Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

香霖堂に(魔界)神がやってきた 結婚まで(後)

2007/12/13 09:40:54
最終更新
サイズ
25.96KB
ページ数
1

分類タグ


 勝てるはずの勝負だった

 あいつの一番近くに居て
 
 そしてあいつの事を一番見てきて

 あいつが一番私の事を見ていてくれたから

 だけど、私はそれに慢心してしまった

 気がつけば、勝てない勝負になっていた

 後からやってきた奴だが

 多分、私よりもあいつの事を分かっていて

 そして……香霖(あいつ)も神綺(やつ)
 
 の事を私の事より知っているのだろう 
 
 何も言わないで心の中に秘めておけばよかった

 だけど、それは私の流儀に合わない

 そして、砕けてみた……

 その結果が……

「おい!香霖……嘘だろ…ねぇ?」
「大……丈夫…とは…いえな……」
「香霖…おい!香霖!」
 目の前にいる血まみれの香霖の姿だった
 いかに魔法使いと言えど……女の子にこの惨劇は
 余りにも辛い……
(ど…どうすれば……)
 魔理沙がうろたえているのを救ったのは
「魔理沙…落ち着け…」
「香霖!」
 目の前にいた香霖だった
「……人を…呼んできてくれ…」
「で、でも…」
 魔理沙が泣きながらパニックになっていると
「…大丈夫……そう…簡単…に…げほっ!」
 香霖が苦しみだす、本当は話すのも辛いのだ
「!?…待ってろ!」
 魔理沙は八卦炉を上に向けると

「ファイナル・マスター・スパーク!」

 全力で上空に放った
(香霖の隣を離れるわけにはいかない……
 だけど、私一人じゃどうする事もできない
 ……この光に誰か気がついてくれれば)

 魔力の消費も激しいが、その光の奔流は
 地面から放つ光の柱だった

(誰か……早く来てくれ!)

「魔理沙!?」
 魔力の渇望によって意識が薄れる寸前
 誰かの声が聞こえた
(ア…アリス……)
 アリスが来てくれたのなら、いずれ他の人も来るだろう
 魔理沙は意識を落とした 
 








 香霖堂に神様……終わりは近い



 余りに激しい光の奔流に
 一体何が起きたのかと魔界人の人は思ったが
 アリスと美鈴……そしてニトリと神綺には分かった

 一番初めに駆けつけたのはアリスだった
「!?こ、香霖さん?」
「……」
 余りの惨劇に絶句したが
「こうしちゃいられないわ!」
 アリスがまずは香霖の上にある鉄の柱を何とかしようとしたが
「……くっ!どうしよう」
 魔法で吹っ飛ばしたら、香霖にも
 被害が出る……だが、人形とアリスの力を使っても
 この重さの物をどける事はできない

 その時
「アリスさん!」
「!?ちょうどよかった……これをどけて頂戴!」
「えっ……!?はい!」

 光の柱を見た美鈴が思った事
(あれは……魔理沙さん!?なんで?
 しかもあの位置は遊園地?嫌な予感がします!)
 そう思って大急ぎで駆けつけたのだ

 美鈴にかかったら、この位の鉄の柱
「そぉーい!」
 その辺の石ころの等しい

「香霖さん!」
「とりあえず!アリスさんは皆さんに連絡を
 私は香霖さんに気でできるだけの治療を!」
「分かった!」

 美鈴が全力で香霖の身体に気を流す
「くっ!止血はできましたけど……このままだと
 確実に死にます!」
 その言葉にアリスが叫ぶ
「そんな……どうすれば!」
「きちんとした医者に見てもらわないといけない
 しかも、外科の技術を持っているような」
 魔界にはそのような高度な技術を持った医者は居ない

 その時に現れたのは
「だったら、永遠亭に連れて行けばいいかな?」
「「ニトリ?」」
 後ろから現れたニトリが手に何かを持って
 やってきた
「今すぐに永遠亭に連絡を取って
 手術の準備をしてもらうようにするよ?」
 ニトリの言葉に二人が驚く
「連絡って……できるはずがないじゃない」
 アリスの言葉に
「今から、連絡する」
 ニトリが手に持っているものを動かした

