この作品は東方永夜抄のEXTRAを、脳内がお花畑な作者がいじったものです。
話は魔法使いチームが輝夜に依頼を受けるところから始まります。
キャラ設定がちょっとおかしいですが、作者の妄想ですので何卒ご容赦ください。
それでは、どうぞお楽しみ下さい。
----------------------------------------
「・・ここね」
魔法の森、霧雨亭。
鈴仙は玄関の入口に立ち、「トントン」っと扉を叩く。
数秒後、「あー、誰だー?」
という声と共に扉が開き、この家の主・霧雨魔理沙が出てきた。
「こんばんは魔理沙。良い夜ね?」
鈴仙は軽く手を上げ挨拶をする。
「鈴仙じゃないか?こんな時間にどうしたんだ?」
思いも寄らない来訪者に魔理沙はのんびりと問う。
時刻は子の刻九つ、そろそろ日付が変わる時間である。
「こんな時間に悪いんだけど、ちょっと永遠亭に来て欲しいの」
鈴仙はそんな事を魔理沙に告げる。
「ちょっ、待ってくれ。少しは事情を説明して欲しいんだが?」
魔理沙は説明を要求する。
「ごめんなさい、事情は・・私も知らされてないの。
ただ姫に二人を連れて来いって言われただけ、それだけなの・・」
鈴仙は少し申し訳なさそうに答える。
「二人?・・もう一人って誰だ?霊夢か?」
と、魔理沙は訊ねたが、鈴仙は首を横に振る。
「アリスよ。これから彼女の家も探さないといけないんだけど」
やれやれ、と嘆息する鈴仙。
「あぁ、アリスを呼べばいいのか?それなら簡単だぜ」
任せておけっ!と胸を張る魔理沙。
そして「はぁっ・・」と大きく息を吸い込み、
「おぉ~~~い、アーリースーッッ!!」
深夜の魔法の森に魔理沙の大声が木霊する。
しかし、この魔法の森は広い。
果たして今の声がアリスに届いたかどうか・・
それでも待つこと3分。
「呼んだ?魔理沙?」
本当に来た。アリス・マーガトロイドその人である。
「あぁ、なんか永遠亭のお姫様が私達をお呼びらしいぜ。一緒に来てくれ、アリス。」
『一緒に』という言葉が効いたのか、アリスは頬をほんのりと赤く染め、
「し、仕方ないわねっ、そこまで言うんなら行ってあげるわよ、・・『一緒に』ね」
どうやら話はまとまったようだ。
「それじゃ、永遠亭まで案内するから二人ともついて来て」
と言って、鈴仙の足元は地面から離れる。
魔理沙とアリスもそれに続こうとしたが・・何故か飛ぼうとしない。
「どうしたの?」
鈴仙は振り返り、不思議そうな顔をして二人を見た。
魔理沙とアリスは鈴仙を見上げている形になっている。
「縞々だぜ・・」
「えぇ、ストライプね・・」
そう言い、何やら至福の表情を浮かべている。
その視線の先には・・
そのいやらしい視線に気づいたのか、鈴仙は慌ててスカートを手で隠す。
そして、一言。
「ば、ばかっ!」
とまぁ、そんなやり取りがあったりなかったり・・
結局、鈴仙は二人の後方を飛ぶことになった。
また見られでもしたら堪ったものでは無い。
ズボンでも穿こうかしら・・永遠亭に着くまで、鈴仙はそんな事を真剣に考えていた。
ちなみに道中は迷いの竹林を通るわけだが、敵からの攻撃は無かった。
正直、拍子抜けする二人。
鈴仙がいるからだろうか・・と、そんな事を適当に考えていた。
そして、ほどなくして永遠亭に到着。
鈴仙は輝夜を封印している部屋の前に立ち、「連れて来ました」と扉を2回叩く。
扉からは「入って」とだけ返事があった。
「失礼します」
鈴仙が扉を開けると、そこには・・
異様な光景が広がっていた。
まず眼に入ったのは、交代しながら必死に自転車を漕いでいる兎達の姿。
次に眼に入ったのは大画面ディスプレイ、その次がタワー型のデスクトップ。
自転車からはケーブルが伸びていて、ディスプレイとデスクトップに繋がっている。
(じ、人力発電?いや、この場合は兎力発電か??)
