Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

東方厳冬郷 -アリス-

2007/12/08 02:05:12
最終更新
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2.6KB
ページ数
1

春。桜の花びらは散り、若葉が芽生え始めてきた季節。
ごうごうと立ち上る炎を目の前にするアリス。
「今までありがとう」
涙を流しながらも笑みを浮かべていた。

数ヶ月前。木々は紅く染めたその葉を散らし、森では生物が冬の身支度をしていた。
秋の神々はその身を風にゆだね、その様子を見つめていた。幻想郷は冬に入ったばかりである。
家で本を読むアリス。何かをしたいわけでもない。ただそうしなければいけなかった。
(……暇ね)
ストンッと外で聞きなれた音。
「…来なければいいのに」
一つため息をつくとアリスは本を閉じて机に置き、その問題人物を招き入れた。
無言でドアを開ける。
「なんだ元気ないな」
魔理沙である。
「そうね」
表情を変えることなく答えるアリス。目は合わせない。
(彼女が来てくれたのに、どうして私笑顔じゃないんだろう)
特製のブレンドティーを彼女のティーカップに注ぎ、自分はまた本を読み始める。
無言。
「なぁアリス」
魔理沙がその沈黙に耐えられるはずがなかった。
「なに魔理沙」
「お前最近元気ないぞ。昔はもっとこうはしゃいでたじゃないか」
「そうだったわね」
途切れる会話。そしてまた無言。
「そろそろお邪魔するぜ」
「えぇ」
魔理沙は帰ってしまった。
(いつまでこんな感情抱いていればいいの。どうせ気づいてくれないのに。)

博麗神社で談笑する霊夢、萃香。魔理沙とアリスもそこにいた。
(あたりまえよね。好きとか嫌いとか気にするタイプじゃないものね彼女は…)
アリスはその様子を物悲しげに眺めていた。
(なんでみんな普通に話せるのよ。それとも私が気にしすぎてるだけ?)
魔理沙の笑顔は以前と何も変わっていない。本当に楽しそうだ。
(私も受け入れて欲しい…)

帰り道。魔理沙のあとを追いかけるアリス。
「ねぇ、どうして私じゃだめなの?」
「なんだ、いきなりどうしたんだ?」
「私は魔理沙のことが真剣に好きなの。どうしてわたしのことをもっと見てくれないの?」
「…それで元気なかったのか」
ひとつため息をつく魔理沙。
「もう少し砕けた感じでもいいんじゃないか?真面目だと大変だろ」
魔理沙は少々困っていた。
「真面目のどこがいけないのよ!」
「疲れるじゃないか。私もアリスも」
アリスは何も言い返せなかった。

それから数ヶ月、アリスは家に篭り続けた。誰にも愛されることなく。
「もうあなたたちしかいないわ」
そういって人形を眺めるアリス。

春。
そこには魔理沙や霊夢と仲良く話すアリスの姿があった。
が、彼女達に『感情』はなかった。
まるで魂の込められていない人形のように。

彼女達の『感情』はアリスの作った人形にすべて憑依されていた。
アリスはその人形を使い魔理沙に愛されようと考えたのである。
せめて人形で想いをかなえようと思って。
向かい合わせに置かれた自分の人形と魔理沙の人形を見つめるアリス。
しかし、元は本人の中にあった『感情』
結局人形魔理沙にも裏切られてしまう。

『無様ね』

ごうごうと立ち上る炎に人形を次々と投げ捨てるアリス。魔理沙にもらったマフラーも。
「今までありがとう」
そしてから幻想郷から『感情』は消えた……
どうもHALです。

今回は思いつきで書いてみました。
このお話は自分の体験談を元にして書いたため、かなり乱暴な感じになってしまいました。
アリスが完全にストーカーとなってしまったことはご了承ください。
HAL
コメント



1.名無し妖怪削除
魔法使いのヤンデレは洒落にならんな・・・
2.名無し妖怪削除
アリス・・・・イ㌔
間違えても言葉様にはならないように・・・(´;ω;`)
3.HAL削除
>>魔法使いのヤンデレは洒落にならんな・・・
相手のことを知り尽くしているため、絶望に陥った時の心情は実に恐ろしいものですよ…
>>間違えても言葉様にはならないように・・・(´;ω;`)
『感情』は消えてしまいましたから、もう彼女には何もできませんよ…