「もしもし~?」
 
「は~い……永遠亭ですけど?」

「急患一人!」

「場所は何処ですか?」

「魔界です!」

「へっ?」

「とりあえず今からそちらに向かうから
 手術の準備お願いします!」

「ちょっと待って!患者の状態は!?」

「鉄の塊に押しつぶされて、腕を切断!
 あと大量の血流れている
 そして、種族は半妖!以上」

 ガチャ
「これでヨシ!」

 ニトリは連絡を取った
「問題は、魔界から永遠亭までどうやって運ぶか」
 三人が悩むと
「香霖さん!」
 後ろから神綺が現れて絶句していた
「香霖さん!香霖さん!……」
「お母さん、ストップ!落ち着いて!」
 アリスが神綺を落ちつける
 神綺が落ち着くと
「お母さん、魔界から外に出る一番近い道は!?」
 アリスが神綺に何か永遠亭に向かう近道はないか
 問いかける
「魔界の門は一つだけ……そこからしか移動できない」
 三人は他に何かないかを考える
「……そうだ!永遠亭に私が香霖雨さんを連れて行く!」
 神綺が香霖を抱えた
「お母さん?」
「魔界から他の所に行くには、門をくぐる必要があるけど」
 神綺の背中から六つの羽が現れる 
「私は魔界の神!魔界から違う世界に行くのも
 帰るのも……思いのまま!」

 香霖を抱きしめた神綺が光に包まれる

 三人が眩しさに目閉じる
 そして、目を開けると
 その場には、香霖も神綺も居なかった
 美鈴が一番に声をかけた
「……永遠亭にいったんでしょうか?」
 ニトリがまた先ほど使った物を取り出す
「ちょっと、連絡してみる」
 ニトリが、再び機械を動かす

「もしもし!」

「なんですか!?今は、腕が引きちぎれた患者さんを
 羽が生えた人がいきなり連れて来て
 緊急手術が必要なんですから!」

「ああ、森近さんかな?患者さん」

「そうですよ!……ってあれ?なんで知っているん
 あ、すいません!私助手しなきゃ……」
(ガチャ)



 ニトリが微笑む
「どうやら……何とかなったみたいだね」
 アリスと美鈴も一息つく
「さて……後は…」
 アリスがつぶやき後ろを振り向
 美鈴とニトリも振り向く
 そこには
「この無茶した魔法使いを連れて行かないとね」
 魔力を使い果たして意識を失っている魔理沙が居た








 次の日、魔界と幻想郷は大騒ぎになった

「香霖堂店主、大怪我?」

 幻想郷では、香霖の大怪我の話で持ちきりだった

「……大変な事になった…」
 夢子が頭を悩ませた……
 このままでは、最悪の場合、幻想郷と
 魔界の緊張が高まる事になる
(そうなったら、この計画もおしまいだ)
 
 その時
「ただいま……」
 誰かが帰ってきた
「神綺様!」
 微妙に疲れた神綺が帰ってきたのだ
「遊園地の方とダムの様子は?」
 帰ってきて早々、神綺は夢子にたずねた
「……ダムの方は完成していて
 遊園地の方は8割完成しています」
 夢子は事務的に答えた
「……後どれだけで完成しそう?」
 その答えに夢子は、しばらく考えて
「一週間……それだけあれば完全に…」
 そう答えた
「……もう、指導者が居なくても完成しそう?」
「はっ?……ええ、まあ…後は試運転と
 危険な所の点検ぐらいですから」
「そう……」 
 神綺はそう話すと
「……ちょっと部屋で休みます…」
 部屋に向かった
(神綺様?)
 夢子は不思議に思ったが、それ以上散策しなかった






 永遠亭の中にはアリスと魔理沙が
 手術室の前で座っていた
「……魔理沙…大丈夫?」
 アリスが魔理沙を気にかける
「…ああ、大丈夫……」
 少し疲れているが、アリスにそう答えた
「魔理沙も疲れているだから…」
「…私には…待つ事しかできないから」
 魔理沙の肩が小さく震えていた
「……私が余計な事をしなければ…」
「魔理沙!」
 アリスが魔理沙の肩を後ろから抱きしめる
「……香霖さんは大丈夫だから…」
「……うん」
 しばらくすると、手術室から誰か出てきた

「ふう……久しぶりの大手術だったわね…」
 月の頭脳にして、永遠亭の実質のトップ
 八意 永琳だった
「師匠…お疲れ様でした」
 その後ろから、その弟子のうどんげが出てきた

「香霖は……香霖はどうなったんだ!?」
 魔理沙が、永琳に詰め寄る
「命は大丈夫……」
 その言葉にアリスと魔理沙はホッと胸を撫で下ろした

「でも、片腕はどうしようもなかったわ」
 その言葉にアリスと魔理沙は動きが止まる
「ど、どういうことだよ!?」
 魔理沙が永琳再び詰め寄る
「……どれだけ頑張っても、あれだけ変形してしまった
 腕は繋げる事はできないわ……」

 綺麗に切れていたら、また話は別だった
 だが、不自然に引きちぎられたせいで
 筋肉と神経が不自然に切れてしまい
 その上、切れた断面が上下で大きさが完全に
 違ってしまっていたのだ

