっていて使った私は何の罰を受けるのでしょうか?」
「いや何も。そのノートはもう拾ったあなたの物です。」
「え・・・? じゃあどうしてこのノートを・・・?」
「それは私がたまたま落としてしまったノートをたまたまあなたが拾っただけです。
そう・・・あれは3日ほど前だったでしょうか・・・
『ん? これは・・・
わぁ! 小4の夏休みの宿題で作ったバカノートじゃない!
懐かしいー』
ツルッ
『あっ・・・』
不覚にも手が滑ってしまいなんとノートを便器の中に落としてしまったのです。
うちの便所は水洗ではありませんからノートは闇の中へ落ちていき、
この幻想郷へと降ってきたのです。
今思えばどうして便器の蓋をしていなかったのかと悔やむばかりで」
「・・・そうですか。」
ドンドンッ ズガッ!ビシッ!きゅっ!どかーん!
不意に戸をノックする音が聞こえてきた。
「大ちゃーん、みんなで遊ぼー!」
「あっ友達が来たみたい。
うんー準備するから先に遊んでてー!」
大妖精が答えると「わかったー」と言い声の主は遠ざかっていった。
「・・・困りましたね。」
「え?」
「いえ、私はそのノートを最後まで見届けなければなりません。
そしてノートの所有者にずっと憑いてないといけないんです。
さらに別にノートに触れても触れなくても誰の目からでも私の姿は普通に見えます。」
「・・・そう言うことはもっと早く言ってください。
確かに常に閻魔様が側にいるというのは不思議極まりないですね。
これが知れたらすぐに幻想郷中に広まって同棲、恋人とかいう騒ぎになるでしょう。」
「出来れば私も周りに知られたくはありません。特に小町には・・・
散々サボりのことを叱ってきた私が今仕事せずにここにいるのですから。」
「・・・着替えましょう」
「へ?」
「別人としてみんなの前に姿を見せましょう。」
そう言って大妖精はクロゼットを開けリボンやらカチューシャやらキャミソールやらを取り出す。
「髪型も服装も変えればぱっと身ではわからないと思います。
服は私のお古を」
「お古って・・・私の方があなたより体格でかいはずなんですが」
「大丈夫です。胸は私の方が大きいですから。」
「うぐっ!?」
―1分後。
「完成です。」
「早っ!」
「大きめのリボンにポニーテール、緑の服で完全に別人です。」
「確かにこれならそう簡単には気付かれないでしょうね」
「あなた名前はRune Whitemist『ルーネ・ワイミスト』。
昨日から住み始めた私の従姉妹と言うことにしましょう。」
「よくもまぁそんなすぐに思いつきますね。」
「あ、あとタメ口で話した方が良いかな?」
「そうね。よろしく大妖精。あ、本名で呼んだ方がいいかしら?」
「え・・・本名知ってるの?」
「ええ。私には目があるから。」
「目?」
「そう。顔を見ると名前とIQとスリーサイズがわかる目よ。
あなたも欲しかったらIQの半分と引き替えに得られるけど。」
「いりません。」
「え、そう?」
「いやIQ半分だよ!? 200あったとしても100になっちゃうじゃない!
あ、あと本名は絶対にばらさないでね。」
「わかったわ。花子ちゃnおぶぐはぁ!!?」
-大妖精秘技『ジェット正拳』-
圧縮した空気を利用して超高速のパンチを繰り出すのだ!!
その威力はマウンテンオブフェイスを一撃で粉砕するほどである!