何と言うか・・とてもシュールである。
魔理沙とアリスはその光景に、ただ唖然とする。
「あぁ、来てくれたのね」
ディスプレイの正面には輝夜の姿が。何やらキーボードをカタカタと叩いている。
「それで、早速用件なんだけど・・」
輝夜は、ディスプレイから視線を離さないまま、話を進めようとする。
「人と話をする時は相手の眼を見て話をしろって教わらなかったか?」
その態度にムカッとしたのか、魔理沙は輝夜の素行を嗜める。しかし、、
「この迷いの竹林の深部に住む、ある人間を懲らしめて来て欲しいのよ」
魔理沙の言葉を完全に無視し、今度はマウスをクリックする輝夜。
「人の話を聞けよ、この野郎」
魔理沙のコメカミにはうっすらと青筋が浮かぶ。
コレはヤバい、と鈴仙がオロオロし出すが、輝夜は全く気にする様子は無い。
「名前は藤原妹紅。ちなみに蓬莱の薬を服用してるから不死身よ。
何をしても死なないから、死ぬほど痛い目に遭わせて来て頂戴」
「人の話を聞け!こっちを見ろ!」
ここでついに魔理沙は怒鳴る。
「あぁっ!!」
突然、輝夜が大声を上げる。
「・・な?どうした??」
魔理沙は何事かと、輝夜に問いかける。
すると輝夜は、ここで初めて魔理沙の方を振り向き、そして一言。
「レバ剣拾ったっ!」
「・・プチィ」
切れたらしい。
魔理沙は懐からスペルカードを取り出し、何かつぶやき始めた。
「恋符『マスタースパーk・・』」
「駄目ッ!落ち着いて魔理沙ッ!!」
止めに入ったのは鈴仙。
スペルカードが発動する直前、鈴仙は後ろから魔理沙を抱きとめ、
そして、二人はそのまま畳に突っ伏した。
「離せっ!もう我慢ならねぇ!コイツ、絶対ブッ飛ばすッ!」
魔理沙は必死に暴れるが、鈴仙も必死に食らいつく。
「気持ちは物凄く分かるから・・でも、それでもお願い、落ち着いて!」
「畜生っ!離せっ!」「駄目よ、落ち着いて!」
と、そんな感じで魔理沙と鈴仙は畳の上でもみ合い状態に。
そして、その様子を穴が空くほど見つめているアリス。
彼女の頭の中では百合の花が咲き乱れている。
暫くそんなやり取りが続く中、ようやくアリスが正気に戻ったのか、
「ちょっと、いつまで魔理沙とくっついているのよ?いい加減離れたら?
それと鈴仙、可愛いストライプが見えてるわよ?」
嘆息しながら、畳の上で繰り広げられている百合ワールドに一言漏らす。
その言葉を聞いた鈴仙は、慌てて魔理沙を解放しスカートの裾を押さえる。
顔は真っ赤である。
魔理沙は「やれやれ」と服をパタパタ叩きながら立ち上がった。
「・・じゃあ、そういう訳だから」
よろしく~、と輝夜は手をひらひら振る。
ちなみに視線は再びディスプレイへ。
(どういう訳だ?この野郎!?)