「……いずれ義手を用意しなければならないでしょうね」
 そういって、永琳はうどんげと一緒に奥に戻って行った

 後ろに残されたのは
 地面に膝をついて泣きじゃくる魔理沙と
 その背中を押さえるアリスの姿だった




 手術を終えた香霖だったが、意識がまだ戻らなかった
 香霖の意識が戻らないまま
 魔界の遊園地は完成した


 幸いにして、幻想郷と魔界の緊張も香霖が
 命に別状が無いと言うことで薄れていた



「これで、遊園地も完成しました……」
 夢子が神綺にそう告げると
「では、後は皆に来てもらうだけですね」






 次の日……宣伝担当者は幻想郷の様々な有名人に
      魔界の遊園地の限定チケットを配った


 ある者は、冥界に
 ある者は、永遠亭に
 ある者は、紅魔館に
 ある者は、マヨヒガに
 ある者は、三途の河に
 ある者は、妖怪の山の神社に
 ある者は、博麗の神社に

 様々な所に無料体験チケットを配った
 
 基本的に大妖怪といわれる人物達は暇である
 だから、このような大型娯楽施設を作った場合

 紅魔館 
「お姉さま!早く行こうよ!」
「フラン…少しは落ち着いたら?」
「妹様もお嬢様も…もうお眠りになってください!」
「咲夜さん……バッグの中に入れ忘れですよ」

「パチュリー様~」
「小悪魔も準備できた?」
「はい!カメラもばっちりです!」


 白玉楼
「幽々様!お弁当の材料を食べないでください」
「え~でもお腹減ったし……」
「でも…じゃありません!明日お弁当が食べられなくなってもいいんですか!?」
「……ぶう~」



「姉さん、準備できた?」
「ええ」
「でもやけに張り切っているわね?」
「当然!」

(……あの時のお礼をいわないとね…)
 リリカはオルゴールを見てそう思った





 永遠亭
「ねえ、てゐ……私のズボンしらない?」
「知らない(鈴仙ちゃんはスカートじゃないと…)」
「うどんげ……これを履いてみる?」
「あ、師匠のスカート」
「おそろいよ?」
「ぜひ!」
「(しまった!先を越された)」

「慧音~準備でき……!?」
「こ、こら……まだ着替えている最中だ!」
「ご、ごめん」

「あら?どうしたの妹紅?」
「げっ?」
「……今日は戦わないわよ…明日が楽しみだから」
「…そうだな」
 

 三途の河

「うりゃ~!!!」
 小町が全力で働いていた
「はあ、はあ……なんとしても有休をもらう」

「…なんで小町が全力で働いているのでしょう?」
 この後……有休をもらった小町が
 四季映姫に対して
「映姫様と一緒に魔界の遊園地に行きたいんです」
 といって、映姫が涙を流したのはまた別のお話


 マヨヒガ
「藍さま~!」
「準備はできたかい?」
「はい!」
「そうか……ではあそこに置いてあるのは?」
「あっ!……ごめんなさい」
「早く準備をしてらっしゃい」
「は~い」


 神社
「紫?居るんでしょう?」
「あら?何かしら」
「暇だから……明日の魔界旅行…一緒に回らない?」
「……うふふっ、霊夢となら楽しそうね」



 妖怪の山の神社

「早苗?準備はできたかい?」
「はい!それでは私は早く寝ますね♪」

「……ねえ、諏訪子…」
「ん?なに?」
「早苗があんなに喜んだのは……久しぶりだね」
「うん……まさか、幻想郷で遊園地にいける
 なんて思っていなかったからだろうね…」
 それと、二人の神様と一緒に回れるからだろう

「あの……文様…」
「あれ?椛じゃないですか……どうしたんです?」
「あ、明日…い、一緒に魔界に行ってください」
「いいですよ?私は新たな記事を書かなきゃいけませんから
 魔界には行くんで」
 椛の心、文知らず



 どこかのお花畑
「……ふん…」
 幽香は不貞腐れていた
「(なによ……誰も呼びに来てくれないなんて)」
 一人で行っても悲しいだけだ……
「もう良いわ…不貞寝してやる…」

「幽香?居る」
「……何よ…今私は機嫌が悪い…」
 後ろからリグルが現れました
「ご、ごめん……」
「別に構わないわよ…」
「そう?……明日一緒に魔界に行かない?」
 口では文句を言っていたが
 心底うれしそうに笑う幽香の姿が見られました