この後死にかけたルーネを連れて友達の待つ夜遊びへと出かけた。
―次の日。
大妖精と映姫の同居生活の最初の朝が訪れた。
「ルーネちゃん、もう朝だよー!」
「んーーー? 8時4分・・・大丈夫。仕事は9時からだから・・・あと52分は寝られる」
「何寝ぼけてるの。今は閻魔様じゃ無いでしょ?」
「はっ・・・そうだったわ!」
ルーネが着替えて居間に行くとすでに飯台の上に朝食が並べられていた。
「それにしても随分と家庭的な妖精ね。
こんな家まで建てて・・・買ったの?」
「これは私が自分で造った家だよ。」
「へぇ・・・妖精の技術力も侮れないわね。
ではいただきます。」
まず白ご飯に手を出す。
「ご飯、良い感じで炊きあがってるなぁ」
「・・・別に無理にネタに走らなくてもいいんだよ?」
「ごめんなさい。いつも小町はこれで大ウケしてたから。」
次に味噌汁に手を出す。
と、そこでルーネの動きが止まった。
そして他のおかずを全て一口ずつ食べる。
「・・・この味噌汁、味噌が多い。辛いわ。」
「え」
「この魚も塩かけすぎ。卵焼きは塩も砂糖も多い。」
「う・・・」
「更にあなたのやっこの醤油のかけ具合から見てあなたもの凄い濃い味好きね。」
依然チルノに言われたこことシンクロする。
そう、チルノはこの大妖精の料理の味の濃さに耐えられずに家出したのである。
現在は三バカ妖精の家に泊まっているらしい。
「う~」
「そ、そんな泣きそうな顔しないで! ほら、私が色々教えてあげるから。」
「ルーネちゃんは料理出来るの?」
「勿論。地獄の料理長とは私のことよ!」
こうして料理を習う約束をした2人。
朝食を済ませると大妖精は早速ノートを開く。
「質問いいかな?」
「何かしら?」
「このノートに名前を書かれて馬鹿になったら元に戻せるの?」
「無理よ。一度書いてしまえば効果は永久に続くわ。
あらかじめ何時から何時まで馬鹿になると書いておけば時間が過ぎれば元に戻るけれど。」
「じゃあもう一つ、効果の追加はできるの?」
「出来るわ。ただし最初にその者の名前を書いた部分の続きに書かなければならない。」
「なるほど。」
サラサラ
「あら、もう主人公格に手を出したわね。」
霧雨魔理沙はいつもと違う自分を感じていた。
なんだか力が湧いてくる。
今ならこの手に持った竹の柄の箒で目の前の木を斬り倒すことが出来る。そんな気がするのだ。
そして魔理沙は箒を構え・・・目の前の木へと一閃させたっ!
捻挫した。
「ほら見てルーネちゃん。」
「ん? ほう、これは・・・」
大妖精はパソコンのとあるホームページをルーネに見せる。
「『恐怖の⑨伝説』だって。
⑨で検索しただけで1000件はヒットするよ。
もうみんな⑨の手によって世界が蹂躙されるのがわかってるんだよ」
「こんな小さな妖精がこの大規模な異変の犯人とは誰も思わないわね。」
「まあこの⑨っていうのがチルノちゃんから取ってるっていうのがちょっと気に入らないけど」
そう言いながらパソコンを切りテレビを付ける。
「もう『神奈子さんといっしょ』が始まる時間だよね。」
「ええ。頭突きのお姉さんは今日も絶好調だといいわね」
「褌のお兄さんも期待だね」
『…ザー…』
「あれ?」
『番組の途中ですが妖怪の山からの全世界同時中継を行います。
通訳はユカリ・ラフカディオハーン。
―私は全世界の妖怪を動かせる唯一の存在
アリス・マーガトロイド―――通称「M」です。』
「え・・・何この人?」
『私は俗に言われている「⑨」を必ず捕まえます。』
「ちょっ途中すっ飛ばしすぎ!?」
「必ず捕まえるですって」
「・・・無理だよ。馬鹿にする手段すらわからない、
証拠も残らない、このノートを押さえない限り。」
『⑨よ、お前がどのようなことを考えてこんなことをしているのかは全く見当もつかない。うん。
しかしお前のしていることは、悪だ』
「悪・・・ね。
ふふ・・・」
大妖精はノートを開き名前を書き始める。
「すぐにわかるよ・・・私こそが正義だと・・・
そして私から神奈子さんといっしょを奪ったお前こそが悪!