魔理沙は再び殺意をのせた眼で、輝夜を睨みつける。
そして、怒りの表情をそのままに、無言で部屋を出て行った。
鈴仙は申し訳なさそうに、ひたすら頭を下げている。
「ドンッ!!」
思いっきり扉を閉める。
「ゲシィ!!」
ついでに蹴りを入れておく事も忘れない。
「帰るぞアリス!やってられるかっ!」
激昂する魔理沙。無理も無い。
一方のアリスは、何かを考えているようだ。
「でもアイツ、なんか面白い事を言ってたわね・・蓬莱の薬で不死身になるとか。」
「あぁ、それがどうしたか?」
アリスは記憶の糸を手繰り寄せるかのように、額に手を当て、
「聞いた話なんだけどね、蓬莱人の肝を喰らうと不老不死になれるらしいのよ」
そんな事を言う。
蓬莱人の肝を喰らう・・その姿を想像した魔理沙は、苦虫をすり潰したような表情をする。
「・・私はカルバニズムの気はないぜ?」
「私だってそうよ・・でも肝以外だったら?例えば血液とか、爪の垢でもいいわ。
なにかしら効果があるんじゃないかしら?どうせ帰ってもやる事ないんだし、
行ってみても損は無いわ?」
と、アリスは魔理沙に提案する。
それを聞いた魔理沙は暫く黙考していたが、やがて
「成程な・・確かに試してみる価値はありそうだぜ」
と言う。それに・・と魔理沙は続けて、
「ちょうど苛々していたところだ、その妹紅とやらに恨みは無いが、
ちょっと喧嘩を売りに行こう」
と、獰猛な笑みを浮かべ永遠亭を後にする。
目指すは迷いの竹林の最深部。
「一体、どうなってんだ?」
魔理沙が愚痴る。
草木も眠る丑三つ時。
二人は永遠亭を出発し、迷いの竹林をさらに奥へと進んでいたが、
そこに待ち受けていたのは、狂ったように弾幕を巻き散らす雑魚の群れ。
ショットを撃ちながら、魔理沙は珍しく弱音を吐く。
「数が多い上に一匹一匹が結構強いぜ。弾を避けるのが精一杯だぜ」
レーザーを撃ちながら、アリスはそれに応じる。
「確かに気を抜くと不味い状況ね。私達の攻撃は範囲が狭いから、
どうしても防戦になりがちだわ・・」
例えるなら多勢に無勢。
それでもなんとか、持ち前の火力を駆使して敵を殲滅していく。
敵が正面に来ればこっちの物、一瞬で沈黙させる事が出来る。
そんなこんなで進んでいくうちに、いつの間にか開けた場所に出た。
雑魚共は息を潜めているのか、出て来る気配が無い。
嵐の前の静けさである。
「魔理沙・・」
「あぁ、強い妖気をビリビリ感じるぜ」
と、魔理沙はやや緊張した面持ちで、上空を見上げる。
そこには満月の光を浴びたワーハクタク・上白沢慧音の姿があった。
今宵は満月なので当然変身しており、頭から立派な角を二本生えている。
真っ赤なリボンはお洒落なのか・・とっても似合っていない。
慧音は、『かかって来いよ』と言わんばかりに、人差し指を自分に向け、
二人を見下ろしていた。明らかに挑発している。
「上等だぜっ!」
そして魔理沙とアリスは慧音のいる上空へと飛びあがる。
対峙する慧音と魔法使いチーム。
と、ここで慧音はお決まりの科白を吐く。
「満月の夜n」
「「キモッ!」」
その科白に割って入る二人。
速攻である。
しかもキモいときた。
「・・・・」
その言葉に、慧音は肩をプルプルと震わせる。
更に二人は、慧音に追い打ちをかける。
「えーマジ?ワーハクタク!?」
「キモーイ」
「ワーハクタクが許されるのは『件』までだよねー」
「キャハハハハハハ」
対して慧音は・・完全な無表情。
その瞳はガラス玉のように澱んだ輝きを放っている。
何と言うか、とても怖い。
怒りが頂点に達すると、人(妖怪)はこんな顔になるのだろうか。
そして表情をそのままに、装甲車両のようにゆっくりと二人へ突進を始めた慧音。
弾幕ゲームだと言うのに突進とは・・無粋の極みである。
「左右に散るぜ」
「了解」
と、短くコンタクトを取り、反転する二人。
しかし、その反転が勝負を分ける事になった。
突如、慧音は加速度的に速度を上げ二人に急接近、爆発的な勢いで背後から・・
「caved!!」
そんな擬音が竹林に響き渡る。
避ける間も無かった・・。
二本の角の先には魔理沙とアリス、それぞれのお尻が突き刺さっていた。
角からは「プシュゥウ・・」っと煙が立っている。