 皆が魔界の旅行の話に食らいついた



 そして遊園地開幕前夜、夢子は神綺に遊園地の
 開幕についての最後の確認を取るために
 神綺の部屋にやってきた
「神綺様明日の……?神綺様?」
 だが、部屋の中には誰も居なかった
(おかしいな……今日は何処にも行かれなかったから
 部屋の中にいらっしゃるはずなのに)
 夢子が不思議に思っていると
「ん?これは……」
 神綺の部屋の机から不自然に置かれた手紙を見つけた
(手紙?……なぜ)
 もし何かあったら一言伝えてくれればいいのに
 手紙には
「夢子ちゃんへ」
 と書かれてあった
「嫌な予感がする」
 手紙の中を見て
「!?」
 夢子は表に飛び出した
(くそっ!迂闊だった……なんでもっと早くこの
 可能性に気がつかなかった!?)
 手紙の内容を思い出し
 夢子は幻想郷の永遠亭を目指した

「夢子ちゃんへ……魔界の全指揮権譲与

 香霖さんの腕、治しにいきます
 もしかしたら、お母さんは消えるかもしれない
 から魔界の事よろしくお願いします……
 後、皆によろしく
                魔界神 神綺」 


(完全に無から有を作るのは、まだ簡単だ…
 だが、有の物に無をくっつけるなんて事は
 いかに神である神綺様でも無茶だ!)

 夢子は急いだ









 永遠亭の香霖が眠っている部屋
 そこには、香霖以外誰も居なかった
「……こんばんわ…」
 だけど、いつの間にか香霖のベッドの傍に
 誰かが立っていた
「香霖さん……」
 神綺であった、魔界から直通でこの部屋
 飛んできたのだ
「今から……腕を治しますね」
 肩から完全になくなったはずの腕
 それを神綺は治そうとしていた

「うっ……」
「!?」
 
 だが、その時、香霖が目を覚ました
「……ここは…?」
「香霖さん…」
 目の前に居る人物に驚く
「ここは、魔界?」
 その言葉に神綺が首を振る
「いえ、永遠亭です」
「そうか……魔界は?」
「はい!明日開園です」
 香霖が驚いた
「…そんなに眠っていたのか……?」
 香霖が腕の違和感に気づく
「……そうか、なくなって…」
 神綺がゆっくりと微笑む
「大丈夫です……すぐに私が治しますから」
 そういって、香霖の傍による
「……どうやって?」
 香霖が神綺を止める
「いかに神だとしても、無くなったはずの
 腕を元に戻す事はできないはずだよ?」
「……もう…こんな時だけ鋭いんですから」
 神綺が呆れたようにそうつぶやくと
「私の力があれば……新たな腕ができるはずです
 ……魔界を作ったこの力があれば」
 神綺の体が光り始める
(こ、これは?)
 香霖はしばらくその光景を見ていたが
 光が強くなるにつれてその正体に気づく
「まて!これだけの魔力を消費すれば君の命も!」
 純粋な魔力の塊が神綺の光の正体だった
「大丈夫です……」
「馬鹿な!自分の命を賭けてまで何故!」
 神綺が微笑む
 
「香霖さんに両手で抱きしめてもらいたいからですよ……」

 次の瞬間、光がさらに激しくなり
 香霖は目を閉じる……
 そして、次に目を開けた時には…

「………馬鹿…最後の最後に…なんで…そんな…」
 そこには既に誰の姿もなかった
 そして、目からあふれる熱い物を抑えることができなかった 
 
 やがて涙をふくと
「……いつまでも…泣いていられないな…
 今度神綺に会ったら……笑って挨拶をしないと」


 その時、部屋に誰かがやってきた
「神綺様は!?」
 夢子だった
 かなり無茶をしてきたのだろう
 体中小さな傷だらけだった
 そして、香霖の腕を見て
 全てを悟った……
「……遅かったか…」
 その目は絶望に彩られていた
 守るべき主が居なくなったのだ
 役割を終えた人形は……
「私の役目は……これで終わった」
 夢子が手にしたナイフを首に当てようとした
「ストップ!」
 それを香霖が止めた
「…はなせ……」
「死ぬ気かい?」
 その答えに夢子が頷く
「駄目だな……魔界を守るのが君の役割だろう?」
 香霖の言葉を聞いて
 夢子は、手紙の事を思い出す 
「……そうだな…まだ死ねないようだ」
 起き上がると表に出ようとする
「何処に?」
 香霖が問いかけると
「明日の開園の準備をしなければなるまい……」
 そう答えて、再び魔界に向かって飛んでいった