さようなら」
Alice Margatroid クルクルパー
「あと80秒・・・」
「3、2、1、」
※アリスファンの方々の気持ちを考慮しクルクルパーになったアリスの描写は控えさせていただきます。
ご了承ください。
「あはははは!」
『し・・・信じられない!!』
「!?」
『⑨・・・お前は直接手を出さずに人を馬鹿にすることが出来るのか・・・
よく聞け、⑨。
お前が今馬鹿にしたアリス・マーガトロイドは今日この時間に脱稿する予定だった者だ。私ではない。
だが、Mという私は実在する!
さぁ⑨よ、私を馬k』ブツッ
大妖精はテレビの電源を切った
「あら、切っちゃうの?」
「どうせ勝手に色々喋るだけだよ。
⑨が何者なのかもわかってないようだしMについてのヒントも言うはずないし。」
―その頃のM
「⑨、お前は幻想郷にいる!!」
「小ー樽のーひーかーありー
まーとーの裕貴ー
二ー三ー呼ぶー月ー日ーかーさーねつーうーつー」
「リグル何歌ってるの・・・?」
「あ、ルーミア。火垂るの墓。」
「嘘だ!!
蛍の光でしょ!?
裕貴君は的なの!?
二三って誰!?」
「金田一に出てきたじゃん」
「そ、そーなのかー!!」
午前中ルーネと大妖精は他の妖精達と遊んでいた。
普段仕事ずくめだったルーネは思いっきりはしゃいでいたという。
そしてお昼。
「お昼ご飯は私が作るわ。まあ見てなさい。」
「あ、うん」
大妖精は居間で座って待つことにした。
台所からガチャガチャと食器の音が聞こえてくる
「(え、いきなり食器出すんだ・・・)」
とんとんとんと包丁の音。
「痛っ!!」
「え!大丈夫ルーネちゃん!?」
「平気よ。ちょっとかすっただけ」
ジャー ガシャーン!
「えっ!?」
「大丈夫。積み上げてた食器が崩れただけよ。割れてないわ。」
こうしてルーネの作った料理がやって来た。
「これ、大丈夫?」
何というか予想通りだった。
一体何を作ったつもりなのかよくわからない。
前を見ると満面の笑みを浮かべたルーネ。指には絆創膏が3つ。
大妖精はおそるおそる料理を口に運ぶ。
・・・美味かった。
今までに食べたどんな料理よりも。
見た目や手際がかなり悪い代わりに味が最高。手際が良いのに味が極端な大妖精と正反対だった。
まさに地獄の料理長。
2人が協力すれば完璧な料理が作れよう。
映姫ルートが解放されました。
映姫ルートへ進みますか?
はい
→いいえ
―その頃の⑨事件捜査本部。
「Mです。」
「・・・こいつが?」
「なんかイメージと・・・」
捜査本部の一員である紫と藍の前に現れたのは1人の少女。
白いボサボサの髪に白い服、赤い袴みたいなスカート、裸足、真っ黒な瞳、クマ。
「では、まず⑨が人を馬鹿にするには顔と名前が必要だと言うことがわかりました。」
「それは私達もわかってます。」
「なので私のことは『天宮』と呼んでください。 であなたたち二人はえーと松本と船越で。」
そして机に事件について色々書き始めるM。
「紫様、なんか投げやりすぎませんかこの方・・・?」
「大丈夫よ・・・たぶん。 幻想郷一の探偵だって言ってたし」
「まずは最近幻想郷に現れた者からあたってみましょう。 聞いてますか?」
「え? あ、はいっ聞いてますよ!」
「それでは解散。」
「早!?」
「ルーネちゃん見てこれ」
大妖精がテレビの歌番組を見ているルーネを呼ぶ。
「今前田慶次出てるから終わるまで待って。」
「何かしら?」
「ほらこの号外見て。」
大妖精は持っていた新聞を広げて見せた。
「今日の出来事だよ」
「『十六夜咲夜 少年を襲う』!? 何これ!?」
「咲夜さんにショタコンを追加してみたの。書いたの昨日の夜なのに予想以上に行動が早かったよ。
このノートは多少は思想を変えたり追加したりすることも出来るみたいだね。」
襲われた少年にとってそれは幸せだったのか地獄絵図だったのか、それは少年にしかわからない。
「次はミスティアでも書こうかなー」
―次の日。
捜査本部 M、紫、藍の会議。
「えー最近現れた者を当たり片っ端から調べて見たところ数名いることがわかりました。
まずは外の世界の日本からやって来た東風谷 早苗。神社ごと引っ越してきたようです。
布教活動をしているらしく幻想郷の色々なところで目撃されています。
次に妖精ルーネ・ワイミスト。彼女は大妖精の従姉妹で彼女の家に居候しているようです。
妖精が生息していそうな所は大抵調べましたが彼女のことを知っている者は誰一人いませんでした。」
「妖精は元々秘密が多いですし一緒に住んでいる大妖精自体も殆どが謎に包まれています。
それにある日突然沸く妖精もいるので別に不思議なことではありません。」
「そうなの!?