二人は口から泡を吹き出ており、その眼は「グリンッ」と白目を剥いている。
全身はピクピクと痙攣し、完全に気絶しているようだ。
完全に沈黙した二人を確認した慧音は、首を軽く回す。
すると、角からお尻がするりと抜け・・二人はそのまま地面に向けて落下していく。
その様を冷徹に見下ろす慧音。
そして一言、「嘆かわしい・・」と漏らし、妹紅の待つ竹林の奥へと帰って行った。
話は魔法使いチームが輝夜に依頼を受けるところから始まります。
キャラ設定がちょっとおかしいですが、作者の妄想ですので何卒ご容赦ください。
それでは、どうぞお楽しみ下さい。
----------------------------------------
「・・ここね」
魔法の森、霧雨亭。
鈴仙は玄関の入口に立ち、「トントン」っと扉を叩く。
数秒後、「あー、誰だー?」
という声と共に扉が開き、この家の主・霧雨魔理沙が出てきた。
「こんばんは魔理沙。良い夜ね?」
鈴仙は軽く手を上げ挨拶をする。
「鈴仙じゃないか?こんな時間にどうしたんだ?」
思いも寄らない来訪者に魔理沙はのんびりと問う。
時刻は子の刻九つ、そろそろ日付が変わる時間である。
「こんな時間に悪いんだけど、ちょっと永遠亭に来て欲しいの」
鈴仙はそんな事を魔理沙に告げる。
「ちょっ、待ってくれ。少しは事情を説明して欲しいんだが?」
魔理沙は説明を要求する。
「ごめんなさい、事情は・・私も知らされてないの。
ただ姫に二人を連れて来いって言われただけ、それだけなの・・」
鈴仙は少し申し訳なさそうに答える。
「二人?・・もう一人って誰だ?霊夢か?」
と、魔理沙は訊ねたが、鈴仙は首を横に振る。
「アリスよ。これから彼女の家も探さないといけないんだけど」
やれやれ、と嘆息する鈴仙。
「あぁ、アリスを呼べばいいのか?それなら簡単だぜ」
任せておけっ!と胸を張る魔理沙。
そして「はぁっ・・」と大きく息を吸い込み、
「おぉ~~~い、アーリースーッッ!!」
深夜の魔法の森に魔理沙の大声が木霊する。
しかし、この魔法の森は広い。
果たして今の声がアリスに届いたかどうか・・
それでも待つこと3分。
「呼んだ?魔理沙?」
本当に来た。アリス・マーガトロイドその人である。
「あぁ、なんか永遠亭のお姫様が私達をお呼びらしいぜ。一緒に来てくれ、アリス。」
『一緒に』という言葉が効いたのか、アリスは頬をほんのりと赤く染め、
「し、仕方ないわねっ、そこまで言うんなら行ってあげるわよ、・・『一緒に』ね」
どうやら話はまとまったようだ。
「それじゃ、永遠亭まで案内するから二人ともついて来て」
と言って、鈴仙の足元は地面から離れる。
魔理沙とアリスもそれに続こうとしたが・・何故か飛ぼうとしない。
「どうしたの?」
鈴仙は振り返り、不思議そうな顔をして二人を見た。
魔理沙とアリスは鈴仙を見上げている形になっている。
「縞々だぜ・・」
「えぇ、ストライプね・・」
そう言い、何やら至福の表情を浮かべている。
その視線の先には・・
そのいやらしい視線に気づいたのか、鈴仙は慌ててスカートを手で隠す。
そして、一言。
「ば、ばかっ!」
とまぁ、そんなやり取りがあったりなかったり・・
結局、鈴仙は二人の後方を飛ぶことになった。
また見られでもしたら堪ったものでは無い。
ズボンでも穿こうかしら・・永遠亭に着くまで、鈴仙はそんな事を真剣に考えていた。
ちなみに道中は迷いの竹林を通るわけだが、敵からの攻撃は無かった。
正直、拍子抜けする二人。
鈴仙がいるからだろうか・・と、そんな事を適当に考えていた。
そして、ほどなくして永遠亭に到着。
鈴仙は輝夜を封印している部屋の前に立ち、「連れて来ました」と扉を2回叩く。
扉からは「入って」とだけ返事があった。
「失礼します」
鈴仙が扉を開けると、そこには・・
異様な光景が広がっていた。
まず眼に入ったのは、交代しながら必死に自転車を漕いでいる兎達の姿。
次に眼に入ったのは大画面ディスプレイ、その次がタワー型のデスクトップ。
自転車からはケーブルが伸びていて、ディスプレイとデスクトップに繋がっている。
(じ、人力発電?いや、この場合は兎力発電か??)