 香霖が目覚めた事が永遠亭の中に居る人に
 気がつかれたのは、それからしばらく経ってからだった






 香霖が目覚めた聞いて
 朝早くに、魔理沙が永遠亭にやってきていた
 



「……邪魔するぜ」
 そこには
「やあ……今日は何のようだい?」
 いつものような返事で言葉を
 返す香霖の姿があった
「……うっ…」
「うっ?」
「うわ~ん!!」
 意識が戻っていることに魔理沙が泣いていた
 思わず香霖に抱きついて泣きじゃくっていた
 
 魔理沙が泣き終わると
「……香霖…」
 魔理沙が小さく話す
「どうした?魔理沙」
 香霖が魔理沙に聞き返すと
「ごめんなさい!」
 魔理沙が謝った
「私のせいで……香霖の…」
 魔理沙が香霖の腕を見て驚く
「……香霖…腕……」
 魔理沙が失ったであろう腕が
 元に戻っている事に気づく
「……もしかして、永琳の奴に騙された?」
「…いや、確かに腕は無くなったよ」
 香霖が少し寂しそうにそう答えた
「じゃあなんで?」
「神綺だよ……」
 そうつぶやくと、魔理沙も何も言わずに
 だまった……
 なにがあったかはわからないが
 何か悲しい事があったのだろう
「……魔理沙…」
 香霖が黙った魔理沙の頭に手を乗せると

「この前の返事だ……」

 そう話しかけた
 いきなりの事に、魔理沙は身体を
 こわばらせる
「すまない……魔理沙…君の思いにはこたえることができない……」
「ああ、わかっていたさ…」
 今はそれよりも、香霖の意識が
 戻った事のほうが重要だ
「だが、これだけは言っておかなければならない」
 香霖がさらに付け加えた
「君も、神綺も大切な人であることには間違いない……それだけだ」
 その答えに、魔理沙は
「なあ、香霖……もう一つだけいいか?」
 香霖に問いかけた
「もし……もし神綺が来る前に私が香霖に
 告白していたら……」
 香霖が微笑む
「ああ、間違いなく君をえらんでいただろうな…」
 その答えに魔理沙が微笑む
「あ~あ……蒐集家である私が、近くにあるものを
 まんまと別の人にとられるなんてな……」
 香霖の傍から離れて
 部屋から出ようとする
「あ~……そうだ…」
 だが、途中で動きを止めると
「香霖堂にツケがたまっていたから
 この場で、払っていくぜ」
「……そう簡単に払える額ではないと思うのだが」
 香霖がそう答えると
「この霧雨魔理沙の持っている物の中で
 一番の希少価値がある物をくれてやるぜ」
 そういって、再び香霖のベッドにやってきた
「ほう?それは……」
 なにかな?と答える事ができなかった
 なぜなら、魔理沙が香霖に口付けをしたからだ
 時間にして、1~2秒
 魔理沙が口を離した
「……希少品だぜ?世界に一つしかない
 乙女のファーストキスだ……」
 そういって部屋から出て行った



「……お疲れ…」
 部屋を出た魔理沙は
 外にいたアリスに捕まると
 そのまま、アリスの家まで連行された
「……なんだよ…」
 魔理沙がアリスに文句を言った
 だが、アリスには全て見抜かれていた
「……辛かったんでしょ?」
「……」
 魔理沙は無理をしていた
 完全に振られたからだ
 それをアリスは見抜いていた
「……ほら…」
 アリスが、魔理沙を真正面から抱きしめる
 魔理沙も…されるがままだった
「もう我慢しなくていいから……泣けばいいじゃない」
 その言葉を聞いてから
「うっ…うっく……うわ~~~ん!!!」
 アリス邸に魔理沙の泣き声が響いた
 その日……一つの恋が終わった
  






 香霖の意識が戻った日



 
「確認を取る!」
 夢子が周りの人を見渡してそう答えた
「サラ!決められた場所への配置は?」
「皆確認を取りました!OKです」

「マイ!ユキ!……売店の方に不備はない?」
「「昨日の内に確認済ませました!OKです」」

「ルイズ!入り口はどうなっている?」
「もうこれ以上押さえ切れません!」

「よし!遊園地『シンキファミリーランド』の開幕だ」


 魔界の遊園地が遂に開かれた

 




 遊園地が開くと同時に表で待っていた人が
 次々に中に入ってきた
 そして、皆思い思いのアトラクションに向かっていった

幽々「妖夢~おかわり~」
妖夢「いい加減にしてください!」

 ……例外も居るわけだが
 遊園地を楽しんでいた



 紫と霊夢

霊夢「紫!次はあれよ!」
紫 「ちょ、ちょっと霊夢……ペースが速すぎよ!」
霊夢「急がないと、全部周れないでしょ?」
紫 「……もうちょっと、ゆっくり周らないと
   後で疲れるわよ?」
霊夢「大丈夫よ!」