そして人里に住む滝沢さん。外の世界の土耳古という国からやって来たようで
趣味はボウリング、好きな食べものは七面鳥だそうです。
最後に紅魔館でメイドをしている黒龍族の春風亭 辰子。落語家ではないそうです。
勘と知力が優れているらしくメイドになって2日ほどで霧雨魔理沙を捕獲した経歴を持ちます。
あああと逆に最近いなくなった者もいることがわかりました。
因幡てゐです。
彼女は最初の被害者と思われる八意永琳の事件の次の日から姿を消しています。
何か重要なことを知っているかもしれませんので金田一さんに七瀬さん、彼女の捜索をお願いします。」
「昨日と呼び名が変わってるんですけど」
「えっ? えーこれも用心のためです。
私はさっき言った方を調べます。」
「・・・わかりました。」
「ところで捜査本部なんで3人しかいないんでしょうね?」
「他に調べようとする者がいないからよ。」
「おはようみすちー!」
「おはようルーミア。今日も燕ってるわね。」
「つ、つばめ!?」
「ところでなんか最近リグルが百舌ってるんだけどどうしちゃったのかしら」
「もず??? ・・・あっほら見て、前田慶次の写真集買っちゃった!」
「あー最近鷲ってる男ね。私も烏っていかないとやばいわね」
「み、みすちーも変になったーーーー!!!」
「ちょっルーミア!! ・・・急に鶉っちゃってどうしたのかしら」
「ところでルーネちゃん、ちょっと話があるんだけど」
「何かしら?」
「私実は来週大学の試験受けるの。だからルーネちゃんも一緒に受けよ。」
「は!?」
「基本的に一緒にいないと駄目なんでしょ?」
「そうだけど
ていうかそういうことはもっと早く言いなさいよ! それに来週って・・・まだ受けられるわけ?」
「裏から手を回せば。」
「だったら裏口入学でいいじゃない。めんどくさい」
「閻魔様の言葉とは思えないよそれ・・・」
―そして試験当日。
ちなみにここの試験は1日のみである。
「始め。」
いくらか解いたところでふと斜め前にいるルーネの方を見た。
寝てた。机にうつ伏せになって。
「(ちょっ・・・)」
「そこ、ちゃんと座りなさい。」
そんな注意が聞こえ気になって後ろを見てみると白い髪のうんこ座りがこっちを見ていた。
視線がキモかったので大妖精はすぐに前を向いた。
すると、
「かーえーるーの心臓はーーー皮ーのー中ー
そーっと開いて見てごらん☆ そーっt・・・」
右側に変な歌を歌っている緑髪の妖怪。
「こんな問題軽く駝鳥ってやるわ」
その前にピンク髪の妖怪。
まさかと思い左側を見てみたが
手に包帯を巻いた少女が普通に問題を解いているだけだった。
色々と疲れる試験であった。
―そして
『新入生挨拶。新入生代表、大妖精。』
「おお、やはり一問わざと外しておいたおかげで大妖精がトップになったわね。」
「(あの短時間で全部解いてたんだ・・・)」
『同じく新入生代表、射命丸 文』
「射命丸文ってあの新聞記者かしら?」
「まさか、あのブンヤにそんな学力は無いのだわ。」
「あっ本当、全然ちがうのー。」
ステージに向かって歩く大妖精。
後ろを歩いている射命丸(偽)がかなり気になる。
「この妖怪・・・試験の時にいたうんこ座り・・・」
まさかと思い新入生の方を見たが緑とピンクはいなかった。安心。
『挨拶。』
新入生挨拶を済ませ階段を下りていると不意に射命丸(偽)が喋りかけてきた。
「大妖精。
紅魔館の近所にある霧の湖周辺を縄張りとする妖精。
⑨事件直後に妖精ルーネ・ワイミストと住むようになった。
・・・私はMです。」
「・・・・・・・・・・・――!!?