何と言うか・・とてもシュールである。
魔理沙とアリスはその光景に、ただ唖然とする。
「あぁ、来てくれたのね」
ディスプレイの正面には輝夜の姿が。何やらキーボードをカタカタと叩いている。
「それで、早速用件なんだけど・・」
輝夜は、ディスプレイから視線を離さないまま、話を進めようとする。
「人と話をする時は相手の眼を見て話をしろって教わらなかったか?」
その態度にムカッとしたのか、魔理沙は輝夜の素行を嗜める。しかし、、
「この迷いの竹林の深部に住む、ある人間を懲らしめて来て欲しいのよ」
魔理沙の言葉を完全に無視し、今度はマウスをクリックする輝夜。
「人の話を聞けよ、この野郎」
魔理沙のコメカミにはうっすらと青筋が浮かぶ。
コレはヤバい、と鈴仙がオロオロし出すが、輝夜は全く気にする様子は無い。
「名前は藤原妹紅。ちなみに蓬莱の薬を服用してるから不死身よ。
何をしても死なないから、死ぬほど痛い目に遭わせて来て頂戴」
「人の話を聞け!こっちを見ろ!」
ここでついに魔理沙は怒鳴る。
「あぁっ!!」
突然、輝夜が大声を上げる。
「・・な?どうした??」
魔理沙は何事かと、輝夜に問いかける。
すると輝夜は、ここで初めて魔理沙の方を振り向き、そして一言。
「レバ剣拾ったっ!」
「・・プチィ」
切れたらしい。
魔理沙は懐からスペルカードを取り出し、何かつぶやき始めた。
「恋符『マスタースパーk・・』」
「駄目ッ!落ち着いて魔理沙ッ!!」
止めに入ったのは鈴仙。
スペルカードが発動する直前、鈴仙は後ろから魔理沙を抱きとめ、
そして、二人はそのまま畳に突っ伏した。
「離せっ!もう我慢ならねぇ!コイツ、絶対ブッ飛ばすッ!」
魔理沙は必死に暴れるが、鈴仙も必死に食らいつく。
「気持ちは物凄く分かるから・・でも、それでもお願い、落ち着いて!」
「畜生っ!離せっ!」「駄目よ、落ち着いて!」
と、そんな感じで魔理沙と鈴仙は畳の上でもみ合い状態に。
そして、その様子を穴が空くほど見つめているアリス。
彼女の頭の中では百合の花が咲き乱れている。
暫くそんなやり取りが続く中、ようやくアリスが正気に戻ったのか、
「ちょっと、いつまで魔理沙とくっついているのよ?いい加減離れたら?
それと鈴仙、可愛いストライプが見えてるわよ?」
嘆息しながら、畳の上で繰り広げられている百合ワールドに一言漏らす。
その言葉を聞いた鈴仙は、慌てて魔理沙を解放しスカートの裾を押さえる。
顔は真っ赤である。
魔理沙は「やれやれ」と服をパタパタ叩きながら立ち上がった。
「・・じゃあ、そういう訳だから」
よろしく~、と輝夜は手をひらひら振る。
ちなみに視線は再びディスプレイへ。
(どういう訳だ?この野郎!?)