 しばらくして
霊夢「すう…すう…」
 
 紫の膝枕で眠っている霊夢の姿が
紫(ふふっ……来た甲斐があったわね…)
 遊園地の中に設けられた、休憩所に
 小さな結界を張って、周りから見えないようにして
 霊夢の頭を撫でる八雲紫の姿がそこにあった



 

 レミリアとフラン

フラン 「お姉さま~次はあっち!」
レミリア「ええ、この施設の全てのゲームを制覇してくれるわ!」 
フラン 「お~!」

「すいません……このジェットコースターは
 150cm以下の人はちょっと……」

レミフラ「「うわ~ん!」」
 年齢制限なら何とかなったが
 身長はどうする事もできなかった

美鈴「あ、すいません……お嬢様を乗せてあげてください」
「あ、美鈴さん?わかりました、ではどうぞ」
 美鈴のおかげで乗れましたが

レミフラ「「怖かったよ~」」
咲夜  「はいはい……」

 二人とも泣きながら咲夜に抱きつきました




 咲夜と美鈴

咲夜「お化け屋敷なんてたいした事ないでしょ?」
美鈴「じゃあ、一緒に入りますか?」
咲夜「ええ、かまわないわよ?」

 少女アトラクション体験中

咲夜「ひっく…ひっく……」
美鈴「さ、咲夜さん?もう大丈夫ですから…ナイフ下ろして」
 お化け屋敷の中で
 エターナルミーク使っちゃったもんだから
 お化けが逃げてしまいました
 
 後に「弾幕お断り」の張り紙が出された
 
 
 
 パチュリーと小悪魔

パチュ「……興味深いわね」
小悪魔「パチュリー様も楽しまないと損ですよ?」
パチュ「そうね……」
小悪魔「でも、パチュリー様がこれ選ぶなんて驚きました」   
パチュ「似合わないかしら?」
小悪魔「とんでもない!」
   
 メリーゴーランドに乗る二人でした  




 永遠亭

輝夜「誰か、あれの感想よろしく」
永琳「じゃあ、うどんげあれに乗ってきて?」
鈴仙「はい……ってなんで私だけ?」

  (がちゃっ!)

鈴仙「はっ!て、てゐ?」
てゐ「がんばってね~」
 
 カウント開始

 3・2・1  

「「「逆バンジ~♪」」」
鈴仙「いや~~!!!」
 
 見事に打ちあがった鈴仙の姿が見えました




 慧音と妹紅
 
慧音「だ、大丈夫…だよな?」
妹紅「大丈夫だって」
慧音「い、いや別に高い所は大丈夫なんだが」
妹紅「じゃあ、一人で降りる?」
慧音「な!う、裏切るつもりか妹紅!」
妹紅「(かわいいな~)嘘だよ…では」

 フリーフォールによる垂直落下
 一瞬だけの無重力を体験できました




 小町と映姫

映姫「遅い!」
小町「すいません(やばいこれは説教か?)」
映姫「……行きますよ」
小町「へっ?」
映姫「本当は説教したいのですが今日は時間が限られています……
   ですから、今日一日楽しむ事…それがあなたに出来る善行です」
小町「はい!」

 「すいません……150センチ未満は…」

映姫「うわーん!」
小町「映姫様落ち着いて……」
 
 結局、小町が何とかしてジェットコースタに乗った

映姫「えぐえぐ…」
小町「あの…映姫様?大丈夫ですか?」
 小町が、映姫を慰めるのに
 しばらく時間がかかりました


 

 リグルと幽香

 幽香「(きょろきょろ)……どれも面白そうな物はないわね…」
リグル「(なんだかんだで幽香も喜んでるみたいだね)」
 幽香「……てい!」
   (びしっ!)
リグル「いたっ!?な、なにするのさ」
 幽香「今、何かリグルが変な考えをしたと思って」
リグル「(す、鋭い)そ、そんな事ないよ…それより何に乗るの?」
 幽香「……と、特に何も良いのがないから…あれにでも乗るわ」    
リグル「(…全部制覇するつもりだ)はいはい…」
  
  コーヒーカップに乗ってくるくる回る
  花の王女と虫の王の姿が見られた
  

 藍と橙

藍「橙…本当に大丈夫か?」
橙「は、はい!大丈夫です」
藍「ならば良いんだが…」

 (ばっしゃ~ん)

橙「にゃ~!?」
藍「だから、しっかりとレインコートを着ておけと言ったのに」
橙「う~…式神落ちちゃった…」
藍「(だが!それが可愛い!)よしよし…また憑けてやるから」