(い、いきなり何・・・相手にしない方が良いのかな・・・)」
相手にしない方がいい。
しかし大妖精は振り返って爽やかな笑みを浮かべながら返した。
「私はSです。」
入学式が終わりさっさと帰ろうとした大妖精達にやはりMが声をかけてきた。
「テニスしません?」
「え!? まぁ・・・いいですけど・・・(いきなりすぎるよ・・・)」
「テニス・・・か。
言っておきますけど私妖精の大会で優勝してますから。」
「それなら私も妖怪の山でチャンピオンになったことがあります。
なので遠慮はいりません。」
「大ちゃん頑張ってー!」
ルーネの声援を背に受けつつ大妖精は構える。
「さぁ・・・喰らうがいい大妖精。
未だ返されたことのない私の一撃必殺サーブ・・・スクリュードライバー!!」
Mの放った超高速キックサーブが大妖精へと襲いかかる!
「ば、馬刺しソーダ!!」
「!!」
気がつくとボールはMの持っていたラケットと共に壁に突き刺さっていた。
『ゲームセット!! ウォンバイ大妖精!! 15-0!!』
「ええ!? 一点勝負なの!?」
長い一日を終え家へと戻った大妖精は早速ノートを開く。
犬走…
「あら、彼女の名前知ってたの?」
「ルーネちゃん、そういうことは思っても口にしちゃ駄目だよ。」
「え?・・・あ」
「まぁそのおかげで確信できたけど。
私の知ってる白い天狗の名前って犬走椛だけだったから勘で途中まで書いてたの。
そうしたらルーネちゃんが正解だって言ってくれた。」
「・・・けどよくその名前も知ってたわね」
「射命丸文の出した裏盗撮本・・・その中にいた1人だよ。
Mも自分に関する写真なんかは全て抹消してるつもりだったんだろうけど
裏に出回った物はまず消せない。
ああ、偽名として使った名前の持ち主によって負かされてしまうなんて・・・ふふ」
「やはりクルクルパーにしてしまうの?」
「ううん、あれが本物のMかどうかわからないし犬走が絶対に私に辿り着かないように操作するだけだよ。
もし本物ならそれで私の勝ち。偽物なら次のを待てばいい。」
こうして2人の天才の戦いは大妖精の勝利によって終わってしまった。
と言うことはルーネは今後ずっと大妖精と共に暮らすということ。
黒リリーが閻魔様に(強制的に)格上げされた瞬間であった。
突っ込みどころ多すぎてコメに書ききれないw
本文で散々笑ったのにサブ物紹介でもw ここまででも区切りよく楽しめたけど、続きも読みたいような。面白かったです。
↑ちょwwwそっちじゃないww
突っ込みどころに関して、最初のレスの方と同じ意見ですw
あと、最後のキャラ紹介にM(椛)がいないのはやっぱり仕様ですかw
あっさり圧勝する大妖精いいですねー