魔理沙は再び殺意をのせた眼で、輝夜を睨みつける。
そして、怒りの表情をそのままに、無言で部屋を出て行った。
鈴仙は申し訳なさそうに、ひたすら頭を下げている。
「ドンッ!!」
思いっきり扉を閉める。
「ゲシィ!!」
ついでに蹴りを入れておく事も忘れない。
「帰るぞアリス!やってられるかっ!」
激昂する魔理沙。無理も無い。
一方のアリスは、何かを考えているようだ。
「でもアイツ、なんか面白い事を言ってたわね・・蓬莱の薬で不死身になるとか。」
「あぁ、それがどうしたか?」
アリスは記憶の糸を手繰り寄せるかのように、額に手を当て、
「聞いた話なんだけどね、蓬莱人の肝を喰らうと不老不死になれるらしいのよ」
そんな事を言う。
蓬莱人の肝を喰らう・・その姿を想像した魔理沙は、苦虫をすり潰したような表情をする。
「・・私はカルバニズムの気はないぜ?」
「私だってそうよ・・でも肝以外だったら?例えば血液とか、爪の垢でもいいわ。
なにかしら効果があるんじゃないかしら?どうせ帰ってもやる事ないんだし、
行ってみても損は無いわ?」
と、アリスは魔理沙に提案する。
それを聞いた魔理沙は暫く黙考していたが、やがて
「成程な・・確かに試してみる価値はありそうだぜ」
と言う。それに・・と魔理沙は続けて、
「ちょうど苛々していたところだ、その妹紅とやらに恨みは無いが、
ちょっと喧嘩を売りに行こう」
と、獰猛な笑みを浮かべ永遠亭を後にする。
目指すは迷いの竹林の最深部。
「一体、どうなってんだ?」
魔理沙が愚痴る。
草木も眠る丑三つ時。
二人は永遠亭を出発し、迷いの竹林をさらに奥へと進んでいたが、
そこに待ち受けていたのは、狂ったように弾幕を巻き散らす雑魚の群れ。
ショットを撃ちながら、魔理沙は珍しく弱音を吐く。
「数が多い上に一匹一匹が結構強いぜ。弾を避けるのが精一杯だぜ」
レーザーを撃ちながら、アリスはそれに応じる。
「確かに気を抜くと不味い状況ね。私達の攻撃は範囲が狭いから、
どうしても防戦になりがちだわ・・」
例えるなら多勢に無勢。
それでもなんとか、持ち前の火力を駆使して敵を殲滅していく。
敵が正面に来ればこっちの物、一瞬で沈黙させる事が出来る。
そんなこんなで進んでいくうちに、いつの間にか開けた場所に出た。
雑魚共は息を潜めているのか、出て来る気配が無い。
嵐の前の静けさである。
「魔理沙・・」
「あぁ、強い妖気をビリビリ感じるぜ」
と、魔理沙はやや緊張した面持ちで、上空を見上げる。
そこには満月の光を浴びたワーハクタク・上白沢慧音の姿があった。
今宵は満月なので当然変身しており、頭から立派な角を二本生えている。
真っ赤なリボンはお洒落なのか・・とっても似合っていない。
慧音は、『かかって来いよ』と言わんばかりに、人差し指を自分に向け、
二人を見下ろしていた。明らかに挑発している。
「上等だぜっ!」
そして魔理沙とアリスは慧音のいる上空へと飛びあがる。
対峙する慧音と魔法使いチーム。
と、ここで慧音はお決まりの科白を吐く。
「満月の夜n」
「「キモッ!」」
その科白に割って入る二人。
速攻である。
しかもキモいときた。
「・・・・」
その言葉に、慧音は肩をプルプルと震わせる。
更に二人は、慧音に追い打ちをかける。
「えーマジ?ワーハクタク!?」
「キモーイ」
「ワーハクタクが許されるのは『件』までだよねー」
「キャハハハハハハ」
対して慧音は・・完全な無表情。
その瞳はガラス玉のように澱んだ輝きを放っている。
何と言うか、とても怖い。
怒りが頂点に達すると、人(妖怪)はこんな顔になるのだろうか。
そして表情をそのままに、装甲車両のようにゆっくりと二人へ突進を始めた慧音。
弾幕ゲームだと言うのに突進とは・・無粋の極みである。
「左右に散るぜ」
「了解」
と、短くコンタクトを取り、反転する二人。
しかし、その反転が勝負を分ける事になった。
突如、慧音は加速度的に速度を上げ二人に急接近、爆発的な勢いで背後から・・
「caved!!」
そんな擬音が竹林に響き渡る。
避ける間も無かった・・。
二本の角の先には魔理沙とアリス、それぞれのお尻が突き刺さっていた。
角からは「プシュゥウ・・」っと煙が立っている。
二人は口から泡を吹き出ており、その眼は「グリンッ」と白目を剥いている。
全身はピクピクと痙攣し、完全に気絶しているようだ。
完全に沈黙した二人を確認した慧音は、首を軽く回す。
すると、角からお尻がするりと抜け・・二人はそのまま地面に向けて落下していく。
その様を冷徹に見下ろす慧音。
そして一言、「嘆かわしい・・」と漏らし、妹紅の待つ竹林の奥へと帰って行った。
輝夜には「いいかよく聞け蓬莱NEET」と言いたい。(石鹸屋良いよね)
それにしても、魔理沙とアリス…む、無茶しやがって…www
だからけーねはきもくないよう!!