 急流下りを体験した、藍と橙でした  



 加奈子と諏訪子と早苗

 早苗「わ~…どれで遊ぼうかな?」
神奈子「あのゲームセンターにある『戦車でバンバン』だね」
諏訪子「え~その隣の『ゲコゲコ大作戦』のほうが面白いよ?」 
 早苗「二人とも!せっかく遊園地に来たのにゲームの方に行かないでください!」 
神奈子「でもね……」
諏訪子「どれもなんか……」
 
 早苗「……せっかく…加奈子様と諏訪子様と一緒に
    遊園地に来れたんですから……」
神奈子「……早苗…」
諏訪子「…ごめんなさい」
 
 外の世界では、神様と一緒には行けなかった遊園地
 ゲームで終わるにはもったいない…  


 文と椛

文「よし!次はあれに乗りますよ」
椛「は、早すぎですよ!」
文「何を言ってるんですか!速さこそが我々天狗の象徴じゃないですか!」
椛「そ、それは……わう~」
文「(やっぱり椛は困らせると可愛いですね)では、少し休憩しましょうか」

 文と椛は、なんだかんだで楽しんでいます 

椛「文様…あそこに居るのって…」
文「む!なにやらネタになりそうな予感!」
 
 キッチリと写真は撮っていました
 今回の『文々。新聞』の出来はいかに?



 皆がそれぞれ楽しんで夜になり
 夜空に花火が打ち上げられたりしていた頃

「……あ~あ…一人身には辛いぜ…」
 一人、休憩所のベンチに座り
 空の花火を見上げる魔理沙の姿があった 
 魔理沙も本当は遊園地を楽しみたかったが
「やっぱり、一人は寂しいぜ…」
 遊園地の中に入ってから結局何処にも
 いかなかった……
「……ハア…帰るか…」
 魔理沙が起き上がろうとしたとき

「見つけた…」

 誰かが魔理沙に声をかけた
 魔理沙が振り向かずにその人物に声かけた
「よお、楽しんでるか?」
 そして、その人物の名前を呼ぶ
「アリス…」
「ええ、それなりに…」
 アリスは魔理沙の隣に座ると
「貴方は?」
 そう答えた、魔理沙はそれに対して
「…まあまあかな……」
 そう返した

 しばらく二人は座りながら花火を見ていると
 アリスがボソッと声をかけた
「お母さん…」
「ん?」
「お母さんがさ…消えちゃったんだ……」
 魔理沙には何の事かわからなかった
「香霖さんの腕を治すために、力を使ったみたい」
「………」
 魔理沙は居心地が悪かった
 だが、その場から逃げる事はなかった
「香霖さんが少しうらやましいな…」
「何でだ?」
 魔理沙の言葉にアリスが返す
「他の人に、そこまで思ってもらえた事」
 そういい終えると、アリスが立ち上がる
「さて?もうそろそろいいでしょう」
 アリスが魔理沙に手を伸ばす
「一緒に回らない?私も一人で寂しいから」
 魔理沙がアリスの手を握る
「へっ!やっぱりアリスは友達が居ないな!」
「なんですって!」
 魔理沙が逃げて、それをアリスが追いかける
 
 魔界の遊園地の初日はそのようにして終わった





 魔界の遊園地は、大人気の娯楽施設として
 遊びに行く所の定番となった
 しかも、期間限定というのが最大の売り文句だった
 
 香霖曰く
「無茶して、一年間開きっぱなしするよりは
 特定の期間だけ開いた方が、客入りもいいし
 なのより、事故が防げる……そして環境にもいいしね」
 だそうな……

 霊夢もそれを承知して、特定の期間だけ
 結界を開ける事にしたのだ
 ……決して売り上げが落ちると
 自分の神社に寄付が来ないとか
 思ったわけではないのだ





 そして、魔界の遊園地が開いてしばらく経った

(ドンガラガッシャ~ン!)
「えーと……あったあった、香霖さん
 これもらっていくわね」
「れ、霊夢…お金を払っていって…(ガクッ) 

「よう、香霖!借りてくぜ?」
「まて!魔理沙、それは……」

 相変わらず、香霖堂は二人が進入してきていた
 前と同じように、壊れた壁やガラス窓を香霖が
 無表情で治していた
「ハア…もう本当に引っ越そうかな?」
 前に魔界の方にお店を開かないか?と
 夢子さんに言われた事を思い出す
「…魔界ならある程度のコネはあるから……」
 だが、香霖はその考えを諦めた
「……魔界に行ったら、神綺が落ち着けないからな…」
 香霖はそう思いなおすと
 再び、壊れた壁の修復に向かった 

「……雨も降ってきたか…」
 
 少し寒いと思っていたら、外は雨が降っていた
「やれやれ……神様も意地悪だな…そういえば
 妖怪の山にも神がいたっけ…」
 香霖が愚痴をこぼしながら壁を修理し終えた
「…まあ、こんなものだろう」
 そういって香霖がお店の奥に行こうとした時

(こんこん!)
 誰かがやってきた
「……こんな雨の日に?」
 何か、胸がざわつくような予感がして
 お店のドアを開ける
 
 そこには……
「…神様と聞いて……歩いて…やって…ひっく」
 大きさは半分位になっているが
 特徴的な髪の毛をした
「し、神綺!?」
「うっ……うわ~ん!」

 ロリっ子な姿の魔界神の姿がありました

「うっぐ……ひっく…会いたかったですよ…香霖さん……」
 泣きながらそう答えて香霖に抱きつく神綺
「神様も大変ですね……」
 香霖はそう話しかけてから、
 両手でしっかりと神綺を抱きしめた

「こんな姿じゃ、魔界に戻れませんからしばらく置いてください」 
 神綺が微笑みながら、そう話しかけると
「いや、しばらくじゃなくてずっとここに居てもらおうか」
 香霖がそう返した、その言葉に神綺が顔を真っ赤にしながら

「はい……」

 はっきりとそう答えた
 
  
 


 
 いや……魔理沙×香霖の私が、最初に

「神と聞いて歩いてきました」
「お疲れ様です」

 というのを考えてから随分たちました…
 まさか、ここまで長く書くとは
 あの頃の私では考えれませんでしたね
 いつの間にか、私も神綺様に幸せになってもらいたい
 と思うようになりました……
 魔理沙は香霖には振られましたが、アリスが何とかしてくれると信じて
 (マリアリも悪くない)
 これまでこの香霖堂に(魔界)神がやってきたを見ていただいて
 まことにありがとうございました


 ロリ神綺を使ってもう少しだけ何か書こうと思っています
 ……もうほんとに、香霖と神綺だけのイチャイチャってのを

 例 間違えて、お酒飲んで『ゴロゴロ』『にゃーにゃー』言っている
   (炉利)神綺様とか……
 
 …誰かこの大罪をお許しください……

 

 おまけ

香霖「でも、その姿はいったい?」
神綺「うう、魔力使いすぎちゃって…今、省エネモードなんです」
香霖「あと、今まで何処に?」
神綺「え~と、香霖さんを治した後に魔力回復させるために
   色々あって……ようやく何とか歩けるようになったから
   その足で、ここに来て…」
香霖「魔界は……いや、今は戻らない方がいい」
香霖(いえない…夢子さんから紅魔館のメイド長と同じ感じがしたなんて)
神綺「なんでですか?」
香霖「いや、それよりも……お帰り(ぎゅっ)」
神綺「(てれ)…はい、ただいま」
脇役
コメント



1.名無し妖怪削除
おおおおおおお!
ロリ神綺だとおおおおおおおおおおおおおおお!
あ な た が 神 か !

ところでリグルは一応性別♀のおにゃのこですよ?
虫の王・・・

>光の柱を見た美鈴が思って事
思った事、じゃないでしょうか?

>「だったら、永遠亭に連れて行けばかな?」
連れて行けばいいかな?、じゃないでしょうか?
2.幻想入りまで一万歩削除
よしその罪、私が許す。だからもっとやれw
3.名無し妖怪削除
省エネモード、バンザーイ
4.名無し妖怪削除
それぞれの前日編と当日編が面白いったら
オチがそう来るとはwww

>ところでリグルは一応性別♀のおにゃのこですよ?
 虫の王・・・
何か問題が?
5.時空や空間を翔る程度の能力削除
2人に幸あれ、

150cm以下<<<<<<<<<<<<<超えられない壁<<<<<<<<<<<三名様。
大爆笑wwwwwwwwwww


私も許します。思う存分に脇役さんワールドを
描いてください。
6.イスピン削除
知らなかった…夢子さんがそっち属性があったなんて…

なんにせよ、ひとまずの完結お疲れ様でした。今後も脇役さんの(脳内妄想による)幻想郷を楽しみにさせていただきます。
7.名無し妖怪削除
さすが神綺様
予想もしていなかった事をやってのけられる

おにゃのこだけど王でもいいじゃない、リグルだもの
特に、幽香とリグルだったらねえ
いまさら
8.名無し妖怪削除
はっはっは。
皆、はしゃいでるなあ

>「…神様と聞いて……歩いて…やって…ひっく」
もだえた
9.名無し妖怪削除
申し訳ない…w
シリアスな場面なのに美鈴の「そぉーい!」で笑ってしまうw